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2017年07月05日

繰り返されるチルドレン誕生

東京都議会議員選挙(定数127)が2日投開票され、各政党が国政選挙並みの総力戦を繰り広げる中、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が圧勝しました。
都民ファーストの会は、公認候補50人中49人が当選し、推薦した無所属候補6人を追加公認して55議席を確保し、改選前の6議席から議席を大幅にアップさせ、自民党から都議会第一党の座を奪取しました。
一方、自民党の獲得議席は23議席と、改選前の57議席から激減し、民主党(当時)が圧勝した2009年の前々回の都議選で最低の38議席を大幅に下回る過去最低の大惨敗となりました。

小池知事は選挙後に出演した報道番組で、「都民の皆さんの理解、支持が確実なものになりつつある。感動すると同時に責任の重さを痛感する」と話し、東京オリンピック・パラリンピックの準備を加速するほか、待機児童対策や首都直下地震への対応にさらに取り組む考えを示しました。

他方、議席を大幅に減らし大敗した自民党は、川井都議会議長に加え、都議会の高木幹事長や崎山政務調査会長らも落選しました。
首相の側近でもある自民党都連の下村博文会長は、全議席が確定するのを見届けたうえで、会長職の辞意を表明しました。

今回の都民ファーストの会が躍進した理由は、議席を争っていた自民党に不祥事が相次いだ点が挙げられます。
自民党にとっては最悪のタイミングで投票日を迎えることとなりました。
そしてそれとは別に、小池百合子都知事の圧倒的な存在感がありました。

肝心の小池都知事の政策ですが、豊洲市場移転問題では都議会自民党と対立していましたが、他の政策についてはほぼ一致しています。
そして小池都知事は、東京五輪を控えて、国政では安倍政権と協力関係を維持していました。
そもそも小池都知事は自民党員でしたし、実質的に党内部の路線対立という意味合いもあって、今回は都民ファーストの会に投票した自民党支持者は少なくなかったようです。
小池都知事としては、旧態依然とした都議会を一新し、自らの思惑通り行動する配下で議会を固めて実行力を高めたい、そんなところでしょうか。

それにしても、今回の選挙では、小池都知事の人気の波に乗り、想定外の当選を果たした若手議員が数多く誕生しました。
かつての小泉チルドレンしかり、小沢チルドレンしかり、選挙の度によく見る光景ではあります。
小池チルドレンはテレビ局の元女子アナからレゲエ歌手、女優の平愛梨の弟、西郷隆盛の直系夫人と、なかなかバラエティに富んでいます。

こうして見ると、選挙に当選するには、抜群の人気を誇る政治家の勢いに乗ってしまうのが、最も簡単ではないかと思えてきます。
候補者の経歴、能力がいかに優秀で、素晴らしい情熱があっても、チルドレンの親であるペアレントの人気、勢いの前には無力なのだろうと思います。
その意味で、千代田区から立候補した、自民党公認の中村彩氏が落選したのは、本人の判断もさることながら、過去の法則に基づいた運命であったとさえ思えてきます。
その華やかな経歴と、都政へ懸ける熱い想いは、一部で高い評価を得ていたのですが。

もっとも、小泉チルドレンも小沢チルドレンも、その後の選挙には滅法弱く、今も生き残っているのはごくわずかです。
親であるペアレントの人気、勢いに陰りが出れば、なす術がありません。
新しく世に出た小池チルドレンが、今後どのように自分の進路を切り拓いていくのか、興味深いところです。
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