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2014年02月13日
地層
地層(ちそう)とは、粘土、砂、礫等の砕屑物や火山礫、火山灰等の火山砕屑物、生物遺骸などが、水や風の力により運搬され、堆積してできた堆積物ないし堆積岩の内、垂直方向に比して水平方向の広がりが十分に広い(層状に分布している)ものの総称である。
目次 [非表示]
1 地層の形成と地層に見られる構造
2 地層の形成年代の推定
3 地層の分類
4 地層の調査に使われる道具
5 関連項目
6 参考文献
7 外部リンク
地層の形成と地層に見られる構造[編集]
地層は、その成因から水成層と風成層に区分される。以下に挙げるのは、水成層の形成過程である。
地球上には、水中や窪地などの環境がある。そのような所に、他の場所から侵食されてきた岩石や土砂が、降り積もったり、水によって運搬されてきたりして、堆積物が溜まっていく。これが層になり、地層が形成される。
地層は一般的に、水中のほぼ水平な面の上に、一定の厚さで溜まっていく。比較的均質な構成物からなる1枚の地層を単層と呼び、単層と単層の間の境界面を層理面という。普通、地層は地面の中に隠れており見ることはできないが、何らかの原因で地面の断面が見えるようなところでは、地層が観察できる。これを露頭という。典型的な露頭は、崖や、道路脇の地面が削り取られたところ、採石場、川岸の土手などで、粒径や構成物が異なった層からなる平行な帯のひとつとして観察することができる。グランドキャニオンのような大渓谷では、数億年に渡る期間の地層が観察できることもある。それぞれの単層の厚さは、1 mmにも満たないものから、1 kmを越えるものまで様々な場合がある。
それぞれの地層から、その層が堆積した環境を推定できる。水成堆積物では河口に近い位置で堆積したものほど粒度が荒い砂、離れるに従い細かくなり、シルト、粘土となる。地層を構成するものが生物である場合もあり、泥炭地で植物が堆積した石炭や深海で微生物が堆積したチャートなどがある。現在見つかっている最古の地層は、グリーンランドにある約40億年前の地層で、海底で作られたものと考えられている。
地層は、堆積する速度に変化はあるものの、おおむね連続して堆積している。これを整合と呼ぶ。これに対し、地層と地層の境界に非常に長い不連続があり、侵食により一部の地層が欠落しているものを不整合という。堆積が止まっている間に、地層が侵食されたり、傾いたり、褶曲したりといった変動があることも多い。そのようなところに、再び水平に地層が堆積したりする。下の地層と上の地層が平行なものを平行不整合と呼び、上の地層と下の地層が傾いていたり、下の地層が褶曲したりしているものを傾斜不整合と呼ぶ。また、下の地層が火成岩からなる場合は、非整合と呼ぶこともある。地層の欠落を伴わず、不連続の時間が非常に短い場合、時間間隙と呼んで不整合と区別することもある。不整合は、陸上でも海底でもつくられるが、いずれの場合も、岩石や土砂が堆積するような環境だった地域が、浸食される環境へ変化し、再び堆積する環境に戻ったことを示している。不整合面のすぐ上には、比較的大きな粒の礫が堆積していることが多く、基底礫岩と呼ばれる。これは、侵食された下部の地層の岩石から供給された礫である場合がある。
地層に見られる特徴的な堆積構造として、以下のものがある。
斜交層理(斜交葉理、クロスラミナ、cross-bedding)水流や風の速さ、向きが変化する環境で堆積が起こったときにできる、層理面と斜交した細かな縞模様である。当時の水流などの方向が推定できる。級化成層(級化層理、級化構造、graded bedding)構成粒子が、下部が粗粒で、上部に向かうにつれて連続的に細粒へと変化している単層のことである。時間とともに粒子を運搬する水流が弱まった場合や、乱泥流によって運ばれた粒子が堆積した場合に生じる。粗粒のほうが堆積した時点での下部だと分かるため、もともとの地層の上下方向を決めるのに役立つ。漣痕(砂紋、リップルマーク、ripple mark)水底に波が形成した模様が残ったものである。堆積した当時の上方に尖った形で残るため、上下判定に役立つ。スランプ構造(スランピング、slumping structure)海底などに堆積した堆積物が、固化していないうちに海底などの斜面を滑り落ち、不規則に乱堆積してできたものをいう。火炎構造(フレーム構造、flame structure)泥質堆積物が固結していないうちに上に砂質堆積物が堆積し、その重みで上位の砂が沈み込んで下位の泥が上昇したために、層理面が炎のように不規則な形になったものをいう。底痕(ソールマーク、sole mark)堆積粒子や水流そのものにより堆積物表面につけられた溝が、その上に堆積した砂礫によって充填されたもの。特にタービダイトのように泥層上に砂礫が堆積する際に形成されたものは、露頭では差別侵食のために観察しやすく、古流向を知る手がかりとして役立つ。化石層(fossil bed)水流などにより、化石が掃き寄せられて密集したものをいう。貝殻はよく化石層を形成している。砂管(サンドパイプ、sand pipe)海底の砂の中に生息していた動物が作った巣穴の跡である。巣穴の最上部は当時の海底で、巣が掘られている方向が当時の下だと推定できる。
地層は、地殻変動などがあると傾くことがある。地層が傾いている場合、層理面と水平線の交線の方向を走向、層理面と水平面のなす角を傾斜と呼び、この2つを使って、傾いた地層の方位を表す。走行・傾斜は、断層や、不整合面など、地質学で扱われる様々な面の方向を表すのにも用いられる。
地層に大きな力がかかったりすると、地層が曲がってしまうことがある。これを褶曲と呼ぶ。上に凸の部分を背斜、下に凸の部分を向斜と呼ぶ。また、曲がらずに、ある平面を境にしてずれることもある。これを断層と呼ぶ。地層が激しく褶曲した場合でも、地層が低角度の断層を伴ってずれ、ちぎれることがある。石油は、地層が背斜構造を示しロックキャップとなっている部分に溜まっていることが多い。
地層の中には、過去に地層を切って貫入したマグマが固結して残っていることがあり、岩脈と呼ばれる。岩脈は、過去のマグマが通った火道である。一般に、かなりの急傾斜であることが多い。また、過去に地上にマグマをもたらした火道が層状に残っている場合があり、岩床と呼ばれる。一般に、岩脈ほど傾斜はきつくない。また、花崗岩質岩石の作る大規模な岩体で、露出面積が100 km2以上のものを底盤(バソリス)と呼ぶ。
地層の形成年代の推定[編集]
地層は、堆積したままの状態であれば、下にあるものほど古く、上にあるものほど新しい。これを地層累重の法則と呼ぶ。これは、1669年に、ニコラウス・ステノが初めて提唱し、1791年に、ウィリアム・スミスによって確立された法則である。しかし、地層が垂直に近いほど傾いていたり、褶曲などによって上下がひっくり返っていたりすると、どちらが元々の上下かわからなくなってしまい、法則を使うことができない。その場合、級化成層や斜交層理といった堆積構造や、砂管のような化石証拠を使って上下判定を行う。
また、同時期に堆積した地層は、その堆積した地質時代に特有の化石を含むことから、上下の地層と区分され、かつ離れた地域に位置する露頭間で同一の地層の識別や対比が可能となる。これを化石による地層同定の法則といい、1816年、ウィリアム・スミスによって確立された。この法則と地層累重の法則を組み合わせることで、地層に化石による層序(生層序)に基づいた相対的な時間尺度が与えられる。
ある地層がいつ形成されたのかを知りたい場合、生息した地代が分かっている生物の化石(示準化石)や、噴出時期が分かっている火山灰の層などが利用される。このように、同時代に形成されたことを示す地層を鍵層と呼ぶ。また、地層は堆積するときは水平であること、地層累重の法則などから、地層がいつ堆積したか、侵食されたり、傾いたり、褶曲したり、断層ができたり、溶岩が貫入したのはいつかなどということを推定することができる。
地層の分類[編集]
地質学者は、堆積岩や火成岩等の岩石、砂礫等の堆積物とそれら岩相による層区分について研究・討議を重ね、地層命名についての指針を策定し、現在、地層名については、この指針に従って命名、分類されている。
それによれば、まず、別々の地層は、累層(あるいは層)と呼ばれ、これが地層分類の基本単元となる。層の固有名については、それぞれの層が広く露出していて研究に役立った地域(模式地)の地名から名前がとられ、「〜層」と名づけられる。例えば、カンブリア紀の生物化石が多数良好な状態で保存されていることで有名なバージェス頁岩は、暗い色で厚く、化石を産出する地層が、カナダのロッキー山脈にある、バージェス峠のそばで露出していたことから命名された。
ある層の中で岩相がわずかに違う場合、それらは部層に分けることができ、さらに最小単元となる単層、流堆積物などに細分されることもある。逆にいくつかの累層をまとめて層群と呼ぶことが多く、より大きくまとめて超層群などと言うこともある。これらを最小単元から順に並べると以下のようになる。ただし、最初の3つはどれも単層であるが、溶岩流の層や流堆積物の層は顕著な特徴をもつため特に分けて名づけられることがある。
単層(Bed):地層としてはそれ以上区分できない最小単元。
溶岩(Lava):溶岩流などの単層(最小単元)。
流堆積物(Flow Deposit):火砕流などの堆積物による単層(最小単元)。
部層(Member):層をやや細分したもの。
