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2021年09月27日
カーネギー人を動かす
成功の秘訣は誰の悪口も言わず、すべての人の長所についてだけ指摘することだという。しかし、困ったことに、多くの人は他人の悪口を言いたがる。愚か者ほどそうだ。実際、愚か者ほど他人をけなし、文句を言うのが大好きである。
二十世紀最高の心理学者の一人、フロイトによると、人間の行動にはふたつの動機があるという。性欲の充足と、偉大な人物になりたいという欲求である。アメリカの思想家ジョン・デューイは少し違う表現を使った。「人間の最も強い衝動は、重要人物になりたいという欲求だ」というのである。誰もが重要人物として扱われたいという欲求を持っている。だから、相手のそういう欲求を満たすことが、人を動かす秘訣なのだ。
褒め言葉とお世辞の違いは何か? それは単純明快である。一方は誠実で、他方は不誠実だ。一方は心がこもっているが、他方は口先だけだ。一方は利他的で、他方は利己的だ。一方は誰からも喜ばれ、他方は誰からもいやがられる。
自分の功績や願望について考えるのはやめて、相手の長所を見つける努力をしよう。そして、軽薄なお世辞を言うのではなく、心のこもった褒め言葉を相手にかけよう。そうすれば、相手はあなたの優しい言葉を生涯にわたって大切にするだろう。あなたがそれを忘れても、相手はたえずそれを思い出し、あなたに好意を抱き続けるに違いない。
友人をつくりたいなら、見返りを求めずに時間と労力を費やして相手を喜ばせるために何かをしよう。イギリスのウィンザー公は皇太子だったころ、南米遠征の前に数か月かけてスペイン語を勉強した。そして、実際にスペイン語でスピーチをしたところ、現地の人たちの熱烈な歓迎を受けた。 人々は自分のために相手が時間と労力を費やして何かをしてくれると、その気づかいに感動するものだ。「この人はそこまでしてくれたのか」という気持ちになるからである。相手が何に喜ぶかを考えて、それを誠実な気持ちで実行に移そう。
ハーバード大学の心理学者ウィリアム・ジェームズ教授は、こう言っている。 「行為は感情に先立っているように見えるが、実際は行為と感情は同時に起こる。だから行為をコントロールすることによって、感情を間接的にコントロールすることができる。したがって、快活になりたいなら、快活に振る舞えばいいのだ」 あなたが快活に振る舞えば、周囲の人も快活に振る舞いたくなるものである。
相手に関心を持ってほしいなら、相手に関心を持つ必要がある。相手が答えたくなる質問をし、相手に自分自身の功績を話してもらおう。 相手はあなたのことより自分のことに関心を持っている。 考えてみよう。相手の歯の痛みは、その人にとっては外国で大勢の人が餓死するよりも関心のある問題だ。相手の首の腫れ物は、その人にとっては外国で大地震が発生するよりも関心のある問題だ。 だからもし人々に好かれたいなら、相手の話にじっくり耳を傾ける必要があるのだ。
ドイツの格言に「人間は他人の不幸に純粋な喜びを感じる」というのがある。平たく言うと、「他人の不幸は蜜の味」ということだ。 たしかに、一部の人は他人の幸福より不幸に満足を感じるのかもしれない。
聖職者ヘンリー・クレイによると、礼儀とは、壊れた門扉を見ずに、その門扉の向こう側に咲いている花に注目する心づかいのことだという。 こういう礼儀は結婚生活の潤滑油として役立つ。
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自分を休ませる練習
神道に「中今」という言葉があります。 今を生き切ることこそ大切という意味を持つ言葉ですが、マインドフルネスは中今そのものであり、私たちは古来、マインドフルネスを知っているのです。
残心、という言葉をご存じでしょうか? 弓道、剣道、柔道などの武道、さらに伝統芸能の世界でもよく使われる言葉です。 意味としては「それを終えた後、力をゆるめる、あるいはくつろぎながらも、まだしっかりと注意を払っている状態」です。 気持ちが途切れていない状態、とも言えるでしょうか。 日常生活でも、残心を生かしてみたらいかがでしょう。 ドアや襖は、静かに、最後まで閉める。湯飲み、コップ、食器は、静かに置く。静かに歩く。無用な音を立てない。
信頼はしても、期待はしない。 そして、求めない。 どんなことだろうと、結果を求めない。 求めると、相手や状況への「依存」が必ず生まれます。 この依存が、ちょっと厄介です。 自分の人生を狂わせ、相手の人生を侵食します。 「何かをしてくれたらありがとう、してくれなくてもそれが当然」 「約束を守ってくれたら感謝、守ってくれなかったら忘れよう」
やわらかな心を取り戻すための、最も簡単な方法があります。 それは、「褒める」ということ。 褒めは最強です。 まず、自分を褒める。 今を生きている自分、嫌なことも、つらいことも、すべてを受け止める自分。 笑ったり、泣いたり、怒ったり、寂しがったり、喜んだり。 小さなことから大きなことまで感情を向ける自分。 そんな自分を「よくやっている」と褒めてください。労ってください。 次に、親しい人、近しい人を褒める。 いつもありがとうという感謝の気持ちを込め、ちょっとしたことで構わないので、その人を褒めてください。 一緒のときがいいでしょう。相手がその場にいないのなら、心で念じること。 込めた思いは通じます。
私たちが口に出していることは、その前に顔に出ているし、さらにその前に心で思っていること。だから自分の顔を毎朝、しっかりと見ることが大事なのです。
人間の五感には「抽出力」があります。 抽出力とは、五感を通じて入ってくるたくさんの情報の中から、ある音、ある映像、ある匂い、ある温度、そんな特定のものだけを、自分が選び取る能力です。 この能力を、誰もが無意識のうちに生活の中で使っています。
では抽出力を磨くことのメリットは何かと言えば、自分が「不快だ」と感じるものを、自然と自分に取り込まなくなる点です。 抽出力が高まる状態とは、自分が気になるもの、好きなものへの興味の感度が、無意識のうちに高まっている状態です。するとどうでもいいもの、嫌なものは、どんどん削ぎ落とされます。
気になる場所があるのなら、行きたいなと思ったときに、なるべく時間を置かずにパッと行動してみましょう。
人生の主役は自分です。 私の人生の主役は私であり、あなたの人生の主役はあなたです。それ以外のすべての人は、家族だろうと親友だろうと脇役です。 そういう意識で暮らすこと。 この意識が薄れて、家族や友人など周囲の言動に依存するようになると、途端にストレスが増します。からだが不調になります。 本来の自分が消えてしまうからです。
【感想】
東大病院救急医療の現場で15年、人間の生と死に向き合ってきた医師が、ストレスを抱えながら生きる現代人のために書いた1冊。医者の立場から、少しでもストレスを少なく生きるための心の持ち方のコツなどを伝授してくれている。残心、という武道の世界で使われている考え方はこの本を読んでからすぐに自分の考えの中に組み込んだ。
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