アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2023年11月09日

高行健の『朋友』で執筆脳を考える3

 作家がもし思想の自由を要すると思うならば、それはすでに逃亡になる。黙っていれば自殺と同じで、当否は、自殺を封じる。さらに自分個人の声を発する作家は、逃亡するしかない。毛沢東の時代には、逃亡を続けることもできなかった。個人で独立志向を保持したければ、自言自語は可能でも秘密裏に行う。自言自語は、文学の起点であり、感受を起して思考を言語の中に注入し、書面を通して文字に訴えると、文学が成立する。 
高行健の執筆の履歴は、文学が根本的に自身に対する価値の確認になり、書く際にすでに肯定がある。文学は、まず作者自身が満足を要求し、社会の効果の有り無しは、作品完成後のことであり、作者側が決めることではない。
 言語は、人類の文明による結実であり、精微であり、難を持って理解し、利用できる機会を使い、感知を貫通し、感知の主体に対し世界の認識を同封しリンクを張る。書き留めた文字を通過するとまた奇妙になり、孤立した個人に任せ、異なる民族や異なる時代の人でも橋渡しをする。文学の執筆や閲覧の現実性が他と同様に恒久の精神価値を有し、こうしたリンクがともに起こる。

花村嘉英(2021)「高行健の『朋友』で執筆脳を考える」より

高行健の『朋友』で執筆脳を考える2

2 文学の理由−20世紀の中国文学

2.1 文学と作家

 高行健は、文学の理由として一人の作家の声について説明する。作家も人民の代弁者とか正義の化身として説けば、微弱ではない。個人の声は、真実に至る。彼の言い分は、文学も個人の声であり、国家の頌歌や民族の手本となり、伝搬手段を用いて勢いが増し、天地を覆いつくすも、すぐに本性を喪失し権力や利益の代用品に変わる。 
 この一世紀、文学は、不幸に見舞われた。政治の権力が深まり、作家は甚だしく迫害を受けた。文学は、自身の存在理由を擁護し政治の道具にならないようにする。そして、個人の感受を出て、文学が政治を離脱するとか政治に口出しし、関連する所謂傾向性や作家の政治傾向など、これに類する論戦も20世紀ならではの文学の病気といえる。こうした相関が起す伝統の革新や保守革命は、文学の問題を進歩に変え、反動の争いを起し、皆の意識形態を怪しくする。意識形態が権力と結合し、現実の勢力に変わり、文学は、個人が共に災いを被るようにする。  
 20世紀の中国文学の災難は、文学の革命が個人を死地に置いたことであり、革命の名義を持って中国の伝統文化の盗伐が公然と禁書や焼書をもたらした。作家は、殺害を被り監禁され、放流そして罰せられ、苦役をもってこの百年に関し計算するものがなくなり、中国の歴史上、一時代では比較の仕様もなく無比の苦難に満ち、自由な創作がさらに難しくなった。

花村嘉英(2021)「高行健の『朋友』で執筆脳を考える」より

高行健の『朋友』で執筆脳を考える1

1 先行研究

 シナジーのメタファーという作家の執筆脳を研究するためにマクロの分析方法を研究している。作家について研究するという意味では、高行健(1940−)の文学の理由も参考にしてみたい。作家が発する声とはそもそもどういうものなのか。作家にとって文学とはどんな意味があるのか。
 最初にこれらのことを考えてから、次に「朋友」執筆時の高行健の脳の活動について考える。この分析は、購読脳の組み合わせと二個二個になるように執筆脳を調節し、それらをマージしながら最後に高行健と○○というシナジーのメタファーを考える。これは何も「朋友」だけではなく、短編集に含まれる同列の小説についてもいえることである。   
 中国文学の研究は、私にとり文献学上の比較の作業である。対照言語がドイツ語と日本語のため、北米や欧州のことばは勿論のこと、東アジアの国地域とも比較ができるように一応調節している。これまで魯迅の「狂人日記」や「阿Q正伝」そして莫言の「蛙」をシナジー共生で分析しており、その流れで今回は高行健の「朋友」を考察したい。高行健は、1962年に北京外国語大学フランス語科を卒業し、文革で下放している。下放とは、思想改造のため、地方の農村や工場へ行くことである。現在は、フランスのパリに在住である。

花村嘉英(2021)「高行健の『朋友』で執筆脳を考える」より

2023年09月15日

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える9

4 まとめ    
 
 王安憶の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「小鮑包」のLのストーリーをデータベース化し、最後に文献で止めたところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。  
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人6対4、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。