層(Formation):地層の基本単元。累層とも言う。
亜層群(Subgroup):層群をいくつかの部分に分ける場合に使う。
層群(Group):複数の層を含むまとまり。
超層群(Supergroup):複数の層群を含むまとまり。
岩相ではなく、地質年代で層序を区分する場合は、地質年代により、地名ないし地質年代区分名の後に〜界、〜系、〜統、〜階とつけて区分する(例:新生界、新第三系、中新統)。
地層の調査に使われる道具[編集]
地層の岩相を確認するために、まず露頭においては、構成する堆積物、堆積岩の風化を受けていない新鮮な面をハンマー等で明確にし、肉眼で観察を行う。場合によっては、標本を採取し、顕微鏡観察や、化学分析も行う。化石が含まれている場合は、化石の同定も行う。
地層の空間的な広がりを調べるには、露頭において地層の走向(面の向いている方向)と傾斜(面の鉛直方向の傾き)を調べる必要がある。このためには、特殊な目盛のついた磁針と、水準器によって構成されたクリノメーターと呼ばれる道具が使われる。
これらの情報を元に、岩石の分布や地質構造などを地形図上に表したものが地質図である。地質図を作成すると同時に、地下における岩石の分布や地質構造を(通常は鉛直断面で)表した地質断面図や、ある地点ないし全体を総括して地層の厚さや種類、特徴などを柱状に表したもの地質柱状図も作成されることも多い。
目次 [非表示]
1 地層の形成と地層に見られる構造
2 地層の形成年代の推定
3 地層の分類
4 地層の調査に使われる道具
5 関連項目
6 参考文献
7 外部リンク
地層の形成と地層に見られる構造[編集]
地層は、その成因から水成層と風成層に区分される。以下に挙げるのは、水成層の形成過程である。
地球上には、水中や窪地などの環境がある。そのような所に、他の場所から侵食されてきた岩石や土砂が、降り積もったり、水によって運搬されてきたりして、堆積物が溜まっていく。これが層になり、地層が形成される。
地層は一般的に、水中のほぼ水平な面の上に、一定の厚さで溜まっていく。比較的均質な構成物からなる1枚の地層を単層と呼び、単層と単層の間の境界面を層理面という。普通、地層は地面の中に隠れており見ることはできないが、何らかの原因で地面の断面が見えるようなところでは、地層が観察できる。これを露頭という。典型的な露頭は、崖や、道路脇の地面が削り取られたところ、採石場、川岸の土手などで、粒径や構成物が異なった層からなる平行な帯のひとつとして観察することができる。グランドキャニオンのような大渓谷では、数億年に渡る期間の地層が観察できることもある。それぞれの単層の厚さは、1 mmにも満たないものから、1 kmを越えるものまで様々な場合がある。
それぞれの地層から、その層が堆積した環境を推定できる。水成堆積物では河口に近い位置で堆積したものほど粒度が荒い砂、離れるに従い細かくなり、シルト、粘土となる。地層を構成するものが生物である場合もあり、泥炭地で植物が堆積した石炭や深海で微生物が堆積したチャートなどがある。現在見つかっている最古の地層は、グリーンランドにある約40億年前の地層で、海底で作られたものと考えられている。
地層は、堆積する速度に変化はあるものの、おおむね連続して堆積している。これを整合と呼ぶ。これに対し、地層と地層の境界に非常に長い不連続があり、侵食により一部の地層が欠落しているものを不整合という。堆積が止まっている間に、地層が侵食されたり、傾いたり、褶曲したりといった変動があることも多い。そのようなところに、再び水平に地層が堆積したりする。下の地層と上の地層が平行なものを平行不整合と呼び、上の地層と下の地層が傾いていたり、下の地層が褶曲したりしているものを傾斜不整合と呼ぶ。また、下の地層が火成岩からなる場合は、非整合と呼ぶこともある。地層の欠落を伴わず、不連続の時間が非常に短い場合、時間間隙と呼んで不整合と区別することもある。不整合は、陸上でも海底でもつくられるが、いずれの場合も、岩石や土砂が堆積するような環境だった地域が、浸食される環境へ変化し、再び堆積する環境に戻ったことを示している。不整合面のすぐ上には、比較的大きな粒の礫が堆積していることが多く、基底礫岩と呼ばれる。これは、侵食された下部の地層の岩石から供給された礫である場合がある。
地層に見られる特徴的な堆積構造として、以下のものがある。
斜交層理(斜交葉理、クロスラミナ、cross-bedding)水流や風の速さ、向きが変化する環境で堆積が起こったときにできる、層理面と斜交した細かな縞模様である。当時の水流などの方向が推定できる。級化成層(級化層理、級化構造、graded bedding)構成粒子が、下部が粗粒で、上部に向かうにつれて連続的に細粒へと変化している単層のことである。時間とともに粒子を運搬する水流が弱まった場合や、乱泥流によって運ばれた粒子が堆積した場合に生じる。粗粒のほうが堆積した時点での下部だと分かるため、もともとの地層の上下方向を決めるのに役立つ。漣痕(砂紋、リップルマーク、ripple mark)水底に波が形成した模様が残ったものである。堆積した当時の上方に尖った形で残るため、上下判定に役立つ。スランプ構造(スランピング、slumping structure)海底などに堆積した堆積物が、固化していないうちに海底などの斜面を滑り落ち、不規則に乱堆積してできたものをいう。火炎構造(フレーム構造、flame structure)泥質堆積物が固結していないうちに上に砂質堆積物が堆積し、その重みで上位の砂が沈み込んで下位の泥が上昇したために、層理面が炎のように不規則な形になったものをいう。底痕(ソールマーク、sole mark)堆積粒子や水流そのものにより堆積物表面につけられた溝が、その上に堆積した砂礫によって充填されたもの。特にタービダイトのように泥層上に砂礫が堆積する際に形成されたものは、露頭では差別侵食のために観察しやすく、古流向を知る手がかりとして役立つ。化石層(fossil bed)水流などにより、化石が掃き寄せられて密集したものをいう。貝殻はよく化石層を形成している。砂管(サンドパイプ、sand pipe)海底の砂の中に生息していた動物が作った巣穴の跡である。巣穴の最上部は当時の海底で、巣が掘られている方向が当時の下だと推定できる。
地層は、地殻変動などがあると傾くことがある。地層が傾いている場合、層理面と水平線の交線の方向を走向、層理面と水平面のなす角を傾斜と呼び、この2つを使って、傾いた地層の方位を表す。走行・傾斜は、断層や、不整合面など、地質学で扱われる様々な面の方向を表すのにも用いられる。
地層に大きな力がかかったりすると、地層が曲がってしまうことがある。これを褶曲と呼ぶ。上に凸の部分を背斜、下に凸の部分を向斜と呼ぶ。また、曲がらずに、ある平面を境にしてずれることもある。これを断層と呼ぶ。地層が激しく褶曲した場合でも、地層が低角度の断層を伴ってずれ、ちぎれることがある。石油は、地層が背斜構造を示しロックキャップとなっている部分に溜まっていることが多い。
地層の中には、過去に地層を切って貫入したマグマが固結して残っていることがあり、岩脈と呼ばれる。岩脈は、過去のマグマが通った火道である。一般に、かなりの急傾斜であることが多い。また、過去に地上にマグマをもたらした火道が層状に残っている場合があり、岩床と呼ばれる。一般に、岩脈ほど傾斜はきつくない。また、花崗岩質岩石の作る大規模な岩体で、露出面積が100 km2以上のものを底盤(バソリス)と呼ぶ。
地層の形成年代の推定[編集]
地層は、堆積したままの状態であれば、下にあるものほど古く、上にあるものほど新しい。これを地層累重の法則と呼ぶ。これは、1669年に、ニコラウス・ステノが初めて提唱し、1791年に、ウィリアム・スミスによって確立された法則である。しかし、地層が垂直に近いほど傾いていたり、褶曲などによって上下がひっくり返っていたりすると、どちらが元々の上下かわからなくなってしまい、法則を使うことができない。その場合、級化成層や斜交層理といった堆積構造や、砂管のような化石証拠を使って上下判定を行う。
また、同時期に堆積した地層は、その堆積した地質時代に特有の化石を含むことから、上下の地層と区分され、かつ離れた地域に位置する露頭間で同一の地層の識別や対比が可能となる。これを化石による地層同定の法則といい、1816年、ウィリアム・スミスによって確立された。この法則と地層累重の法則を組み合わせることで、地層に化石による層序(生層序)に基づいた相対的な時間尺度が与えられる。
ある地層がいつ形成されたのかを知りたい場合、生息した地代が分かっている生物の化石(示準化石)や、噴出時期が分かっている火山灰の層などが利用される。このように、同時代に形成されたことを示す地層を鍵層と呼ぶ。また、地層は堆積するときは水平であること、地層累重の法則などから、地層がいつ堆積したか、侵食されたり、傾いたり、褶曲したり、断層ができたり、溶岩が貫入したのはいつかなどということを推定することができる。
地層の分類[編集]
地質学者は、堆積岩や火成岩等の岩石、砂礫等の堆積物とそれら岩相による層区分について研究・討議を重ね、地層命名についての指針を策定し、現在、地層名については、この指針に従って命名、分類されている。
それによれば、まず、別々の地層は、累層(あるいは層)と呼ばれ、これが地層分類の基本単元となる。層の固有名については、それぞれの層が広く露出していて研究に役立った地域(模式地)の地名から名前がとられ、「〜層」と名づけられる。例えば、カンブリア紀の生物化石が多数良好な状態で保存されていることで有名なバージェス頁岩は、暗い色で厚く、化石を産出する地層が、カナダのロッキー山脈にある、バージェス峠のそばで露出していたことから命名された。
