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2021年03月04日
シナジーのメタファーのシステム2
文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探していく。
執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
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シナジーのメタファーのシステム1
広義のシナジーのメタファーを考察するため、個々のデータベースを束ねたシステムの構築とその評価について検討が必要になる。例えば、危機管理者としての作家の執筆脳を社会学の観点から集団の脳の活動と見なし、人文科学が研究対象とする個人の脳の活動と組にする。通常、システムの構築は、エンジニアにより行われる。ここでは、何かと地球規模を想定しているため、グローバルなシステムを安定させるための方法やローカルとの連携などについて考える。
イメージ図を見てみよう。人文と社会の間には文化があり、人文と医学の間にはカウンセリングがある。そして、人文と情報の組で見ると、例えば、コーパス、パーザー、機械翻訳、計量言語学(いずれも購読脳)さらには小説のLのデータベース(執筆脳)があり、一方で社会や医学と情報システムが組をなして全体的にバランスを取っている。図の中央にある縦横のシナジーの目は、脳科学の役割を果たし、司令塔としてそれぞれの系列に指示を出すイメージである。
無論、イメージ図の中には地球規模として東西南北からオリンピックにまで広がる国地域があり、また、Tの逆さの認知科学の定規と縦横に言語と情報の認知を取るLの定規、さらにはロジックを交えたメゾの箱が含まれている。こうした地球規模とフォーマットのシフトを条件とする、総合的で学際的なマクロの文学研究が人生をまとめるための道標として人文科学の研究者たちにも共通認識になるとよい。
花村嘉英(2021)「医療社会学からマクロに文学を考える」より
イメージ図を見てみよう。人文と社会の間には文化があり、人文と医学の間にはカウンセリングがある。そして、人文と情報の組で見ると、例えば、コーパス、パーザー、機械翻訳、計量言語学(いずれも購読脳)さらには小説のLのデータベース(執筆脳)があり、一方で社会や医学と情報システムが組をなして全体的にバランスを取っている。図の中央にある縦横のシナジーの目は、脳科学の役割を果たし、司令塔としてそれぞれの系列に指示を出すイメージである。
無論、イメージ図の中には地球規模として東西南北からオリンピックにまで広がる国地域があり、また、Tの逆さの認知科学の定規と縦横に言語と情報の認知を取るLの定規、さらにはロジックを交えたメゾの箱が含まれている。こうした地球規模とフォーマットのシフトを条件とする、総合的で学際的なマクロの文学研究が人生をまとめるための道標として人文科学の研究者たちにも共通認識になるとよい。
花村嘉英(2021)「医療社会学からマクロに文学を考える」より
シナジーのメタファーのメリット
作家の執筆脳を探るシナジーのメタファーの研究は、@LのストーリーやAデータベースの作成、さらにB論理計算やC統計処理が必要になる。しかし、最初のうちは、ある作品について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(@、A、Bまたは@、A、C)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。以下に、シナジーのメタファーのメリットをまとめておく。
【メリット】
・作家の執筆脳を分析して組み合わせを作る際、定番の読みを再考する機会が得られる。
・定番の読みは、外国語の場合、客観的に読めているかどうかを確認するのに便利である。
・データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。理解できる言葉であれば、何語でもよい。
・データベースの作成が文献学だけでは見えないものを提供するため、客観性も上がり、研究者個人の発見に繋がる。
・その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
・また、形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
・論理計算を習得すると、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
・データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
・作家違いでデータベース間のリンクが張れると、ネットワークによる相互依存関係も期待できる。
・バランスを取るために二個二個のルールが適用されれば、社会学の視点からマクロの研究に関するアイデアを育てることができる。
・人間の世界を理解するには、喩えだけでは物足りず、作家を一種の危機管理者または観察者と見なして、相互依存に基づいた人間の条件を理解することができる。
・作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。特に、自分自身の認知の柱を作成できるところがシナジーのメタファーの研究の面白いところである。
・ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。
例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。
