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2014年02月13日

キンバーライト

キンバーライト(英語: kimberlite、キンバリー岩[1])とは、カンラン石と雲母を主要構成鉱物とする超塩基性の火成岩。雲母橄欖岩(うんもかんらんがん、mica peridotite)とも呼ばれる。一部からダイヤモンド原石が産出されることで知られる。

名の由来は南アフリカ共和国、北ケープ州の州都キンバリーから。



目次 [非表示]
1 生成要因
2 分布
3 脚注
4 関連項目
5 参考文献


生成要因[編集]

先カンブリア時代に生じた世界的な造山運動により生成された。このため、分布は大陸奥地の古い地質条件が保たれている地域に限られる。岩石の材料はマントル起源で、ごく短時間のうちに地表付近まで噴出した激しい噴火により生成したものと考えられている。

分布[編集]
南アフリカ共和国 カリナン鉱山

ロシア・シベリア地方 ミールヌイ
ウダーチナヤ・パイプ

アンゴラ
中華人民共和国
アメリカ合衆国

脚注[編集]

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1.^ 文部省 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(オンライン学術用語集)

関連項目[編集]

ウィキメディア・コモンズには、キンバーライトに関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 橄欖岩
岩石の一覧
エクロジャイト
ブルーグラウンド
プルームテクトニクス
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斑れい岩

斑糲岩(はんれいがん、英語: gabbro、ガブロ)は、深成岩の一種。火山岩の玄武岩に対応。

有色鉱物の角閃石や輝石を多く含み、岩石全体が黒っぽい(ペグマタイト質のものは斜長石の白い部分が目立つことがある)。磁鉄鉱なども含んでいることがある。無色鉱物はほとんどが斜長石で、アルカリ長石や石英をほとんど含まない。

閃緑岩との区別は、斜長石の灰長石成分(An)の割合による(An<50が閃緑岩、An>50が斑れい岩)。アルカリ長石が含まれるようになるとモンゾ斑糲岩、石英が含まれるようになると石英斑糲岩、アルカリ長石と石英の両方を含むと石英モンゾ斑糲岩となる。



目次 [非表示]
1 表記
2 語源
3 脚注
4 関連項目
5 参考文献
6 外部リンク


表記[編集]

漢字が非常に難しいため、斑れい岩[1]あるいははんれい岩・ハンレイ岩と書かれることのほうが多い。

語源[編集]

イタリアの工芸家が呼んでいた石材名gabbroに由来するが、初めは蛇紋岩や輝石からなる特殊な火成岩に使われていた。これを岩石名としたのは1810年、フォン・ブッフで、初めは蛇紋岩や輝石からなる特殊な火成岩の名であったが、後になって、今日のような意味で使われるようになった。斑糲岩という難しい訳語を作ったのは、小藤文次郎(1884年〈明治17年〉)。糲は「くろごめ」玄米のことで、粒状で黒い斑点のある石という意味らしい。明治初期にはまた、「飛白石・カスリイシ」の訳も行なわれたが、これはかすり模様という意味でつけられた名前である。どちらも、白い斜長石と黒い輝石が白黒の斑点に見えることを意味する。

脚注[編集]

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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(オンライン学術用語集)

関連項目[編集]

ウィキメディア・コモンズには、斑れい岩に関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 深成岩
岩石の一覧
玄武岩(火山岩)

参考文献[編集]
久城育夫、荒牧重雄、青木謙一郎『日本の火成岩』岩波書店、1989年、ISBN4-00-005766-9。
豊遙秋・青木正博『検索入門 鉱物・岩石』保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。

閃緑岩

閃緑岩(せんりょくがん、英語: diorite)は、深成岩のうち、主成分である無色鉱物が斜長石で、輝石、角閃石などの有色鉱物を比較的多く含む(約30%)ものを指す。火山岩の安山岩に対応する。

花崗岩より黒っぽいが、斑れい岩ほどは黒くはない。



目次 [非表示]
1 石英閃緑岩
2 球状閃緑岩
3 脚注
4 参考文献
5 関連項目
6 外部リンク


石英閃緑岩[編集]

石英を含むものは石英閃緑岩(せきえいせんりょくがん、quartz diorite)と呼び厳密には区別するが、ほとんどの閃緑岩は石英を含み、石英を含まない純粋な閃緑岩はまず産出しない。

