先週、突如発表され、3月25日の発売開始が注目される新型iPad Pro。モバイル機器としておそらく初の採用となる3D環境スキャナー「LiDARスキャナー」の搭載以上に注目されるのが、ノートPCのようなトラックパッド付きの新型キーボード「Magic Keyboard」の登場だ。
Magic Keyboard自体は本体から遅れて5月発売のため、すぐには使えない。けれども、タッチパッドのサポートそのものは、3月24日(現地時間、時差の関係で日本ではおそらく25日)配信のiPadOSの最新アップデートで追加される。そのため、実際には最新のiPad Proだけではなく、最新iPadOSをサポートする多くのiPadで(たとえば2019年に登場した安価な第7世代iPadでも)、この機能を利用できることになる。
昨今増えてきた在宅勤務やテレワーク向けのマシンとして、iPadをノートPC代わりに使いたい人からも、非常に注目度の高い機能といえる。
iPadOSでは、タッチパッドのカーソル形状が「機能やアプリに応じていろいろな形に変わる」という、PCではまず見たことがないような実装になっている。
作と設計哲学について、アップルは先週、一部ジャーナリスト向けに上級副社長でソフトウェア開発責任者・クレイグ・フェデリギ氏の動画「Introducing the trackpad for iPadOS」を公開している。その内容を見てみよう。
iPadOSの「魔法のカーソル」はどう動くか?
フェデリギ氏はiPadOSのカーソルを「(新しいカーソルは)最も自然なタッチ体験のための形状の1つ」だと説明する。
カーソルは、アプリの選択部分(ボタンなど)が押しやすい形状に自動的にトランスフォームしたり、テキスト選択時には、見慣れた「I」形状のカーソルに変わったりする。
選択する場所によって、カーソルがさまざまな形に形状を変えるので、カーソルを見失いそうにも思えるが、このあたりは、24日に配信される最新版「iPadOS 13.4」で触ってみての評価にしたいところだ。
iPadOSのすべてのタッチ操作はタッチパッドでも代用できる
iPadOSは、アップデートの過程でさまざまなジェスチャー操作を搭載してきた。
たとえば、画面右端から指を中央に向かってスワイプすると、小さなアプリウインドウ「スライドオーバー」が出現したりする。
こういったジェスチャー操作はタッチパッドとカーソルでも、そのまま再現できる。
個人的には、画面タッチのユーザーインターフェースには、画面タッチなりの良さがあると思っている。
「指先で触るもの」と「カーソルで操作するもの」は、根本的にOSとしてのユーザーインターフェースの設計が違って、似て非なるものだということは以前、Surface GoとiPad Proの比較レビュー記事にも書いた通りだ。
タッチパッドサポートによって、iPadOSがWindowsやMacのような操作感になっていくようなら本末転倒だ。
けれども、おそらくは、アップルはそうではない「タッチ操作とカーソル操作の間をとった操作体験」を考えたはず。そうでなければ、長年こだわってきた「原則タッチ操作のみ」のルールを改める意味がない。
冒頭にも書いたように、多くのiPadユーザーが待ち望んでいたタッチパッドの正式サポートは、最新版のiPadOSにアップデートできるすべての機種に提供される。
比較的最近のiPadユーザーなら、Bluetoothマウスさえあれば、すぐに手持ちのiPadで操作感がどう変わるのかを体験できる。その上で気に入れば、サードパーティーのタッチパッド付きキーボードを入手してみるのも良いかもしれない。