2017年08月14日
「MG ジムスナイパー」レビュー
ガンプラ「GM ジムスナイパー」・・・というかマテリアルのレビュー記事ダヨ。
『パーソナルカラーのプラモ』の名目で、汚し塗装で遊んでみた
それはこの夏のもうひとつの思い出
やれやれ、『バトルオペレーション』が終了してから早二週間が経過してしまったヨ・・・。最近はちょいとやるべき事があるのでそちらに没頭しているのだが、やっぱり『バトルオペレーション』で遊びたいという気持ちは燻っている。遊びたくても遊べないこのもどかしさ、かなわんな。
何だか悔しいので、今後やっていくレビューでは『バトルオペレーション』の思い出を織り交ぜつつ書いて行こうと思う。あぁ、心躍る新作はまだですかいのぅ?
そんな事を踏まえつつ、今回はレビューの第2段である。「バトルオペレーション日記」の最終回に写真に登場した、妙な経緯で完成に至った「MG版 ジムスナイパー」について書いてみることにした。
このキットを組む事になったのは、元を正せば、某ホビー誌で最新のウェザリングマテリアル(砂や泥、煤等様々な「汚れ」を再現する為のマテリアル)の記事を読んだ事が切っ掛けである。
実にお恥ずかしい話ではあるが、このぶつよく、昔からプラモデルは大好きなのだが非常に面倒くさがりなので、下手に改造に手を出してしまうと途中で面倒になって完成させられないケースがほとんどである。さらに塗装に至ったとしても、精々設定カラーで塗装してスミ入れ(パネルライン等の様々なモールドに塗料を流し込むことによって、これらのモールドを強調し、より鮮明に見せる方法)してトップコートを噴いて終わり・・・という程度である。それ故、汚し塗装なんてほとんどやった事が無いのだ。
さらに、ここ近年に至っては既存完成品トイのクオリティの高さが凄まじく、自分で作るよりも遥かに出来の良いものを購入できるようになった事で、プラモデルを作成する事自体少なくなってしまっていた。
しかしその記事を読んでいると、何故かウェザリングに非常に興味が湧いてきた。素直に「そんなに使いやすいのなら、そのマテリアルを使って初めてウェザリングをやってみたら面白いかも知れない」と思ったのである。この身にとっては、そういった魅力のある記事だったのだろう。それらマテリアルを購入すべく、普段よく行くホビーショップへ向かったのは必然であった。
マテリアルは無事購入。となると今度はキットを用意しなくてはならない。しかし、ウェザリングは失敗してしまうと目に見えて真っ黒になるか、必要以上に汚らしくなってしまう(過去にそういう作品もたくさん見てきたなぁ・・・)。今回は初めてウェザリングに挑戦するという事もあって、失敗する事を前提として練習したいと考えた。故に、失敗してもいいような素材を探す事にした。
そこで利用したのが「組み立て済みの中古品」である。
最近のホビーショップには、未組み立てのものだけでなく、既に組み上がっているプラモデルまで取り扱っているところがあるのだ。だるーんとしたやる気の無〜い感じで袋の中に入れられているプラモデルの姿を見た事は無いだろうか?大概はパーツ取りの為のジャンク品扱いなのだが、中には一式揃った完品もあったりする。今回は、そういったものを使おうとしたのだ。・・・真っ当なモデラーの方々からすれば邪道と言われそうだが、資源の再利用とお考えいただきたい(白目)。
そして運良く、そのホビーショップで、武器以外はすべて揃っているように見える「MG版 陸戦型ジム」を発見したのである。単にマテリアルを試すだけならサイズ的に1/144でもよかったのだが、ちょうど“陸戦用機体”と呼べるものがこれしかなかったのと、あわよくば以前プロモデラーの本庄聖さんに作成していただいたイフリート改のヤラレ役にでもなればいいと思ったのである。
帰宅後、袋から取り出して色々と確認してみる。フムス、武器以外はちゃんとあるようだな。見事にパーツが日焼けしているし、一部関節もヘタレているようだ。しかし前者は塗装するので問題無いし、関節も太らせるなり余っているポリキャップに変更すれば何とかなりそうだ。まぁこれなら大丈パキャッ
・・・ぅおっほーぅ!?パーツが経年劣化で脆くなってるゥー!!
