2018年10月17日
「あずましい」
「あずましい」
北海道弁です。
東北でも使われているようですね。
私が北海道へ来ていちばん理解に苦しんだのが、「あずましい」だったと思います。
今はネットがあるので、調べると、
居心地がいい とか 落ち着く
と書いてあります。
「あずましくない」はその逆で、居心地が悪い、落ち着かないとなるのでしょうが、やはり少し違う気がします。
ネットがあるから便利なのですが、それだけではないと思います。
同時に情報の共有が容易になったこと。また交通機関などの発達により日本人同士の交流が深まり、方言などが取り上げられるようになったこともあると思います。
私が理解に苦しんだというのは、北海道の人に北海道弁を聞くのはある意味、無理があります。
今と違って昔は、その地方地方でまとまっていた。というか、今ほど開かれていなかったでしょう。
ですから、昔から「あずましい」という言葉を使いこなしている人に
「どういう意味?」
と聞いても、
「あずましいは、あずましいだろ。」
と思われたでしょう。
ただ、
あずましい = 居心地がいい、落ち着く
というわけでもないと思います。
思うに、「ホッとする」感覚も含まれていると思います。
たとえば居酒屋に行って席に案内され座ったとき、小上がりになっていて足の落とせる掘りごたつ式で、狭くなく騒がしくもなく、寒くも暑くもなければ、
あずましい
のです。
これが、近くに人がいて上着やバッグの置き場にも困るようでは
あずましくない
のです。
このように、居心地がよく、ホッとして落ち着くことができる。
これを
「あ〜、居心地がよくて、ホッとするし落ち着くね。」
というのを
「あずましいね。」
のひと言で済むのが便利なのです。
また、反対に
「ここ、居心地が悪くて落ち着かないね。」
というと、そんな場所は早く立ち去りなさいと思ってしまいます。
「あずましくない。」
は、それほど切羽詰まっていません。
「居心地がそれほど良いわけでもないし、何となく落ち着かない気もするね。」
このように少し和らげた様子が「あずましくない。」だと思います。
方言て多くは和らげた表現になっていると思います。
「しばれる」
という方言もあります。
2018/02/24「北海道のことば@」に書いてあります。
ひと言で言うと「寒い」ですが、この言葉もひと言では訳せない意味を持ちます。
寒い北の地方ならではの「冷え」をひと言に表した言葉ですが、さらに付け加えるなら、
「冬だから仕方がない。」
という寛容さも含まれていると思います。
また、
「ゆるくない」
という言葉もあります。
これは「大変だ」「しんどい」「辛い」「苦しい」という意味でしょう。
「緩い」のではないから、もちろん良いことではないのですがもし、
「苦しい」とか「辛い」と聞いたら「大丈夫?」と返します。
でも、これもそこまで切羽詰まっていません。
同じ環境にいる者同士が共感するのにちょうど良い言葉です。
このように方言て、どこか優しい気がします。
タグ:あずましい
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