また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。
今後は、作家の数を増やすことが課題になる。その際、バランスを意識して、東西南北とかオリンピックをイメージする。また、一作家の異なる小説間のリンクのみならず、作家違いでもデータベース間でリンクが張れると、予期せぬものが見えてくるため、シナジーのメタファーは分析力が上がっていく。文学をマクロに研究するには、やはり地球規模とフォーマットのシフトが必要十分な条件となる。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
【メリット】
・作家の執筆脳を分析して組み合わせを作る際、定番の読みを再考する機会が得られる。
・定番の読みは、外国語の場合、客観的に読めているかどうかを確認するのに便利である。
・データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。理解できる言葉であれば、何語でもよい。
・データベースの作成が文献学だけでは見えないものを提供するため、客観性も上がり、研究者個人の発見に繋がる。
・その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
・また、形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
・論理計算を習得すると、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
・データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
・作家違いでデータベース間のリンクが張れると、ネットワークによる相互依存関係も期待できる。
・バランスを取るために二個二個のルールが適用されれば、社会学の視点からマクロの研究に関するアイデアを育てることができる。
・人間の世界を理解するには、喩えだけでは物足りず、作家を一種の危機管理者または観察者と見なして、相互依存に基づいた人間の条件を理解することができる。
・作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。特に、自分自身の認知の柱を作成できるところがシナジーのメタファーの研究の面白いところである。
・ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。
例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。
また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。
今後は、作家の数を増やすことが課題になる。その際、バランスを意識して、東西南北とかオリンピックをイメージする。また、一作家の異なる小説間のリンクのみならず、作家違いでもデータベース間でリンクが張れると、予期せぬものが見えてくるため、シナジーのメタファーは分析力が上がっていく。文学をマクロに研究するには、やはり地球規模とフォーマットのシフトが必要十分な条件となる。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
シナジーのメタファーとは2
文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探していく。
執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より
シナジーのメタファーとは1
シナジーのメタファーとは
小説を読むときは、通常、作品の受容を考えるため、読者の脳の活動が問題になる。一方、作家の執筆時の脳の活動を探るために、この小論では共生の読みについて考察していく。シナジーのメタファーは、受容と共生をまとめる一例である。考え方は、通常のメタファーを踏襲し、Aが根源領域、Cが目標領域、そしてBがその写像という関係になる。ここではAが人文科学、Bが認知科学、Cが脳科学である。
論文の目的は、小説のデータベース(DB)を作るために必要なシナジーのトレーニングについて考え、受容と共生からなるDBを作成し、シナジーのメタファーを考察することにある。但し、シナジーのメタファーのイメージを整えるために、CからBへのリターンを想定している。文学研究をマクロにシステム化するためである。
Lのストーリーの作り方−文学と計算のモデル
@ 縦は言語、文学、○○語教育といった人文の軸、横は共生の軸で、奥に行くと双方を調整する脳科学がある。
A 縦は解析イメージであり、横は生成イメージである。表象とは、知覚したイメージを記憶して心で再現する人間の精神活動のことである。例えば、言語、記憶、感情、思考、判断といった精神活動は、脳が生み出している。また、シンボルは知覚するものであり、パターンはその処理に当たる。
B 縦横のテーマには、トーマス・マン、魯迅、鴎外そして英独中日といった東西の言語や文化の比較、リスク回避と意思決定による作家の脳の活動や知的財産などがある。
C このモデルの役割は、A(人文)+B(認知)の解析イメージとB(認知)+C(脳科学)の生成イメージをまとめることにある。情報の流れは、AとBから異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
小説を読むときは、通常、作品の受容を考えるため、読者の脳の活動が問題になる。一方、作家の執筆時の脳の活動を探るために、この小論では共生の読みについて考察していく。シナジーのメタファーは、受容と共生をまとめる一例である。考え方は、通常のメタファーを踏襲し、Aが根源領域、Cが目標領域、そしてBがその写像という関係になる。ここではAが人文科学、Bが認知科学、Cが脳科学である。
