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2019年02月21日

財政破綻目前の高岡市が復活する方法

富山県高岡市は21日、一般会計が2017年度当初予算比0.8%減の677億円となる18年度予算案を発表しました。
同市は北陸新幹線開業に合わせて新高岡駅、高岡駅の周辺整備など巨額な事業を行った結果、財政難に陥っており、高橋正樹市長は「持続可能な財政構造確立のため、全体として緊縮予算となった」と説明しました。

歳入では、市債発行額を前年度当初予算比13.9%減の63億2600万円として、11年ぶりに一般会計歳入の10%以下に抑え、歳出では、市長の給与を40%減額するなど人件費を同3.0%減の100億1500万円としました。
事業についてもゼロベースで見直し、新規事業は同市など県西部の6市で作る「とやま呉西圏域連携中枢都市圏」域内での起業・創業支援事業などにとどめました。

同市の財政は、借金返済にあたる公債費が増加するなど約40億円の構造的な歳出超過が見込まれ、投資的事業の見直し、公共施設の再編、人件費の抑制などで18年度から5カ年で歳出超過を解消する「財政健全化緊急プログラム」を作成しており、18年度予算案も歳出削減と効率化を図ったとしています。

自治体にコストの概念が存在しない、典型的な例と言えるでしょう。
いわゆる箱ものを作れば景気が良くなるという方針は、つくづく呑気な地方行政なのだろうと思えてきます。
税金でどうにでもなると錯覚しているその様は、50年以上前の高度経済成長期を思い出させてくれます。
その結果が凄まじい緊縮予算で、今後は市民生活に相当な影響を及ぼすのではないでしょうか。

少子高齢化社会を迎えつつある日本において、地方自治のあるべき姿が求められています。
今までのような箱ものに頼る地方行政では、まず立ち行かなくなっていくでしょう。
これからは民間の活力、民間の考え方を導入していかないと、先細りしていくように思います。

この具体例を、大阪府泉佐野市が示しています。
1994年の関西国際空港開港に伴い、大型店舗やホテルの進出、高速道路の整備促進など大きな期待感がありましたが、その後の景気低迷や地価下落もあり、財政状況が悪化、2004年に財政非常事態宣言を出し、内部管理経費の節減や経費削減、受益者負担の適正化など緊縮施政を行ったものの、2008年度決算では連結実質赤字比率が約24%と早期健全化基準(17.44%)を超過し、財政健全化団体となりました。

進退窮まったかにみえた泉佐野市ですが、市職員の給与や議員報酬のカット、遊休資産の売却、市の命名権の売却など、財政健全化にむけた積極的な取り組みが行われました。
そして税外収入を増やすべく、ふるさと納税に着手しました。
ふるさと納税で泉佐野市は2017年度に約135億円を集め、財政健全化団体の指定を脱するまでに至りました。
一自治体が100億円以上の寄付を集めるのは制度史上初めてで、泉佐野市の一般会計歳入563億円のうち24%と約4分の1を占めています。

総務省は、地元の特産物ではない返礼品を多く用意する泉佐野市の存在を問題視していますが、千代松大耕市長は「供給力の差が自治体の格差につながる」として、国と争う姿勢を崩していません。

泉佐野市のなりふり構わないやり方に、批判が多いのは事実です。
ですが、財政破綻目前の自治体には何の余裕もないはずです。
見通しの甘さが招いた財政破綻を、高岡市は覆すことができるでしょうか。

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