2021年07月12日
本当の自分に出会えば、病気は消えていく
「生物学や医学の分野においては無視されているものの、 心が体を支配するという事実 は、 われわれ が 日々 の生活中で体得しているもっとも基本的な事柄である」
社会的自分によって、自分の中の奥深くに封じ込められた本当の自分が、「 このまま生きる目的に向かって生きることが許されないなら、 元気でいても意味がない」 と、 さまざまな病気をつくり出していくのです。 これは、 見方を変えれば、 本当の自分からのメッセージ ともいえます。
「病気は、嫌われながらも、けなげに本当の自分をあなたに気付かせようとしてくれる使者です。それを敵だとみなして、治療で殺すんですか?」
病気がなかなか治らないのは。病気を敵とみなしているケース以外に、病気によってせっかく手に入れたものを失いたくないというケースもあります。例えば、病気になったことで「親やパートナー、子どもが優しく接してくれるようになった」、病気であることで、「親の介護や会社のやりたくない仕事から解放された」というような状況です。
私たちの体には、病気になりやすい状態と病気になりにくい状態があります。 これは、非常にシンプルで、「危機回避モード」がずっとつづくと病気になりやすく、一方、「成長モード」を適度に維持できていれば、病気になりにくいのです。
危機回避モードというのは、自分が「危険!」と感じる状況に遭遇したときに生じる、動物に本来備わっている反応です。 その際、私たちは通常、自分の身を守るために「逃げる」か「闘う」かのいずれかの反応を示します。体のほうも当然、そのための態勢に入ります。 具体的には、いつでも動き出せるよう筋肉に血液が集まり、その分、内臓に血液が回っていかなくなり、その機能は低下します。たとえていうなら、内臓に対して「飲まず食わずで働け!」と言っているようなものです。これでは、内臓もグレる¥態になってしまい、働きが鈍くなるのです。 また、筋肉に十分な血液を送る必要があるため、心臓の動きが活発になり、脈拍も速くなります。血液を勢いよく流す必要から、血管も収縮し、血圧も上がります。 そのほか脳や神経も、いつでも状況に対処できるように興奮状態を維持します。
一方の成長モードとは、緊張が緩んだ状態です。危険に備える必要がないため、筋肉だけでなく内臓にも血液が十分に集まり、その機能が高まります。 全身がゆったりした状態になるため、心臓の活動も落ち着き、血管も拡張。血圧もほどよい状態になります。全身で血液の流れがよくなるので、栄養や酸素が十分に行き渡っていきます。 これは体にとって非常によい状態です。成長モードを適度にキープできていると、病気になりにくくなります。
この危機回避モードと成長モードのいずれに入りやすいかは、その人の「自分の内部で使う言葉」と「そこから発生する脳の動かし方のクセ」が大きく影響します。 つまり、同じ出来事に遭遇しても、その人がどういう「脳の動かし方のクセ」を持っているかで、危機回避モードに入るか、成長モードに入るかが分かれるのです。
では、その脳の動かし方のクセとはどのようなものか。 それは、「苦痛系思考」と「報酬系思考」の2つです。 苦痛系思考とは、さまざまな決断や判断などを、「不安、恐れ、嫌悪、怒りといったネガティブな感情を生じさせる事態に遭遇するのを避けるため」という基準で脳を動かすパターンです。 たとえば、「怒られたくないから、約束の時間を守る」「嫌われたくないから、相手が喜んでくれることをする」「見捨てられたくないから、イベントにはできるだけ参加する」「貧乏になりたくないから、仕事を真面目に行う」……などなど。「〜しなければいけない」「〜すべき」という言葉を使っているとき、苦痛系思考になっているといえます。 また、お金のことを考えるときも、脳の苦痛系は動きます。そのため、普段から金銭的な不安や問題を抱えていると、脳の苦痛系が動きつづけてしまいます。
一方の報酬系思考とは、「〜を得たい」という思いが第一にあり、それに突き動かされて、さまざまな決断や判断をするという脳の動かし方をするパターンです。 たとえば、「自分の仕事を通して、世の中に貢献したい」「自分の感性を生かした芸術作品を発表して、世の中を刺激したい」「同じ悩みを持っている人たちに、自分の経験を生かして気づきを与えたい」といった思いで行動しているときは、報酬系思考に突き動かされている状態です。 いってみれば、本来の生きる目的に向かって生きている状態です。 このとき脳の中では、報酬系といって、自分にとってうれしいことや楽しいこと、面白いことなどに関わることを情報処理する脳の部位が動いています。 そして、報酬系が動くときに分泌されるのが、ドーパミンやセロトニン、オキシトシンなどの脳内物質です。 ドーパミンは、やる気ホルモンとか快楽ホルモンなどとも呼ばれ、物事を意欲的に取り組むことを促してくれます。 セロトニンは心を元気にする作用があるため、幸せホルモンとも呼ばれており、うつ病の人では、このセロトニンの分泌量が少なくなっていることがわかっています。 オキシトシンは、近年、非常に注目が集まっている脳内物質で、愛情ホルモンとも呼ばれています。人への信頼を高める作用があり、人間関係を円滑にします。