球状閃緑岩[編集]

閃緑岩の一種で、斜長石を主成分とした無色鉱物の部分と、角閃石や黒雲母などから成る有色鉱物が交互に晶出して同心円状もしくは放射状の構造を呈したものを球状閃緑岩(きゅうじょうせんりょくがん、ball diorite)と呼ぶ。

球状閃緑岩の日本での産出は稀である[1]。宮城県白石市で産出されたものは菊面石とも呼ばれ、1923年(大正12年)3月7日に国の天然記念物に指定されている[2]。江戸時代の奇石収集家・本草学者である木内石亭が記した「雲根志」(うんこんし)には「ナンダモンダ」という名で記載されている[3]。

脚注[編集]

1.^ 『原色岩石図鑑』 p.37
2.^ “球状閃緑岩”. 文化遺産オンライン. 国立情報学研究所. 2012年1月5日閲覧。
3.^ 『原色岩石図鑑』 pp.2-4

参考文献[編集]
山崎貞治 『はじめて出会う岩石学 - 火成岩岩石学への招待』 共立出版、1990年、ISBN 4-320-04623-4。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。
益富寿之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2。

関連項目[編集]
岩石 - 火成岩 - 深成岩
岩石の一覧
安山岩(火山岩)
地質・鉱物天然記念物一覧

トーナル岩

トーナル岩(とーなるがん、tonalite、トーナライト)は、アルカリ長石をほとんど含まず、石英と斜長石、有色鉱物からなる深成岩。石英閃緑岩よりも石英が多いものを指すが、石英閃緑岩と同じ扱いをされることもある。

トーナル岩よりもアルカリ長石の割合が大きいのは花崗閃緑岩。

関連項目[編集]
岩石 - 火成岩 - 深成岩
岩石の一覧

参考文献[編集]
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2。
山崎貞治 『はじめて出会う岩石学 - 火成岩岩石学への招待』 共立出版、1990年、ISBN 4-320-04623-4。

花崗閃緑岩

花崗閃緑岩[1](かこうせんりょくがん、英: granodiorite)は、花崗岩と閃緑岩の中間的な性質の深成岩。火山岩のデイサイトに対応する。広義の花崗岩に含まれるが、狭義の花崗岩に比べると、アルカリ長石より斜長石がはるかに多い。

日本に産する「花崗岩」はアルカリ長石が少なく、花崗閃緑岩であることが多い。



目次 [非表示]
1 近縁の深成岩
2 脚注
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク


近縁の深成岩[編集]
花崗岩花崗閃緑岩とは石英の量がほぼ同じで、アルカリ長石が多いもの。トーナル岩花崗閃緑岩とは石英の量がほぼ同じで、アルカリ長石をほとんど含まないもの。石英モンゾ閃緑岩、石英モンゾ斑れい岩花崗閃緑岩とは長石の割合(アルカリ長石:斜長石)が同じで、石英の量が少ないもの。石英閃緑岩、石英斑れい岩花崗閃緑岩に比べ、石英、アルカリ長石とも少ないもの。
脚注[編集]

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1.^ 『学術用語集 地学編』の表記は「花こう閃緑岩」。

参考文献[編集]
文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、267頁。ISBN 4-8181-8401-2。
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、79-81頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、239-242頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、9-14頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、31-33頁。ISBN 4-586-31040-5。

関連項目[編集]

モンゾニ岩

モンゾニ岩(もんぞにがん、monzonite、モンゾナイト)は、石英をほとんど含まず、アルカリ長石と斜長石の割合がほぼ同じ深成岩。火山岩の粗面安山岩(ラタイト)に対応する。石英を少量含むものは石英モンゾニ岩(せきえいもんぞにがん、quartz monzonite、アダメロ岩ともいう)とよぶ。

長石の割合で、アルカリ長石の方が多くなると閃長岩、斜長石の方が多くなるとモンゾ閃緑岩あるいはモンゾ斑れい岩となる。

霞石閃長岩

霞石閃長岩(かすみいしせんちょうがん、Nepheline syenite、ネフェリン閃長岩)は、霞石(ネフェリン)を含む準長石閃長岩。石英を含まないアルカリ深成岩の一種で、アルカリ火山岩の響岩(霞石響岩)に対応する。石英を含む閃長岩とは分類が異なる。

