シヴァは妻のパールヴァティーと共に「過去・現在・未来の三つの世界を収める神」として ヒンドゥー教 の最高神として崇拝されていたが、 大日如来 はヒンドゥー教世界を救うためにシヴァの改宗を求めるべく、配下の降三世明王を派遣し(或いは大日如来自らが降三世明王に変化して直接出向いたとも伝えられる)、頑強難化のシヴァとパールヴァティーを遂に超力によって降伏し、仏教へと改宗させた。降三世明王の名はすなわち「三つの世界を収めたシヴァを下した明王」という意味なのである。
降三世明王は右の絵の通り三面八臂の姿をしており、二本の手で印象的な「降三世印」を結び、残りの手は弓矢や矛などの武器を構える勇壮な姿であるが、何より両足で地に倒れた大自在天(シヴァ)と妻烏摩妃(パールヴァティー)を踏みつけているのが最大の特徴である。誰かを踏みつけた仏と言えば 四天王 がそれぞれ 邪鬼 を踏みつけているが、降三世明王は「異教とはいえ神を倒して踏みつけている」という点でひと際異彩を放つ仏である。
降三世はサンスクリット語で、トライローキヤ・ヴィジャヤ(三界の勝利者 Trailokyavijaya )といい、正確には「三千世界の支配者 シヴァ を倒した勝利者」の意味。
「オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・ハッタ」( Oṃ śumbha niśumbha hūṃ vajra hūṃ phaṭ )
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