2024年09月15日
芥川龍之介の「河童」の執筆脳について4
結局、精神病院の院長は、狂人が早発性痴呆症患者であるという。しかし、セカンドオピニオン役の河童の国に生きる医者のチャックは、狂人ではなく、院長や来院者こそが早発性痴呆症患者であるとする。つまり、狂人は、本当のことがわかっていて、院長や聞き手の方がわかっていないとする。また、河童の国でも裁判官が失職すると発狂して精神病院に送られる。もし芥川が見舞いに行くとしたら、何をするのか。精神的な治療として聖書を進めたかもしれない。そこで、「河童」の執筆脳は、「機知と批判」にする。
確かに晩年の芥川は、強い精神衰弱と戦いながらの執筆であったため、最後の力を振り絞ったに違いない。7月24日、田端の自宅でヴェローナとジャールを多量に服用し自殺する。枕元には聖書が置いてあった。
人間の皮膚のにおいに閉口した。目や口よりも鼻が妙に恐ろしい気を起させるとある。ほすぴ164号(片野2018)によると、嗅覚は、他の五感と信号のルートが異なり、視床を通らず直接嗅覚野から大脳辺縁系の買い場や偏桃体といった本能行動や感情、記憶を司る部分に伝わる。さらに、海馬ではその匂いが過去に嗅いだにおいかどうかという情報が加わる。情動を司る扁桃体に伝わると、変なにおいなどの評価が下される。恐ろしい気を起させる理由はここにある。
狂人は、事業に失敗した話になると、乱暴になる。汽車に乗ろうとして巡査に捕まり、病院に入れられた。病院でもどうやら日本の社会や人物の欠陥、罪悪のことを遠回しに批判していた。狂人の方が本当のことを理解している。シナジーのメタファーは、「芥川龍之介と逆転の論理」にする。逆転の論理の一例にド・モルガンの定理がある。真偽の記号の意味を逆にして考えればよい。
花村嘉英(2020)「芥川龍之介の『河童』の執筆脳について」より
確かに晩年の芥川は、強い精神衰弱と戦いながらの執筆であったため、最後の力を振り絞ったに違いない。7月24日、田端の自宅でヴェローナとジャールを多量に服用し自殺する。枕元には聖書が置いてあった。
人間の皮膚のにおいに閉口した。目や口よりも鼻が妙に恐ろしい気を起させるとある。ほすぴ164号(片野2018)によると、嗅覚は、他の五感と信号のルートが異なり、視床を通らず直接嗅覚野から大脳辺縁系の買い場や偏桃体といった本能行動や感情、記憶を司る部分に伝わる。さらに、海馬ではその匂いが過去に嗅いだにおいかどうかという情報が加わる。情動を司る扁桃体に伝わると、変なにおいなどの評価が下される。恐ろしい気を起させる理由はここにある。
狂人は、事業に失敗した話になると、乱暴になる。汽車に乗ろうとして巡査に捕まり、病院に入れられた。病院でもどうやら日本の社会や人物の欠陥、罪悪のことを遠回しに批判していた。狂人の方が本当のことを理解している。シナジーのメタファーは、「芥川龍之介と逆転の論理」にする。逆転の論理の一例にド・モルガンの定理がある。真偽の記号の意味を逆にして考えればよい。
花村嘉英(2020)「芥川龍之介の『河童』の執筆脳について」より
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/12705919
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック