あらゆる障害を打ち破る輪宝
輪宝(りんぽう)は、輪法、法輪、宝輪、金剛輪、チャクラともいい、仏法の象徴です。千手観音、如意輪観音が輪宝を手にしているのをご覧になった方も多いと思います。仏像がまだ作られていなかった古代インドにおいては釈尊のシンボルとして彫刻されていました。
その形は刃を備えた車輪をかたどったもので、『長阿含経』に転輪聖王が遠征するとき輪宝が転進して、四方の敵を打ち破ったとあります。仏教で教えを説くことを転法輪というのは、仏法が俗悪の説を論破することを輪宝が敵を破ることになぞらえたものです。
密教の壇において輪宝は中央に安置されます。また密教の奥義を伝授し、阿闍梨の位を授ける伝法灌頂の儀式においては、受者に加持した輪宝を授け、両足の間に挟ませる秘儀が行われます。輪宝はたいへん重大な意味を持った密教法具であり、かつ強力な災厄除けの力を発揮します。
《「りんぽう」とも》転輪聖王(てんりんじょうおう)の所有する七宝の一。金・銀・銅・鉄の4種がある。もとは車輪の形をした古代インドの武器。仏教に取り入れられ、王の行くところ先行して四方を制するとされる。転じて、聖王をいう。
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