今回は「HELLO WORLD」(ハロー・ワールド)というアニメ映画のご紹介です。
オリジナル作品です。製作しているのは「楽園追放」を作ったグラフィニカ。セルルックのCGアニメなので、正直微妙です。派手な3次元的な動きやエフェクトには合っていますが、しっとりした日常シーンは苦手。キャラデザインが「けいおん!」の人なので、それも含めてやっぱり微妙。
監督は伊藤智彦さん。管理人はあまり贔屓にしていない監督ですが、「ソードアートオンライン」劇場版をやっています。
じつは先日、録画しておいたその「SAO オーディナル・スケール」を見ていたので、やけに雰囲気が似ているなあと思っていたら、同じ監督でした。悪くないけど、飛び出た特徴がない人です。
注目すべきは脚本家。あの「野崎まど」センセーです。「正解するカド」で多くの視聴者にすげえパンチを喰らわせた、あの野崎センセー。イイ感じでSFしています。もっとやれ、と思いましたが、本編はきちんと畳んでおしまい。きっと番外編の小説で、もっとやっているのだと思われます。
映画の中ではすべての設定が開示されているわけではないので、わりと「謎」は残ります。
ちなみに、管理人にとっての最大の「謎」は、基本的な設定である「京都市アーカイブプロジェクト」(量子サーバに都市と市民をまるごとデジタル保存しています)が、どこの予算で誰が行っているのか、というもの。とてつもない大事業なので、大学や地方自治体レベルじゃないよな、と思いながら、その真の目的を図りかねていました。主人公たちは、その仮想世界内でいろいろ奮闘するのですが、彼らがすべてを構築した、というわけではないはず。
余談ですが、主人公の部屋に飾ってある絵が、アンドリュー・ワイエスというアメリカの画家が描いた「クリスティーナの世界」という作品です。樹木もない黄褐色の草原に横たわり、地平線に見える灰色の家や隣接する小さい離れ、納屋を見上げる女性が描かれています。女性は下半身にマヒがあり、歩くことができず、這っているのです。
アンドリュー・ワイエスは、管理人が好きな画家のひとりです。この絵には主人公が抱く思いが暗喩として込められています。
仮想世界を舞台にした作品は、現在では多数作られています(伊藤監督の手掛けたSAOシリーズなどは代表例)。その中でも先駆的かつ、傑作として記憶に残るのは、サンライズの「ゼーガペイン」(2006)だと思います。根強いファンがいて(私もそうですが)、2016年には10周年記念で「ゼーガペインADP]という劇場版まで公開されました。これを見るためには、TVシリーズを全部見ないといけないので、なかなかハードルが高い映画ですが、一見の価値はある作品なので、この機にPRしておきます。
価格:3,888円 |
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