病気をやめる、あるいは病気にならない体になるには、結局のところ、許していない自分を受け入れ、そして自分を許していくことなのです。 それにはまず、自分がどんな自分を許していないのかに気づく必要があります。 その糸口になるのが、今のあなたを縛る思い込みやセルフイメージです。それらを持つに至った背景や経緯を深く掘り下げていくことで、そうした思い込みやセルフイメージを手放していくことができます。
たとえば、「人の役に立ちたい」「困っている人たちを助けたい」「世界に貢献したい」などです。 実はこうしたポジティブなセルフイメージの裏に、「自分はダメな人間だ」「自分は誰からも愛されていない」「自分は世の中から必要とされていない」といったネガティブなセルフイメージが隠されていることが少なくありません。 そして、そんなネガティブな自分では、この社会で生き残っていくことはできないという不安や恐怖があります。 だからこそ、人の役に立ち、困っている人たちを助け、世界に貢献することで、なんとか自分を受け入れてもらおうとしているのです。 まさに、自分に対するセルフイメージが低すぎるがゆえに、生き残り戦略として、こうした仮装のポジティブな志や目標、使命を持つに至ったわけです。
では、どうやったら、この一見ポジティブな「〜したい」に潜むネガティブなセルフイメージに気づくことができるのでしょうか。 それには、自分が「〜したい」と思ったとき、「それは、自分にとって心底楽しいことであり、生きる目的につながっていることなのか? それとも、マイナスな状況を避けたいがためなのか?」という問いを必ず入れることです。 こうした問いの結果、何かを避けるための「〜したい」だと気づいたら、それはしないほうがいいでしょう。 さらに、その奥にあるネガティブなセルフイメージも探っていきます。 「なぜ、人の役に立ちたいのだろう?」 「人に喜んでもらいたいからだ」 「なぜ、人に喜んでもらいたいのだろう?」 「自分が認められた気がして、うれしいからだ」 「なぜ、人に認められたいのだろう?」 「それは、自分で自分のことを認めていないから?つまり、『今の自分ではダメだ』『今のままでは不十分だ』と私は思っていたのでは……」 こんな具合に、自分にどんどん質問しつづけることで、ある瞬間に、その奥にあるネガティブなセルフイメージに気がつきます。 それに気づいてしまえば、こちらのものです。 あとは、その「セルフイメージ」が、自分が勝手につくり上げた幻影だと気がつけばいいのです。
「自分を磨く」というポジティブな行動の動機を深く掘り下げると、その裏にネガティブなセルフイメージが隠れていることが少なくありません。 なかでも多いのが、「私は誰からも愛されていない」というセルフイメージです。 「愛されないのは、自分に何かが欠けているからだ」と、その欠落を埋めるように、キャリアアップや美容に執着したりしがちです。 また「誰からも愛されていない自分は、独りで生きていかなければならない」と思い込み、「武器」を手に入れるべく、資格取得に励んだり、美容にお金をつぎ込んだり……と過剰なまでに自分磨きをする人もいます。いずれにしても、「このままでは生き残れないかもしれない」という思いが強く、そんな動機に動かされた「自分磨き」なわけです。 そのため、そこには「楽しさ」を感じる余地がありません。「〜しなければいけない」という義務感に突き動かされているケースが大半です。 これでは、「苦痛系思考」がフル稼働で、体は常に危機回避モード。病気にならないほうがおかしいといえるでしょう。自分を「休ませてあげる」余裕が、ほとんどないのですから。
「私は誰からも愛されていない」というセルフイメージの多くは、0〜1歳のころの親との関係が大きく関わっています。 「小さいころに、親からたっぷり愛情をもらった感覚があまりない」という記憶に端を発していることが多いのです。
興味深いことに、人生は、その人の、まさに人生の前提通りに進んでいくのです。 「人生は、面白いことであふれている」という人生の前提を持っていれば、人生において次々と面白いことが起こります。 一方、「人生は、苦しみに満ちている」という人生の前提を持っていれば、人生において次々と苦しいことが起こってきます。
シンプルに説明するなら、その人にとって人生の前提以外のことは存在しないので、それ以外の発想が出てこないのです。 そのため、人生の前提以外のことは起こり得ないのです。 たとえば、「お金は努力して稼ぐもの」が人生の前提であれば、「ラクしてお金が稼げる」ことはあり得ず、「ラクしてお金を稼ごう」という発想も出てきません。 そのため、「努力してお金を稼ぐ」が基本の行動パターンとなり、たまたまラクしてお金が得られるような機会に遭遇すると、「私は、悪いことをしているのではないか……」と恥や罪悪感を持ってしまいます。
物事を判断したり、決断したりする際の思考パターンを、外的基準と内的基準に分けることがあります。 外的基準とは、自分以外のまわりからの意見や情報、データなどから、物事がうまくいっているのか否か、そして、物事をやるかやらないかを決めていくこと。 内的基準とは、自分の中に明確な判断基準があり、まわりに左右されず、自分で物事がうまくいっているか否か、物事をやるか否かを決めていくこと。