MG陸戦型ジムと言えば、MGシリーズとはいえ、最早15年以上前(2001年発売)のキットである。今回購入した物がいつ組み立てられたものかは分からないが、思いっきり日焼けしているくらいだから直射日光の当たるところに展示されていたのだろう・・・劣化するのも止むを得まい。
今回は塗装がメインなので下手に改造等には手を出さず(下手に手を加えるとあっさり壊れそうだし)、取り合えずパーツを分解しつつ表面処理を施す。分解した際に一部のパーツのスナップフィット部分がパキパキとへし折れたが、そこはホラ、接着してしまえばいいので気にしなパキャ・・・オゥフ、パーツが真っ二つにぃぃぃぃ!?
「いけいけぇ!7小隊のホモ野郎に負けるんじゃねぇぞ!」
いざ作ってみたらこうなった。
まずは本体である「MG版 陸戦型ジム」について紹介しよう。上記の通り、「MG版 陸戦型ジム」は15年以上も前のキットである。ちなみに陸戦型ガンダム系はMGシリーズの中で初めて手足に本格的なフレームを採用したキットであり、現在のMGフォーマットの基礎となったキットとも言えるキットになっているぞ。
その可動域は、流石に今の目で見ると少々厳しいところもあるが、それでもなかなか良好である。肘、膝は二重関節を採用しつつ適度な硬さがあり、色々なポーズを決めてもすぐにバランスを崩したりはしない。股関節軸は前後にスイングさせる事ができる為、自然な形で脚をハの字に開く事ができる。そしてそれと同時に、太もも側のボールジョイント+股関節の付け根の位置を前後に移動させられることで、より自然な膝立ちポーズを取る事が可能となっているのだ。先に紹介した「RE/100 イフリート改」とは異なる手法だが、すでにこの時点で「股関節の位置を前方にずらす事で自然な膝立ち状態を再現する」という事を意識しているのが素晴らしい。
もっとも、可動に関して言えば、首周りや腕の付け根、足首の可動範囲はそれほど広くない。その為、理想的なポーズを取らせようと思うとどうしても物足りないところが出てくる。「あと少しなんだけど、痒いところに手が届かない」とでも言おうか。この辺はむしろ最近の技術力の高さが凄まじいだけなのかもしれないけども。
形状に関しては、今見ても大きな問題があるとは思わない。強いて挙げるなら四肢がもう少し太い方が良い気もするが、個人的にこのプロポーションは悪くない。というか結構好きだったりする。やはりこの無骨な感じが陸戦型系の魅力である。
このキット、というか陸戦型ガンダム系キットにおいて致命的に問題なのは「手首」だろう。何が問題って、
まともに武器を保持できないのである。
この陸戦型ガンダム系のキットは、120mmマシンガンと陸戦型用ビームライフルに加え、個々の機体で付属する武装が異なっている。その為、最低でも3種類の武装が用意されているという実にプレイバリューの高い仕様になっているのだ。それに対して、このシリーズでは「可動指」が採用されている。その自由度を活かし、豊富な武器を持てるようにしたかったのだろう。が、如何せん手のひらの形状と各武器のグリップ部分の形状が全然合っていない為、どの武器もまともに持たせる事ができないのだ。実際に今回、以前に購入していた「MG版 ジムSPUWD隊仕様」(これも後日レビューしたいモンだねぇ)に陸戦型系の武器が多数用意されていた為、それらを持たせてみたのだが、悲しいかなどれもまともに構えることができなかったのだ。なんとも勿体無い話である。
その為、手首に関しては『ビルダーズパーツHD 1/100 MSハンド01』に変更している。実はコレもいざ使ってみると非常にクセのある代物なのだが、今回はちょいといじってロケットランチャーを持たせてみた(なんと「MG版 ジムSPUWD隊仕様」は、ありがたい事にロケットランチャーまで付属しているのだ!)。『バトルオペレーション』では汎用機+バズーカ系装備は定番。マシンガンでもいいのだけれど、今回はこちらを持たせるようにしてみたのだ。
そしてペイントだが、これは最初から「3rdアカウントカラーに塗ってみよう!」と考えていた。3rdアカウントカラーは、あれこれと考えた末、結果的に砂漠戦仕様っぽいペイントになっている。その為、イメージ的に近しい色のスプレー缶が売っていたりするので、それらを使用してのお手軽塗装でハイおしまい、てなモンである。一応汚れている=戦ってダメージを受けている ⇒ 黒くなるまで汚れている=長らく酷使されていると設定して、パーツの角になる部分を削ってダメージ表現を施してみた。これもまたそれっぽくなればいいと思う程度の、何とも雑な作業である。
