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2014年02月06日
彩雲
彩雲(さいうん)は、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象である。瑞雲、慶雲、景雲、紫雲などともいう。英語ではiridescent clouds。
この現象は、日光が雲に含まれる水滴で回折し、その度合いが光の波長によって違うために生ずるもので、大気光象の1つである。巻積雲や高積雲、風で千切られた積雲などに見えることが多い[1]。
類似の現象[編集]
日の高い季節の昼間に太陽の下方に現れるやや上に反った水平な虹色の弧が彩雲として参照されることも多いが、これは「環水平アーク」と呼ばれる現象で、雲の中の氷晶により見られるものである。
瑞相[編集]
彩雲は昔から吉兆とされるが、実際はありふれた気象現象である。古くから、景雲や慶雲、また瑞雲などとも呼ばれ 、仏教などにおいては「日暈」などとともに、寺院の落慶、入仏開眼法要などには「五色の彩雲」等と呼ばれ、よく発生する現象として知られる。
また、西方極楽浄土から阿弥陀如来が菩薩を随えて、五色の雲に載ってやってくる来迎図などにも描かれており、瑞相の一つとして知られる。
この現象は、日光が雲に含まれる水滴で回折し、その度合いが光の波長によって違うために生ずるもので、大気光象の1つである。巻積雲や高積雲、風で千切られた積雲などに見えることが多い[1]。
類似の現象[編集]
日の高い季節の昼間に太陽の下方に現れるやや上に反った水平な虹色の弧が彩雲として参照されることも多いが、これは「環水平アーク」と呼ばれる現象で、雲の中の氷晶により見られるものである。
瑞相[編集]
彩雲は昔から吉兆とされるが、実際はありふれた気象現象である。古くから、景雲や慶雲、また瑞雲などとも呼ばれ 、仏教などにおいては「日暈」などとともに、寺院の落慶、入仏開眼法要などには「五色の彩雲」等と呼ばれ、よく発生する現象として知られる。
また、西方極楽浄土から阿弥陀如来が菩薩を随えて、五色の雲に載ってやってくる来迎図などにも描かれており、瑞相の一つとして知られる。
スベンスマルク効果
スベンスマルク効果(スベンスマルクこうか)とは、宇宙空間から飛来する銀河宇宙線が地球の雲の形成を誘起しているという仮説である[1][2][3]。気候変動への影響についても仮説に留まっており[4]、主要な科学的報告において採用されておらず[5]、影響があったとしても、その影響量は最大でも観測されている気温上昇量の数パーセント程度だとみられている[6][7]。
理論と検証[編集]
太陽磁場は宇宙線が直接地球に降り注がれる量を減らす役割を果たしている。そのため、太陽活動が活発になると太陽磁場も増加し、地球に降り注がれる宇宙線の量が減少する。スベンスマルクらは1997年、宇宙線の減少によって地球の雲の量が減少し、アルベド(反射率)が減少した分だけ気候が暖かくなった可能性を提唱した[1]。
1998年にジュネーヴのCERN素粒子物理学研究所のジャスパー・カービー(英語版)により大気化学における宇宙線の役割を調査するためにCLOUD[8]と呼ばれる実験が提案され、本格的なデータが得られるのは2010年くらいとされていた。また小規模なSKYと呼ばれる実験がヘンリク・スベンスマルク(英語版)により行われた[9]。2005年の実験では、空気中において宇宙線によって放出された電子が雲の核形成の触媒として作用することが明らかとなった。このような実験により、スベンスマルクらは宇宙線が雲の形成に影響を与えるかもしれないとの仮説を提案した。しかし2011年、CERNのCLOUD実験でも、実際に雲を形成できるような大きさの水滴の生成は確認できていない[10]。提唱者らによる2012年時点の論文でも、仮説に留まっている[4]。
なお、ウィルソンの霧箱は数百%の過飽和状態であるが、現実大気の過飽和は数%であり、霧箱のような事は起こらないとしている[1]。
温暖化への影響[編集]
スベンスマルクらの提唱する機構が、実際に気候に影響しているという確証は見つかっていない[7]。また複数の科学的報告[6]によって、宇宙線が実際の雲量や近年の地球温暖化に大きく影響を与えているとの説は否定されている。
スベンスマルクらの説は気候変動に関する政府間パネル (IPCC) においても評価対象となったが、2001年の第三次評価報告書(ワーキンググループ1、第6章)[11]および2007年の第4次評価報告書(ワーキンググループ1、第2章)[5]でその影響は不明確であると指摘され、採用されていない。この評価報告書は、世界130か国からの2千人以上の専門家の科学的・技術的・社会経済的な知見を集約し[12][13]、かつ参加195か国の政府代表から成るパネルによって認められた報告書である[13]。また現在観測されている温暖化は、確率90%以上で人為的な要因が主因であると評価されている[14]。
2008年4月、ヨーン・エギル・クリスチャンセン (Jon Egill Kristjansson) らは雲量の観測結果に宇宙線との関連性が見られないとの調査結果を発表し[15]、「これが重要だという証拠は何もない」と指摘している[15][16]。2009年、カロゴビッチ (Calogovic) らはフォーブッシュ減少(英語版)と呼ばれる宇宙線の変化現象に対する雲量の応答を調べた結果「どのような緯度・高度においても、対応する雲量の変化は見られない」と報告している[17]。2009年、ピアス (Pierce) らは宇宙線による影響量は観測されている温暖化を引き起こすには2桁足りないと指摘している[18]。 2011年、複数の検証結果に基づいたレビューにより、実際の雲量への宇宙線の影響は確認できず、地球規模での気候への影響はあっても無視できる程度である[6]と評価されている。またスローン (Sloan) らは2011年、実際の気候との関係は何も確認できないと指摘した上で、仮に関係があったとしても1900年以降に観測されている気温上昇の8%未満の影響しかないと見積もっている[7]。
理論と検証[編集]
太陽磁場は宇宙線が直接地球に降り注がれる量を減らす役割を果たしている。そのため、太陽活動が活発になると太陽磁場も増加し、地球に降り注がれる宇宙線の量が減少する。スベンスマルクらは1997年、宇宙線の減少によって地球の雲の量が減少し、アルベド(反射率)が減少した分だけ気候が暖かくなった可能性を提唱した[1]。
1998年にジュネーヴのCERN素粒子物理学研究所のジャスパー・カービー(英語版)により大気化学における宇宙線の役割を調査するためにCLOUD[8]と呼ばれる実験が提案され、本格的なデータが得られるのは2010年くらいとされていた。また小規模なSKYと呼ばれる実験がヘンリク・スベンスマルク(英語版)により行われた[9]。2005年の実験では、空気中において宇宙線によって放出された電子が雲の核形成の触媒として作用することが明らかとなった。このような実験により、スベンスマルクらは宇宙線が雲の形成に影響を与えるかもしれないとの仮説を提案した。しかし2011年、CERNのCLOUD実験でも、実際に雲を形成できるような大きさの水滴の生成は確認できていない[10]。提唱者らによる2012年時点の論文でも、仮説に留まっている[4]。
なお、ウィルソンの霧箱は数百%の過飽和状態であるが、現実大気の過飽和は数%であり、霧箱のような事は起こらないとしている[1]。
温暖化への影響[編集]
スベンスマルクらの提唱する機構が、実際に気候に影響しているという確証は見つかっていない[7]。また複数の科学的報告[6]によって、宇宙線が実際の雲量や近年の地球温暖化に大きく影響を与えているとの説は否定されている。
スベンスマルクらの説は気候変動に関する政府間パネル (IPCC) においても評価対象となったが、2001年の第三次評価報告書(ワーキンググループ1、第6章)[11]および2007年の第4次評価報告書(ワーキンググループ1、第2章)[5]でその影響は不明確であると指摘され、採用されていない。この評価報告書は、世界130か国からの2千人以上の専門家の科学的・技術的・社会経済的な知見を集約し[12][13]、かつ参加195か国の政府代表から成るパネルによって認められた報告書である[13]。また現在観測されている温暖化は、確率90%以上で人為的な要因が主因であると評価されている[14]。
