映画とテレビ視聴感想

原題：飛渡捲雲山／MAGNIFICENT BODYGUARDS　制作：1978年
別邦題：神拳 ヤングボディガード/ジャッキー・チェンの燃えよ！飛龍神拳


ジャッキー・チェン映画を時系列に観るその１２


３Ｄ映画「空飛ぶ十字拳」の大ヒットに触発されてロー・ウエイが制作した
と言われる３Ｄ映画。制作中の「カンニングモンキー天中拳」があったが、
こちらの映画のほうが短期間で完成、公開されている。ジャッキー主演映画
で初めての主題曲も制作されかなり力を入れた作品であったが、ヒットさせ
ることは出来なかった。



ストーリー

ディン(ジャッキー・チェン)はチャン(ブルース・リャン)と組んで富豪のラン
から病気の弟を一刻も早く都の医者に見せるため、山賊の根城である近道の捲
雲山を超えるという一行のボディーガードを引き受ける。途中、盗賊の上前を
はねる義賊のション(ジェームズ・ティエン)も合流した。

籠の中から決して出てこず姿を見せない病気の弟の謎、やションの知り合いの
元山賊の情婦だった老婆からもらったメダル。そのメダルを見せると助けてく
れるという六本指の男とは。





当時の３Ｄ映画は左右で違う色（赤と青）のセロファンを貼った眼鏡をかけて
見るもので、ジャッキーブームのころの日本では、既にブームが去ってしまっ
た上映形態だったためか日本では劇場公開されませんでした。（後にレーザー
ディスクは３Ｄ眼鏡付きで発売されました。）現在発売されているＤＶＤや
ＢＤは２Ｄで収録されています。

３Ｄを意識してやたらとカメラに向けて武器や拳が繰り出されます。当時の３Ｄ
映画は東映漫画祭りの「仮面の忍者赤影」「人造人間キカイダー」「イナズマン」
などで見たことがありますが、あんまり飛び出しているようには見えませんでし
た。初めて目の前に飛び出すように見えて驚いたのが「ＪＡＷＳ３」でした。ち
切れた腕が目の前にあるのは怖かったです。


ジャッキー・チェン、ジェームズ・ティエン、ブルース・リャンの三人がチー
ムを組んでの道中は面白かったです。途中から加わったティエンがいつの間にか
リーダーになってしまっていたり、ジャッキーとティエンが決して姿を見せない
病気の弟の籠をのぞきに行ったり。（ブルース・リャンも単独でのぞきにきてま
した。）

「ファイティング・マスター」で主役を演じていたウォン・チェンがこの映画で
は６本指の男を演じています。数年前まではジャッキーの方が脇役だったのが懐
かしいです。

ディアゴスティーニ版DVDで観ましたが、日本語吹き替え版はＴＶ放映時のものが
使われており、放送時カットされた部分は原語で字幕が出ます。劇場公開されてい
ないので日本で独自に付けたの主題歌はありませんが、ジャッキー主演の映画では
初めて主題歌が付きました。ＯＰやＥＤではなく捲雲山に一行が分け入っていくと
きに「捲雲山」(唄：巨人三重唱)という曲が流れます。

ラスボスは鹿村泰祥という日本人が演じています。ディアゴスティーニの解説冊子
では柏原芳恵と付き合っていたことがあるとさらっと暴露されていました。

「ファイナル・ドラゴン」、「成龍拳」に続く古龍の原作・脚本です。他の二作に
劣らず終盤に裏切りやどんでん返しが起こりますがこの作品が一番面白かったです。
捲雲山に向かう途中の廃村で一人盗賊のために食堂を開いている老婆が実は山賊の
棟梁を毒で殺害してその後棟梁に変装して入れ替わっていた。そして、病気の弟と
は一命をとりとめた棟梁で、山賊の根城まで無事にたどりつき、入れ替わった偽物
を倒すことが目的だった。さらにボディーガードに付いた三人は、山賊を一網打尽
にすることが目的だった。本当に目まぐるしいです。

スター・ウォーズのＢＧＭが使われています。今も差替えなしでそのまま発売され
ているのは販売元が許可を取っているのでしょうか。音楽でなくても、日本でも著
作権意識が確立されていなかった昔のテレビドラマのＤＶＤに今では使用権が高そ
うなキャラクターのおもちゃ等が普通に映っていたりします。

このころのジャッキーの映画は、敵を倒すと余韻もなく終劇となってしまうものが
ほとんどです。でもこれはジャッキーとティエンが敵を倒す決め業を放つ途中で終
わってしまいます。重傷を負ったリャンは助かったのか、諸々気になります。

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