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雄輝

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2022年04月21日
[突撃検証6] -41
我々は今まで数々の心霊スポットに突撃検証を試み、そして数々の事件を体験してきた


が、それでもここまでの恐怖を感じたのは初めてであった


後悔…


その言葉が三人の頭上に浮かんでいた






蛇ヶ谷公園


死体が発見されたと噂の遊歩道


あの様な輩が頻繁に来るのであればその噂も有り得ないことではないのかもしれない


雄輝
『あああ〜!』


まだつかないのかと口を開こうとした時ザキが割ってはいる


ザキ
『ねぇ…ボクシングでどうにかならんの?』


「そんな問題じゃあないだろ」と言いかけた言葉を飲み込んで言葉を選ぶ


雄輝
『さすがに凶器なんかもってる奴に対しては無理無茶無駄です』


ザキ
『マジで…?』


雄輝
『マジです
 刃物は厳しい
 うおぉ〜バキッとやっても
 さくっ
 いたっ
 ふらふら
 さくっ
 ぐはぁ
 です』


ザキ
『はぁ〜自衛隊のくずもち君いたらやっつけてくれそうだけどな』


雄輝
『あいつがいても似たようなもんです』


ザキがなんだよ、という顔で睨みをきかせる


雄輝
『ちょい前に北朝鮮がミサイル打ってきた事件ありましたよね?
 日本海に着弾したやつ。そん時あいつに聞いたんです。
 「北朝鮮攻めてきたら戦わなきゃダメなのか?」って
 そしたら奴こういいましたよ』


くずもち
「俺は銃とか持ってソッコー逃げるだろうな」


ザキ
『ちょっと…何それ…ダメじゃん!』


雄輝
『日本人、日本の軍隊なんて個々はそんなもんじゃないでしょうか。
 別に不思議じゃあないと思いますがね。
 俺だって多分そうしますし、守るべき家族があるたらなおさら皆保守的になるでしょう。
 それに平和しか見てきてない今の日本人がまともに戦争なんてできないと思います。』


疲れきっているのかザキは耳で聞いていても頭には入っていない様子だ



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2022年04月21日
[突撃検証6] -40
雄輝
『大体、警察呼んだら聞かれますよ?「君たちは何をしていたんだい」ってね
 どう答えるんですかい?』


ザキ
『あ…。いや…肝試し?違う違う!散歩…?』


雄輝は「ほらね」という顔でザキを横目で見る


諦めまじりに笑うザキ


雄輝
『今はとにかく進むしかない』


先程まで冗談混じりだった雄輝が、一変して真剣な声の響きになったのでザキは前方に目を移す


「無事、帰る」今はそれだけでいい

今私達にはそれが全てだ


家族、友人、恋人にまた逢いたい


決意を固める一同だった



2022年04月21日
[突撃検証6] -39
遠くで奴の笑い声が聞こえた気がして辺りを見回すが、今度は空耳のようだ


雄輝
『重傷だな…』


『ギィャアアアアアぁあ――――――――――――――』


今度は空耳ではない


何度聞いても聞き慣れない声だ


奴から離れているはずなのに先程より声が近い


どちらかといえば後方からでなく前方2時の方向から聞こえる


まさか…前方から回り込んで来ているのか?


ザキ
『さっきより声が近いよ…死にたくないよ…』


つんく
『確かに声が近くなったね』


雄輝
『おかしい…なんでだ…』


ザキ
『け、警察呼んだ方がよくない!?』


彼女は覚悟を決めた様に二人に提案する


ザキ
『今の内に近くの交番探さない?』



警察…SOS時でも出来るなら関わりたくはないが…


雄輝
『いざという時は110番で大丈夫でしょう』


ザキ
『あれ実際来るの遅いて!』


まるで頻繁に呼んでいるかの如く二人に言い放つ


つんく
『俺、携帯の電池無いから。』


雄輝
『俺は電池ありますが…警察は最悪の場合で。』


最悪の場合になって警察を呼んでも手遅れなのだろうが、二人はあっさりとザキを突き放した


ザキ
『もう!この人達…』

2022年04月21日
[突撃検証6] -38


『あー――――――ッははっはっはっはっは!


今度は異常な大爆笑


奴の声は私の心臓を撫でるように通り過ぎる


ザキ
『やっぱり、やっぱりあいつ一人…?』


雄輝
『一人で笑ったり叫んだりしてるんすか?』


ザキ
『全部同じ声だし、話声が全く無いもの』


つんく
『確かに…』


雄輝
『だが、車の運転は問題ないのか?』


つんく
『…そういえばそうだねぇ』


ザキ
『もう知らん( ゚Д゚)!』


     “薬物”


リアルにこの単語が頭に浮かぶ


薬物中毒者なら奴のこれらの異常な行動も合点がいく


しかしテレビの中だけの話だと思っていたが、実際に目の当たりにするとは夢にも思わなかった


薬物は、医療目的であれば医師の処方の元に鎮痛剤や向精神薬に使用される


が一方で、幻覚や多幸感をもたらし、依存性や毒性が強いものは法律で規制されている


注射で血液に直接摂取するものが多いらしいが、錠剤を飲用するだけの簡単な薬物もあるらしい


私の知り合いでホストをしている友人がいるが、そういえばこういう話をした覚えがある


友人
『麻薬は簡単に手に入るよ』


雄輝
『マジ?物騒やなぁ…お前使ったことあんの?』


友人
『普通にあるよ。物によるだろうけど依存とかなかったし』


雄輝
『マジ?注射とかすんの!?』


友人
『いやいや俺がしたことあんのは飲むだけーMDMAってやつ』


雄輝
『俺はしねぇなぁーハマるなよお前』


友人
『あんなん、もらわんとせんし』


雄輝
『いやいや…お前もらってもすんなや(^-^;)』


※麻薬の依存性は個人差があるので『一回だけ』などと、興味本位で使うのは絶対に辞めましょう

2022年04月21日
[突撃検証6] -37
雄輝
『今進んでる道が最初に先客達と遭遇した道と繋がっているはず。いや、多分としか言えないかも』


ザキ
『ちょ!!』


私はやっぱりという顔でザキをみた


ザキ
『もし奴と遭遇したら、つんくさん陸上経験者だし、雄輝はボクシングしてたから体力あるけど私は無理よ…』


陸上の中でもハードルに長けていたつんくは「そうかもな」という仕草で頷く


雄輝
『そんな…(多分)ザキさんを置いてなんて行きませんよ。
 それにあんなおかしな奴が足早いと思えないです』


ザキはため息をつくと諦めた表情で早足になる


時折、奴の笑い声と絶叫が聞こえる


ザキ
『本当に着くのかなあ…』


仮にこの先、国道に着いたとしても歩いて帰ることができる距離ではない


やはり車を見つけなくては…








雄輝
『ア゛ァーー(真似)
 まーーーーーーーだ!着かないのかねぇ!』


 つんく   ザキ
 『だね』 『だね』


二人にステレオで言われ余計今の状況に落胆感が増す


同じ道


同じ空


同じ風景


マラソンは同じ場所を周回で走るより、景色が変わる道を走る方が楽だと言われるが、正にその通りだと思う



177184024.jpg


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