病気にならないためには内的基準で生きていくのが重要だ、と私は考えています。 つまり、自分の中に明確な基準を持ち、それに基づいて何事も判断していく。外部の意見は情報として聞くけれど、それで自分の判断が左右されることはない。 「私は私。あなたはあなた」と線引きすることを恐れない。そんな生き方です。
私がこれまで数多くのセッションをしてきて感じるのは、外的基準の脳の動かし方が強くなるとき、 人は病気 になりやすくなる、ということです。 外的基準が行き すぎれば、 まわりの情報に合わせ、自分自身をないがしろ にしかねません。外的基準でひたすら生きてしまうと、親に従い、学校の先生に従い、上司に従い、友達に従い、パートナーに従い、子どもに従い…… と、 自分を持たない生き方になってしまいます。これでは、 本来の生きる目的どころではありません。 その結果、体はどんどん むしばまれていってしまうのです。 それだけではありません。 外的基準の生き方では、 うまくいっているか、 そうでない かを、 外部からの反応 や、 他者との比較の中で判断していくことになります。そうなると 称賛 さ れ て いる とき や 勝っ て いる とき は 心 穏やか で い られ ます が、 批判 さ れ たり、 負け て しまっ た とき には 大きな ストレス に さらさ れ ます。 しかも、 外部 の 評価 にも 他者 との 勝ち負け にも、 絶対 は あり ませ ん。 常に 変化 し ます。 その ため、「 批判 さ れ たら どう しよ う」「 負け たら どう しよ う」 といった 不安 や 恐怖 が 常に つきまとい ます。
過去から現在まで、病気も含めて、あなたに起こったことや出会った人たちが、あなたの人生にとって「何を学ぶために、何に気づくために必要だったのか、どんな意味があるのか」を考えることです。 人生には必要なことしか起こりません。必要な人としか出会いません。 病気や事故、挫折、イヤな人など、自分にとってマイナスにしか思えないことでも、自分にとって必ずなんらかの意味があるのです。もちろん、プラスのことも同様です。 「何かに気づく必要があって、そのためにこの体験があったのだ」とその意味を探り、気づき、そこから何かを学んでいくことが重要なのです。
こんな具合に言い訳をつくり、本来の生きる目的の実現を避けようとしがちです。 これは人間として、当たり前の反応です。 なぜなら人間は、さらにいえば生命は、基本的に変化を望まないからです。 これは、「ホメオスタシス」(生体恒常性)と呼ばれる機能によるものです。 人間を含めた生命体に基本的に備わっている性質で、さまざまな環境の変化を受けながらも、常に同じ状態を維持しようとする働きのことです。
そもそも人は、自分自身だけでなく、自分のまわりの人が変化することにも恐怖を感じます。なぜなら、自分のまわりで誰かが変化しはじめると、その余波を自分も受けてしまうからです。
着ぐるみテクニックのすごいところは、憧れの人の着ぐるみを着ることで、自分が目指したり、憧れたりしている考え方や価値観が、スーッと自分の中に入ってくることです。 その結果、自分の中の言葉が変わってきます。 発する言葉も、さらには、内なる心の言葉も変わっていくのです。
「がんばる」も「目指す」も「努力する」も、ゴールに向かっている途中の状態を示しています。 つまりこれらの言葉は、プロセスに焦点が合っているのです。 そこで、脳は「がんばる」「目指す」「努力する」が自らに課せられた仕事と認識し、ひたすらその作業に取り組みつづけます。 そのため、いつまでたってもゴールにたどり着けなくなってしまうのです。
過去と今との線引きを明確にし、過去の記憶について「それはもうすんだこと」にする方法として、もう一つ、過去の記憶を「書き換える」があります。 この方法のポイントは、「今の自分だったら、そのとき、どう対応するか」を鮮明にイメージして、過去の記憶を書き換えていくことです。また、その記憶が実際に起きていたことだとしても、事実という理由だけでそれをずっと大事に持ち続ける必要はないと私は考えます。 役に立たない記憶ならば、書き換えてしまってもいいのではないでしょうか。
それぞれの出来事の自分にとっての意味をどんどんつなげていくと、次第に今回の人生で自分に与えられたテーマのようなものが見えてきます。 これはいってみれば、あなたの生きる目的です。 そして、自分が体験することのすべてが、この生きる目的とつながっていると気づけるようになると、報酬系中心の脳の動かし方になっていきます。
【感想】
久しぶりにここまで内容の濃い本を読んだ。病気のほとんどはストレスから来る、というのは過去の読書などから知っていたが、なぜ心の病気から身体が蝕まれていくのかというメカニズムもこの本で改めて知ることが出来、「本当の自分」を抑圧しているというシンプルな理由で人は様々な病気になっていくんだと、衝撃を受けた。病気になりにくい体にするにはまず、病気になりにくい思考回路を作るのが重要なのだと強く認識できたし、本当に出会えてよかった1冊だった。
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