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2017年10月02日

『読む・書く』 中国人の学生に日本語の読み書きを教授する2

1 教案の作り方

 新聞講読の教案は、クラスの中で教材が指定されているため、教材を使用している間はこちらで用語や記事の背景について説明し、学生には音読や内容についての設問を解いてもらう。特に時事用語には慣れてもらいたいこともあり、中間テストで用語を確認するのもよい。以下では、教材終了後に行っている要約の演習について説明していく。要約の演習については、作文のクラスでも最後に扱うため、新聞講読とリンクが張られている。ここでは両方のクラスを連動させることが捻りとなる。
 作文の基礎編は、参加者がこれまでに学習した教材の内容を確認する作業である。例えば、日本語の文章を作成する場合に、表記の仕方や文法、文型そして文体などがテーマになり、文章作成後は校正や添削の方法がテーマになる。校正や添削については、短文で間違い探しをするのも練習にはなる。しかし、できるだけ文章のレベルで課題に取り組む方がよい。その方が文章を作成しながら読みやすい文章を書く心得が身についていく。そのことについて一言述べる。
 作文の作業単位は段落レベルを基本にしたい。誰もが一文一文を積み重ねて文章を書いていく。一文一文はやさいい構文や表現を使用すればすぐに理解できる。しかし、一文一文のつなぎがうまいとさらに一読で理解が得られるようになる。日本語は語順が自由であるため、文章の流れを意識する場合にはテーマとかレーマを考えるとよい。これについては後述する。
 実践編の教案は、できるだけ実社会で役に立つと思われる内容にしたい。ビジネスを通じて必要になるライティングは、限られた時間でデータをまとめる技法である。会議のために資料を作りながら翻訳することなどは、日常茶飯事のことである。但し、そこは学生レベルのトレーニングであるため、できるだけポイントを押さえた易しい内容にしたい。その方がこちらの説明を理解してもらえるからだ。

花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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