霞石、アルカリ長石、有色鉱物などからなる。

大陸分裂時の後期に特徴的に出現するマグマである。カナダのオンタリオ州ではガラス原料として採掘されているが、これは霞石閃長片麻岩である。

関連項目[編集]
岩石 - 火成岩 - 深成岩 - 準長石閃長岩
岩石の一覧
アルカリ岩
霞石

閃長岩

閃長岩(せんちょうがん、syenite、サイアナイト)は、優白質であるが石英をほとんど含まず、アルカリ長石を主成分とする深成岩。火山岩の粗面岩に対応する。石英を少量含むものは石英閃長岩(せきえいせんちょうがん、quartz syenite)とよぶ。

閃長岩より斜長石が多くなるとモンゾニ岩になる。石英の代わりに準長石を含むようになると、準長石閃長岩という別の分類の岩石(火山岩の響岩に対応)になる。

鉱石の「長石」として採掘されることがある。

関連項目[編集]
岩石 - 火成岩 - 深成岩
岩石の一覧

参考文献[編集]
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2。
山崎貞治 『はじめて出会う岩石学 - 火成岩岩石学への招待』 共立出版、1990年、ISBN 4-320-04623-4。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。

花崗岩

花崗岩[1](かこうがん、英: granite)とは、火成岩の一種。流紋岩に対応する成分の深成岩である。石材としては御影石(みかげいし)とも呼ばれる。



目次 [非表示]
1 概要
2 花崗岩の種類 2.1 含まれる鉱物による分類
2.2 鉱物粒子の大きさによる分類

3 分布
4 起源
5 主化学組成
6 花崗岩の風化
7 石材としての花崗岩 7.1 別称「御影石」について
7.2 石材としての産地

8 脚注
9 参考文献
10 関連項目
11 外部リンク


概要[編集]

地下深部で形成された深成岩のうち下記2条件を満たすものを指す。
主成分が石英と長石で、他に10%程度の有色鉱物(黒雲母等)を含み、全体的に白っぽく見えるもの。有色鉱物の含有量が多い(約30%)ものは閃緑岩の範疇に入る。なお、花崗岩と閃緑岩の中間的な性質を持つ岩石は花崗閃緑岩 (granodiorite) と呼ばれる。
成分中にナトリウムとカリウムの含量が少ない非アルカリ岩質であること。アルカリ分が多くなると石英が減って角閃石が多くなり、閃長岩と呼ばれる。

花崗岩は大陸や島弧などの陸地を構成する岩石の中では非常に一般的なもので、各地で見つかる。花崗岩の英語名 granite の語源は、ラテン語で種子や穀粒を意味する granum である。数mm径の結晶が寄り集まった粗い粒子構造から命名された。

花崗岩の平均密度は通常2.75g/cm3付近であるが、産地や品種によっては1.74g/cm3から2.80g/cm3に及ぶ。

花崗岩の種類[編集]

含まれる鉱物による分類[編集]

花崗岩の主要構成鉱物は、石英、カリ長石、斜長石、黒雲母、白雲母、普通角閃石である。磁鉄鉱、柘榴石、ジルコン、燐灰石のような副成分鉱物を含むこともある。まれに輝石を含む。産地によってその含有鉱物の種類や比率が様々に異なっている。含まれる有色鉱物の名前を少ないものから順に、「花崗岩」の前につけて呼ぶ。副成分鉱物の場合は「含〜」とつける。
黒雲母花崗岩 (biotite granite)黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。カリ長石が分解してカオリナイト化し桃色を呈するものを桃色花崗岩と呼ぶ。両雲母花崗岩 (two mica granite)黒雲母・白雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。閃雲花崗岩 (hornblende biotite granite)角閃石・黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。
鉱物粒子の大きさによる分類[編集]

一般に花崗岩中の鉱物粒子の大きさは数mm程度で、大きくても数cmまで。それ以上の大きさのものを巨晶花崗岩(花崗岩ペグマタイト)と呼ぶ。巨晶花崗岩は花崗岩が固結する際に最後に残った部分と考えられ、通常は微量しか含まれない珍しい鉱物が濃縮されていることが多い。また大きな鉱物粒子の間に空洞が存在し、美しい水晶(石英の結晶)や、蛍石、トパーズ、電気石(トルマリン)の結晶を産出することがある。このような空洞を晶洞と呼ぶ。