ある層の中で岩相がわずかに違う場合、それらは部層に分けることができ、さらに最小単元となる単層、流堆積物などに細分されることもある。逆にいくつかの累層をまとめて層群と呼ぶことが多く、より大きくまとめて超層群などと言うこともある。これらを最小単元から順に並べると以下のようになる。ただし、最初の3つはどれも単層であるが、溶岩流の層や流堆積物の層は顕著な特徴をもつため特に分けて名づけられることがある。
単層(Bed):地層としてはそれ以上区分できない最小単元。
溶岩(Lava):溶岩流などの単層(最小単元)。
流堆積物(Flow Deposit):火砕流などの堆積物による単層(最小単元)。
部層(Member):層をやや細分したもの。
層(Formation):地層の基本単元。累層とも言う。
亜層群(Subgroup):層群をいくつかの部分に分ける場合に使う。
層群(Group):複数の層を含むまとまり。
超層群(Supergroup):複数の層群を含むまとまり。
岩相ではなく、地質年代で層序を区分する場合は、地質年代により、地名ないし地質年代区分名の後に〜界、〜系、〜統、〜階とつけて区分する(例:新生界、新第三系、中新統)。
地層の調査に使われる道具[編集]
地層の岩相を確認するために、まず露頭においては、構成する堆積物、堆積岩の風化を受けていない新鮮な面をハンマー等で明確にし、肉眼で観察を行う。場合によっては、標本を採取し、顕微鏡観察や、化学分析も行う。化石が含まれている場合は、化石の同定も行う。
地層の空間的な広がりを調べるには、露頭において地層の走向(面の向いている方向)と傾斜(面の鉛直方向の傾き)を調べる必要がある。このためには、特殊な目盛のついた磁針と、水準器によって構成されたクリノメーターと呼ばれる道具が使われる。
これらの情報を元に、岩石の分布や地質構造などを地形図上に表したものが地質図である。地質図を作成すると同時に、地下における岩石の分布や地質構造を(通常は鉛直断面で)表した地質断面図や、ある地点ないし全体を総括して地層の厚さや種類、特徴などを柱状に表したもの地質柱状図も作成されることも多い。
褶曲
褶曲(しゅうきょく、英: fold[1])は、地層の側方から大きな力が掛かった際に、地層が曲がりくねるように変形する現象のこと。
褶曲は、野外の地質調査で見落とすもしくは判別できないと、地層累重の法則が適用できない場合がある。地震の力によって短時間で形成される場合もあるが、多くはプレートの移動などで長時間強い力を受け続けることで形成される。2方からの圧縮の力と、隆起や沈降の力などがかかって形成される。比較的固い岩盤の場合は、褶曲が形成される途中で破断して断層となることが多い。
目次 [非表示]
1 向斜・背斜
2 活褶曲
3 脚注
4 関連項目
向斜・背斜[編集]
地層の谷にあたる部分を向斜、山にあたる部分を背斜という。
向斜の場合、曲がりきった低い部分を底といい、各地層の断面の底を結んだ線を向斜軸面という。これが地形図に平面的に表される際には褶曲軸(向斜軸)と呼ばれる。この考え方は背斜でも同様に行われる(背斜軸面・背斜軸)。
向斜軸面(背斜軸面)は必ずしも鉛直方向にあるわけではなく、一定の傾斜がついているために、地形図の判読には注意する必要がある。
活褶曲[編集]
第四紀に入ってからも活動を続けている褶曲を、特に活褶曲(かつしゅうきょく、英: active fold[2])[3]と呼ぶ。新しいものなので、これよりも古い古期褶曲に比べて地表近くに多く存在し、河岸段丘などの段丘面の変形として表れやすい。活褶曲や活断層などをまとめて活構造と呼ぶ。
日本では、長岡平野や越後平野、庄内平野などの日本海東部沿岸に多くみられる[4]。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、148頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、66頁。ISBN 4-8181-8401-2。
3.^ 地震予知連絡会地震予知に関する基礎的用語集
4.^ 新潟油田地域の褶曲 : 形態と形成過程 帝国石油
褶曲は、野外の地質調査で見落とすもしくは判別できないと、地層累重の法則が適用できない場合がある。地震の力によって短時間で形成される場合もあるが、多くはプレートの移動などで長時間強い力を受け続けることで形成される。2方からの圧縮の力と、隆起や沈降の力などがかかって形成される。比較的固い岩盤の場合は、褶曲が形成される途中で破断して断層となることが多い。
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1 向斜・背斜
2 活褶曲
3 脚注
4 関連項目
向斜・背斜[編集]
地層の谷にあたる部分を向斜、山にあたる部分を背斜という。
向斜の場合、曲がりきった低い部分を底といい、各地層の断面の底を結んだ線を向斜軸面という。これが地形図に平面的に表される際には褶曲軸(向斜軸)と呼ばれる。この考え方は背斜でも同様に行われる(背斜軸面・背斜軸)。
向斜軸面(背斜軸面)は必ずしも鉛直方向にあるわけではなく、一定の傾斜がついているために、地形図の判読には注意する必要がある。
活褶曲[編集]
第四紀に入ってからも活動を続けている褶曲を、特に活褶曲(かつしゅうきょく、英: active fold[2])[3]と呼ぶ。新しいものなので、これよりも古い古期褶曲に比べて地表近くに多く存在し、河岸段丘などの段丘面の変形として表れやすい。活褶曲や活断層などをまとめて活構造と呼ぶ。
日本では、長岡平野や越後平野、庄内平野などの日本海東部沿岸に多くみられる[4]。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、148頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、66頁。ISBN 4-8181-8401-2。
3.^ 地震予知連絡会地震予知に関する基礎的用語集
4.^ 新潟油田地域の褶曲 : 形態と形成過程 帝国石油
トップリング
トップリング(Toppling failure)は、風化作用と地質条件を要因として岩塊や岩盤が斜面崩壊(崩落)する現象の一つ。トップリング破壊(トップリングはかい)とも呼ばれている。
目次 [非表示]
1 概要
2 主な災害・事故
3 出典
4 関連項目
概要[編集]
岩塊や岩盤が鉛直方向に伸びた節理や層理を境界面として側方に倒れ込む現象[1]。頭頂部が回転運動にように移動するため、崩壊の目撃者からは「屏風が倒れるように」、「壁が倒れるように」といった形容で証言が得られる(長野県大鹿村大西山崩壊の例)。自重による自壊、流れ盤上の直線運動的な崩落、地すべり的な円弧運動、凝灰角礫岩の礫質分脱落等とはメカニズムが異なる。崩壊の規模は、大きな落石程度から山体崩壊までさまざま。
主な災害・事故[編集]
1961年6月29日: 昭和36年梅雨前線豪雨梅雨前線災害
1989年7月16日: 越前海岸斜面崩落事故
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1 概要
2 主な災害・事故
3 出典
4 関連項目
概要[編集]
岩塊や岩盤が鉛直方向に伸びた節理や層理を境界面として側方に倒れ込む現象[1]。頭頂部が回転運動にように移動するため、崩壊の目撃者からは「屏風が倒れるように」、「壁が倒れるように」といった形容で証言が得られる(長野県大鹿村大西山崩壊の例)。自重による自壊、流れ盤上の直線運動的な崩落、地すべり的な円弧運動、凝灰角礫岩の礫質分脱落等とはメカニズムが異なる。崩壊の規模は、大きな落石程度から山体崩壊までさまざま。
主な災害・事故[編集]
1961年6月29日: 昭和36年梅雨前線豪雨梅雨前線災害
1989年7月16日: 越前海岸斜面崩落事故
流れ盤
流れ盤(ながればん)とは、岩盤(堆積岩層、火成岩層、変成岩層、互層状態など)の露頭において地層の傾斜が地形の傾斜に対して同一方向(流れ目)に傾斜していることをいう。地すべりの機構を解析する調査、土木工事では特に切土、また法面成形工事を行う際には注意すべき地質条件である。反対に、地層の傾斜が地形の傾斜に対して交差(差し目)しているのを受け盤という。
地層の傾斜は、露頭面の見かけの傾斜と実際の傾斜が異なることが多いので、クリノメーター等でしっかり走行面、傾斜面、割れ目の状態などを測定し、地質構造を把握する必要がある。
流れ盤の地質構造が地すべり活動を誘発させることもあるので、道路工事などで流れ板の斜面下部を直交する方向に掘削などを行う土木工事では、崩壊に備えた注意が必要である。
受け盤は比較的安定している場合が多いが、しばしばトップリングに伴う斜面崩壊、山体崩壊が発生する。
地層の傾斜は、露頭面の見かけの傾斜と実際の傾斜が異なることが多いので、クリノメーター等でしっかり走行面、傾斜面、割れ目の状態などを測定し、地質構造を把握する必要がある。
流れ盤の地質構造が地すべり活動を誘発させることもあるので、道路工事などで流れ板の斜面下部を直交する方向に掘削などを行う土木工事では、崩壊に備えた注意が必要である。
受け盤は比較的安定している場合が多いが、しばしばトップリングに伴う斜面崩壊、山体崩壊が発生する。
土石流