論文の目的は、小説のデータベース(DB)を作るために必要なシナジーのトレーニングについて考え、受容と共生からなるDBを作成し、シナジーのメタファーを考察することにある。但し、シナジーのメタファーのイメージを整えるために、CからBへのリターンを想定している。文学研究をマクロにシステム化するためである。
Lのストーリーの作り方−文学と計算のモデル
@ 縦は言語、文学、○○語教育といった人文の軸、横は共生の軸で、奥に行くと双方を調整する脳科学がある。
A 縦は解析イメージであり、横は生成イメージである。表象とは、知覚したイメージを記憶して心で再現する人間の精神活動のことである。例えば、言語、記憶、感情、思考、判断といった精神活動は、脳が生み出している。また、シンボルは知覚するものであり、パターンはその処理に当たる。
B 縦横のテーマには、トーマス・マン、魯迅、鴎外そして英独中日といった東西の言語や文化の比較、リスク回避と意思決定による作家の脳の活動や知的財産などがある。
C このモデルの役割は、A(人文)+B(認知)の解析イメージとB(認知)+C(脳科学)の生成イメージをまとめることにある。情報の流れは、AとBから異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
シナジーのメタファーのプロセス
[フローチャート]
@ 知的財産が自分と近い作家を選択する。
A 場面のイメージの対照表を作成する。場面が浮かぶように話をまとめる。
B 解析イメージから何れかの組を作る。言語解析は構文と意味が対象になる。
C 認知科学のモデルは、Lのプロセス全体に適用される。例、前半は言語の分析、後半は情報の分析。
D 場面ごとに問題の解決と未解決を確認する。
E 問題解決の場面では、Lに縦横ABを滑ってCに到達後、解析イメージに戻る。問題未解決の場面では、すぐに解析イメージに戻る。
F 各分野の専門家が思い描くリスク回避を参考にしながら、作家の意思決定を想定する。
G 問題解決の場面を中心にして、テキストの共生について考察する。
@、A、Bは受容の読みのプロセス、Cは認知科学の前半と後半、D、Eは異質のCとのイメージ合わせになり、Fで作家の脳の活動を探り、Gでシナジーのメタファーに到達する。DBの作成については、これらが全て収まるようにカラムを工夫すること。
@一文一文解析しながら、選択した作家の知的財産を追っていく。例えば、受容の段階で文体などの平易な読みを想定し、共生の段階で知的財産に纏わる異質のCを探る。この作業はAとBでも行われる。
A 場面のイメージが浮かぶような対照表を作る。
B テキストの解析を何れかの組にする。例えば、トーマス・マンは「イロニーとファジィ」、魯迅は「馬虎と記憶」という組にする。組が見つからなければ、@からBのプロセスを繰り返す。
C 認知プロセスの前半と後半を確認する。
D 場面の情報の流れを考える。問題解決と問題未解決で場面を分ける。
E 問題解決の場面は、異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。問題未解決の場面は、すぐに解析イメージにリターンする。こう考えると、システムがスムーズになる。
F 各分野のエキスパートが思い描くリスク回避と意志決定がテーマである。緊急着陸、救急医療、株式市場、環境問題などから生成イメージにつながるようにリスク回避のポイントを作る。そこから、作家の意思決定を考える。
G これにより作家の脳の活動の一例といえるシナジーのメタファーが作られる。「魯迅とカオス」というシナジーのメタファーは、テキスト共生に基づいた組のアンサンブルであり、文学をマクロに考えるための方法である。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
@ 知的財産が自分と近い作家を選択する。
A 場面のイメージの対照表を作成する。場面が浮かぶように話をまとめる。
B 解析イメージから何れかの組を作る。言語解析は構文と意味が対象になる。
C 認知科学のモデルは、Lのプロセス全体に適用される。例、前半は言語の分析、後半は情報の分析。
D 場面ごとに問題の解決と未解決を確認する。
E 問題解決の場面では、Lに縦横ABを滑ってCに到達後、解析イメージに戻る。問題未解決の場面では、すぐに解析イメージに戻る。
F 各分野の専門家が思い描くリスク回避を参考にしながら、作家の意思決定を想定する。
G 問題解決の場面を中心にして、テキストの共生について考察する。
@、A、Bは受容の読みのプロセス、Cは認知科学の前半と後半、D、Eは異質のCとのイメージ合わせになり、Fで作家の脳の活動を探り、Gでシナジーのメタファーに到達する。DBの作成については、これらが全て収まるようにカラムを工夫すること。
@一文一文解析しながら、選択した作家の知的財産を追っていく。例えば、受容の段階で文体などの平易な読みを想定し、共生の段階で知的財産に纏わる異質のCを探る。この作業はAとBでも行われる。
A 場面のイメージが浮かぶような対照表を作る。
B テキストの解析を何れかの組にする。例えば、トーマス・マンは「イロニーとファジィ」、魯迅は「馬虎と記憶」という組にする。組が見つからなければ、@からBのプロセスを繰り返す。
C 認知プロセスの前半と後半を確認する。
D 場面の情報の流れを考える。問題解決と問題未解決で場面を分ける。
E 問題解決の場面は、異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。問題未解決の場面は、すぐに解析イメージにリターンする。こう考えると、システムがスムーズになる。
