2017年12月04日
【告白】実際に起きた事件を大量殺人をモチーフにした衝撃作
こんにちは、松風です。
こんな夜更けに、久々にドロドロ小説のご紹介です。
これはドロドロというか、ちょっとグロテスクでもあり、それでいて意味不明なものであり、でも明確に恐怖であると言う問題作。
こちら。
一見平凡な表紙に見えるかもしれませんが、この本は実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに作られた小説。
テーマは「人はなぜ人を殺すのか」です。
普段ドロドロ系小説読んでる人はもうぞくっとするでしょう?
主人公は安政の世に百姓の長男として生まれた熊太郎。
熊太郎は幼い頃はまだ平凡な悪ガキだったものの、段々と道を踏み外し、また独特の価値観と屈折した精神で、様々な出来事に迷い選びながら殺人鬼への道を歩んでいきます。
小説内の言葉や言い回しが昔の言葉なので分かりづらいという方もおられるかもしれませんが、私的にはひどく面白くて興奮しました。変態的な意味ではなく。
これが現代の言葉だったら興ざめだと思います。
少し分かりづらいなと思っても、この時代独特の世界観と人の関わり、人の価値観がまっすぐに表現されているので、ストンと頭の中に文字が入ってきます。
これは沼田まほかるさんや唯川さんの小説とはまた違う、自分の根底のもっともっと奥の何かがが揺らぐ作品です。
熊太郎は生来の殺人鬼ではなく、人とは違った価値観や優れた頭を持ち、周囲の理解を得られないばかりに無機質に変わってしまった殺人鬼なのだと思います。
お話は彼が出生した時から始まります。
最後まで当然彼に関わるお話なのですが、なぜか飽きない。
本編は840ページほどあるのですが、ずっと見ていても全く飽きない。
多分これは、この本の解説でも書かれていることなのですが、作者の町田さんが愛情を込めて丁寧に丁寧に描写しているからなのだと思います。
突然熊太郎はこう思った。とかではなく、熊太郎はこうされてこういう意味だと思った、それは熊太郎にとってこういうものを意味するものだった。みたいな、全部つながっているんですよ。
幼少期の彼に起きた出来事が、もう本当に全部殺人鬼の彼につながってるって思える。わかる。
本当に分かりやすくて丁寧で、長かろうがなんだろうが全部読めました。
この記事を書いている間に読み直したら止まらなくなったので、もう一周してきます。
内容が内容なので、好き嫌いが分かれると思いますが、こういった時代物+グロテスクも平気+800ページの長編もへっちゃらな丈夫な方は是非是非読んでみてください。
これは読んでいて呼吸が荒くなるほどどうしようも無い悲しみと行き場の無い怒りと、作者の深い愛情がたっぷり感じられる本です。
この記事を読んだあなたもぜひ、この感情を味わってみてください。
⇒ドロドロ系小説A:【テティスの逆鱗】凍えそうなほど寒い日の夜は
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