土石流(どせきりゅう、英語:debris flow)とは、土砂が水(雨水や地下水)と混合して、河川・渓流などを流下する現象のこと[1]。土砂災害の原因の一つ。山津波(やまつなみ)ともいう。
なお、日本の法令上は「土石流」について「山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象」と定義されている(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律2条)。
目次 [非表示]
1 発生のメカニズム
2 鉄砲水との区別
3 対策
4 避難の目安
5 脚注
6 関連項目
発生のメカニズム[編集]
土石流は、集中豪雨が主要因となる[2]。発生のメカニズムは大きく次の3つに区分される場合が多い。
1.渓流内に堆積している不安定な土砂が、集中豪雨等による異常な出水のはたらきで流動化し、土石流となる場合。
2.集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり発生した山腹崩壊(土砂崩れ)の崩壊土砂が、多量の湧水や表流水を得て流動化し、渓流内に流れ込みそのまま土石流化する場合。なお、このケースの物理的なメカニズムは未だに解明されていない。
3.集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり、地すべりや山腹崩壊が発生した際、その崩壊土砂により河川が一時的に閉塞されて天然ダムを形成する。その後、湛水に伴う水位上昇により、それが決壊して土石流化する場合。
また、火山の噴火に伴う融雪[3]、火山湖の決壊、地震による山体崩壊[4]などに起因することもある。
鉄砲水との区別[編集]
流れてきたものが土砂の割合が多ければ土石流、水分の割合が多ければ鉄砲水と区別される。
対策[編集]
土石流の流下を抑止するために設置された砂防ダム(スリットダム)
土石流の発生や流下する区間は、河川の勾配により推測することができる。一般に土石流の発生区間は、河床勾配15度以上の勾配を有する区間であり、8度を下回ると堆積が始まり、3度以下で水と土石が分離して停止する。ただし、実際に流下する際には、渓流幅の変化や流体中の石レキ成分比、含水率によって変化する[5]。
砂防事業による砂防ダム、治山事業による治山ダムなどの発生源対策、流下抑止対策。雨量観測及びデータ送信システムの整備、地域住民の伝達等の避難態勢の構築等が対策となる。
避難の目安[編集]
土石流の発生は、雨量計で把握できない局所的な集中豪雨が引き金となる場合もあり、地元自治体からの避難勧告はもとより、自発的な判断による早期の避難が安全につながる。特に、上流域での突発的な雷雨は危険である。現在地では天気が良くても、上流域で集中豪雨などがあった、山の方から聞いたこともない音(地鳴り、山鳴り)がする、普段は水が流れていない箇所から水が噴き出した、急に河川の水量が減ったなどの見慣れない現象は避難の目安となる。
また、一概には言えないものの、大川よりも、普段は流量も少なく幅も狭いが傾斜が急である河川で発生することが多い。土石流危険渓流に指定されている河川には特にその危険が大きい。
なお、日本の法令上は「土石流」について「山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象」と定義されている(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律2条)。
目次 [非表示]
1 発生のメカニズム
2 鉄砲水との区別
3 対策
4 避難の目安
5 脚注
6 関連項目
発生のメカニズム[編集]
土石流は、集中豪雨が主要因となる[2]。発生のメカニズムは大きく次の3つに区分される場合が多い。
1.渓流内に堆積している不安定な土砂が、集中豪雨等による異常な出水のはたらきで流動化し、土石流となる場合。
2.集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり発生した山腹崩壊(土砂崩れ)の崩壊土砂が、多量の湧水や表流水を得て流動化し、渓流内に流れ込みそのまま土石流化する場合。なお、このケースの物理的なメカニズムは未だに解明されていない。
3.集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり、地すべりや山腹崩壊が発生した際、その崩壊土砂により河川が一時的に閉塞されて天然ダムを形成する。その後、湛水に伴う水位上昇により、それが決壊して土石流化する場合。
また、火山の噴火に伴う融雪[3]、火山湖の決壊、地震による山体崩壊[4]などに起因することもある。
鉄砲水との区別[編集]
流れてきたものが土砂の割合が多ければ土石流、水分の割合が多ければ鉄砲水と区別される。
対策[編集]
土石流の流下を抑止するために設置された砂防ダム(スリットダム)
土石流の発生や流下する区間は、河川の勾配により推測することができる。一般に土石流の発生区間は、河床勾配15度以上の勾配を有する区間であり、8度を下回ると堆積が始まり、3度以下で水と土石が分離して停止する。ただし、実際に流下する際には、渓流幅の変化や流体中の石レキ成分比、含水率によって変化する[5]。
砂防事業による砂防ダム、治山事業による治山ダムなどの発生源対策、流下抑止対策。雨量観測及びデータ送信システムの整備、地域住民の伝達等の避難態勢の構築等が対策となる。
避難の目安[編集]
土石流の発生は、雨量計で把握できない局所的な集中豪雨が引き金となる場合もあり、地元自治体からの避難勧告はもとより、自発的な判断による早期の避難が安全につながる。特に、上流域での突発的な雷雨は危険である。現在地では天気が良くても、上流域で集中豪雨などがあった、山の方から聞いたこともない音(地鳴り、山鳴り)がする、普段は水が流れていない箇所から水が噴き出した、急に河川の水量が減ったなどの見慣れない現象は避難の目安となる。
また、一概には言えないものの、大川よりも、普段は流量も少なく幅も狭いが傾斜が急である河川で発生することが多い。土石流危険渓流に指定されている河川には特にその危険が大きい。
地すべり
地すべり(じすべり、英語:landslide)とは、土砂移動の一形態。
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1 概要
2 すべり面
3 移動の原因 3.1 自然に発生する場合
3.2 人為的に発生する原因
4 移動速度
5 対策
6 地球以外の地すべり
7 出典
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
概要[編集]
地すべりは、斜面を形成する地塊(土砂・岩塊)が、地下の地層中に円弧状または平面状に形成される地質的不連続面、すなわち「すべり面」を境にして、すべり面上の地塊が移動する現象である。一般に、土砂災害においては、すべり面を持たない単純な「斜面崩壊(土砂崩れ)」や「がけ崩れ」と混同されることが多いが、「すべり面」を境に移動する特徴から、それらの土砂災害とは明確に区別される。
日本の地すべり等防止法では「地すべり」は「土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴って移動する現象」と定義されている(地すべり等防止法2条1項)。
漢字で表記する際に「地滑り」や「地辿り」と書かれる場合があるが、正しくは「地辷り」である。「辷」が常用漢字ではないため、日本地すべり学会では「地すべり」と表記している。法令上は「地すべり」と表記している場合(地すべり等防止法)と「地滑り」と表記している場合(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)とがある。
すべり面[編集]
地すべり面の判定に使うボーリングコア。ボーリング時に細粒分が洗い流されることもあり、すべり面の判定は知識と経験が要求される。
すべり面は、地中に二次元的、三次元的に形成される。主に粘土鉱物を含んだ第三紀層の堆積岩や、火山活動(熱水、温泉水の影響)などによる粘土化を受けた、強度の低い堆積岩内や粘土層で生じるケースが多い。すべり面は、固さの異なる地層の境目などに形成されやすく、特に地層面が流れ盤状に傾斜した状況下で、風化して脆くなった地層にすべり面が形成されたり、固い地盤の上に堆積した柔らかい粘土質の地盤が、その境目をすべり面として移動するケースが多い。多くの場合、すべり面となる不連続面では恒常的に地下水が浸透して劣化が進んでおり、地下水によって地塊に働く浮力と相まって地塊の重さに耐えきれずせん断破壊することにより地すべりが発生する。すべり面はせん断破壊を伴う地塊の移動現象であり、そういう意味では断層のメカニズムに類似した一面もある。なお、すべり面の厚さは一般に数mm程度の厚さしかない。すべり面の部分をサンプルとして採取すると、せん断破壊によって形成された、光沢のあるきれいな平面が観察されることが良くある。この状態を「鏡肌」と称している。