F 各分野のエキスパートが思い描くリスク回避と意志決定がテーマである。緊急着陸、救急医療、株式市場、環境問題などから生成イメージにつながるようにリスク回避のポイントを作る。そこから、作家の意思決定を考える。
G これにより作家の脳の活動の一例といえるシナジーのメタファーが作られる。「魯迅とカオス」というシナジーのメタファーは、テキスト共生に基づいた組のアンサンブルであり、文学をマクロに考えるための方法である。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
シナジーのトレーニング2
C 分析の組
さらに、テーマを分析するための組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。
分析の組 ボトムアップとトップダウン 専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
分析の組 理論と実践 すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
分析の組 一般と特殊 小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
分析の組 言語情報と非言語情報 前者は言語により伝達される情報、後者は感情や思考や判断といった非言語情報である。
分析の組 強と弱 組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。
このようにして組のアンサンブルを調節しながら、トーマス・マンの「魔の山」や魯迅の「狂人日記」及び「阿Q正伝」についてLのストーリーを作成した。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
さらに、テーマを分析するための組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。
分析の組 ボトムアップとトップダウン 専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
分析の組 理論と実践 すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
分析の組 一般と特殊 小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
分析の組 言語情報と非言語情報 前者は言語により伝達される情報、後者は感情や思考や判断といった非言語情報である。
分析の組 強と弱 組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。
このようにして組のアンサンブルを調節しながら、トーマス・マンの「魔の山」や魯迅の「狂人日記」及び「阿Q正伝」についてLのストーリーを作成した。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
シナジーのトレーニング1
人文科学の人でもできるトレーニングとして組のアンサンブルを考える。シナジーという研究の対象は、元々が組からなっているためである。例えば、手のひらを閉じたり開いたりするのも、肘を伸ばしたり畳んだりするのも運動でいうシナジーである。Lのモデルができるだけ多くの組を処理できるように、シナジーの研究のトレーニングとして三つのステップを考える。
A シナジーの組
例えば、社会とシステム、法律と技術(特許)、経営工学、金融工学、ソフトウェアとハードウェア、心理と医学、法律と医学、文化と栄養そして文学と計算などがこのグループに入る。これらの中から何れかの組を選択して、テーマを作っていく。もちろんこれらの組について複数対応できることが望ましい。
B テーマの組
選んだ組からLに通じるテーマを作るには、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照の言語文学と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目も必要になる。ここでミクロとは主の専門の研究を指し、マクロとはどの系列に属していても該当するように、地球規模とフォーマットのシフトを評価の項目とする。シナジーの研究は、バランスを維持することが大切である。
「トーマス・マンとファジィ」は、ドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は、中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。計算と文学のモデルは、こうした調整が土台になっている。
テーマの組 文系と理系 小説を読みながら、文理のモデルを調節する。
テーマの組 人文科学と社会科学 文献とデータの処理を調節する。
テーマの組 語学文学(対照と比較)対照言語と比較言語の枠組みで小説を分析する。
テーマの組 東洋と西洋 東洋と西洋の発想の違いを考える。例えば、東洋哲学と西洋哲学、国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
テーマの組 基礎と応用 まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家のLのモデルと比較する。
テーマの組 伝統の技と先端の技 人文科学の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。
