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2019年06月30日

消費税増税「必ずしも国民の信を問うことは考えていない」判断基準とされる6月の日銀短観は明日発表

日本銀行が7月1日に発表する6月の全国企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観について、民間14社の予測が出そろい、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)は平均プラス9と、前回3月調査より3ポイント悪化する見通しとなりました。

悪化幅は3月調査(7ポイント悪化)より小さいが、米中通商摩擦を受けた輸出低迷などで、多くが2四半期連続での悪化を見込んでおり、大企業・非製造業のDIの予想は平均でプラス20で、前回より1ポイントの悪化を見込み、DIは景気が「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数です。
先行きについても、さらに悪化が進むとの見方が強く、三菱総合研究所は「消費増税前の駆け込み需要も見込まれ、内需は拡大が予想されるが、米中貿易摩擦の一段の激化や日米物品協定交渉の行方などには警戒が必要で、企業マインドの重しとなる」と分析しています。

10月に実施予定の消費増税はどうなるのでしょうか。
自民党の萩生田光一幹事長代行は4月18日のインターネット番組に出演した際、消費税率引き上げに関し、「景気が回復傾向にあったが、ここに来て日銀短観含めて落ちている。6月はよくみないといけない」と指摘した上で、「本当にこの先、危ないぞというのがみえてきたら、崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかない。そこはまた違う展開があると思う」と語りました。
萩生田氏は党総裁特別補佐、官房副長官などを歴任しており、安倍晋三首相の側近として知られています。

肝心の安倍首相はどう考えているのでしょうか。
過去にあった消費税増税のタイミングでは、衆議院の解散総選挙をして「国民の信を問う」ことで、増税延期を正当化しました。

先月、安倍首相は国会答弁で自身の意見を述べています。
5月24日の衆院厚生労働委員会で、10月に予定されている消費税を延期した場合の対応について「必ずしも国民の信を問うことは考えていない」と述べ、増税延期の判断と衆院解散は直結しないとの認識を示しています。
その理由に関し「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り(税率を引き上げる)と既に申し上げている。新しい判断ではない」と説明しました。
その上で「通商問題の動向、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性には十分留意しながら経済運営に万全を期したい」と強調しました。

大阪でのG20を無事にやり遂げ、ようやく落ち着いた政権与党ですが、今更ながら衆参ダブル選挙は現実的ではありません。
となると明日の日銀短観を見て、消費税増税の延期を決定すると予測するのが自然だと思います。
民間予測では日銀短観の悪化が確定的で、理由付けとしては申し分ありません。
そもそも、増税を掲げて参議院選挙を戦うのは分が悪いのです。
今の野党に力が無いとはいえ、野党が共闘して一人区で競合すれば、勝敗は分からないのです。

消費税を増税すれば、アベノミクスへの打撃となることは間違いありません。
安倍首相は間違いなく、消費増税がデフレ経済からの脱却を阻害し、景気悪化の原因となっていることを理解しています。
しかし、政権与党は増税派が主流となっているとされ、総理大臣といえども、これを無視することは難しいとされています。
そのため、今までは消費増税を延期するのに専権事項である解散権を行使することで、増税派を黙らせることができたとも言えますが、今回はそうもいきません。

安倍首相は果たして、消費税増税を延期することができるでしょうか。

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