2017年10月25日
闇の中の炎と光
目に見えないものに
そちらじゃないよと声をかけられた
足元に目を向けると
確かにそこには乾いた地面があった
いつから見失ってしまっていたのだろう
暗闇の中でずっと燃える炎を頼りに
ここまできたというのに
あの炎は、全てを焼き尽くし
新芽がたくさん生えていたはずの草原は
知らない間に私の瞳から消えてしまっていたのだ
あの光の向こうを目指してここまで来たのに
目の前はすっかり違う景色が広がっていた
あの頃、
ずっと何かにおびえて、暗闇の中に身を隠していた
私の姿はだんだん見えなくなり
私自身が暗闇になろうとしていた
その方が安全な気がしていた
そこから出るっと、ここよりももっと寂しい世界があるような気がして
恐くて、寂しくて、だからずっと隠れていた
けれど
あの日、
私は暗闇に身を隠し、その隙間から外を覗いていた
すると、その隙間から一筋の光が差し込み
私の姿を映し出したのである
私は確かにそこに存在したのだ
外の世界は、灰色でも暗闇でもなく
光が満ちているのかもしれない
それからはもうとにかく走って走って
横も後ろも見ないでとにかく前だけ見て走った
私の足はぼろぼろになっていたけれど
そんなことなんて気にもとめずに走った
どれくらい来ただろう
ずっと後ろを見ないようにしてきた
恐くて、寂しくて、後ろはみれなかった
けれど、
走っている間にずいぶん景色が変わっている事にも
気が付かなかったのだ
ただひたすら光の見える方向を目指していた
そして気が付くと明るかったはずの光が
炎に変わっていたのである
私は、先ばかり急いで
横も後ろも、肝心な「今」という足元さえ見えていなっかたのである
そちらじゃないよ。という声に、はっとした
暗闇の中で燃える炎が
明るかったはずの世界を燃やしてしまった
私は涙の水でその炎を消した
たちまち世界はまた暗闇に満ちてしまったが
私はあの一筋の光を知っている
あそこから始まったのだ
だから、もう炎で不安を焼き尽くす必要はない
何故なら私自身が光になれば良いのである
私から光を放出して、暗闇からかいほうする
私はもう暗闇に怯えることも
暗闇にかくれることもしなくいいのだ。
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