2008年4月、ヨーン・エギル・クリスチャンセン (Jon Egill Kristjansson) らは雲量の観測結果に宇宙線との関連性が見られないとの調査結果を発表し[15]、「これが重要だという証拠は何もない」と指摘している[15][16]。2009年、カロゴビッチ (Calogovic) らはフォーブッシュ減少(英語版)と呼ばれる宇宙線の変化現象に対する雲量の応答を調べた結果「どのような緯度・高度においても、対応する雲量の変化は見られない」と報告している[17]。2009年、ピアス (Pierce) らは宇宙線による影響量は観測されている温暖化を引き起こすには2桁足りないと指摘している[18]。 2011年、複数の検証結果に基づいたレビューにより、実際の雲量への宇宙線の影響は確認できず、地球規模での気候への影響はあっても無視できる程度である[6]と評価されている。またスローン (Sloan) らは2011年、実際の気候との関係は何も確認できないと指摘した上で、仮に関係があったとしても1900年以降に観測されている気温上昇の8%未満の影響しかないと見積もっている[7]。
雲形
雲形(うんけい)とは、雲をその形状により分類したものである。雲級(うんきゅう)ともいう。
世界気象機関発行の「国際雲図帳」では雲をその大まかな形から10の「類」に分類しており、これを十種雲形(十種雲級)と呼ぶ。それぞれの類は、形の特徴や雲塊の組成などからさらに「種」に分類される。また、雲塊の配列、雲の透明度による細分類は「変種」と呼ばれる。さらに、部分的な特徴や、付随する雲がある場合には「副変種」として記される。 また、地形などによって発生する雲は、十種雲形には含まれていない。
毛状雲[編集]
毛状雲(fibratus、略号fib.) は、細い筋状の雲の中で、先端がまっすぐなものをいう。巻雲、巻層雲に現れる。
鉤状雲[編集]
鉤状雲(uncinus、略号unc.) は、細い筋状の雲の中で、先端が釣り針状に曲がっているものをいう。巻雲に現れる。
房状雲[編集]
房状雲(floccus、略号flo.) は、巻雲・巻積雲・高積雲に現れる種で、巻雲では雲の先が丸くなっているもの、巻積雲・高積雲では雲片が丸いものをいう。
濃密雲[編集]
濃密雲(spissatus、略号spi.) は、厚く濃密な巻雲のこと。
塔状雲[編集]
塔状雲(castellanus、略号cas.) は、上方へ塔のように伸びた雲をいう。巻雲、巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。上昇気流が生じていることを示す雲種で、雨の前触れであることが多い。
層状雲[編集]
層状雲(stratiformis、略号str.) は、空の大部分を層状に覆う雲をいう。巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。
レンズ雲[編集]
レンズ雲 (左上の雲)レンズ雲(lenticularis、略号len.) は、輪郭がレンズ型にはっきりしている雲をいう。巻積雲、層積雲に現れる。山の近くや風の影響でできる雲で、風が吹きはじめる前兆であることも多い。シェイクスピアは「定まらないような雲、それは風に吹かれ飛雲増大する」と評している。
霧状雲[編集]
霧状雲(nebulosus、略号neb.) は、霧のようにかすんでいて輪郭の定まらない雲をいう。巻層雲、層雲に現れる。
断片雲[編集]
断片雲(fractus、略号fra.) は、積雲・層雲がちぎれてできた切れ端をいう。ひつじ雲などと呼ばれる。
扁平雲・並雲・雄大雲[編集]
入道雲積雲はその発達具合により名前がつけられている。扁平雲(humilis、略号hum.) は、まだ発達しておらず雲頂の平らなもの、並雲(mediocris、略号med.) は通常の積雲、雄大雲(congestus、略号con.) は、雲頂が大きく盛り上がったいわゆる「入道雲」をいう。
無毛雲・多毛雲[編集]
積乱雲もまた発達の度合いにより分類される。雲頂が毛羽立っていないものを無毛雲(calvus、略号cal.)、発達して雲頂から毛状の雲が広がるものを多毛雲(capilatus、略号cap.)という。
変種の分類[編集]
雲塊の配列による分類[編集]
もつれ雲[編集]
筋がもつれたような状態の巻雲をもつれ雲(intortus、略号in.) という。上空の風が弱いときに発生しやすく、この雲が出た後は晴天が続く場合が多い。
肋骨雲[編集]
肋骨雲(vetrebratus、略号ve.) は、巻雲から横向きに筋が出て、魚の骨のような形に見える雲のこと。雨の前兆とされる。
放射状雲[編集]
放射状雲(radiatus、略号ra.) は、空の広範囲に放射状に広がるように見える雲のこと。実際は平行な雲の列であるが、遠近感により放射状に見える。巻雲、高積雲、高層雲、層積雲、積雲に現れる。
二重雲[編集]
二重雲(duplicatus、略号du.)は、同じ種類の雲が異なる高度で重なって出現している状態をいう。巻雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲で現れる。
波状雲[編集]
波状雲(undulatus、略号un.)は、波のような模様で空を覆う雲のこと。巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲、層雲で現れる。
蜂の巣状雲[編集]
蜂の巣状雲(lacunosus、略号la.) は、蜂の巣状の穴が無数に開いた雲のこと。巻積雲、高積雲、層積雲で見られる。下降気流のあることを示し、好天の前触れとされる。
雲の透明度による分類[編集]
半透明雲・不透明雲[編集]
空を大きく覆っている高積雲・高層雲・層積雲・層雲のうち、比較的薄く太陽や月が透けて見える程度のものを半透明雲(translucidus、略号tr.)、厚くて太陽や月を完全に隠すものを不透明雲(opacus、略号op.)という。
隙間雲[編集]
隙間雲(perlucidus、略号pe.)は、大きく広がった雲のうち、隙間があり空が見える状態にあるものをいう。高積雲、層積雲に現れる。
副変種の分類[編集]
部分的に特徴のある雲[編集]
かなとこ雲
アーチ雲、前線の境目
乳房雲
尾流雲[編集]
尾流雲(virga、略号vir.)は、雲底から筋状の雲が垂れ下がっている状態のこと。地上に達しない降水による雲。巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。
降水雲[編集]
降水雲(praecipitatio、略号pra.)は、地上に達する降水に伴って雲底から下がる筋状の雲のこと。高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲、層雲に現れる。
かなとこ雲[編集]
積乱雲が発達を続け対流圏と成層圏の境に達すると、上昇が妨げられ雲頂部は横に大きく広がる。この状態をかなとこ雲(incus、略号inc.) という。
アーチ雲[編集]
アーチ雲(arcus、略号arc.)は、積雲・積乱雲の雲底にできるロール状の雲のこと。雲の下で強い対流が起こっているときに現れ、大雨になることも多い。
乳房雲[編集]
乳房雲(mamma、略号mam.)は、雲底からこぶ状の雲が垂れ下がっている状態のこと。巻雲、巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲に現れる。雲底で下降気流や渦流が発生しているとき発生し、大雨の前兆ともされる。
漏斗雲[編集]
漏斗雲(tuba、略号tub.)は、積雲・積乱雲の雲底から渦をまいて垂れ下がった漏斗状の雲のこと。地上に達すると竜巻を起こす。
付随して現れる雲[編集]
ちぎれ雲[編集]
ちぎれ雲(pannus、略号pan.)は、厚い雲の下を流れる断片雲。高層雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。
頭巾雲・ベール雲[編集]
頭巾雲(pileus、略号pil.)は、積雲・積乱雲の雲頂に帽子をかぶせたようにベール状の雲が乗っている状態をいう。これがさらに大きく広がった場合にはベール雲(velum、略号vel.)という。
世界気象機関発行の「国際雲図帳」では雲をその大まかな形から10の「類」に分類しており、これを十種雲形(十種雲級)と呼ぶ。それぞれの類は、形の特徴や雲塊の組成などからさらに「種」に分類される。また、雲塊の配列、雲の透明度による細分類は「変種」と呼ばれる。さらに、部分的な特徴や、付随する雲がある場合には「副変種」として記される。 また、地形などによって発生する雲は、十種雲形には含まれていない。
毛状雲[編集]