続いてドライブラシで、久しぶりにハゲチョロに挑戦してみる。・・・分かっていた事だが、コレっていざ始めると楽しくなってきて、ついつい過剰に施してしまうなぁ。リアリティから遠のいていくのが分かるが、楽しいから気にするまい。
そして、切っ掛けとなった記事に「この後で行なうウェザリングがスミ入れを兼ねている」と書いていたので、スミ入れは施さず。取り合えず、ここでようやく準備完了、という感じである。
「道あけろぉこのタコ!」
そして、ここでようやく企画の主役たるウェザリングマテリアルの登場である。
これは専用の薄め液で濃度を調整し、キットに大胆に塗っていくタイプのものだ。基本色を塗り終えた後、その上から豪快に塗り付ける事になるのでそこはかとなく勇気がいる。汚し過ぎて単に汚いだけのものにはしたくないが、素人故に加減が分からずそうなりやすいのもまた事実。しかしやってみない事には分からない。意を決して、ドバッと塗りたくってみると・・・
わーお真っ黒ー(汗)。
と、思わず声が出るほど、思っていた以上に黒くなってしまった。とはいえ、もちろんこれで終わりでは無い。綿棒等に薄め液をつけ、上から下へ流れるように洗い落としていくのだと。すると、全体的に薄汚れた感じになってきたではないか。なるほど・・・実行する前に考えていた以上に黒くはなっている(汗)が、これはマテリアルの色(マルチブラック、グランドブラウン、ステインブラウン、グレイッシュブラウンその他)を混ぜたり薄め液で濃度を調整したりすれば解決しそうだな。なるほどなるほど、大成功ではないが、失敗とも言えない。これはこれで悪くない感じだ。
そして、結果的にスミ入れしたみたいに見えるように。
同じように、今度はその上から足首や膝、シールドに土の汚れをイメージした「同サンディウォッシュ」を塗ってみる。・・・ほほー、土汚れっぽいものが加わったことで「陸戦機」っぽさが出てきたように見える。リアルに考えたら「こんなに広範囲が泥だらけになるってどこで運用されてたんだ?」と思わなくもないが、これも気にしない事にした。
少々失敗しても、薄め液を利用すればある程度のやり直しはできるし、案外理想通りになった箇所もチラホラあった。この時点で、このマテリアルは面白いと思っていた。
そして最後に、パウダー状の「ウェザリングマスター」を使用してみた。
まるで化粧品のように見えなくもないが、付属のブラシを使って、足首や膝、シールドの先端、胸部ダクト等、様々な理由で砂にまみれているであろう箇所に擦り付けていく。すると・・・
おおー凄い、本当に砂埃っぽくなってるー!
ちょいとこの写真では分かりにくいかもしれないが、胸部ダクト、足首の周囲は砂埃を被ったかのような状態に見えるようになった。そりゃあ粉末を付着させてるんだから当然、というのは簡単だが、このマテリアル無くしてこの身がこういう状態を再現するのははっきり言って難しい。作業は分かりやすい上に効果は抜群だ。いや全く便利なものだ・・・あの記事は偽りでは無かった・・・。
そして仕上げにトップコート(フラットベース)を吹く。何ともベタな仕上げだが・・・よーし、これで完成だ!・・・いやはははは、このやたら派手目なハゲチョロ具合、ちょいと過剰気味な汚し塗装、フラットベースを吹いたが故にツヤが無くカリッカリに乾いたようなこの感じ!古い!我ながらセンスが古い!!思いっきり一昔前のガンプラ感が出まくっていて気恥ずかしさすら感じられるが、当初想定していた完成予想図よりは遥かにマシなものができた。
こうして、陸戦型ジム(3rdアカウントカラー)が完成したのだ。
目的であるウェザリングを行なった上、ちゃんと完成に至った事で、一定の満足感を得られたのは事実である。正直なところ、これはこれで満足だったので、しばらくはこの状態で飾っていた。
「冷却システム、OK!冷却剤を絶やすなぁ!」
しかし、である。3rdアカウントは基本的に「狙撃機」をメインに使用していたこともあり、このカラーを施した陸戦型ジムで出撃した事は無いのだ。そう思うと、陸戦型ジムで完成・・・というのもちょいと味気ない。という訳で、今度はパーツを請求して「ジムスナイパー」に組み替える事にしたのである。何しろ陸戦型ジムとジムスナイパーの違いは「強制冷却用バックパック」の有無だけ!その為、「強制冷却用バックパック」のパーツを入手するだけでいいのだ!何、ロングレンジビームライフルはどうするのかって?「MG版 ジムSPUWD隊仕様」さん、またお借りしまーす。
