中国という国の、協調と強調と狭調・・・
レアアース 中国への依存から脱却急げ
(1月5日付・読売社説)
中国産レアアース(希土類)の対日輸出が、2011年も減少する恐れが強まった。
中国当局が今年上半期の輸出許可枠を前年同期比で35%削減すると発表したからだ。
下半期を含めた通年の枠も削減される可能性が高い。
日本企業は中国産への依存を脱するため、豪州や米国など調達先の分散化を急がねばならない。
レアアースは、ハイブリッド車に使うモーターなどのハイテク製品に不可欠の材料で、中国産が世界生産の9割強を占める。
日本の年間需要量の約3万トンのうち、9割を中国からの輸入に頼る。
中国政府は10年になって、輸出枠を前年比4割削減し、昨年9月に起きた尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件を機に対日禁輸に踏み切った。
その後、輸出は次第に再開されたが、日本の需要を満たすほどには回復していない。
加えて、中国は新年からレアアースの一種であるネオジムの輸出税率を大幅に引き上げた。
レアアースの国外流出量を減らし、資源を囲い込む戦略を一段と強化する狙いとみられる。
中国の供給減による品不足感から、レアアース価格が高騰している。
日本など世界のメーカーが品不足と価格高騰のダブルパンチに見舞われる深刻な事態だ。
しかし、自国の都合で輸出を規制する保護貿易主義的な動きは、国際的な貿易ルールに反する。
米国政府が、中国を批判し、米中の2国間協議で是正できなければ、世界貿易機関(WTO)への提訴もためらわない、との見解を表明したのは当然だろう。
日本は米国や欧州連合(EU)と連携し、レアアースの安定供給を中国に求め続け、世界貿易への悪影響を防ぐ必要がある。
日本政府がインド、ベトナム、モンゴル、米国などとレアアースの鉱山開発の協力で一致したのは評価できる。
中国以外での鉱山開発を加速すべきだ。
大手商社の双日は、豪州の鉱山会社と10年間の購入契約を結び、日本の年間需要量の約3割を調達する。
三菱商事と住友商事も資源国との協力を強めつつある。こうした動きを歓迎したい。
レアアースの代替品開発や、リサイクル促進などもますます重要になろう。
日本企業はレアアースに限らず、中国産資源に依存するリスクを減らさねばならない。
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