岩石名の先頭に「細粒」(fine-grained)、「中粒」(medium-grained)、「粗粒」(coarse-grained)、「斑状」(porphyritic) などをつけて区別することもある。

分布[編集]





山塊の多くが花崗岩から成る木曽山脈
花崗岩は造山帯か否かを問わず、大陸地殻の全域にわたって広く分布している。深成岩ゆえに地表に出ている部分よりも地下深くの方が広がっていると考えられ、大陸の表面を覆う比較的薄い堆積岩の下に横たわる基盤岩の大半を占めていると考えられている。これらの大規模なもの(100km2以上)をバソリス(batholith、底盤)、100km2以下の比較的狭い範囲のものをストック(stock、岩株)と呼んでいる。

花崗岩はおそらく完新世を除くあらゆる地質年代にわたって地殻に貫入してきた。世界的には先カンブリア時代に生成したものが多いようだが、日本では中生代に生成したものが最も広い面積を占める。日本の地表では、阿武隈高地、関東北部、飛騨山脈、木曽山脈、美濃高原、近畿地方中部、瀬戸内海から中国山地、北九州などに広く分布している。

このように花崗岩は地球上ではごくありふれた存在だが、太陽系の地球以外の岩石天体にはほとんど見出されない。花崗岩の形成に水の関与が必要で、海の存在する地球でのみ花崗岩が大量に作られてきたものと考えられている[2]。

起源[編集]

花崗岩の起源については従来2つの学説間で論争があったが、現在では“マグマ説”が一般に支持されている。
マグマ説(火成岩説)花崗岩は、玄武岩質マグマの地殻内での結晶分化作用により形成された流紋岩質マグマ、あるいは玄武岩質マグマが周囲の壁岩(一般に堆積岩等から成る)を溶融して形成された流紋岩質マグマが地上へ出ることなくゆっくりと冷却されてできるという説。放射性元素の同位体比や微量元素の含有量、また花崗岩体の規模が大きいことなどから、多くの花崗岩マグマは後者の成因によって形成されたと考えられている。花崗岩化作用論(変成岩説)砂岩や泥岩などの堆積岩が地下深部で高温変成作用を受け、液体の状態を経ずに花崗岩が形成されたという説。
主化学組成[編集]

例として産業技術総合研究所による岩石標準試料の1つであるJG-2(岐阜県蛭川村の苗木花崗岩)の組成を示す(単位は重量%)[3]。

JG-2の化学組成


 

含有量


SiO2
76.83

TiO2
0.044

Al2O3
12.47

Fe2O3
0.33

FeO
0.57

MnO
0.016

MgO
0.037

CaO
0.70

Na2O
3.54

K2O
4.71

P2O5
0.002

H2O+
0.33

H2O−
0.12

花崗岩の風化[編集]

花崗岩は結晶粒子が大きくかつ鉱物結晶の熱膨張率が異なるため、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、表面がぼろぼろになりやすい(風化しやすい)。花崗岩中の主成分である石英は非常に風化しにくいため、風化が進むと構成鉱物の粗い粒子を残したままばらばらの状態になり、非常にもろく崩れやすくなる。このようにして生じた白から黄土色の粗い砂を真砂土、あるいは単に真砂という。花崗岩地帯には真砂が広く分布し、強い降雨により多量の砂が流れ出すため、花崗岩地帯の多くが砂防地域として指定されている。また、真砂は学校の校庭の敷き砂などとして利用される。この土が河川によって海まで運ばれると、風化に強い石英主体の砂となり白い砂浜となる。瀬戸内海の白砂青松や山陰地方の砂丘は、中国山地の大量の花崗岩が元になっている。

花崗岩は固くて緻密であるが、花崗岩中の斜長石や黒雲母は比較的風化を受けやすい。斜長石が分解してできるカオリナイトの良質なものは陶土として使用される。それゆえ焼き物の街と呼ばれる場所は、花崗岩が地表に出ている地域の周辺に存在することが多い。瀬戸、信楽などがその代表例である。

石材としての花崗岩[編集]





花崗岩の古い道標




「白」と「錆」:10cm角ブロック
花崗岩は緻密で硬いことから、日本では古くから石材として使用されてきた。石の鳥居や城の石垣や石橋に用いられるほか、道標や三角点・水準点の標石にも用いられてきた。近代の建造物の例としては国会議事堂の外装が全て日本国産の花崗岩で出来ている。

