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2013年12月17日

旧空港ターミナルをみて感じたこと

会社からの帰り道、車の中から、今は使われなくなった深セン空港旧ターミナルを眺めていると、
以前はあんなに活気のあったガラス張りの大きな建物とその付近が、
今では電灯も消え、訪れる旅行客もなく、ひっそりと静まり返っているのをみつけました。

僕が初めて深セン空港を利用したのは確か96年か97年の冬のこと。
一人で雲南省昆明まで旅する際に、ここから飛行機に乗ったのでした。
当時はターミナルもまだ一棟しかなく、周辺にも大した建築物もなく、
荒れ地の中に忽然と飛行場が現れた感がありました。

あれからもう17年近い年月が経っています。
空港近辺にも高層ビルができ、大きな物流センターや保税倉庫が建ち、
地下鉄が開通し、毎日大渋滞が起きるまでになりました。
そんな中、ついこの間まで稼働していたターミナルが閉鎖になったのです。

常に新しいものを追い続け、発展してきた深センでさえ、
今では役目を終えて、
古い過去として徐々に忘れ去られていく建築物が出始めたことに一抹の寂しさを感じました。

と同時に、最近僕の中で、
深センに対する見方が徐々に変化してきていることにも気づいています。

留学生時代、広東省省都の広州に住んでいた僕には、
移住当初、この街があまり好きにはなれませんでした。

自分で住むことを決めていながら、こんな言い方をするのも何ですが、
深センとは、歴史のない、文化的に砂漠の街。
新しいものしかなく、
その新しいものでさえ他人のまねごとばかりで、中身の伴わない薄っぺらの街。

概ねこんな感想を抱いていたものです。

でも、そんな深センにも、「過去」ができつつある。

もちろん、広州や北京などに比べれば、老人と赤子ほどの違いはあるにせよ、
深センも少しずつ街としての齢を重ねはじめています。

「過去」とは、そこに住んでいる人々の思い出に他なりません。
この僕自身が、この街でいろいろな思い出をつくってきました。

深セン空港旧ターミナルも、単に開発当初の建造物が古くて手狭になったから、
場所を変えて新しいものを建てただけかもしれない。

でも、そんな古くなった旧ターミナルでさえ、

僕が一人旅をした時の思い出、
家内のご両親に、結婚の許しを請いに行った時の思い出、
生後間もない娘を連れて、北京で春節を迎えに行った時の思い出などなど、

たくさんの思い出が刻まれています。

僕らの思い出に刻んだものが、「過去」として忘れ去られていく。
寂しさを感じる一方で、
徐々にですが、この街に対する愛着が生まれ始めています。

「住めば都。」

本当に、
昔の人はうまいことを言ったものです。

真っ暗になった旧ターミナルをみながら感じました。








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月雲の父
神奈川県葉山町生まれ。 子供の頃からレゴに親しむ。 特技:合気道,中国語。 趣味:レゴで遊ぶこと,コーヒーを飲むこと。 1999年より中国広東省深セン市に居住。 現地採用社員として日系企業に勤務。 娘:月と息子:雲の父。
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