毛状雲(fibratus、略号fib.) は、細い筋状の雲の中で、先端がまっすぐなものをいう。巻雲、巻層雲に現れる。
鉤状雲[編集]
鉤状雲(uncinus、略号unc.) は、細い筋状の雲の中で、先端が釣り針状に曲がっているものをいう。巻雲に現れる。
房状雲[編集]
房状雲(floccus、略号flo.) は、巻雲・巻積雲・高積雲に現れる種で、巻雲では雲の先が丸くなっているもの、巻積雲・高積雲では雲片が丸いものをいう。
濃密雲[編集]
濃密雲(spissatus、略号spi.) は、厚く濃密な巻雲のこと。
塔状雲[編集]
塔状雲(castellanus、略号cas.) は、上方へ塔のように伸びた雲をいう。巻雲、巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。上昇気流が生じていることを示す雲種で、雨の前触れであることが多い。
層状雲[編集]
層状雲(stratiformis、略号str.) は、空の大部分を層状に覆う雲をいう。巻積雲、高積雲、層積雲に現れる。
レンズ雲[編集]
レンズ雲 (左上の雲)レンズ雲(lenticularis、略号len.) は、輪郭がレンズ型にはっきりしている雲をいう。巻積雲、層積雲に現れる。山の近くや風の影響でできる雲で、風が吹きはじめる前兆であることも多い。シェイクスピアは「定まらないような雲、それは風に吹かれ飛雲増大する」と評している。
霧状雲[編集]
霧状雲(nebulosus、略号neb.) は、霧のようにかすんでいて輪郭の定まらない雲をいう。巻層雲、層雲に現れる。
断片雲[編集]
断片雲(fractus、略号fra.) は、積雲・層雲がちぎれてできた切れ端をいう。ひつじ雲などと呼ばれる。
扁平雲・並雲・雄大雲[編集]
入道雲積雲はその発達具合により名前がつけられている。扁平雲(humilis、略号hum.) は、まだ発達しておらず雲頂の平らなもの、並雲(mediocris、略号med.) は通常の積雲、雄大雲(congestus、略号con.) は、雲頂が大きく盛り上がったいわゆる「入道雲」をいう。
無毛雲・多毛雲[編集]
積乱雲もまた発達の度合いにより分類される。雲頂が毛羽立っていないものを無毛雲(calvus、略号cal.)、発達して雲頂から毛状の雲が広がるものを多毛雲(capilatus、略号cap.)という。
変種の分類[編集]
雲塊の配列による分類[編集]
もつれ雲[編集]
筋がもつれたような状態の巻雲をもつれ雲(intortus、略号in.) という。上空の風が弱いときに発生しやすく、この雲が出た後は晴天が続く場合が多い。
肋骨雲[編集]
肋骨雲(vetrebratus、略号ve.) は、巻雲から横向きに筋が出て、魚の骨のような形に見える雲のこと。雨の前兆とされる。
放射状雲[編集]
放射状雲(radiatus、略号ra.) は、空の広範囲に放射状に広がるように見える雲のこと。実際は平行な雲の列であるが、遠近感により放射状に見える。巻雲、高積雲、高層雲、層積雲、積雲に現れる。
二重雲[編集]
二重雲(duplicatus、略号du.)は、同じ種類の雲が異なる高度で重なって出現している状態をいう。巻雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲で現れる。
波状雲[編集]
波状雲(undulatus、略号un.)は、波のような模様で空を覆う雲のこと。巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲、層雲で現れる。
蜂の巣状雲[編集]
蜂の巣状雲(lacunosus、略号la.) は、蜂の巣状の穴が無数に開いた雲のこと。巻積雲、高積雲、層積雲で見られる。下降気流のあることを示し、好天の前触れとされる。
雲の透明度による分類[編集]
半透明雲・不透明雲[編集]
空を大きく覆っている高積雲・高層雲・層積雲・層雲のうち、比較的薄く太陽や月が透けて見える程度のものを半透明雲(translucidus、略号tr.)、厚くて太陽や月を完全に隠すものを不透明雲(opacus、略号op.)という。
隙間雲[編集]
隙間雲(perlucidus、略号pe.)は、大きく広がった雲のうち、隙間があり空が見える状態にあるものをいう。高積雲、層積雲に現れる。
副変種の分類[編集]
部分的に特徴のある雲[編集]
かなとこ雲
アーチ雲、前線の境目
乳房雲
尾流雲[編集]
尾流雲(virga、略号vir.)は、雲底から筋状の雲が垂れ下がっている状態のこと。地上に達しない降水による雲。巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。
降水雲[編集]
降水雲(praecipitatio、略号pra.)は、地上に達する降水に伴って雲底から下がる筋状の雲のこと。高層雲、層積雲、積乱雲、積雲、乱層雲、層雲に現れる。
かなとこ雲[編集]
積乱雲が発達を続け対流圏と成層圏の境に達すると、上昇が妨げられ雲頂部は横に大きく広がる。この状態をかなとこ雲(incus、略号inc.) という。
アーチ雲[編集]
アーチ雲(arcus、略号arc.)は、積雲・積乱雲の雲底にできるロール状の雲のこと。雲の下で強い対流が起こっているときに現れ、大雨になることも多い。
乳房雲[編集]
乳房雲(mamma、略号mam.)は、雲底からこぶ状の雲が垂れ下がっている状態のこと。巻雲、巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲に現れる。雲底で下降気流や渦流が発生しているとき発生し、大雨の前兆ともされる。
漏斗雲[編集]
漏斗雲(tuba、略号tub.)は、積雲・積乱雲の雲底から渦をまいて垂れ下がった漏斗状の雲のこと。地上に達すると竜巻を起こす。
付随して現れる雲[編集]
ちぎれ雲[編集]
ちぎれ雲(pannus、略号pan.)は、厚い雲の下を流れる断片雲。高層雲、積乱雲、積雲、乱層雲に現れる。
頭巾雲・ベール雲[編集]
頭巾雲(pileus、略号pil.)は、積雲・積乱雲の雲頂に帽子をかぶせたようにベール状の雲が乗っている状態をいう。これがさらに大きく広がった場合にはベール雲(velum、略号vel.)という。
キノコ雲
キノコ雲(キノコぐも)は、大気中での熱エネルギーの局所的かつ急激な解放にともなう上昇気流によって生じる積乱雲の一種。
熱気を一瞬で放出し、霧や煙をマーカーに用いると、爆発や燃焼によらずキノコ雲様の現象を作ることができる。
急激な上昇気流を起こす熱源としては核爆弾や大量の爆薬の爆発、大量の燃料の急激な燃焼(爆燃)、火山の噴火などがある。核爆発によるものを特に原子雲という。
キノコ雲の生成される要件は熱気の塊の急速な出現であり、爆発や燃焼は必ずしも必要ではない。
原子雲[編集]
Question book-4.svg
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2012年12月)
アップショット・ノットホール作戦での核爆発
原子爆弾や熱核爆弾(水素爆弾)の核爆発によって生じるキノコ雲を原子雲という。
原子雲では瞬間的に巨大な火球ができるが、これは核反応により放出されたX線やガンマ線が空気の原子に衝突してそれらの原子を励起するためで、周囲の条件にもよるが、広島・長崎級の核爆発では直径500メートルから1000メートル程度である。広島・長崎では原子爆弾は空中で爆発し、火球は地表面に達しなかったが、そのような場合でも火球から発する強い衝撃波が地表面を粉砕する。
火球は非常に高温度(太陽の表面温度を優に超す)であるから、地上付近での爆発では土砂や建造物などが気化して火球に取り込まれる。火球は温度が高いため急上昇すると共に冷却していくが、その際、気化した物質や周囲から吸い込んだ水蒸気が凝結して雲の塊となる。火球が上昇した後の地表付近では、気圧差から大量の空気が流入し、破砕物や水蒸気を含んで上昇するため、火球につながる雲の柱が生じる(これは地上だけでなく空中爆発でも同様)。それが上空に達すると冷却される。その後水平方向に粒子が拡散し始め、かつ重力により地表に引き戻されて、全体としてキノコ型を呈することになる。
初期の段階では高温によって生じる亜硝酸や窒素酸化物のために赤味を帯びているが、次第に通常の雲と同様の白色となる。周囲の空気より温度が高い間は上昇を続け、冷却が進むと停止する。キロトン級の核爆発では圏界面に到達すると上昇を停止するが、1メガトンを超える大規模なものでは成層圏まで到達する。1954年3月1日のビキニ環礁での水爆実験では、キノコ雲の高度は30キロメートルに達した。
