スマホのショートメールにM子からメッセージがありました。
「(メールの)アドレスかわったの?」
彼女とはいつも、こんなやり取りをしている気がします。
いつもといっても、そんなにしょっちゅうではなく数年おきに。
私はスマホのメールを使いません。
なぜなら、スマホのメールアドレスはキャリアを乗り換えたら変わってしまいます。また、迷惑メールの温床にもなっているし、メールアドレスの変更は登録先も変更するのに莫大な労力が必要だからです。
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私がM子と初めて出会ったのは1984年の3月でした。
当時私は、事務機器の営業をしていましたが、会社には店舗もあったので、営業から戻った夕方以降は店に立つようになっていたんです。店番ってやつです。
3月のある日、夕方7時頃だったと思います。一人の女子高校生が買い物に来ました。
女子高校生は店内で購入するものを探し、決まると会計で私に手渡しました。
私は商品を袋に入れて女子高校生に渡します。
そのとき、その場の時間が止まった気がしました。
「この人とは、今後なにかある。」
その後も女子高校生は何度か買い物に来るようになり、軽くお話しするようになったんだと思います。
彼女は実家が少し離れたところにあったため、アパートに住んでいました。
アパートといっても壁がとても薄い、下宿のような住まいでした。
昨日はショートメッセージのあと、M子と電話でそのことを話したんです。
やがて、私は彼女の住むアパートを訪ねるようになったのですが、電話でM子が言います。
「初めて訪れる数日前に、〇〇(私)が(同じアパートに住む)高橋さんの部屋に行っていた。」
私、ぜんぜん憶えていないんです。
でも電話で話しながら、記憶をほじくり返していくと、だんだんそうだった気がしてくるんですね。
自発的に思い出すことができない記憶でも、聞かされるとか、目にすることで蘇る記憶ってあると思います。
M子は何度かこのブログに登場しています。
M子が高校を卒業し、温泉町に就職するため、駅まで見送りに行ったときのことなど。
別れてからも不思議とM子は節目節目に私に連絡をしてきました。10年振りとか。
お付き合いしていた当時は思いもよりませんでした。まさかこんなに長く交流を持つようになるとは。
M子の生い立ちは、少し複雑な家庭環境でした。
一度、聞いたことがあります。
まだ物心が付くかつかないかの幼い頃、暗い部屋で一人、小玉電球を見ながら泣いていたことを。
M子が連絡を取っているのは私だけでなく、今まで交流のあった多くの人たちでしょう。
人は周りの人たちとコミュニケーションを取りますね。人付き合いをします。
しかし、例えば職場が変わるとか、引っ越しをするとか、その人が目の前からいなくなると、付き合いもそれで終わりということが多いと思います。
でもM子は違うんですね。
人懐っこいとも思うし、ある意味、寂しがり屋じゃないかと思うんです。
それは私の中で、幼い頃の小玉電球の記憶とリンクするんです。
M子の住むアパートに何度か通うようになってから、ある晩、私が帰ろうと玄関で靴を履いていたとき、M子が言いました。
「付き合うか?」
そのときの言葉がそのまま頭に残っています。
「つきあうか?」
というより、
「ちゅきあうか?」
そう聞こえました。
M子、ちょっと舌が短いのかも知れない。
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