すべり面の形状や分布状況を調査・特定することは、対策工事の計画には不可欠な作業である。地表面に現れた亀裂や隆起・陥没の状況を「現地踏査」によって観察し、まずは大まかな平面形状を推測する。そして、その中心線を基準に数カ所でボーリング調査を行い、ボーリングによって得られたサンプル(ボーリングコア)をよく観察して、各地点ですべり面の深さを判定する。動きの遅い地すべりの場合は、ボーリング調査後の孔に歪み計を埋設し、数ヶ月間、歪みの蓄積状況を観測する場合がある。観測結果を解析することにより、歪みの大きな深度にすべり面があると推測する。これらの作業により、すべり面の形状を三次元的に捉えることが可能となり、その他の調査方法も併用して地すべりの移動速度などを知ることが可能となる。すべり面の深度は、地すべりの規模にもよるが数m〜数10m程度であることが多い。
地すべりは、それまで何の異変も無かった斜面で新たにすべり面が形成されて滑り出す「新生地すべり」と、過去に活動した履歴のある「古地すべり」が再び地盤の安定を失って滑動するケースがあるが、対策工事を必要とする大規模な地すべりのほとんどは後者であると言われている。従って、地すべりの調査において、地形図や航空写真(空中写真)を使った予備調査によって地すべりの特徴を示す地形を探し、古地すべりの存在が疑われる箇所の有無をある程度把握しておくことは非常に重要である。
移動の原因[編集]
地すべりが発生する場所には、地形・地質条件など幾つもの自然条件から規制を受ける素因と、すべり滑動発生の引き金となった何らかの誘因がある。この地すべり発生機構を把握することで、形態や範囲を特定したマス・ムーブメント(移動ブロック)として対策が可能となる。
地すべりの移動は、すべり面上に載っている地塊が滑動しようとする力が、すべり面の剪断強度を上回った場合に発生する。地すべりの移動には、地質的な条件に加え、地下水の分布状況が非常に密接に関わっていることが知られている。一般に、地すべりは雪解けの時期や梅雨時、台風による豪雨など、地下水の水位が大きく上昇する時期に多く発生する。土塊が地下水を多量に含んで重量が著しく増加すると共に、地下水の存在がすべり面の剪断強度を大きく低下させるためである。従って、年間の降水量(降雪も含む)が多い地域や、地すべりの発生しやすい地質条件の地域(特に、火山性の堆積物が多い地域や凝灰岩・泥岩などが多く産出する地域)では、地すべりの多発地帯として知られる場所が多い。本州の日本海側から東北地方、北海道東部などに多く存在するグリーンタフ地域や、雪解け時期の豪雪地帯において地すべりが多発することがよく知られている。
自然に発生する場合[編集]
融雪、豪雨、地下水位の上昇など、水に関係するもの
地震の振動に伴うもの
人為的に発生する原因[編集]
既存の地すべり土塊が、道路建設などにより末端部が削られ安定を失って発生するもの
ダム建設、ため池など農業用水の設置に伴う地下水位の変化によるもの
移動速度[編集]
一般に地すべり地塊の移動の速度は通常年間数mmから数cm程度で、目に見えないほど緩やかなものである。従って、よほど注意して観察しない限り、地すべりの活動を実感することは少ない。そのため、非常に古くから活動している地すべり地帯では、沢山の集落が形成されている例も多い。古くから地すべりが多く発生する場所は一般に地下水が豊富であるために住みやすく、また土壌も肥沃であることから稲作や畑作に非常に適しているため、先人が好んで定住し、集落が形成されるのである。
しかし、地すべりの運動が活発になると、徐々に地盤が変形することで家の構造に歪みが生じ、ふすまやドアが開かなくなる、壁にヒビが入る、周辺地盤が陥没する、井戸水が濁る、道路に亀裂が入る、などの変動が見られることがある。また、豪雨など短時間に多量の降雨があった場合などは、希に地塊の移動速度が急激に加速することもあり、動態観測によって危険と判断されれば、周辺住民に対して避難勧告や避難命令が出される場合もある。しかし、地すべりが突発的に活動を始めた場合や、移動の活発化の兆候を把握できなかった場合は避難指示が追いつかず、多数の死者や行方不明者が出る惨事になることも多い。さらに、滑落した土砂や隆起した地盤によって河川が閉塞されてしまうと天然ダムができ、それが一気に決壊することで土石流が発生し、下流域集落を飲み込むなどの災害を引き起こすこともある。
対策[編集]
地すべり地塊の移動が顕著に認められた場合には、災害からの安全を確保する防止施設として対策工事が必要に成る。対策工法は個別に地すべり機構、保全対象物、工法の経済性等を勘案した「抑制工」と「抑止工」に大別される。
抑制工は、地すべりの活動を活発化させる要因である地下水を、井戸(集水井)や排水用のトンネル、横穴ボーリングなどによって地すべり区域から排出して地下水位を下げ、さらに雨水などが浸透しにくいように水路を整備するなど、移動土塊類の推進力を低減させるための自然条件を変化させる工法を指す。崩れた斜面をブルーシートで覆い、雨水の浸透を防ぐ応急処置も抑制工の一つである。また、土砂掘削が可能な場合は、地すべりの上部の土砂を取り除いて荷重を減らし、逆に末端部では盛土をして地塊の重量バランスを安定させ、移動を押さえ込むこともある。地すべり災害関連などでは、後の抑止工をスムーズに行うことを可能にするための「応急処置」と位置づけられることも多い。
抑止工は、コンクリート杭や鋼管杭などを移動地塊に打ち込み、すべり面より下の堅固な地盤に固定することで地塊の移動を止める「杭工」や、同じくすべり面下の地盤にワイヤーの束等を固定し、それを引っ張って地表面に定着させ、ワイヤーの張力で移動地塊を締め付け又は待ち受けて引き止める「アンカー工」などが多く採用される。一般には、抑制工によって地すべりの運動が概ね沈静化してから着工し、これを恒久的な対策工事として定着させることを目的として施行される。抑制工のみで地すべり滑動が沈静化したと推察される場合は、長期間に亘って動態観測等を実施した総合的な効果判定により、抑止工施工の有無が決定される。
日本の地すべり地で、民家や農地に影響を与える箇所については、農林水産省や国土交通省が地すべり等防止法に基づき「地すべり防止区域」に指定し、国や都道府県が対策を行っている。地すべり防止区域内では、地すべりの運動に影響を与える恐れのある土砂掘削や地下水のくみ上げなどの行為を無許可で行うことが禁じられている。
日本の地すべり対策事業の先駆者に谷口敏雄がいる。
集水井(地附山)
杭工(地附山)
地球以外の地すべり[編集]
地球型惑星や衛星であれば、地すべりが発生する可能性はあるが、ある程度大きな重力の存在や地球上の地下水のように土塊が移動する際の大きな摩擦を軽減する要素がある天体は限られる[1]。近年の惑星探査の結果により、金星や火星、木星の衛星イオや土星の衛星イアペトゥスなどでは大規模な地すべりが確認されるようになった[2]。
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1 概要
2 すべり面
3 移動の原因 3.1 自然に発生する場合
3.2 人為的に発生する原因
4 移動速度
5 対策
6 地球以外の地すべり
7 出典
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
概要[編集]
地すべりは、斜面を形成する地塊(土砂・岩塊)が、地下の地層中に円弧状または平面状に形成される地質的不連続面、すなわち「すべり面」を境にして、すべり面上の地塊が移動する現象である。一般に、土砂災害においては、すべり面を持たない単純な「斜面崩壊(土砂崩れ)」や「がけ崩れ」と混同されることが多いが、「すべり面」を境に移動する特徴から、それらの土砂災害とは明確に区別される。
日本の地すべり等防止法では「地すべり」は「土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴って移動する現象」と定義されている(地すべり等防止法2条1項)。
漢字で表記する際に「地滑り」や「地辿り」と書かれる場合があるが、正しくは「地辷り」である。「辷」が常用漢字ではないため、日本地すべり学会では「地すべり」と表記している。法令上は「地すべり」と表記している場合(地すべり等防止法)と「地滑り」と表記している場合(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)とがある。
すべり面[編集]
地すべり面の判定に使うボーリングコア。ボーリング時に細粒分が洗い流されることもあり、すべり面の判定は知識と経験が要求される。
すべり面は、地中に二次元的、三次元的に形成される。主に粘土鉱物を含んだ第三紀層の堆積岩や、火山活動(熱水、温泉水の影響)などによる粘土化を受けた、強度の低い堆積岩内や粘土層で生じるケースが多い。すべり面は、固さの異なる地層の境目などに形成されやすく、特に地層面が流れ盤状に傾斜した状況下で、風化して脆くなった地層にすべり面が形成されたり、固い地盤の上に堆積した柔らかい粘土質の地盤が、その境目をすべり面として移動するケースが多い。多くの場合、すべり面となる不連続面では恒常的に地下水が浸透して劣化が進んでおり、地下水によって地塊に働く浮力と相まって地塊の重さに耐えきれずせん断破壊することにより地すべりが発生する。すべり面はせん断破壊を伴う地塊の移動現象であり、そういう意味では断層のメカニズムに類似した一面もある。なお、すべり面の厚さは一般に数mm程度の厚さしかない。すべり面の部分をサンプルとして採取すると、せん断破壊によって形成された、光沢のあるきれいな平面が観察されることが良くある。この状態を「鏡肌」と称している。