原子雲を形成する火球は強い上昇力を持っているため、積乱雲と同じように雷や雨を伴う。広島や長崎で降った黒い雨がその例である。ただし、雲自体はもちろん雨も強力な放射能を帯びている。
通常の積乱雲は持続的な上昇気流によって数時間以上維持されるが、原子雲では火球が上昇を終えると成長は止まり、周囲に拡散して、1時間程度で崩壊する。
熱気を一瞬で放出し、霧や煙をマーカーに用いると、爆発や燃焼によらずキノコ雲様の現象を作ることができる。
急激な上昇気流を起こす熱源としては核爆弾や大量の爆薬の爆発、大量の燃料の急激な燃焼(爆燃)、火山の噴火などがある。核爆発によるものを特に原子雲という。
キノコ雲の生成される要件は熱気の塊の急速な出現であり、爆発や燃焼は必ずしも必要ではない。
原子雲[編集]
Question book-4.svg
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2012年12月)
アップショット・ノットホール作戦での核爆発
原子爆弾や熱核爆弾(水素爆弾)の核爆発によって生じるキノコ雲を原子雲という。
原子雲では瞬間的に巨大な火球ができるが、これは核反応により放出されたX線やガンマ線が空気の原子に衝突してそれらの原子を励起するためで、周囲の条件にもよるが、広島・長崎級の核爆発では直径500メートルから1000メートル程度である。広島・長崎では原子爆弾は空中で爆発し、火球は地表面に達しなかったが、そのような場合でも火球から発する強い衝撃波が地表面を粉砕する。
火球は非常に高温度(太陽の表面温度を優に超す)であるから、地上付近での爆発では土砂や建造物などが気化して火球に取り込まれる。火球は温度が高いため急上昇すると共に冷却していくが、その際、気化した物質や周囲から吸い込んだ水蒸気が凝結して雲の塊となる。火球が上昇した後の地表付近では、気圧差から大量の空気が流入し、破砕物や水蒸気を含んで上昇するため、火球につながる雲の柱が生じる(これは地上だけでなく空中爆発でも同様)。それが上空に達すると冷却される。その後水平方向に粒子が拡散し始め、かつ重力により地表に引き戻されて、全体としてキノコ型を呈することになる。
初期の段階では高温によって生じる亜硝酸や窒素酸化物のために赤味を帯びているが、次第に通常の雲と同様の白色となる。周囲の空気より温度が高い間は上昇を続け、冷却が進むと停止する。キロトン級の核爆発では圏界面に到達すると上昇を停止するが、1メガトンを超える大規模なものでは成層圏まで到達する。1954年3月1日のビキニ環礁での水爆実験では、キノコ雲の高度は30キロメートルに達した。
原子雲を形成する火球は強い上昇力を持っているため、積乱雲と同じように雷や雨を伴う。広島や長崎で降った黒い雨がその例である。ただし、雲自体はもちろん雨も強力な放射能を帯びている。
通常の積乱雲は持続的な上昇気流によって数時間以上維持されるが、原子雲では火球が上昇を終えると成長は止まり、周囲に拡散して、1時間程度で崩壊する。
雲
雲(くも)は、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)のことを言う。地球に限らず、また高度に限らず、惑星表面の大気中に浮かぶ水滴や氷晶は雲と呼ばれる。雲を作る水滴や氷晶の1つ1つの粒を雲粒と言う。地上が雲に覆われていると、霧となる。
気象学の中には雲学という分野も存在する。これは、気象観測の手段が乏しかった20世紀前半ごろまで、気象の解析や予測に雲の形や動きなどの観測情報を多用しており、雲の研究が重要視されたことを背景にしている。気象衛星などの登場によって重要性が薄くなり雲学は衰退してきている。
また、雨や雪などの降水現象の発生源となる現象であり、雲の生成から降水までの物理学的な現象を研究する雲物理学というものもある。
雲(くも)は、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)のことを言う。地球に限らず、また高度に限らず、惑星表面の大気中に浮かぶ水滴や氷晶は雲と呼ばれる。雲を作る水滴や氷晶の1つ1つの粒を雲粒と言う。地上が雲に覆われていると、霧となる。
気象学の中には雲学という分野も存在する。これは、気象観測の手段が乏しかった20世紀前半ごろまで、気象の解析や予測に雲の形や動きなどの観測情報を多用しており、雲の研究が重要視されたことを背景にしている。気象衛星などの登場によって重要性が薄くなり雲学は衰退してきている。
また、雨や雪などの降水現象の発生源となる現象であり、雲の生成から降水までの物理学的な現象を研究する雲物理学というものもある。
目次 [非表示]
1 発生・成長・消滅 1.1 形態と成分
1.2 物理化学的特徴
1.3 気象学的な成因
1.4 人工的な雲の製造
2 種類 2.1 基本の雲
2.2 特殊な雲
3 色
4 観測
5 気候・地球
6 地球以外の雲
7 関連項目
8 出典・参考
9 外部リンク
発生・成長・消滅[編集]
地球上の雲を概観した衛星画像
積乱雲
上空から見た雲
水面近くにできた層雲
航空機から見る層積雲
形態と成分[編集]
地球上においては、基本的に雲は水から成ると考えてよい。微量ながら水以外の成分、例えば土壌成分や火山噴出物、塵埃などからなる微粒子(エアロゾル)が混ざっているほか、空気の成分(窒素、酸素、二酸化炭素など)が溶解している。その成分も、雲が発生・成長する際に存在した場所に左右されるが、比率からしても水がほとんどを占める。雲を構成する水滴は液体か固体である。固体の場合、独特の結晶を形成する。
ただし、超低温・低圧環境の成層圏や中間圏では、主成分が硫酸塩や硝酸塩からなる雲が発生する。
本項では、以下より地球上の雲について説明する。
物理化学的特徴[編集]
空気中の水蒸気が凝結(凝縮とも言う)されて液体(水)になるか、凍結(凝固)または昇華されて固体(氷)になることで雲が作られる。
空気中の水蒸気が凝結する条件は、空気が過飽和になる(空気の温度が露点温度を下回る、あるいは湿度が100%を越える)ことである。凝結核がなければ凝結しにくいが、ふつう、空気中には凝結核が多数あるので、過飽和の限界は過飽和度1%(湿度101%)くらいであり、超過分はすべて雲になる。
凝結してできた水滴が凍結する条件は、水滴が0℃以下(氷点下)に冷却されることである。凍結核がなければ凝結しにくい。ふつう、空気中には凍結核が少ないので、凍結は空気中の一部の水滴しか起こらない。気温が低くなるにつれて凍結率が上がり、-30〜-42℃くらいで全水滴が凍結する。
空気中の水蒸気が昇華する条件は、空気が過飽和で、かつ空気が0℃以下に冷却されることである。昇華核がなければ凝結しにくい。
主な雲の発生の種類3つを挙げる。
上昇・冷却 : 太陽放射、暖気との接触などにより空気が暖められ、断熱膨張を起こして上昇し次第に冷える。 前線面で暖気が寒気の上を上昇するパターン、山に沿って空気が上昇するパターン、太陽放射により地表が温められて対流が発生するパターン、暖気が冷たい水面や地面に接触するパターンなどがある。
非上昇・冷却 : 放射冷却、寒気との接触などにより空気が冷やされる。 上空の空気は冷やされても下降して昇温し過飽和が解消されるので、下降できない地上や水上の空気で多いパターン。
加湿 : 温度が変化しない場合でも、水域や陸からの蒸発によって湿度が上がり、露点温度が上昇する。 この原理単独で雲が発生することは少ないが、少なからず関与している。
雲を作る雲粒は、空気中に浮かぶ塵やほこりなどのエアロゾル微粒子を凝結核もしくは氷晶核としてつくられる(凝結核と氷晶核をまとめて雲核という)。そのため、エアロゾルが多いと水蒸気が凝結(固)しやすくなり雲は発生しやすくなる。また逆に、エアロゾルが少ないと過飽和となっても水蒸気が凝結(固)しにくいため、雲もできにくくなる。
ふつう、凝結や凍結、昇華直後の雲粒は1〜10μmくらいと小さい。これが、雲粒同士が衝突したり、雲粒にさらに水蒸気がくっついて凝結(凍結)していくなどして雲粒は成長し、最大で200μm(0.2mm)、さらに雨粒クラスでは直径が1mm前後になる。詳しくは降水過程参照。また、雨粒の成長の計算はメイスンの方程式(Mason equation)などにまとめられている。
雲粒ひとつひとつに働く重力や下降気流による力と、雲粒ひとつひとつを支える上昇気流による力がつりあうことで、雲は大気中に浮かぶ。雲粒が大きくなって重力が増したり、下降気流の力が大きくなると、雲粒は雨粒や雪の結晶として落下することとなる。上昇気流が強い場合は、上昇や落下を繰り返すうち、雨粒や雪の結晶同士が衝突してさらに大きな粒となって落下する。また、上昇や落下を繰り返すと霰や雹などの大きな氷粒になり、氷粒同士の衝突で静電気が発生し、それが蓄積されて雷の原因になる。
