2018年03月24日
【QOL】休職夜話 39歳の夏休み 第六夜
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前回までの「39歳の夏休み」はこちら
第一夜
第二夜
第三夜
第四夜
第五夜
休職の初日。時計に目をやると午前9時を回ろうとしていた。
いまだ布団に横たわり天井を見上げていた。
今朝方の、うつ病の症状から解放された気分の高揚も落ち着きを見せていた。
そうしたことから、まだ寝床からとびおきるという気持ちにはなれなかった。
いつもなら会社のデスクに向かい、スケジュールを立てている頃である。
部下の仕事の進捗も管理しており、注意点を説明する。
ここ2カ月近く、これらの行動がまともにできていなかった自分を思い出していた。
そうだ、こんな簡単な事、当たり前の事、今まで毎日出来ていたことすらできなくなっていたのだ。
仕事を休むこととなったとはいえ、なにもできなくなっていた自分のふがいなさに苛立ちがこみあげくる。
それらの思いが、再び頭の中で高速で回転し始めていた…。
それゆえ、寝床から足を踏み出すことができなかった。
・・・
・・・
いつの間に眠ったのだろうか。
10時間近く眠っているはずなのに、気か付くと時刻は正午を回ろうとしていた。
仕事から解放されたという安堵感。
これからどうなるのだろうという不安感。
仕事を放り投げてしまったという罪悪感。
そういった思いがこころに重くのしかかってきた。
とても起き上がる気力は湧いてこなかった。
目を閉じたまま時間はすぎて正午を回ったころ、メールの着信があった。
メールの差出人は後輩からであった。
「部長が、診断書会社に送ったかどうか聞けと言ってきた。送った?送ってないと思うけど」
「送るか、持っていくか部長から連絡が来るはずなのだけど、まあいいや。送る。」と返信。
再びメールが返ってくる。
「とにかく一度電話して。あと、生田の機嫌悪いみたいだよ。」
「生田の機嫌悪いみたいだよ」
この一文で心臓の鼓動が、とたんに速度を上げる。肩で呼吸をしている。
何度も何度もこの言葉がリフレインされ、既にうつ病が治ったのではないかと思っていた気持ちが一気に吹き飛んでいった。
期限の迫ったプロジェクトが思うように進まないこと。
事あるごとに予想もしていなかったことがおこり、さらにプロジェクトが遅れたこと。
その節々で、問題を抱え込んでしまうに至った原因。それが生田である。
生田は5年先輩にあたる上級エンジニアであり、15年前に部署に配属された時の教育係であった。
配属当初、生田が教育係としてついたが配属されて間もなく、一度挨拶をせずに帰宅したことがあった。
その翌日、会社のメールをチェックすると強烈な一文が来ていた。
「なに勝手に帰っているのだ。もうお前に教えることは何もない。一生、一人でやっていろ」と。
このメールを見た途端、こんなことろ嫌だ。早く異動したいと思うと同時に
会社に行きたくないという思いを抱いたことを思い出した。
それから数か月間、文字通り生田は一切言葉をかけてこなかった。
教育係りといいながらも、何も教えてくれることはなく、こちらから話しかけても無視に近い対応をとられていた。今考えるといじめである。
その後は実質、別の先輩の下で働くこととなるが、コミュニケーションを取りたがらない人であった。
システム部門の部呪いか。みな著しくコミュニケーションを嫌う人物が多かったことが思い出された。
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第三夜
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休職の初日。時計に目をやると午前9時を回ろうとしていた。
いまだ布団に横たわり天井を見上げていた。
今朝方の、うつ病の症状から解放された気分の高揚も落ち着きを見せていた。
そうしたことから、まだ寝床からとびおきるという気持ちにはなれなかった。
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ここ2カ月近く、これらの行動がまともにできていなかった自分を思い出していた。
そうだ、こんな簡単な事、当たり前の事、今まで毎日出来ていたことすらできなくなっていたのだ。
仕事を休むこととなったとはいえ、なにもできなくなっていた自分のふがいなさに苛立ちがこみあげくる。
それらの思いが、再び頭の中で高速で回転し始めていた…。
それゆえ、寝床から足を踏み出すことができなかった。
・・・
・・・
いつの間に眠ったのだろうか。
10時間近く眠っているはずなのに、気か付くと時刻は正午を回ろうとしていた。
仕事から解放されたという安堵感。
これからどうなるのだろうという不安感。
仕事を放り投げてしまったという罪悪感。
そういった思いがこころに重くのしかかってきた。
とても起き上がる気力は湧いてこなかった。
目を閉じたまま時間はすぎて正午を回ったころ、メールの着信があった。
メールの差出人は後輩からであった。
「部長が、診断書会社に送ったかどうか聞けと言ってきた。送った?送ってないと思うけど」
「送るか、持っていくか部長から連絡が来るはずなのだけど、まあいいや。送る。」と返信。
再びメールが返ってくる。
「とにかく一度電話して。あと、生田の機嫌悪いみたいだよ。」
「生田の機嫌悪いみたいだよ」
この一文で心臓の鼓動が、とたんに速度を上げる。肩で呼吸をしている。
何度も何度もこの言葉がリフレインされ、既にうつ病が治ったのではないかと思っていた気持ちが一気に吹き飛んでいった。
期限の迫ったプロジェクトが思うように進まないこと。
事あるごとに予想もしていなかったことがおこり、さらにプロジェクトが遅れたこと。
その節々で、問題を抱え込んでしまうに至った原因。それが生田である。
生田は5年先輩にあたる上級エンジニアであり、15年前に部署に配属された時の教育係であった。
配属当初、生田が教育係としてついたが配属されて間もなく、一度挨拶をせずに帰宅したことがあった。
その翌日、会社のメールをチェックすると強烈な一文が来ていた。
「なに勝手に帰っているのだ。もうお前に教えることは何もない。一生、一人でやっていろ」と。
このメールを見た途端、こんなことろ嫌だ。早く異動したいと思うと同時に
会社に行きたくないという思いを抱いたことを思い出した。
それから数か月間、文字通り生田は一切言葉をかけてこなかった。
教育係りといいながらも、何も教えてくれることはなく、こちらから話しかけても無視に近い対応をとられていた。今考えるといじめである。
その後は実質、別の先輩の下で働くこととなるが、コミュニケーションを取りたがらない人であった。
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