テーマの組 ミクロとマクロ ミクロは主の専門の調節、マクロは複数の副専攻を交えた調整。縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
A シナジーの組
例えば、社会とシステム、法律と技術(特許)、経営工学、金融工学、ソフトウェアとハードウェア、心理と医学、法律と医学、文化と栄養そして文学と計算などがこのグループに入る。これらの中から何れかの組を選択して、テーマを作っていく。もちろんこれらの組について複数対応できることが望ましい。
B テーマの組
選んだ組からLに通じるテーマを作るには、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照の言語文学と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目も必要になる。ここでミクロとは主の専門の研究を指し、マクロとはどの系列に属していても該当するように、地球規模とフォーマットのシフトを評価の項目とする。シナジーの研究は、バランスを維持することが大切である。
「トーマス・マンとファジィ」は、ドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は、中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。計算と文学のモデルは、こうした調整が土台になっている。
テーマの組 文系と理系 小説を読みながら、文理のモデルを調節する。
テーマの組 人文科学と社会科学 文献とデータの処理を調節する。
テーマの組 語学文学(対照と比較)対照言語と比較言語の枠組みで小説を分析する。
テーマの組 東洋と西洋 東洋と西洋の発想の違いを考える。例えば、東洋哲学と西洋哲学、国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
テーマの組 基礎と応用 まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家のLのモデルと比較する。
テーマの組 伝統の技と先端の技 人文科学の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。
テーマの組 ミクロとマクロ ミクロは主の専門の調節、マクロは複数の副専攻を交えた調整。縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。
花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
2021年01月14日
人文科学から始める技術文の翻訳19
6 まとめ
翻訳の作業単位は、言語の組み合わせと分野の調節からなっている。文系の人もことばのみならず、理系の技術文の実績を作ることにより、主の専門以外に副専攻としてシナジーの研究にも取り組むことができる。
この調節がスムーズにできるようになると、文献処理の技が文学作品の分析にも適用できると思われる。私が取り組むシナジーの文学分析は、縦に受容の読みからなる読者の脳の活動があり、横にシナジーの読みからなる作家の脳の活動がある。日頃から縦の専門と認知科学も交えて比較とシナジーという副専攻を調節するように頭を使うと、マクロの世界が見えてくる。マクロの調節方法が決まれば、自ずと発見発明につながっていく。
翻訳は、書き手にも読み手にも気を使いながら作業を進めていくために、ライティングの際の脳の活動について考察する機会を与えてくれる。その際に考えたことを作家のライティング時の活動を探るための土台にするのはどうだろうか。そのための翻訳作業と思えば、ライフワークと言えるようになる。
【参考文献】
(1)花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎
(2)熊野明(2011)中国語特許翻訳を支援する機械翻訳技術JaploYEAR BOOK 2011 254-257
(3)知財翻訳研究所編(1999)特許翻訳講座 テキスト・資料
(4)富井篤(1996)技術英語構文辞典 三省堂
(5)中野幾雄(1996)動詞で決まる技術英語 工業調査会
(6)日経BP知財http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/arai20050613.html
翻訳の作業単位は、言語の組み合わせと分野の調節からなっている。文系の人もことばのみならず、理系の技術文の実績を作ることにより、主の専門以外に副専攻としてシナジーの研究にも取り組むことができる。
この調節がスムーズにできるようになると、文献処理の技が文学作品の分析にも適用できると思われる。私が取り組むシナジーの文学分析は、縦に受容の読みからなる読者の脳の活動があり、横にシナジーの読みからなる作家の脳の活動がある。日頃から縦の専門と認知科学も交えて比較とシナジーという副専攻を調節するように頭を使うと、マクロの世界が見えてくる。マクロの調節方法が決まれば、自ずと発見発明につながっていく。
翻訳は、書き手にも読み手にも気を使いながら作業を進めていくために、ライティングの際の脳の活動について考察する機会を与えてくれる。その際に考えたことを作家のライティング時の活動を探るための土台にするのはどうだろうか。そのための翻訳作業と思えば、ライフワークと言えるようになる。
【参考文献】
(1)花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎
(2)熊野明(2011)中国語特許翻訳を支援する機械翻訳技術JaploYEAR BOOK 2011 254-257
(3)知財翻訳研究所編(1999)特許翻訳講座 テキスト・資料