形成される雲の形は、空気の対流構造や、温度差のある空気の衝突面の形によって左右される。強い上下対流がある場合は積雲や積乱雲が形成されることが多く、大気が安定している場合は水平方向に層雲や高層雲などが均一に広がることが多い。また、山などの地形の影響を受けた場合は、レンズ雲や波状雲などの特徴的な雲ができる。
気象学的な成因[編集]
気象学的な観点から雲の発生・成長・消滅を説明する。雲の成因はいくつかに分けられる。
1.地形の影響や気団の衝突などにより、空気塊(気塊、air parcel)が強制的に上昇させられて起こるもの。 風が山などを越えるとき、強制的に空気塊が上昇させられると、断熱膨張による冷却が起こってやがて雲ができる。前線の場合は、温暖前線では寒気の上に暖気が乗り上げて上昇、寒冷前線では暖気の下に寒気が入り込んで暖気が上昇、停滞前線や閉塞前線では温暖・寒冷の2パターンが同時に起こり、山と同じように雲ができる。
山の場合は山頂を越えて下降し始めると空気塊が圧縮・加熱されて、雲が蒸発して消える。また、乾燥した空気のほうが湿った空気よりも気温減率が大きいため、下降する空気は上昇時よりも速いペースで温度が上がり(フェーン現象)、雲が消える高度はできた高度よりも高くなる。また、高い山や前線の場合、空気塊がずっと上昇していくと、雲のもととなる空気中の水蒸気量(≒混合比)が低下して、高度が高くなるにつれ、上昇してもできる雲は薄くなりやがてできなくなる。
2.周囲よりも相対的に軽い空気が浮力によって上昇して起こるもの。 夏の昼間のように、地面付近の気温の上昇幅が大きい場合には、温まった空気の浮力が増して雲ができやすくなる。普通は浮力を抑える力が働くが、大気が不安定(成層不安定)であると少しの上昇でそれを上回る上昇力を得て、雲が湧き上がる。
3.大気の振動によって起こるもの。 大気中にはさまざまな要因で発生する大気波というものがある。このうち、波長が数百m以下と短いものは直接的に大気に働きかけ、空気を上下に動かして、上昇の際に雲を発生させることがある。波長が数十km以上のものは、次項で述べる収束を発生させることがある。
4.収束に伴って発生した上昇気流によるもの。 周囲より気圧が低い低気圧に向かって空気が集まり、上昇気流となって雲を発生させる。上昇気流自体は観測できないほど遅い速度であるが、他のものに比べてスケールが桁違いに大きいため、広範囲で雲を発生させる。低気圧以外には、収束線(シアーライン)などがあり、これも原理は同じ。赤道付近で年中雲が発達しやすいのは、熱帯収束帯の影響で年中低圧だからである。
5.空気塊の上昇を伴わない冷却によるもの。 空気の流れが無く安定していて、ある程度湿った空気が放射冷却などで冷やされると、地表付近に雲ができる。晴れて寒い日の早朝に発生する霧が典型的な例。
6.加湿によるもの。 同じ温度の空気でも、湿度が(≒混合比)が上昇すると、露点温度が上がり、雲ができやすくなる。これは加湿単独ではなく、1〜5のような気流の移動とセットになって初めて雲ができる。前線の周辺に台風や低気圧が接近すると雨が強まるのは、雲のできやすくなっている部分に前線から湿った空気が供給され、雲ができやすくなり発達するためである。湿暖気流(湿舌)が梅雨前線に接近したときも同様。
人工的な雲の製造[編集]
小規模なものであれば、雲を製造することは容易であり、理科の実験や身近にできる科学実験として、広く行われている。
密閉可能な容器の中を少し濡らし、線香の煙などの凝結(固)核を充満させて密閉し、ポンプなどで気圧を下げると、減圧冷却によって中の温度が露点を下回って凝結(固)をはじめ、雲ができる。
熱湯から立ち上る「湯気」、ドライアイスや氷から流れ落ちるような白い冷気、冬の寒い日に白くなる吐いた息、工場や排気などから出る白い蒸気なども、人工的に作ることができる雲だといえる。
また、普通の雲に比べて粒が大きい、霧吹きで作る水滴でも、風をうまくコントロールして空中に浮かべることができれば、雲だといえる。
ただ、雨を降らせるような大規模な雲の製造は容易ではない。現状では、ヨウ化銀などの凝結(固)核を大量に散布することで雲の素をつくる「雲の種まき」が実用化の限度となっている。しかも、「雲の種まき」においても空気中の水蒸気が過飽和あるいはそれに近い状態になければ雲はできにくく、条件も限られる。
種類[編集]
基本の雲[編集]
雲は、その形状や高さにより以下のように分類される。
雲の分布の概念図
分類 定義・条件 通称・特徴
層状雲 上層雲 巻雲 高度6000m以上、温度-25℃以下 すじ雲(以前は「絹雲」と称した。)
巻積雲 うろこ雲 、さば雲
巻層雲 うす雲、太陽や月の暈の原因
中層雲 高積雲 高度2000〜6000m ひつじ雲
高層雲 おぼろ雲
乱層雲 地面付近〜高度6000m 雨雲、連続した雨や雪を伴う。
下層雲 層積雲 高度500〜2000m 温度-5℃以上 うね雲 かさばり雲 くもり雲(団塊状の雲)
層雲 地面付近〜高度2000m きり雲(灰色〜薄墨色の雲) 霧雨の主原因。
対流雲 積雲 雲底高度300〜1500m 雲頂高度は6000m前後 わた雲 むくむく雲 晴れた日にあらわれる。上面がドーム形、下面が水平。
積乱雲 雲底高度600〜1500m 雲頂高度は最大16000m(対流圏界面付近) 雷雲、いわゆる入道雲。頂部が横に広がったかなとこ雲もある。
注1)高度に関しては中緯度における目安。低緯度や高緯度では数百m〜数kmの違いがある。
注2)巻層雲は高層雲、高層雲は乱層雲とそれぞれつながって、雲底高度がもっと低い場合あり。積乱雲は下降気流の影響で雲底高度がもっと低い場合あり。
注3)乱層雲は以前下層雲だったが変更された。出現範囲は中層や下層が中心だが、上層にまたがることがある。また、高層雲も上層にまたがることがある。こういったことから、上・中・下層・対流といった区分は分類当初念頭に置かれていたような意味をなさなくなってきており、形式的なものになりつつある。
世界気象機関は、雲を10の基本形と数十の主・変種・副変種に分類している。雲には多くの俗称があるが、混乱を避けるために学術分野では呼称が統一されている。詳しくは雲形を参照のこと。
特殊な雲[編集]
対流圏以外にできる雲として、以下のものがある。
成層圏 真珠母雲(極成層雲)
中間圏 夜光雲
色[編集]
一般的に、雲は可視光線(光)を反射しやすいため、白く見える。これをミー散乱と言う。しかし、雲の厚さや内部の雲粒の密度、太陽光の角度によってさまざまな色に見える。
白い雲は、粒が小さな雲粒が比較的混み合って密に浮かんでいる状態のため、太陽光の反射率が高いために白く見える。そのため、白い雲は雨粒があまり成長していないことになり、雨が降ることは少ない。
積雲や層雲などは、鉛直方向に発達し厚みを増し雲底付近が次第に暗くなる。これは、雲を構成する水滴や氷晶などの粒子は可視域の太陽放射をほとんど吸収しないのだが、これらの粒子によって雲内部で主に散乱、多重反射及び屈折され雲底付近に至るまでに、エネルギーがかなり減少してしまう為である。
日光が水滴で回折し、雲が虹色に輝いて見えることがあり、これを彩雲という。
観測[編集]
雲は測雲器若しくは測雲気球などの器具を用い、または目視によって観測される(気象業務法第1条の2、気象業務法第1条の3も参照)。雲量は、晴れかくもりかといった天気の目安となる。
また、レーダーでも雲を観測できる(雲高計)。雲粒は雨粒や雪片よりも小さいため、レーダー電波の波長は降雨レーダーより小さいものを用いる。波長1mm〜10mm程度のミリ波を用いることが多い。ただ、地上や航空機搭載のレーダーによる雲の観測は、観測範囲が狭く、用途は規模の小さい気象現象の観測や飛行用などに限られる。
広い気象状態を捉えるには、気象衛星による観測が行われる。可視光線の観測、雲が放射する赤外線の観測などを通して、雲の分布を推定している。赤外線に関しては、大気成分に吸収されて観測できない波長が多いので、その影響が少ない大気の窓領域の波長を観測している。
気候・地球[編集]
大気汚染によるエアロゾルなどの増加により雲の量が増加して、地球薄暮化が引き起こされると考えられている。
雲は地球の表面を覆って太陽光を吸収・反射し、地球をある程度冷ます役割をもっている。雲の厚さ、雲粒の大きさや形状などによって吸収率や反射率は異なる。特に反射率(アルベド)については、その変化が地球全体の太陽光の吸収率を大きく左右し、気候に影響を与える。
