2018年02月01日
◆フリー文章ネタ素材39「平安時代で、君とタンデム」
カワサキゼファー400を愛し、
昔は暴走族でやんちゃをしていたが
今では真っ当に更生した、大学生のトオル。
2年生の梅雨終わり、
訳あって、ボロボロのアパートへ引っ越すことになる。
他にも住人がいるようだが気配は薄く、住み心地は悪くない。
愛する単車のためにアパート住人用の無料駐車場も借り、
バイトに、バイクいじりに、
夏休みを謳歌していた。
バイト帰りのある夜、
トオルは駐車場の位置を間違えてしまう。
「やば、ここお隣さんじゃん。停め直さないと…」
と、車体の向きを変えようとすると、
がくんっ
と、落下した衝撃を受け、
気が付くと
見知らぬ場所で、単車ごと佇んでいた。
まわりは真っ暗で、
月明りで状況を把握せざるを得ない。
「一体何?ここ、どこ?
ゼファーちゃんは無事?」
単車の具合を確認するために
ソロソロと発進させると
「うぎゃーーーーーーーーーーーーーー」
男の叫び声が上がる。
運悪く、目の前で倒れていた人の
足を轢いてしまったらしい。
「いたいいいたいいいたいいいい」
「うわわわわ、ごめんなさい」
単車を後ろに引く、トオル。
「ミナモトノトオル様が、狼藉者に襲われたぞ!」
「であえであえー!」
「狼藉者をひっとらえよーーーー」
「ええええ?何?何かの撮影?」
混乱するトオル。
「ちょっとちょっと、なんでバイクがあるの?」
トオルの背後から、女性の声があがる。
「うっわーー、まさか、平成から来ちゃったかー。
やらかしたぁーーーーーーーーーーーーー」
かちっ、
という音がして懐中電灯に灯が付き
背後に立っていた女性が、自分の顔を照らす。
「夜叉が出たーーーーー」
「鬼火じゃぁあああああーーーー」
さっきまで騒いでいた人たちが、走って逃げだす。
…どうやら、その場には
トオルと、背後の女性、動けないミナモトノトオルだけが残されたようだ。
「あなた、202号室に最近入った人?」
「はい。…あれ?あなたは201号の…」
「私の駐車場に間違えて停めたんでしょ。
…って、あれ?ロックが…かかってなかったってこと?
ミョウブ!出てきなさいっ!」
「…コウイ教授ー、ごめんなさいーーーー」
物陰からもう一人、和服の男装をした女性が出てきた。
「えーと、全く、わからないんですが」
トオルがとうとう、音を上げた。
201号室に住むコウイさんとミョウブは、
実は未来から来た歴史学術教授と助手で
詳しくは伏せるが
過去の出来事の、調査と調整を仕事としているらしい。
アパートの201号室用駐車スペースが
タイムマシンの代わりになっていて、
いつもはロックがかかって動作しないようになっているのだが
今回は助手のミョウブのミスで
トオルが単車ごと、平安時代に飛ばされてしまったらしい。
「ここって平安時代なんすか。まじで」
「うん。トオル君は来ちゃダメなところなんだけどね。
しかも、怪我人出しちゃってるし」
「ミナモトノトオルって人、偉い人なんですか?」
「まー偉いと言えば、偉いんだけどぉ」
コウイさんが説明している後ろで
ミョウブが「ごめんなさいごめんなさい」と頭を下げ続けている。
「この人ねぇ」
コウイが指さしながら言う。
「源氏物語のモデルさんだから、かなりヤバいんだよね」
夜叉同士の喧嘩に巻き込まれたと思い込んでいる
ミナモトノトオルは縮こまって、ブルブル震えている。
「とにかく、この人を連れて行って治療しないといけないから
代わりにトオル君が、
しばらくミナモト氏のふりしてないと、大変まずいんだぁ」
「えーーーー
だって、タイムマシンがあったら、治してすぐ
またこの時間に戻ってくればいいじゃないですかーーーー!」
「いや、時間の分岐とか調整っていうのがあってね、
まー、覆水はすぐには盆に返らず、とでも思って、諦めて」
「何言ってるかわかんないし、
歴史もわかんないし、無理っすよー」
「ミョウブ置いていくからさ、
思う存分、散々こき使っていいから」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「俺、ゼファーも一緒じゃないと、嫌ですよ。
ダメなら、今すぐ単車乗って、どこかに逃げますけど?」
「わかったから。
ミョウブ、舶来の馬とか言って、平安人に納得させて」
「ええええええええ」
…かくして、トオルと
相棒カワサキゼファー400による
源氏物語のネタ作りが始まったのである…
だれか、続きをお願いします。
【流用・二次創作大歓迎!使用料無料】
※基本、無料でご提供する予定ですが、商用利用の場合だけご相談くださいな。
独自SSL 詳細はこちら
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7265178
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック