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2021年01月06日

三浦綾子の「道ありき」で交絡を考える2

2 実例

 例えば、病人には、病人役割として仕事を休む特権とか回復に努め専門医の意見に従う義務がある。綾子は、微熱が続き血痰もで、背中も痛み失禁の症状になり、カリエスの診断がでる。そして、何もする気がしない虚無に陥りうつ病を発症する。
 回復するためには周囲の対応が必要である。ここでは、原因が結核で結果を虚無にする。カリエスやうつ病は、原因結果の一例になる。一方、恋しい思いはどうであろうか。隠れた因子として交絡因子になりうるであろうか。 

1 恋しい人が提供する聖書の「伝道の書」が綾子の求道生活をまじめにし、順調に行けば回復に向かう。病人としての義務の意識が芽生え、正しい筋道を考えるため、1は成立する。
2 結核については恋愛よりも医者の協力が不可欠である。例えば、カリエスの場合は、恋しい思いではなく絶対安静が課せられる。そのため、2は不成立である。 
3 カリエスであれば、恋しい思いが働いて、自分はやる気がなくなる。そんなことはない。病人の場合、周囲の励ましがあれば、やる気を見せるものである。従って、恋しい思いは、中間因子ではない。3は成立する。しかし、2が不成立のため、恋しい思いは、交絡因子になりえない。  
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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