地球以外の雲[編集]
大気を持つ太陽系の惑星のほとんどでは、地球と同じように雲が発生する。金星は硫酸の雲、火星は水、木星や土星はアンモニアなど、天王星や海王星はメタンでできた雲がある。また、土星の衛星のタイタンにもメタンの雲らしきものがあることが分かっている。
気象学の中には雲学という分野も存在する。これは、気象観測の手段が乏しかった20世紀前半ごろまで、気象の解析や予測に雲の形や動きなどの観測情報を多用しており、雲の研究が重要視されたことを背景にしている。気象衛星などの登場によって重要性が薄くなり雲学は衰退してきている。
また、雨や雪などの降水現象の発生源となる現象であり、雲の生成から降水までの物理学的な現象を研究する雲物理学というものもある。
雲(くも)は、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)のことを言う。地球に限らず、また高度に限らず、惑星表面の大気中に浮かぶ水滴や氷晶は雲と呼ばれる。雲を作る水滴や氷晶の1つ1つの粒を雲粒と言う。地上が雲に覆われていると、霧となる。
気象学の中には雲学という分野も存在する。これは、気象観測の手段が乏しかった20世紀前半ごろまで、気象の解析や予測に雲の形や動きなどの観測情報を多用しており、雲の研究が重要視されたことを背景にしている。気象衛星などの登場によって重要性が薄くなり雲学は衰退してきている。
また、雨や雪などの降水現象の発生源となる現象であり、雲の生成から降水までの物理学的な現象を研究する雲物理学というものもある。
目次 [非表示]
1 発生・成長・消滅 1.1 形態と成分
1.2 物理化学的特徴
1.3 気象学的な成因
1.4 人工的な雲の製造
2 種類 2.1 基本の雲
2.2 特殊な雲
3 色
4 観測
5 気候・地球
6 地球以外の雲
7 関連項目
8 出典・参考
9 外部リンク
発生・成長・消滅[編集]
地球上の雲を概観した衛星画像
積乱雲
上空から見た雲
水面近くにできた層雲
航空機から見る層積雲
形態と成分[編集]
地球上においては、基本的に雲は水から成ると考えてよい。微量ながら水以外の成分、例えば土壌成分や火山噴出物、塵埃などからなる微粒子(エアロゾル)が混ざっているほか、空気の成分(窒素、酸素、二酸化炭素など)が溶解している。その成分も、雲が発生・成長する際に存在した場所に左右されるが、比率からしても水がほとんどを占める。雲を構成する水滴は液体か固体である。固体の場合、独特の結晶を形成する。
ただし、超低温・低圧環境の成層圏や中間圏では、主成分が硫酸塩や硝酸塩からなる雲が発生する。
本項では、以下より地球上の雲について説明する。
物理化学的特徴[編集]
空気中の水蒸気が凝結(凝縮とも言う)されて液体(水)になるか、凍結(凝固)または昇華されて固体(氷)になることで雲が作られる。
空気中の水蒸気が凝結する条件は、空気が過飽和になる(空気の温度が露点温度を下回る、あるいは湿度が100%を越える)ことである。凝結核がなければ凝結しにくいが、ふつう、空気中には凝結核が多数あるので、過飽和の限界は過飽和度1%(湿度101%)くらいであり、超過分はすべて雲になる。
凝結してできた水滴が凍結する条件は、水滴が0℃以下(氷点下)に冷却されることである。凍結核がなければ凝結しにくい。ふつう、空気中には凍結核が少ないので、凍結は空気中の一部の水滴しか起こらない。気温が低くなるにつれて凍結率が上がり、-30〜-42℃くらいで全水滴が凍結する。
空気中の水蒸気が昇華する条件は、空気が過飽和で、かつ空気が0℃以下に冷却されることである。昇華核がなければ凝結しにくい。
主な雲の発生の種類3つを挙げる。
上昇・冷却 : 太陽放射、暖気との接触などにより空気が暖められ、断熱膨張を起こして上昇し次第に冷える。 前線面で暖気が寒気の上を上昇するパターン、山に沿って空気が上昇するパターン、太陽放射により地表が温められて対流が発生するパターン、暖気が冷たい水面や地面に接触するパターンなどがある。
非上昇・冷却 : 放射冷却、寒気との接触などにより空気が冷やされる。 上空の空気は冷やされても下降して昇温し過飽和が解消されるので、下降できない地上や水上の空気で多いパターン。
加湿 : 温度が変化しない場合でも、水域や陸からの蒸発によって湿度が上がり、露点温度が上昇する。 この原理単独で雲が発生することは少ないが、少なからず関与している。
雲を作る雲粒は、空気中に浮かぶ塵やほこりなどのエアロゾル微粒子を凝結核もしくは氷晶核としてつくられる(凝結核と氷晶核をまとめて雲核という)。そのため、エアロゾルが多いと水蒸気が凝結(固)しやすくなり雲は発生しやすくなる。また逆に、エアロゾルが少ないと過飽和となっても水蒸気が凝結(固)しにくいため、雲もできにくくなる。
ふつう、凝結や凍結、昇華直後の雲粒は1〜10μmくらいと小さい。これが、雲粒同士が衝突したり、雲粒にさらに水蒸気がくっついて凝結(凍結)していくなどして雲粒は成長し、最大で200μm(0.2mm)、さらに雨粒クラスでは直径が1mm前後になる。詳しくは降水過程参照。また、雨粒の成長の計算はメイスンの方程式(Mason equation)などにまとめられている。
雲粒ひとつひとつに働く重力や下降気流による力と、雲粒ひとつひとつを支える上昇気流による力がつりあうことで、雲は大気中に浮かぶ。雲粒が大きくなって重力が増したり、下降気流の力が大きくなると、雲粒は雨粒や雪の結晶として落下することとなる。上昇気流が強い場合は、上昇や落下を繰り返すうち、雨粒や雪の結晶同士が衝突してさらに大きな粒となって落下する。また、上昇や落下を繰り返すと霰や雹などの大きな氷粒になり、氷粒同士の衝突で静電気が発生し、それが蓄積されて雷の原因になる。
形成される雲の形は、空気の対流構造や、温度差のある空気の衝突面の形によって左右される。強い上下対流がある場合は積雲や積乱雲が形成されることが多く、大気が安定している場合は水平方向に層雲や高層雲などが均一に広がることが多い。また、山などの地形の影響を受けた場合は、レンズ雲や波状雲などの特徴的な雲ができる。
気象学的な成因[編集]
気象学的な観点から雲の発生・成長・消滅を説明する。雲の成因はいくつかに分けられる。
1.地形の影響や気団の衝突などにより、空気塊(気塊、air parcel)が強制的に上昇させられて起こるもの。 風が山などを越えるとき、強制的に空気塊が上昇させられると、断熱膨張による冷却が起こってやがて雲ができる。前線の場合は、温暖前線では寒気の上に暖気が乗り上げて上昇、寒冷前線では暖気の下に寒気が入り込んで暖気が上昇、停滞前線や閉塞前線では温暖・寒冷の2パターンが同時に起こり、山と同じように雲ができる。
山の場合は山頂を越えて下降し始めると空気塊が圧縮・加熱されて、雲が蒸発して消える。また、乾燥した空気のほうが湿った空気よりも気温減率が大きいため、下降する空気は上昇時よりも速いペースで温度が上がり(フェーン現象)、雲が消える高度はできた高度よりも高くなる。また、高い山や前線の場合、空気塊がずっと上昇していくと、雲のもととなる空気中の水蒸気量(≒混合比)が低下して、高度が高くなるにつれ、上昇してもできる雲は薄くなりやがてできなくなる。
2.周囲よりも相対的に軽い空気が浮力によって上昇して起こるもの。 夏の昼間のように、地面付近の気温の上昇幅が大きい場合には、温まった空気の浮力が増して雲ができやすくなる。普通は浮力を抑える力が働くが、大気が不安定(成層不安定)であると少しの上昇でそれを上回る上昇力を得て、雲が湧き上がる。
3.大気の振動によって起こるもの。 大気中にはさまざまな要因で発生する大気波というものがある。このうち、波長が数百m以下と短いものは直接的に大気に働きかけ、空気を上下に動かして、上昇の際に雲を発生させることがある。波長が数十km以上のものは、次項で述べる収束を発生させることがある。
4.収束に伴って発生した上昇気流によるもの。 周囲より気圧が低い低気圧に向かって空気が集まり、上昇気流となって雲を発生させる。上昇気流自体は観測できないほど遅い速度であるが、他のものに比べてスケールが桁違いに大きいため、広範囲で雲を発生させる。低気圧以外には、収束線(シアーライン)などがあり、これも原理は同じ。赤道付近で年中雲が発達しやすいのは、熱帯収束帯の影響で年中低圧だからである。
5.空気塊の上昇を伴わない冷却によるもの。 空気の流れが無く安定していて、ある程度湿った空気が放射冷却などで冷やされると、地表付近に雲ができる。晴れて寒い日の早朝に発生する霧が典型的な例。
