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2021年01月14日

人文科学から始める技術文の翻訳19

6 まとめ

 翻訳の作業単位は、言語の組み合わせと分野の調節からなっている。文系の人もことばのみならず、理系の技術文の実績を作ることにより、主の専門以外に副専攻としてシナジーの研究にも取り組むことができる。
 この調節がスムーズにできるようになると、文献処理の技が文学作品の分析にも適用できると思われる。私が取り組むシナジーの文学分析は、縦に受容の読みからなる読者の脳の活動があり、横にシナジーの読みからなる作家の脳の活動がある。日頃から縦の専門と認知科学も交えて比較とシナジーという副専攻を調節するように頭を使うと、マクロの世界が見えてくる。マクロの調節方法が決まれば、自ずと発見発明につながっていく。
 翻訳は、書き手にも読み手にも気を使いながら作業を進めていくために、ライティングの際の脳の活動について考察する機会を与えてくれる。その際に考えたことを作家のライティング時の活動を探るための土台にするのはどうだろうか。そのための翻訳作業と思えば、ライフワークと言えるようになる。

【参考文献】

(1)花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎
(2)熊野明(2011)中国語特許翻訳を支援する機械翻訳技術JaploYEAR BOOK 2011 254-257
(3)知財翻訳研究所編(1999)特許翻訳講座 テキスト・資料
(4)富井篤(1996)技術英語構文辞典 三省堂
(5)中野幾雄(1996)動詞で決まる技術英語 工業調査会
(6)日経BP知財http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/arai20050613.html
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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