池井戸 潤さん・・・直木賞作家であります。

この方の著書のひとつに「かばん屋の相続」という

銀行マンの融資担当者が主役に据えられた

6話の短編集があります。



この方の著書は金融関係の物語が多く著者紹介を

みると慶應義塾大学卒とありました。

経済学部卒か金融関係の仕事をされていたのかも知れません。

いずれにしても、頭脳優秀な方のようです。



その「かばん屋の相続」を読んでいて、あるドラマを

思い出しました。

少し前の話で恐縮ですが、NHKで「ハゲタカ」という

ドラマのことです。

町工場や旅館などとその運転資金を融資する銀行・・・

ドラマで経営者が「銀行というところは晴れた日に人に

傘を使えと無理やり貸して、雨が降っている時にその傘を

取り上げていく」・・・


強烈な悲鳴にも似た金貸し業組織の本性を顕した言葉は

鮮明に覚えています。



資金が潤沢なときには融資を受けてくれと半ば強引に

お金を貸して経営が行き詰まると融資見送り、

資産回収に走る・・・・

まあ、言ってみれば金貸し業も市中から安く金を預かり

高くお金を貸し付ける・・・・・・お金を回さなければ

当然、利潤が上がらぬ訳です。

私が以前、やっていた「せどり」(転売)とやってることは

一緒なのですよ笑い



「かばん屋の相続」の中では若い熱血漢の融資担当者が

出てきます。

融資先の経営者とも個人的な付き合いなど往々にして

あるでしょう。

経営が苦しくなった経営者に「がんばってください」と励まします。

しかし、銀行という組織の中では青二才のただの一兵卒で

追加融資の援助などできないわけです。



自己保身の塊りのような上司は俗に言う焦げ付きは自分の

業績の汚点となり追加融資などは認めません。

(金融関係に限らぬどこでも居るタイプですけど・・)

経営者に融資見送りを告げに行く時の担当者の

気持ちが切々と描かれています。



しかし、経営者も海を千回、山を千回越えてきた人間です。

すぐに首を括ったりは致しません。

そこら辺の攻防もなかなか面白いです。




出張移動中とか時間が少しあれば肩も凝らず

さらっと読めて面白い本です。







言の葉の庭
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