6.加湿によるもの。 同じ温度の空気でも、湿度が(≒混合比)が上昇すると、露点温度が上がり、雲ができやすくなる。これは加湿単独ではなく、1〜5のような気流の移動とセットになって初めて雲ができる。前線の周辺に台風や低気圧が接近すると雨が強まるのは、雲のできやすくなっている部分に前線から湿った空気が供給され、雲ができやすくなり発達するためである。湿暖気流(湿舌)が梅雨前線に接近したときも同様。
人工的な雲の製造[編集]
小規模なものであれば、雲を製造することは容易であり、理科の実験や身近にできる科学実験として、広く行われている。
密閉可能な容器の中を少し濡らし、線香の煙などの凝結(固)核を充満させて密閉し、ポンプなどで気圧を下げると、減圧冷却によって中の温度が露点を下回って凝結(固)をはじめ、雲ができる。
熱湯から立ち上る「湯気」、ドライアイスや氷から流れ落ちるような白い冷気、冬の寒い日に白くなる吐いた息、工場や排気などから出る白い蒸気なども、人工的に作ることができる雲だといえる。
また、普通の雲に比べて粒が大きい、霧吹きで作る水滴でも、風をうまくコントロールして空中に浮かべることができれば、雲だといえる。
ただ、雨を降らせるような大規模な雲の製造は容易ではない。現状では、ヨウ化銀などの凝結(固)核を大量に散布することで雲の素をつくる「雲の種まき」が実用化の限度となっている。しかも、「雲の種まき」においても空気中の水蒸気が過飽和あるいはそれに近い状態になければ雲はできにくく、条件も限られる。
種類[編集]
基本の雲[編集]
雲は、その形状や高さにより以下のように分類される。
雲の分布の概念図
分類 定義・条件 通称・特徴
層状雲 上層雲 巻雲 高度6000m以上、温度-25℃以下 すじ雲(以前は「絹雲」と称した。)
巻積雲 うろこ雲 、さば雲
巻層雲 うす雲、太陽や月の暈の原因
中層雲 高積雲 高度2000〜6000m ひつじ雲
高層雲 おぼろ雲
乱層雲 地面付近〜高度6000m 雨雲、連続した雨や雪を伴う。
下層雲 層積雲 高度500〜2000m 温度-5℃以上 うね雲 かさばり雲 くもり雲(団塊状の雲)
層雲 地面付近〜高度2000m きり雲(灰色〜薄墨色の雲) 霧雨の主原因。
対流雲 積雲 雲底高度300〜1500m 雲頂高度は6000m前後 わた雲 むくむく雲 晴れた日にあらわれる。上面がドーム形、下面が水平。
積乱雲 雲底高度600〜1500m 雲頂高度は最大16000m(対流圏界面付近) 雷雲、いわゆる入道雲。頂部が横に広がったかなとこ雲もある。
注1)高度に関しては中緯度における目安。低緯度や高緯度では数百m〜数kmの違いがある。
注2)巻層雲は高層雲、高層雲は乱層雲とそれぞれつながって、雲底高度がもっと低い場合あり。積乱雲は下降気流の影響で雲底高度がもっと低い場合あり。
注3)乱層雲は以前下層雲だったが変更された。出現範囲は中層や下層が中心だが、上層にまたがることがある。また、高層雲も上層にまたがることがある。こういったことから、上・中・下層・対流といった区分は分類当初念頭に置かれていたような意味をなさなくなってきており、形式的なものになりつつある。
世界気象機関は、雲を10の基本形と数十の主・変種・副変種に分類している。雲には多くの俗称があるが、混乱を避けるために学術分野では呼称が統一されている。詳しくは雲形を参照のこと。
特殊な雲[編集]
対流圏以外にできる雲として、以下のものがある。
成層圏 真珠母雲(極成層雲)
中間圏 夜光雲
色[編集]
一般的に、雲は可視光線(光)を反射しやすいため、白く見える。これをミー散乱と言う。しかし、雲の厚さや内部の雲粒の密度、太陽光の角度によってさまざまな色に見える。
白い雲は、粒が小さな雲粒が比較的混み合って密に浮かんでいる状態のため、太陽光の反射率が高いために白く見える。そのため、白い雲は雨粒があまり成長していないことになり、雨が降ることは少ない。
積雲や層雲などは、鉛直方向に発達し厚みを増し雲底付近が次第に暗くなる。これは、雲を構成する水滴や氷晶などの粒子は可視域の太陽放射をほとんど吸収しないのだが、これらの粒子によって雲内部で主に散乱、多重反射及び屈折され雲底付近に至るまでに、エネルギーがかなり減少してしまう為である。
日光が水滴で回折し、雲が虹色に輝いて見えることがあり、これを彩雲という。
観測[編集]
雲は測雲器若しくは測雲気球などの器具を用い、または目視によって観測される(気象業務法第1条の2、気象業務法第1条の3も参照)。雲量は、晴れかくもりかといった天気の目安となる。
また、レーダーでも雲を観測できる(雲高計)。雲粒は雨粒や雪片よりも小さいため、レーダー電波の波長は降雨レーダーより小さいものを用いる。波長1mm〜10mm程度のミリ波を用いることが多い。ただ、地上や航空機搭載のレーダーによる雲の観測は、観測範囲が狭く、用途は規模の小さい気象現象の観測や飛行用などに限られる。
広い気象状態を捉えるには、気象衛星による観測が行われる。可視光線の観測、雲が放射する赤外線の観測などを通して、雲の分布を推定している。赤外線に関しては、大気成分に吸収されて観測できない波長が多いので、その影響が少ない大気の窓領域の波長を観測している。
気候・地球[編集]
大気汚染によるエアロゾルなどの増加により雲の量が増加して、地球薄暮化が引き起こされると考えられている。
雲は地球の表面を覆って太陽光を吸収・反射し、地球をある程度冷ます役割をもっている。雲の厚さ、雲粒の大きさや形状などによって吸収率や反射率は異なる。特に反射率(アルベド)については、その変化が地球全体の太陽光の吸収率を大きく左右し、気候に影響を与える。
地球以外の雲[編集]
大気を持つ太陽系の惑星のほとんどでは、地球と同じように雲が発生する。金星は硫酸の雲、火星は水、木星や土星はアンモニアなど、天王星や海王星はメタンでできた雲がある。また、土星の衛星のタイタンにもメタンの雲らしきものがあることが分かっている。
スペクトル密度
スペクトル密度(スペクトルみつど、英: Spectral density)は、定常過程に関する周波数値の正実数の関数または時間に関する決定的な関数である。パワースペクトル密度(電力スペクトル密度、英: Power spectral density)、エネルギースペクトル密度(英: Energy spectral density)とも。単に信号のスペクトルと言ったとき、スペクトル密度を指すこともある。直観的には、スペクトル密度は確率過程の周波数要素を捉えるもので、周期性を識別するのを助ける。
概要[編集]
物理学の観点では、信号とは波動であり、電磁波や音波がある。波動のスペクトル密度に適当な係数をかけると、その波動で運ばれる周波数当たりの力になる。このため、それを信号の「パワースペクトル密度」(PSD) あるいは「スペクトルパワー分布」(SPD) などと呼ぶ。パワースペクトル密度の単位はヘルツ当たりのワット (W/Hz) か、ナノメートル当たりのワット (W/nm) で表される(後者は周波数の代わりに波長を用いる)。
信号がどのような物理的次元を伝わるのかは問題ではないが、以下の議論では時間と共に変化する信号について解説する。
概要[編集]
物理学の観点では、信号とは波動であり、電磁波や音波がある。波動のスペクトル密度に適当な係数をかけると、その波動で運ばれる周波数当たりの力になる。このため、それを信号の「パワースペクトル密度」(PSD) あるいは「スペクトルパワー分布」(SPD) などと呼ぶ。パワースペクトル密度の単位はヘルツ当たりのワット (W/Hz) か、ナノメートル当たりのワット (W/nm) で表される(後者は周波数の代わりに波長を用いる)。
信号がどのような物理的次元を伝わるのかは問題ではないが、以下の議論では時間と共に変化する信号について解説する。
ランバート反射
ランバート反射とは、理想的な拡散反射表面が持つべき性質である。理想的な拡散反射表面の輝度は、どの角度から見ても一定である。 技術的には、表面の輝度 (光学)が等方的であり、光度 (光学)がランバートのコサイン則に従う。 ランバート反射は1760年に自著Photometriaで完全な拡散反射の概念を導入したヨハン・ハインリッヒ・ランベルトの名前から名づけられた。
例[編集]
たとえば、荒削りのごつごつした木の表面はランバート反射で近似できるが、つやありポリウレタン塗料で塗られた木材はランバート反射とはいえない(見る角度によって鏡面ハイライトが見える)。ごつごつした面がすべて完全なランバート反射をするわけではないが、面の特性が分からないときにはしばしばよい近似になる。
Spectralonは、ほぼ完全なLambert反射を実現できるように設計された材料である。