参考文献

片野善夫 ほすぴ189号 ヘルスケア出版 2022
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019  
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学へのアプローチを考える 中国日語教学研究会上海分会論文集 2021
谌容 谌容集 海峡文艺出版社 1986 
谌容 北京の女医−人、中年に至れば(田村年紀訳)第三文明社 1984
Wikipedia 谌容 
看護師の用語辞典

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える8

表3 情報の認知  

A 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
B 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
C 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
D 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
E 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 1

A:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。    
B:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。  
C:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。  
D:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。  
E:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。        
 
結果      
 仁義の村鲍庄を舞台にした小英雄捞查を愛し村で一番高い碑文つきの墓を建てる物語。主役は、金持ちを敬わず権勢を恐れることなく仁義を大切にしてきた村人たちである。その一例として、記者の取材からも分かるように、人助けで死んでしまった捞查について皆が語り継げるような工夫があるため、購読脳の「仁義と多数の主役たち」から執筆脳の「観察者と原点」という組を引き出すことができる。 

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より 

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える7

【連想分析2】 
 
情報の認知1(感覚情報)   
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の条件である。 
  
情報の認知2(記憶と学習)   
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。 
 
情報の認知3(計画、問題解決、推論)   
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える6

分析例 
 
1 捞查を探しあて引き上げるとすでに息を引き取っていた。     
2 この小論では、「小鮑包」の購読脳を「仁義と多数の主役たち」と考えているため、意味3の思考の流れ、仁義に注目する。    
3 意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚 、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3仁義@ありAなし、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし、人工知能 @観察者A原点。 

テキスト共生の公式       
  
ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「仁義と多数の主役たち」を作る。 
ステップ2:水に飛び込んで捞查を引き上げた。しかし、すでに息を引き取っていた。村に変えると村人も母親も泣けば気が休まるとし、執筆脳の「観察者と原点」と組になるため、解析の組と相互に作用する。 
 
A:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@観察者とA原点という組と合わせる。   
B:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@観察者とA原点という組と合わせる。  
C:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@観察者とA原点という組と合わせる。  
D:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@観察者とA原点という組と合わせる。  
E:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@観察者とA原点という組と合わせる。    
 
結果  表2については、テキスト共生の公式が適用される。 

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える5

【連想分析1】  

表2 受容と共生のイメージ合わせ 

捞查を探しあて引き上げる場面

A 前边白茫茫的地方,有一丛乱草,草上趴着个人影。几条筏子一齐划过去。划到眼前,才看清,那是庄东最高的大柳树梢梢,上面趴着的是鲍五爷手指着树下喃喃地说;捞查,捞查!树下是水,水边是鲍山,鲍山阴沉着。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

B 男人们脱去衣服,一个接一个跳下了水。一个猛子扎下去,再上来,空着手,吸一口气,再下去,,,足足有一时辰。最后,拾来一个猛子下去了好久,上来,来下及说话,大口喘着气,又下去,又是好久,上来了,手里抱着个东西,游到近处才看见,是捞查。筏子上的人七手八脚把拾来拽了上来,把捞查放平,捞查早已没气了,眼睛闭着,嘴角却翘着,象是还在笑,再回头一着,鲍五爷趴再筏子上早咽气了。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

C 筏子上比来时多了一老一小,都是不会说活的。筏子慢慢地划出庄子,十来个水淋淋的男人抬着筏子刚一露头,人们就呼啦地围上了。意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

D 一老一小静静地躺在筏子上,脸上的表情都十分安详,睡着了似的。那老的眉眼舒展开了,打社会子死,庄上人没再见过他这么舒眉展眼的模样。那小的办是非常恬静,比活着时脸上还多了点红晕。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

E 鲍彦山家里的瞪着眼,一字不出。大家围着她,劝她哭,哭出来就好了。意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える4

【データベースの作成】  
 
表1 「小鮑包」のデータベースのカラム

文法1  態  能動、受動、使役
文法2  時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形
文法3  様相 可能、推量、義務、必然
意味1   五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚
意味2   喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。 
意味3   思考の流れ  実現ありなし 。
意味4  振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。 
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「仁義と多数の主役たち」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。 
情報の認知1  感覚情報の捉え方  感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。
情報の認知2  記憶と学習  外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。その際、未知の情報については、学習につながるためカテゴリー化する。記憶の型として、短期、作業記憶、長期を考える。 
情報の認知3  計画、問題解決、推論  受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。 
人工知能 観察者と原点 エキスパートシステム 観察者とは、ものごとの事態を注意して詳しく見る(見極め)こと、原点とは、基準になる点のこと。 

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より

王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成方法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。 

花村嘉英(2022)「王安憶の「小鮑包」で執筆脳を考える」より
ファン
検索
<< 2024年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
花村嘉英さんの画像
花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。