ちなみに、今回作成したジムスナイパーにおいて唯一『バトルオペレーション仕様』なのがその「強制冷却用バックパック」である。元々このバックパックはこの「MG版 ジムスナイパー」で初めてデザインされたものだ。ロングレンジビームライフルと外部ジェネレーターが、このバックパックにケーブルで接続するようになっている。
が、バトルオペレーション版はあくまでもゲーム仕様ということもあり、そのケーブルは再現されていない。それに伴い、強制冷却用バックパックにあるケーブル接続ユニットもオミットされている(ゲーム画面を見ると、その部分には何も無かったりする)のだ。その為、バトルオペレーション版を再現しようとすると、側面にあるケーブル接続の為の突起部分を切り落とし、左側にあるマイナスモールドの入った(恐らく)蓋になっているパーツをカットして整形すればいいのである。実にお手軽!たったこれだけの改造で再現できるなら面倒くさがりのこの身でも問題無い。意気揚々と作業に取りかかったのは言うまでも無い。
・・・とまぁ無駄に遠回りした感じもするが、こうしてジムスナイパー(3rdアカウントカラー)が完成したと言う訳だ。ちなみに、この完成状態になったのは『バトルオペレーション』終了前日のことだったりする。
ちょいとパーツを変えただけで別人に
ん〜、確かに3rdアカウントで最も使用回数が多かったのはジムスナイパーカスタムだが、何だかんだとこの機体にも世話になったなぁ。これの制作の為に録画していた動画を見返したら、8割方負け戦だったけども(涙)。
これをプロモデラーの本庄聖さんが作成してくださったイフリート改のヤラレ役にしようと考えていたのだが、最終アップデートの際に表示されるようになった「7月31日、終戦。」イラストを見て考えが変わった為、最終回の写真もシチュエーションを変更した。「7月31日、終戦。」イラストに描かれた、両軍の兵士が互いを支え合うその姿は実に美しい。あのイラストは、本当に沁みたねぇ・・・。
うーむ、今回の主目的たるウェザリングマテリアルだが・・・凄いな。専用のものだと知って使ってみたが、初めて使ってみたこの身でもそれっぽいものを作る事が出来たと思う。当初思っていたよりもそれらしく見えるモノが出来たので、正直ちょっと嬉しいくらいなのだ。
実際に作業をしていて非常に面白かった。豪快に失敗して途中で止める可能性も考えていたのだが、少々の失敗も気にならず、嬉々として作業していた。作業していたのが初夏ということもあってか、乾くのが早かったのでどんどん作業を進められたのもモチベーション維持につながったのだと思う。初めての経験という事もあるが、こんなにウキウキとした気分でプラモデルを作ったのはいつ以来だろうか?こういったものも便利になっているんだなぁとしみじみと感じさせられたヨ。
あー、いいねー・・・久しぶりにちゃんとプラモデルを完成させる事ができたのが嬉しいワァ。確かに我ながらクオリティの低い作品だとは思うが、いざ完成してみると愛着が湧くもので今では結構気に入っている。やっぱりプラモデルを作るのは楽しいねぇ・・・今回は素材がアレだけども(汗)。
今度はパネルラインやらライトを再現したバトルオペレーション仕様にしたい(それくらいの作業なら大丈夫だと思いたい)と思い、改めて「MG ジムスナイパー」を購入しちゃったヨ。何しろこのキット、「MG 陸戦型ジム」一式に「強制冷却用バックパック」「外部ジェネレーター」「接続ケーブル」「カモフラージュネット」が追加された豪華仕様なのだ。それなのにその価格差はたったの500円・・・塗装前提なら、こちらの方が断然お得である。・・・・・・おや?それなら最初から買って作業しておけばよかったような・・・?
というワケで、今回はキットのレビュー・・・というかマテリアルを使ってみたら楽しかったという話をお送りした。この身と同じように、ウェザリングをやった事が無いけどもやってみたいと思っている人がいたら、是非試してみてくれ。ちょっとした感動を受けること請け合いだぞ。
今後もこういった感じの面白そうなマテリアルが出てくるのかネェ?ま、その前にせっかく購入した今回のマテリアルを使いきるまで何か作っていきたいなぁ。
ではまた次回のレビューをお楽しみにー。
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