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2024年03月04日

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について4

【連想分析1】

表2 受容と共生のイメージ合わせ
山椒魚と蛙が口論し続ける

A 山椒魚は相手の動物を、自分と同じ状態に置くことのできるのが愉快であったのだ。「一生涯ここに閉じ込めてやる!」悪党の呪いの言葉は或る期間だけでも効験がある。蛙は注意深い足取りで凹みにはい上がった。そして彼は、これで大丈夫だと信じたので、凹みから顔だけ表して次のように言った。
意味1 1、意味2 1、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

B 「オレは平気だ」「出て来い!」と山椒魚が呶鳴った。そうして彼らは激しい口論をはじめたのである。「出て行こうと行くまいと、こちらの勝手だ」「よろしい、いつまでも勝手にしろ」「お前は莫迦だ」「お前は莫迦だ」彼等は、かかる言葉を幾度となく繰り返した。
意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

C 翌日も、その翌日も、同じ言葉で自分を主張し通していたわけである。一年の月日が過ぎた。岩屋の囚人達をして鉱物から生物に蘇らせた。そこで二個の生物は、今年の夏いっぱい次のように口論しつづけたのである。意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

D 山椒魚は岩屋の外に出て行くべく頭が肥大しすぎていたことを、すでに相手に見抜かれてしまっていた。「お前こそ頭がつかえて、そこから出て行けないだろう?」「お前だって、そこから出ては来れまい」「それならば、お前から出て行ってみろ」「お前こそ、そこから降りて来い」
意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

E さらに一年の月日が過ぎた。二個の鉱物は、再び二個の生物に変化した。けれど彼らは、今年の夏はお互いに黙り込んで、そしてお互いに自分のため息が相手に聞こえないように注意していたのである。
意味1 2、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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