すべり面の形状や分布状況を調査・特定することは、対策工事の計画には不可欠な作業である。地表面に現れた亀裂や隆起・陥没の状況を「現地踏査」によって観察し、まずは大まかな平面形状を推測する。そして、その中心線を基準に数カ所でボーリング調査を行い、ボーリングによって得られたサンプル(ボーリングコア)をよく観察して、各地点ですべり面の深さを判定する。動きの遅い地すべりの場合は、ボーリング調査後の孔に歪み計を埋設し、数ヶ月間、歪みの蓄積状況を観測する場合がある。観測結果を解析することにより、歪みの大きな深度にすべり面があると推測する。これらの作業により、すべり面の形状を三次元的に捉えることが可能となり、その他の調査方法も併用して地すべりの移動速度などを知ることが可能となる。すべり面の深度は、地すべりの規模にもよるが数m〜数10m程度であることが多い。
地すべりは、それまで何の異変も無かった斜面で新たにすべり面が形成されて滑り出す「新生地すべり」と、過去に活動した履歴のある「古地すべり」が再び地盤の安定を失って滑動するケースがあるが、対策工事を必要とする大規模な地すべりのほとんどは後者であると言われている。従って、地すべりの調査において、地形図や航空写真(空中写真)を使った予備調査によって地すべりの特徴を示す地形を探し、古地すべりの存在が疑われる箇所の有無をある程度把握しておくことは非常に重要である。
移動の原因[編集]
地すべりが発生する場所には、地形・地質条件など幾つもの自然条件から規制を受ける素因と、すべり滑動発生の引き金となった何らかの誘因がある。この地すべり発生機構を把握することで、形態や範囲を特定したマス・ムーブメント(移動ブロック)として対策が可能となる。
地すべりの移動は、すべり面上に載っている地塊が滑動しようとする力が、すべり面の剪断強度を上回った場合に発生する。地すべりの移動には、地質的な条件に加え、地下水の分布状況が非常に密接に関わっていることが知られている。一般に、地すべりは雪解けの時期や梅雨時、台風による豪雨など、地下水の水位が大きく上昇する時期に多く発生する。土塊が地下水を多量に含んで重量が著しく増加すると共に、地下水の存在がすべり面の剪断強度を大きく低下させるためである。従って、年間の降水量(降雪も含む)が多い地域や、地すべりの発生しやすい地質条件の地域(特に、火山性の堆積物が多い地域や凝灰岩・泥岩などが多く産出する地域)では、地すべりの多発地帯として知られる場所が多い。本州の日本海側から東北地方、北海道東部などに多く存在するグリーンタフ地域や、雪解け時期の豪雪地帯において地すべりが多発することがよく知られている。
自然に発生する場合[編集]
融雪、豪雨、地下水位の上昇など、水に関係するもの
地震の振動に伴うもの
人為的に発生する原因[編集]
既存の地すべり土塊が、道路建設などにより末端部が削られ安定を失って発生するもの
ダム建設、ため池など農業用水の設置に伴う地下水位の変化によるもの
移動速度[編集]
一般に地すべり地塊の移動の速度は通常年間数mmから数cm程度で、目に見えないほど緩やかなものである。従って、よほど注意して観察しない限り、地すべりの活動を実感することは少ない。そのため、非常に古くから活動している地すべり地帯では、沢山の集落が形成されている例も多い。古くから地すべりが多く発生する場所は一般に地下水が豊富であるために住みやすく、また土壌も肥沃であることから稲作や畑作に非常に適しているため、先人が好んで定住し、集落が形成されるのである。
しかし、地すべりの運動が活発になると、徐々に地盤が変形することで家の構造に歪みが生じ、ふすまやドアが開かなくなる、壁にヒビが入る、周辺地盤が陥没する、井戸水が濁る、道路に亀裂が入る、などの変動が見られることがある。また、豪雨など短時間に多量の降雨があった場合などは、希に地塊の移動速度が急激に加速することもあり、動態観測によって危険と判断されれば、周辺住民に対して避難勧告や避難命令が出される場合もある。しかし、地すべりが突発的に活動を始めた場合や、移動の活発化の兆候を把握できなかった場合は避難指示が追いつかず、多数の死者や行方不明者が出る惨事になることも多い。さらに、滑落した土砂や隆起した地盤によって河川が閉塞されてしまうと天然ダムができ、それが一気に決壊することで土石流が発生し、下流域集落を飲み込むなどの災害を引き起こすこともある。
対策[編集]
地すべり地塊の移動が顕著に認められた場合には、災害からの安全を確保する防止施設として対策工事が必要に成る。対策工法は個別に地すべり機構、保全対象物、工法の経済性等を勘案した「抑制工」と「抑止工」に大別される。
抑制工は、地すべりの活動を活発化させる要因である地下水を、井戸(集水井)や排水用のトンネル、横穴ボーリングなどによって地すべり区域から排出して地下水位を下げ、さらに雨水などが浸透しにくいように水路を整備するなど、移動土塊類の推進力を低減させるための自然条件を変化させる工法を指す。崩れた斜面をブルーシートで覆い、雨水の浸透を防ぐ応急処置も抑制工の一つである。また、土砂掘削が可能な場合は、地すべりの上部の土砂を取り除いて荷重を減らし、逆に末端部では盛土をして地塊の重量バランスを安定させ、移動を押さえ込むこともある。地すべり災害関連などでは、後の抑止工をスムーズに行うことを可能にするための「応急処置」と位置づけられることも多い。
抑止工は、コンクリート杭や鋼管杭などを移動地塊に打ち込み、すべり面より下の堅固な地盤に固定することで地塊の移動を止める「杭工」や、同じくすべり面下の地盤にワイヤーの束等を固定し、それを引っ張って地表面に定着させ、ワイヤーの張力で移動地塊を締め付け又は待ち受けて引き止める「アンカー工」などが多く採用される。一般には、抑制工によって地すべりの運動が概ね沈静化してから着工し、これを恒久的な対策工事として定着させることを目的として施行される。抑制工のみで地すべり滑動が沈静化したと推察される場合は、長期間に亘って動態観測等を実施した総合的な効果判定により、抑止工施工の有無が決定される。
日本の地すべり地で、民家や農地に影響を与える箇所については、農林水産省や国土交通省が地すべり等防止法に基づき「地すべり防止区域」に指定し、国や都道府県が対策を行っている。地すべり防止区域内では、地すべりの運動に影響を与える恐れのある土砂掘削や地下水のくみ上げなどの行為を無許可で行うことが禁じられている。
日本の地すべり対策事業の先駆者に谷口敏雄がいる。
集水井(地附山)
杭工(地附山)
地球以外の地すべり[編集]
地球型惑星や衛星であれば、地すべりが発生する可能性はあるが、ある程度大きな重力の存在や地球上の地下水のように土塊が移動する際の大きな摩擦を軽減する要素がある天体は限られる[1]。近年の惑星探査の結果により、金星や火星、木星の衛星イオや土星の衛星イアペトゥスなどでは大規模な地すべりが確認されるようになった[2]。
蛇紋岩
蛇紋岩(じゃもんがん、serpentinite)は、主に蛇紋石(serpentine)からなる岩石である。変成岩ないし火成岩中の超塩基性岩のどちらかに分類される。岩石の表面に蛇のような紋様が見られることから、蛇紋岩と命名。
目次 [非表示]
1 概要
2 特性
3 蛇紋岩米
4 関連項目
5 参考文献
6 外部リンク
概要[編集]
かんらん岩などの超塩基性岩類が水と反応し、蛇紋岩化作用(もしくは蛇紋石化作用)を受けることで生成すると考えられている。蛇紋石化作用は主に超塩基性岩類中のカンラン石で起こり、カンラン石と水から蛇紋石と磁鉄鉱が生成される反応で表される。蛇紋岩化作用の程度は岩体により様々で、作用の弱いものは原岩を構成する鉱物が多く残り、作用の強いものはそのほとんどが蛇紋石化している。
特性[編集]
至仏山頂に露出する蛇紋岩
蛇紋岩は風化作用を受けやすく、もろくて崩れやすい性質がある。そのため、蛇紋岩で形成された山岳(例えば越後山脈の谷川岳や至仏山)などでは、滑落事故が起こりやすい。岩石の表面は、スメクタイトなどの粘土鉱物を含み平滑状となっていることが多く、断層などの滑り面には強い鏡のような光沢(鏡面反射)が形成されることもある。
クロム、石綿、ニッケルなど鉱物資源を内包していることが多く、産出地においては鉱業開発が進められる場合もある。また、蛇紋岩自体も加工されて肥料として用いられる。
蛇紋岩米[編集]
兵庫県養父市の八鹿町八木地区など一部に広がる蛇紋岩土壌の上で育った米を蛇紋岩米という。養父市では八木川が蛇紋岩を削るためマグネシウムとカリウムに恵まれた土壌が形成され、氷ノ山・鉢伏山系からの清水や日照、昼夜の温度差などとの相乗効果により非常に高い旨み値を持つ米が育つ。 その味は確かで、無印良品の「Café & Meal MUJI」でも取り扱われている。
関連項目[編集]
岩石 - 火成岩・変成岩
岩石の一覧
蛇紋石
地すべり
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1 概要
2 特性
3 蛇紋岩米
4 関連項目
5 参考文献
6 外部リンク
概要[編集]
かんらん岩などの超塩基性岩類が水と反応し、蛇紋岩化作用(もしくは蛇紋石化作用)を受けることで生成すると考えられている。蛇紋石化作用は主に超塩基性岩類中のカンラン石で起こり、カンラン石と水から蛇紋石と磁鉄鉱が生成される反応で表される。蛇紋岩化作用の程度は岩体により様々で、作用の弱いものは原岩を構成する鉱物が多く残り、作用の強いものはそのほとんどが蛇紋石化している。
特性[編集]
至仏山頂に露出する蛇紋岩
蛇紋岩は風化作用を受けやすく、もろくて崩れやすい性質がある。そのため、蛇紋岩で形成された山岳(例えば越後山脈の谷川岳や至仏山)などでは、滑落事故が起こりやすい。岩石の表面は、スメクタイトなどの粘土鉱物を含み平滑状となっていることが多く、断層などの滑り面には強い鏡のような光沢(鏡面反射)が形成されることもある。