(4)富井篤(1996)技術英語構文辞典 三省堂
(5)中野幾雄(1996)動詞で決まる技術英語 工業調査会
(6)日経BP知財http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/arai20050613.html
人文科学から始める技術文の翻訳18
次の例文を見てみよう。
【中文】
(5)放重量查出装置1,作为负荷受转盘18和这个转盘18上的物体19的重量,把这个负荷一边转换为负荷转动力矩一边转自由自在的支持转盘18的支撑手段20,由在对应负荷转动力矩的驱动力矩旋转驱动上述转盘18的电动机3和查出这台电动机3的负荷转动力矩从负荷转动力矩和负荷相互关系间接地测量转盘18上的物体19的重量的负荷测量装置2变成的构成。(熊野明2011)
@用語の説明
重量查出装置:重量検出装置、负荷:荷重、转盘:ターンテーブル、负荷转动力矩:負荷トルク、转换为:〜に変換する、电动机:モーター、负荷测量装置:荷重測定装置。
A構文の説明
作为〜受〜「〜として〜を受ける」という動詞文で始まり、一边〜一边〜「〜しながら〜する」という並列文の中に、把〜转换为〜「〜を〜に変換する」と转自由自在的支持〜「回転自由に〜を支える」という2つの動詞文が入っている。続いてそれが修飾する支撑手段20「支持手段20」と、由在对应〜「〜に対応する〜によって」を受けて、旋转驱动〜「〜を回転駆動する」が修飾する上述转盘18的电动机3「上述のターンテーブル18のモーター3」と、查出这台电动机3的负荷转动力矩「このモーター3の負荷トルクを検出して」从负荷转动力矩和负荷相互关系间接地「負荷トルクと荷重との相互関係から」测量转盘18上的物体19的重量「ターンテーブル18上の物体19の重量を測定する」が修飾する负荷测量装置2「荷重測定装置2」とを構成要素とする、という文章である。
3つの構成要素が解析できればよいだろう。
B英語に準ずる考察
「1.1 因果関係」で説明した英日の技術文に関する「2段階の処理法」を中日にも試してみよう。英日と同じことが言えるかもしれないし、また中日に限った説明ができるかもしれない。
同様にして、「1.2 態の扱い」「1.3否定構文」で説明した英日の分析法が中日にも適応可能かどうか考えてみる。
表16
2段階の処理法 ここは直訳調で訳出した。
態の用法 能動態のため日本語も能動態で訳出した。
否定構文 なし
時制 現在形
全体の訳は次のようになる。
【和訳】
(6)重量検出装置1は、ターンテーブル18とこのターンテーブル18上の物体19の重量を荷重として受け、この荷重を負荷トルクに変換しながら、自在の回転でターンテーブル18を支える支持手段20と、負荷トルクに対応した駆動トルクにより回転駆動する上述のターンテーブル18のモーター3と、このモーター3の負荷トルクを検出して負荷トルクと荷重との相互関係から間接的にターンテーブル18上の物体19の重量を測定する荷重測定装置2とからなる構成になっている。
花村嘉英(2015)「人文科学から始める技術文の翻訳」より
【中文】
(5)放重量查出装置1,作为负荷受转盘18和这个转盘18上的物体19的重量,把这个负荷一边转换为负荷转动力矩一边转自由自在的支持转盘18的支撑手段20,由在对应负荷转动力矩的驱动力矩旋转驱动上述转盘18的电动机3和查出这台电动机3的负荷转动力矩从负荷转动力矩和负荷相互关系间接地测量转盘18上的物体19的重量的负荷测量装置2变成的构成。(熊野明2011)
@用語の説明
重量查出装置:重量検出装置、负荷:荷重、转盘:ターンテーブル、负荷转动力矩:負荷トルク、转换为:〜に変換する、电动机:モーター、负荷测量装置:荷重測定装置。
A構文の説明
作为〜受〜「〜として〜を受ける」という動詞文で始まり、一边〜一边〜「〜しながら〜する」という並列文の中に、把〜转换为〜「〜を〜に変換する」と转自由自在的支持〜「回転自由に〜を支える」という2つの動詞文が入っている。続いてそれが修飾する支撑手段20「支持手段20」と、由在对应〜「〜に対応する〜によって」を受けて、旋转驱动〜「〜を回転駆動する」が修飾する上述转盘18的电动机3「上述のターンテーブル18のモーター3」と、查出这台电动机3的负荷转动力矩「このモーター3の負荷トルクを検出して」从负荷转动力矩和负荷相互关系间接地「負荷トルクと荷重との相互関係から」测量转盘18上的物体19的重量「ターンテーブル18上の物体19の重量を測定する」が修飾する负荷测量装置2「荷重測定装置2」とを構成要素とする、という文章である。
3つの構成要素が解析できればよいだろう。
B英語に準ずる考察
「1.1 因果関係」で説明した英日の技術文に関する「2段階の処理法」を中日にも試してみよう。英日と同じことが言えるかもしれないし、また中日に限った説明ができるかもしれない。
同様にして、「1.2 態の扱い」「1.3否定構文」で説明した英日の分析法が中日にも適応可能かどうか考えてみる。
表16
2段階の処理法 ここは直訳調で訳出した。
態の用法 能動態のため日本語も能動態で訳出した。
否定構文 なし
時制 現在形
全体の訳は次のようになる。
【和訳】
(6)重量検出装置1は、ターンテーブル18とこのターンテーブル18上の物体19の重量を荷重として受け、この荷重を負荷トルクに変換しながら、自在の回転でターンテーブル18を支える支持手段20と、負荷トルクに対応した駆動トルクにより回転駆動する上述のターンテーブル18のモーター3と、このモーター3の負荷トルクを検出して負荷トルクと荷重との相互関係から間接的にターンテーブル18上の物体19の重量を測定する荷重測定装置2とからなる構成になっている。
花村嘉英(2015)「人文科学から始める技術文の翻訳」より