例[編集]
たとえば、荒削りのごつごつした木の表面はランバート反射で近似できるが、つやありポリウレタン塗料で塗られた木材はランバート反射とはいえない(見る角度によって鏡面ハイライトが見える)。ごつごつした面がすべて完全なランバート反射をするわけではないが、面の特性が分からないときにはしばしばよい近似になる。
Spectralonは、ほぼ完全なLambert反射を実現できるように設計された材料である。
鏡面反射
鏡面反射(きょうめんはんしゃ、英: Specular reflection)または正反射(せいはんしゃ)は、鏡などによる完全な光(あるいはその他の波動)の反射であり、一方向からの光が別の一方向に反射されて出て行くこと。反射の法則により、光の入射角と反射角は反射面に対して同じ角度となる。これを一般に \theta _i = \theta _r と表す。
これに対して、拡散反射は入射光が様々な方向に反射されることをいう。鏡面反射と拡散反射の典型例として、塗料の艶のあるものと艶のないものがある。艶なし塗料は拡散反射の割合が強く、艶あり塗料は鏡面反射の割合が強い。高品質の鏡などのよく磨かれた表面は、ほとんど完全な鏡面反射となる。
拡散反射が全く無く、鏡面反射しかしない反射面があったとしても、全ての光が反射されるわけではない。光の一部は、その材質に吸光される。さらに表面の下にある材質によっては、光の一部が表面を通してその材質まで到達する。一般的性質として、入射角 \theta _i が大きければ大きいほど光の反射率が大きくなる。屈折率の大きい媒質を伝播する光が屈折率の小さい媒質との境界面に当たった場合、全反射が発生することがある。
反射の法則は、平らな境界面上の(短い波長の)平面波の回折から生じる。平坦な境界面が波長よりもずっと大きい場合、境界面の電子が鏡面反射の方向にのみ励起される。鏡面が波長と比較して小さい場合、反射の法則は成り立たず、光の反射は複雑になる。
鏡面反射という用語は可視光線に対するものだが、工学や科学では他の電磁波についてもこの用語を用いる。電磁波以外の波動の鏡面反射も同じ原理に従う。音波を鏡面反射する鏡や原子を鏡面反射する原子鏡もある。固体の鏡で効率的に原子を反射するには、原子が非常に低温であったり、入射角に注意が必要である。これを量子反射と呼ぶ。原子の鏡面反射を強化する鏡として、うね(ridge)のある鏡がある。
これに対して、拡散反射は入射光が様々な方向に反射されることをいう。鏡面反射と拡散反射の典型例として、塗料の艶のあるものと艶のないものがある。艶なし塗料は拡散反射の割合が強く、艶あり塗料は鏡面反射の割合が強い。高品質の鏡などのよく磨かれた表面は、ほとんど完全な鏡面反射となる。
拡散反射が全く無く、鏡面反射しかしない反射面があったとしても、全ての光が反射されるわけではない。光の一部は、その材質に吸光される。さらに表面の下にある材質によっては、光の一部が表面を通してその材質まで到達する。一般的性質として、入射角 \theta _i が大きければ大きいほど光の反射率が大きくなる。屈折率の大きい媒質を伝播する光が屈折率の小さい媒質との境界面に当たった場合、全反射が発生することがある。
反射の法則は、平らな境界面上の(短い波長の)平面波の回折から生じる。平坦な境界面が波長よりもずっと大きい場合、境界面の電子が鏡面反射の方向にのみ励起される。鏡面が波長と比較して小さい場合、反射の法則は成り立たず、光の反射は複雑になる。
鏡面反射という用語は可視光線に対するものだが、工学や科学では他の電磁波についてもこの用語を用いる。電磁波以外の波動の鏡面反射も同じ原理に従う。音波を鏡面反射する鏡や原子を鏡面反射する原子鏡もある。固体の鏡で効率的に原子を反射するには、原子が非常に低温であったり、入射角に注意が必要である。これを量子反射と呼ぶ。原子の鏡面反射を強化する鏡として、うね(ridge)のある鏡がある。
幾何アルベド
幾何アルベド(Geometric albedo)は、位相角0°の実際の明るさと、同じ直径の理想的な平面円盤での完全な拡散反射(ランバート反射)との比である。
拡散反射は、光源の位置に関わらず、等方的に反射することを意味する。位相角0°は、光源の方向に沿って観測することに相当する。地上の観測者からは、観測対象の天体が衝または黄道にある時にこの状況が生じる。
可視幾何アルベドは、可視光領域のみの幾何アルベドである。
大気のない天体[編集]
大気のない天体の表面の物質(レゴリス)は、ランバート面とは大きく異なって衝効果を示し、光を等方向に拡散するよりは、光源の方向に真っ直ぐに反射する傾向が強い。
このような天体の幾何アルベドは、双方向反射率分布関数の強いピークが位相角0°に近い小さな範囲にあるため、決定が難しい。このピークの強さは天体によってかなり異なり、十分小さな位相角での観測によってのみしか決定できない。このような測定は、観測者が入射光に非常に近い正確な位置を取らないといけないため、通常は難しい。例えば、月が正確に位相角0°の位置にあると食が生じてしまうため、地球からは見えない。他の太陽系の天体は、衝の時であっても、同時に昇交点にある時でなければ、正確に位相角0°になることはない。実際には、天体の方向反射率パラメータを求めるのに、0°ではない非常に小さな角度が使われている。これらにより記述される反射率関数を、位相角0°に外挿することで、幾何アルベドの評価値が得られる。
土星の衛星エンケラドゥスやテティスのように、非常に明るく、地表が固体で、大気のない天体では、合計の反射(ボンドアルベド)は1に近く、強い衝効果が働いて、幾何アルベドは1を超える(エンケラドゥスの場合は1.4)。つまり、天体の縁のような入射角が小さい場合であっても、光は光源の方向に向かって反射しやすい。1を超える幾何アルベドは、光源の方向に散乱する光の強さがあらゆるランバート面よりも高いことを意味する。
拡散反射は、光源の位置に関わらず、等方的に反射することを意味する。位相角0°は、光源の方向に沿って観測することに相当する。地上の観測者からは、観測対象の天体が衝または黄道にある時にこの状況が生じる。
可視幾何アルベドは、可視光領域のみの幾何アルベドである。
大気のない天体[編集]
大気のない天体の表面の物質(レゴリス)は、ランバート面とは大きく異なって衝効果を示し、光を等方向に拡散するよりは、光源の方向に真っ直ぐに反射する傾向が強い。
このような天体の幾何アルベドは、双方向反射率分布関数の強いピークが位相角0°に近い小さな範囲にあるため、決定が難しい。このピークの強さは天体によってかなり異なり、十分小さな位相角での観測によってのみしか決定できない。このような測定は、観測者が入射光に非常に近い正確な位置を取らないといけないため、通常は難しい。例えば、月が正確に位相角0°の位置にあると食が生じてしまうため、地球からは見えない。他の太陽系の天体は、衝の時であっても、同時に昇交点にある時でなければ、正確に位相角0°になることはない。実際には、天体の方向反射率パラメータを求めるのに、0°ではない非常に小さな角度が使われている。これらにより記述される反射率関数を、位相角0°に外挿することで、幾何アルベドの評価値が得られる。
土星の衛星エンケラドゥスやテティスのように、非常に明るく、地表が固体で、大気のない天体では、合計の反射(ボンドアルベド)は1に近く、強い衝効果が働いて、幾何アルベドは1を超える(エンケラドゥスの場合は1.4)。つまり、天体の縁のような入射角が小さい場合であっても、光は光源の方向に向かって反射しやすい。1を超える幾何アルベドは、光源の方向に散乱する光の強さがあらゆるランバート面よりも高いことを意味する。
ボンドアルベド
ボンドアルベド(Bond albedo)は、天体に入射した電磁波のうち、反射して宇宙空間に散乱した割合である。提案したジョージ・フィリップス・ボンドにちなんで名付けられた。
ボンドアルベドは、全ての波長、全ての位相角を合計するため、天体がどれだけのエネルギーを吸収したのかを決定するために必要となる量である。また、天体の平衡温度の決定にも用いられる。
太陽系外の天体は、地球からは非常に低い位相角で観測されるため、天体の信頼できるボンドアルベドのデータは、探査機からしか得られない。
ボンドアルベドは、全ての波長、全ての位相角を合計するため、天体がどれだけのエネルギーを吸収したのかを決定するために必要となる量である。また、天体の平衡温度の決定にも用いられる。
太陽系外の天体は、地球からは非常に低い位相角で観測されるため、天体の信頼できるボンドアルベドのデータは、探査機からしか得られない。