クロム、石綿、ニッケルなど鉱物資源を内包していることが多く、産出地においては鉱業開発が進められる場合もある。また、蛇紋岩自体も加工されて肥料として用いられる。
蛇紋岩米[編集]
兵庫県養父市の八鹿町八木地区など一部に広がる蛇紋岩土壌の上で育った米を蛇紋岩米という。養父市では八木川が蛇紋岩を削るためマグネシウムとカリウムに恵まれた土壌が形成され、氷ノ山・鉢伏山系からの清水や日照、昼夜の温度差などとの相乗効果により非常に高い旨み値を持つ米が育つ。 その味は確かで、無印良品の「Café & Meal MUJI」でも取り扱われている。
関連項目[編集]
岩石 - 火成岩・変成岩
岩石の一覧
蛇紋石
地すべり
かんらん岩
かんらん岩[1][2](かんらんがん、橄欖岩、英: peridotite) は火成岩(深成岩)の一種で、SiO2 成分に乏しい超塩基性岩に分類される。主にかんらん石[3]からなり、そのほかに斜方輝石、単斜輝石などを含む。
目次 [非表示]
1 成分・種類
2 産出地
3 性質・特徴
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
成分・種類[編集]
超苦鉄質岩(有色鉱物90%以上)の分類
岩石に含まれる鉱物量比により、さらに4つの岩石に分類される。
ダンかんらん岩[1][2](dunite、ダナイト)かんらん石が全体の90%以上を占めるもの。斜方輝石かんらん岩[1](harzburgite、ハルツバージャイト[2])かんらん石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石に富むもの。単斜輝石かんらん岩[1](wehrlite、ウェールライト)かんらん石を50%以上含む岩石のうち、単斜輝石に富むもの。複輝石かんらん岩[1](lherzolite、レールゾライト[2])かんらん石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石と単斜輝石の両方が伴われるもの。複輝石かんらん岩が部分溶融して玄武岩質マグマを生成すると考えられている。
ダンかんらん岩(ダナイト)
複輝石かんらん岩(レールゾライト)
産出地[編集]
かんらん岩はマントル上部を構成する岩石の一つであり[4]、そのほとんどが地下深くに存在する。
地表で見られるものには、地殻が捲れあがってマントル物質が地表に現れたものや、マグマ等が急激に上昇する際に、捕獲岩として運ばれてきたものがある。他の超塩基性岩類や塩基性岩などと共にオフィオライトの一部を構成することが多い。
低圧では斜長石かんらん岩、中圧ではスピネルかんらん岩、高圧では柘榴石かんらん岩となる。
性質・特徴[編集]
かんらん岩は変成作用を受けやすく、地表で見られる場合には、蛇紋岩に変化している場合がほとんどである
目次 [非表示]
1 成分・種類
2 産出地
3 性質・特徴
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
成分・種類[編集]
超苦鉄質岩(有色鉱物90%以上)の分類
岩石に含まれる鉱物量比により、さらに4つの岩石に分類される。
ダンかんらん岩[1][2](dunite、ダナイト)かんらん石が全体の90%以上を占めるもの。斜方輝石かんらん岩[1](harzburgite、ハルツバージャイト[2])かんらん石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石に富むもの。単斜輝石かんらん岩[1](wehrlite、ウェールライト)かんらん石を50%以上含む岩石のうち、単斜輝石に富むもの。複輝石かんらん岩[1](lherzolite、レールゾライト[2])かんらん石を50%以上含む岩石のうち、斜方輝石と単斜輝石の両方が伴われるもの。複輝石かんらん岩が部分溶融して玄武岩質マグマを生成すると考えられている。
ダンかんらん岩(ダナイト)
複輝石かんらん岩(レールゾライト)
産出地[編集]
かんらん岩はマントル上部を構成する岩石の一つであり[4]、そのほとんどが地下深くに存在する。
地表で見られるものには、地殻が捲れあがってマントル物質が地表に現れたものや、マグマ等が急激に上昇する際に、捕獲岩として運ばれてきたものがある。他の超塩基性岩類や塩基性岩などと共にオフィオライトの一部を構成することが多い。
低圧では斜長石かんらん岩、中圧ではスピネルかんらん岩、高圧では柘榴石かんらん岩となる。
性質・特徴[編集]
かんらん岩は変成作用を受けやすく、地表で見られる場合には、蛇紋岩に変化している場合がほとんどである
ブルーグラウンド
、 検索
ブルーグラウンドは鉱業の用語で、主にダイヤモンドの鉱床であるキンバーライト(岩石名)が酸化されていない土壌のことを言う。酸化していないキンバーライトが青く見えることから、こう呼ばれる。
ダイヤモンドは、ほとんどがキンバーライトの鉱脈から取れることから、ダイヤモンドの鉱床を探す際には、まずキンバーライトの鉱脈であるブルーグラウンドを探すことから始められる。しかし全てのブルーグラウンドがダイヤモンドを含むわけではない。近代的な探知機を用いた鉱脈探しが行われる以前は、まずキンバーライトが酸化した土壌であるイエローグラウンドを探し、その近くにブルーグラウンドを探し、パイプ状になっているキンバーライトの鉱脈を探していた。
ブルーグラウンドは、南アフリカ共和国のダイヤモンドラッシュの頃までは、その中にダイアモンドがあることが知られておらず、イエローグラウンドのみでダイアモンド探しが行われていた。
ブルーグラウンドは鉱業の用語で、主にダイヤモンドの鉱床であるキンバーライト(岩石名)が酸化されていない土壌のことを言う。酸化していないキンバーライトが青く見えることから、こう呼ばれる。
ダイヤモンドは、ほとんどがキンバーライトの鉱脈から取れることから、ダイヤモンドの鉱床を探す際には、まずキンバーライトの鉱脈であるブルーグラウンドを探すことから始められる。しかし全てのブルーグラウンドがダイヤモンドを含むわけではない。近代的な探知機を用いた鉱脈探しが行われる以前は、まずキンバーライトが酸化した土壌であるイエローグラウンドを探し、その近くにブルーグラウンドを探し、パイプ状になっているキンバーライトの鉱脈を探していた。
ブルーグラウンドは、南アフリカ共和国のダイヤモンドラッシュの頃までは、その中にダイアモンドがあることが知られておらず、イエローグラウンドのみでダイアモンド探しが行われていた。
プルームテクトニクス
プルームテクトニクス(plume tectonics)は、1990年代以降の地球物理学の新しい学説。マントル内の大規模な対流運動をプルーム(plume)と呼び、この変動を検討するため、プルームテクトニクスと命名された。
プレートテクトニクス理論が地球の表面に存在するプレート(厚さ約100km)の変動(テクトニクス)を扱うのに対し、この説では深さ2,900kmに達するマントル全体の動きを検討する。日本の深尾良夫(元東京大学地震研究所)や丸山茂徳(東京工業大学)が提唱している。
目次 [非表示]
1 マントルプルーム 1.1 コールドプルーム
1.2 ホットプルーム
2 プルームテクトニクスの証明
3 他の分野との関連
4 評価
5 関連項目
6 参考文献
7 外部リンク
マントルプルーム[編集]
太平洋におけるホットプルーム、コールドプルーム及びホットスポット
下部マントルにおけるスーパープルームの概念図
プルームとは(羽毛のように舞い上がる)「煙」を意味する。マントルは半径約6,357kmの地球の中で、深さ数十km - 約2,900kmまでの範囲を占めているが、その中を下降するプルーム(コールドプルーム)と上昇するプルーム(ホットプルーム)が存在する。プルームの上昇・下降とも、通常時は深さ670kmの所で一旦停滞する。この部分は上部マントルと下部マントルの境目にあたり、マントルを構成する鉱物がこの位置の温度と圧力を境に相変化するため、この上下でマントルの密度や固さが大きく変化すると想定されている。プルームが深さ670km付近を超え大きく上昇、あるいは下降したものをスーパープルームという。
コールドプルーム[編集]
コールドプルームとは、周辺のマントルより温度が低く、マントル表層から中心部へ向かって下降するプルーム。コールドプルームの成り立ちはプレートテクトニクスと深く関係がある。大陸プレートと衝突した海洋プレートは海溝からマントル中に沈み込み、沈み込んだプレートは徐々に周辺のマントルと一体化していくが、大部分が比較的低温のまま、外部マントルと内部マントルの境目の深さ670kmの部分で一旦滞留した後、更に内部マントルの底を目指して沈んでいく。何かのきっかけで下降流が複数寄り集まった場合には、強く大きな下降流が発生する。これはスーパーコールドプルームと呼ばれ、現在はユーラシア大陸のアジア大陸側の下に存在している。スーパーコールドプルームは周辺のプレートを吸い寄せるため、陸地を1か所に集めて超大陸を形成する原動力にもなる。
