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2018年11月30日

先生


 「先生」と呼ばれて嬉しい人は、割に多いんじゃないかと思います。

例えば学校の先生になるには勉強して教育大学へ進学、卒業し教員免許を取り、狭き門の教員採用試験に合格しなければならない。厳しい道を制覇した人です。

でもどうしてか知りませんが、今回のコールセンターも前のコールセンターも“先生”がいます。
何かというと、まず新しいセンターへ配属されると座学、あるいは端末操作の研修が始まります。
研修が終わると順次、電話を受けていくわけですが研修だけで電話応対ができるようにはなりません。
これは受信のセンターの場合です。

大抵“モニタ”と呼ばれる、インカムを付けてオペレーターの応対を聞くことから始め、
次に、OJT(On the Job Training)といって、横にオペレーターについてもらい、逐一指導してもらいながら実践する段階に進みます。

その横に付くオペレーターが“先生”だというのです。
先輩かも知れませんが、“先生”というのは行き過ぎでしょう。

私も昔、ワープロ、パソコン、情報処理、接客接遇の講師をしていました。
そのとき、どうしても“先生”と呼ばれてしまうことはありました。しかし嬉しいと感じたことはありません。
それでは大役過ぎると感じていました。

だから私は自分のことを“先生”と言ったことは一度もありません。
商業高校で教育アドバイザーをしていたときも自らを「おじさん」と呼んでいました。
だから生徒からも「おじさん」と呼ばれました。

 “先生”とは一般に名誉職に与えられる呼称です。
教諭、医師、弁護士、代議士、司法書士もそうですね。

でもねぇ、大学を卒業して、ある学校の教諭に赴任した若者が“先生”かなぁ?って思います。

また学校教諭によく見る場面で、同僚の教諭同士、必要以上に“先生”を付けて呼び合います。
もちろん皆がそうだとは思いません。
でもそれは自分も“先生”と呼ばれたいからだろうなと思ってしまいます。

また、
先の私が講師をしていた研修施設でも同僚講師が私のことを「〇〇先生」と呼んでいたのは、自分もそう呼ばれたいからなんだろうなぁと思って聞いていました。

 さて、私の悪い癖でまた、静かに暴れています。
私はまさに今、OJTをしているところです。
横には“先生”がいます。

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“先生”は日によって代わります。
ある人は波長が合い、とても楽しくOJTが進んで行きます。
でもある人は、何か壁のような違和感が立ちはだかり、空気も悪くなります。

教えてくれる声が小さく聞こえなかったり、また私よりずっと若いのにタメ口になったり。
説明も早口で理解が追い付かないこともあるし、まだ慣れていない、お客様企業の用語を多用するなど。

 今日、私が端末の操作を誤ったことで笑われました。
私は「笑わないで!」と言いました。
私は真剣なので。

ですがそこから空気は濁ります。

またわからないことの説明を受けるとき、
「〇〇と〇〇と〇〇を説明して!」
と私は指導して欲しいのです。

なのに、
「〇〇は〇〇で〇〇のようになります。その際に○○は○○の可能性がありますので、〇〇して下さい。また〇〇の場合は〇〇して下さい。そう言って下さい。」
的な説明。

説明が長いから覚えきれないし、言葉遣いまで強要されているように感じます。
私には私なりの言葉遣い、長く培ってきたワーディングがあります。
何より、説明が長いので電話の保留時間も長くなります。

お客様は明らかに急いでいるのです。
私は言いました。
「言葉遣いまで言われても覚えきれないよ。」
と。

ただし、あくまでお願い口調です。
「お願いですけど、」
と。

しかし、それでも空気は最悪になっていきます。

私も前にはコールセンターで指導していた立場です。
先の
「〇〇は〇〇で〇〇のようになります。その際に○○は、、」
と普段自分がお客様相手に話す通り説明した方が、指導する側は楽なのです。
でも聞く側は迷惑。

その後、“先生”は無口になり、わからないことを聞くにも、いや〜な空気。
私は
「怒っちゃった?」
と聞きました。

それがトドメだったのでしょう。
“先生”は
「(私より)年上なのはわかるけど、指導されている立場なんだから・・」
と言いました。

 これでハッキリしました。

その“先生”は「教えてあげている」と自覚しているのでしょう。
私が講師をしているとき、「教えてあげている」と思ったこと、一度もありません。
「指導させていただいている」そう思っていました。

「年上」ということについては、私にも経験があります。
当時の私より5〜10歳年上の同性は必ず、好奇な目で私を見たものです。
その態度は挑戦的、或いは挑発的だったに他なりません。

「(若い)お前が俺に何を教えてくれるんだ?」
そう聞こえてくるようでした。

でも、その時、私に何か特別な感情が湧きました。

「年下である私が、こともあろうか指導する立場になってしまったのも何かの縁。
 精一杯、指導させていただくから、どうか私の話を聞いて下さいね。」

そう思うと、その年上のおじさんたちがまるで我が子のように大切に感じました。
その感情、抱いたとき、私はこの講師という仕事をずっと続けられたらなぁ、、
かなわぬ願いを抱いたのでした。


“先生”たちの波長が合う合わない・・それは
指導させてもらっていると思うか、にわか先生が天狗になっているか、

その違いではないかなぁと感じた一日でした。













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