また緻密なので表面を研磨して光沢を出すことが可能で、これを「本磨き」と称して墓石などのほかパネルとして、また公共の建物や商業施設、記念建造物の床石として広範囲に利用されている。逆に、床石として滑りすぎて危険な場合、研磨した後に表面を化学薬品で処理して、滑り止め加工を施す例もある。また、「ジェットバーナー仕上げ」や「ウォータージェット」などの手法で若干荒い表面に仕上げる石材もある。石段や敷石などの場合は、研磨せず、ノミ切り、コブ出しなどの手法で、ごつごつした表面とするものもある。

高い強度と滑りやすさを要求されるカーリングの公式競技用ストーンは、全てスコットランドのアルサクレッグ島で産出される花崗岩で作られている。

石材としては、通常の黒雲母花崗岩を「白」、桃色の花崗岩を「錆」と呼ぶ。近年日本で流通しているものは福建省を中心とした中国産が殆どであり、「白」の場合 602、603、桃色の場合488など、色番号を用いることがある。

別称「御影石」について[編集]

花崗岩は、特に石材としては御影石とも呼ばれる。「御影」は、兵庫県神戸市の地名(旧武庫郡御影町、現在の東灘区御影石町など)に由来し、御影の北に位置する六甲山地に花崗岩が産出したことによる。切り出した花崗岩を大阪湾に面した海岸から石船に積載し、古くから各地に出荷していた。

御影の名前は各地の産地にも転用されている。代表的な例が、福島県伊達市を中心とした「吾妻御影」、茨城県笠間市の稲田地区を中心とした「稲田御影」、同じく茨城県の桜川市(旧真壁町)を中心とした「真壁御影」などである。なお墓石などに使われる「黒御影」は花崗岩ではなく閃緑岩や斑れい岩であるが、黒っぽい花崗岩もある。

石材としての産地[編集]

石材としての花崗岩産地と商品名の例を挙げる[4]。
アジア 日本の旗 日本 -稲田石、 真壁小目、吾妻御影、大島石 など。
中華人民共和国の旗 中国 - 白花崗、チャイナマホガニー、岑溪紅、浜河紅、南山黄 など。
ベトナムの旗 ベトナム
インドの旗 インド - ニューインペリアルレッド、サワンローズ、タイガースキン、インデアンジャパラナ、アーバングレー、銀河、グリーンファンタジー など。

オセアニア オーストラリアの旗 オーストラリア - オーストラリアホワイト など。

アメリカ カナダの旗 カナダ - オータムブラウン、カレドニア など。
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 - テキサスレッド など。
ブラジルの旗 ブラジル - インペリアルレッド、カパオポニート など。

ヨーロッパ ノルウェーの旗 ノルウェー - エメラルドパール など。
スウェーデンの旗 スウェーデン - ロイヤルマホガニー、マホガニー など。
フィンランドの旗 フィンランド - カージナル、クルグレー、バルモラルレッド、バルチックブラウン など。
イタリアの旗 イタリア - ルナパール、カレドニア など。
スペインの旗 スペイン - ロザポルリノ、グリジオペラル など。
ポルトガルの旗 ポルトガル - モンチーク など。

アフリカ エジプトの旗 エジプト - エジプトレッド など。
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 - ナラブラウン など。

ドレライト

ドレライト[1](英: dolerite、粗粒玄武岩[2])は、玄武岩の石基部分の結晶が大きくなった火成岩。斑れい岩ほど結晶は大きくない。

やや変質して緑がかっているものが多いので、輝緑岩[3][4](きりょくがん、英: diabase、ダイアベイス)ともいう。



目次 [非表示]
1 脚注
2 参考文献
3 関連項目
4 外部リンク


脚注[編集]

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1.^ 日本地質学会編 『地質学用語集 - 和英・英和』 共立出版、2004年、282頁。ISBN 4-320-04643-9。
2.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、240頁。ISBN 4-8181-8401-2。
3.^ 『学術用語集 地学編』、237頁。
4.^ 『地質学用語集 - 和英・英和』、278頁。

参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、66-68頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、251-254頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、71-74頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、46-48頁。ISBN 4-586-31040-5。
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