浴槽に木の葉を浮かべて栓を抜いたときを想像すると理解しやすい。水に浮いた木の葉は水栓の上に吸い寄せられて集まるが、地球では比重の小さい大陸地殻がスーパーコールドプルームに吸い寄せられる。現在ではインド大陸がアジアと衝突し、アフリカ大陸やオーストラリア大陸もアジアに接近しつつある。今は太平洋を隔てているアメリカ大陸もアジアに向かって移動しており、約2億年後にはほとんどの大陸が合体した超大陸(アメイジア大陸)が生まれると想定されている。(これとは逆に、将来的に新たなコールドプルームがユーラシア西部に出来ることで、大西洋が再び縮小に転じ、アメリカ大陸がユーラシア、アフリカ大陸の西岸に接近・合体するというシナリオもあり、これをパンゲア・ウルティマ大陸説と呼ぶ)
ホットプルーム[編集]
ホットプルームとは、コールドプルームと逆に、深さ2,900kmの核との境目で核の熱を受けて高温になったマントル成分が上昇するものを呼ぶ。現在はアフリカ大陸の下と南太平洋にスーパーホットプルームが存在し、大地溝帯(グレート・リフト・バレー)が形成された原因であり、南太平洋に点在する火山の源であると考えられている。ホットプルームもまた、外部マントルと内部マントルの境目の深さ670kmの部分に一旦滞留するため、通常では地上へ激甚な影響を与えることはない。しかし大規模なスーパーホットプルームが直接地表に達すると、非常に激しい火山活動が発生すると考えられている。地球生命史上最も大きな大量絶滅が発生した2.5億年前のペルム紀/三畳紀境界(P-T境界)では史上最大級の溶岩噴出事件によりシベリア台地玄武岩(洪水玄武岩)が形成されたが、これはスーパーホットプルームによるものと考えられている。この時期は超大陸パンゲアが分裂を開始した時期に相当し、プルームの地表への到達と大陸分裂について相関性が指摘される。
将来的には、次の超大陸ができたときに直接地表に達する大規模なスーパーホットプルームが起こると考えられている。現在、次の超大陸形成には約2億年後に出現すると考えられるアメイジア大陸説と、約2億5千万 - 4億年後にかけて出現すると考えられるパンゲア・ウルティマ大陸説がある。アメイジア大陸説では現在の太平洋、パンゲア・ウルティマ大陸説では現在の大西洋での大規模なスーパーホットプルームの発生が推測される。
プルームテクトニクスの証明[編集]
プルームテクトニクスの検討には、地震波トモグラフィーという技術が用いられた。マントル内部の地震波速度は温度に依存し、温度が高いと地震波速度は遅く、温度が低ければ速くなる。そこでマントル全体の地震波伝播速度を測定して温度分布を算出したところ、南極大陸やアジア大陸の下は広範囲に温度の低い部分が存在し、低温部分は深さ2,900kmのマントル底まで達していた。また南太平洋やアフリカ大陸の真下には高温の巨大な上昇流(スーパーホットプルーム)が確認された。
他の分野との関連[編集]
プレートテクトニクスでは、大陸プレートや海洋プレートの動きから、地球表面で発生している造山運動・地震・火山などの説明に至ったが、プレートが移動する方向について検討されておらず、超大陸の形成や分裂を説明することはできなかった。プルームテクトニクスはこれに説明をもたらした。また生物の大量絶滅の原因についても、地球内部の動きに起因する大陸の離合集散や、大規模な火山活動による二酸化炭素濃度の上昇に端を発する気候変動と関連付けて、学際的な研究が行われている。
評価[編集]
「プルームテクトニクス」という語は日本では丸山により朝日新聞紙上で発表され、ある程度認知されているが、日本以外ではそれほど広まりを見せておらず、「プルーム仮説」(Plume Hypothesis)と呼ばれている。なおマントルプルーム(Mantle plume)の概念自体は浸透している。[1]。
プレートテクトニクス理論が地球の表面に存在するプレート(厚さ約100km)の変動(テクトニクス)を扱うのに対し、この説では深さ2,900kmに達するマントル全体の動きを検討する。日本の深尾良夫(元東京大学地震研究所)や丸山茂徳(東京工業大学)が提唱している。
目次 [非表示]
1 マントルプルーム 1.1 コールドプルーム
1.2 ホットプルーム
2 プルームテクトニクスの証明
3 他の分野との関連
4 評価
5 関連項目
6 参考文献
7 外部リンク
マントルプルーム[編集]
太平洋におけるホットプルーム、コールドプルーム及びホットスポット
下部マントルにおけるスーパープルームの概念図
プルームとは(羽毛のように舞い上がる)「煙」を意味する。マントルは半径約6,357kmの地球の中で、深さ数十km - 約2,900kmまでの範囲を占めているが、その中を下降するプルーム(コールドプルーム)と上昇するプルーム(ホットプルーム)が存在する。プルームの上昇・下降とも、通常時は深さ670kmの所で一旦停滞する。この部分は上部マントルと下部マントルの境目にあたり、マントルを構成する鉱物がこの位置の温度と圧力を境に相変化するため、この上下でマントルの密度や固さが大きく変化すると想定されている。プルームが深さ670km付近を超え大きく上昇、あるいは下降したものをスーパープルームという。
コールドプルーム[編集]
コールドプルームとは、周辺のマントルより温度が低く、マントル表層から中心部へ向かって下降するプルーム。コールドプルームの成り立ちはプレートテクトニクスと深く関係がある。大陸プレートと衝突した海洋プレートは海溝からマントル中に沈み込み、沈み込んだプレートは徐々に周辺のマントルと一体化していくが、大部分が比較的低温のまま、外部マントルと内部マントルの境目の深さ670kmの部分で一旦滞留した後、更に内部マントルの底を目指して沈んでいく。何かのきっかけで下降流が複数寄り集まった場合には、強く大きな下降流が発生する。これはスーパーコールドプルームと呼ばれ、現在はユーラシア大陸のアジア大陸側の下に存在している。スーパーコールドプルームは周辺のプレートを吸い寄せるため、陸地を1か所に集めて超大陸を形成する原動力にもなる。
浴槽に木の葉を浮かべて栓を抜いたときを想像すると理解しやすい。水に浮いた木の葉は水栓の上に吸い寄せられて集まるが、地球では比重の小さい大陸地殻がスーパーコールドプルームに吸い寄せられる。現在ではインド大陸がアジアと衝突し、アフリカ大陸やオーストラリア大陸もアジアに接近しつつある。今は太平洋を隔てているアメリカ大陸もアジアに向かって移動しており、約2億年後にはほとんどの大陸が合体した超大陸(アメイジア大陸)が生まれると想定されている。(これとは逆に、将来的に新たなコールドプルームがユーラシア西部に出来ることで、大西洋が再び縮小に転じ、アメリカ大陸がユーラシア、アフリカ大陸の西岸に接近・合体するというシナリオもあり、これをパンゲア・ウルティマ大陸説と呼ぶ)
ホットプルーム[編集]
ホットプルームとは、コールドプルームと逆に、深さ2,900kmの核との境目で核の熱を受けて高温になったマントル成分が上昇するものを呼ぶ。現在はアフリカ大陸の下と南太平洋にスーパーホットプルームが存在し、大地溝帯(グレート・リフト・バレー)が形成された原因であり、南太平洋に点在する火山の源であると考えられている。ホットプルームもまた、外部マントルと内部マントルの境目の深さ670kmの部分に一旦滞留するため、通常では地上へ激甚な影響を与えることはない。しかし大規模なスーパーホットプルームが直接地表に達すると、非常に激しい火山活動が発生すると考えられている。地球生命史上最も大きな大量絶滅が発生した2.5億年前のペルム紀/三畳紀境界(P-T境界)では史上最大級の溶岩噴出事件によりシベリア台地玄武岩(洪水玄武岩)が形成されたが、これはスーパーホットプルームによるものと考えられている。この時期は超大陸パンゲアが分裂を開始した時期に相当し、プルームの地表への到達と大陸分裂について相関性が指摘される。
将来的には、次の超大陸ができたときに直接地表に達する大規模なスーパーホットプルームが起こると考えられている。現在、次の超大陸形成には約2億年後に出現すると考えられるアメイジア大陸説と、約2億5千万 - 4億年後にかけて出現すると考えられるパンゲア・ウルティマ大陸説がある。アメイジア大陸説では現在の太平洋、パンゲア・ウルティマ大陸説では現在の大西洋での大規模なスーパーホットプルームの発生が推測される。
プルームテクトニクスの証明[編集]
プルームテクトニクスの検討には、地震波トモグラフィーという技術が用いられた。マントル内部の地震波速度は温度に依存し、温度が高いと地震波速度は遅く、温度が低ければ速くなる。そこでマントル全体の地震波伝播速度を測定して温度分布を算出したところ、南極大陸やアジア大陸の下は広範囲に温度の低い部分が存在し、低温部分は深さ2,900kmのマントル底まで達していた。また南太平洋やアフリカ大陸の真下には高温の巨大な上昇流(スーパーホットプルーム)が確認された。
他の分野との関連[編集]
プレートテクトニクスでは、大陸プレートや海洋プレートの動きから、地球表面で発生している造山運動・地震・火山などの説明に至ったが、プレートが移動する方向について検討されておらず、超大陸の形成や分裂を説明することはできなかった。プルームテクトニクスはこれに説明をもたらした。また生物の大量絶滅の原因についても、地球内部の動きに起因する大陸の離合集散や、大規模な火山活動による二酸化炭素濃度の上昇に端を発する気候変動と関連付けて、学際的な研究が行われている。
評価[編集]
「プルームテクトニクス」という語は日本では丸山により朝日新聞紙上で発表され、ある程度認知されているが、日本以外ではそれほど広まりを見せておらず、「プルーム仮説」(Plume Hypothesis)と呼ばれている。なおマントルプルーム(Mantle plume)の概念自体は浸透している。[1]。