2017年09月13日
英国金融政策発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月14日20:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年9月14日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
取引を単なる丁半博奕としてでなく楽しむため、ここまでの流れを辿っておきましょう。
もともと、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。がしかし、2016年6月のEU離脱決定に伴い、状況は大きく変化しました。
直近の金融政策変更は、2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました。
6月MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
ただ、このときは直後1分足跳幅が118pipsの陽線となりました。市場は、近々の利上げを見込んだのです。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、EU離脱交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っていたのです。
そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
7月下旬頃には、もう利上げは無理だろう、という解説記事も増えていました。
かかる状況において、8月MPC(2017年8月3日)もまた「市場予想通り現状維持」でした。事前に1名の委員が利上げ賛成に回る、という観測記事があったため、発表直前までGBPは値を崩さず、そして、利上げ賛成に回ると言われていた委員は、結局、利上げに投票しませんでした。
このときの反応は、直後1分足跳幅が75pipsの陰線でした。そして、時間経過とともに、先述の利上げは無理だろうという見通しを、市場は「当面利上げなし」と判断しました。結果、翌朝までにGBPJPYは200pips以上の下落をしたのです。
6月及び8月のMPC後は、以上のような経緯もあって大きく反応しました。
今回現状は、9月12日に発表された物価指標が再上昇に転じ(CPI前年比が+2.9%)、RPI前年比はついに4%を上回りました。13日の雇用統計での平均所得は+2.1%でした。予想された結果だったものの、とても賃金上昇は物価上昇に追いつきません。
GBP安に伴う物価上昇に何らかの手を打つべきだ、という声は再び高まりそうです。尤も、BOEは伝統的にそんなの気にする中銀ではありません。がしかし、利上げ賛成の委員が増えるかも知れない、という見方ならできます。
何より、9月24日にはEU側で今年最後の大きな選挙である独総選挙が行われます。独選挙が終われば、EU離脱交渉に何らかの進展も期待できます。少なくとも、交渉相手方のEU側が有権者を気にしなくても済みます。
選挙さえ終われば、EU側の交渉上の戦略目標は「EU離脱国は痛い目を見る」ことさえ明白になれば良いはずです。例えば、金融取引上のちょっと不便な域外国としての制約を設ければ済む話です。EUが英国から欲しいものなど、それ以外にないでしょう。他のペナルティを課す必要なんてないはずです。
そして、次週は米FOMCが開かれ、FRBのBS縮小(過去に買い入れた債券の市場放出)が決定される可能性があります。中長期的にUSD高をもたらす米FRBの引締政策は、数週間の極端なGBP高やGBP安を引き起こす可能性があります。10月頃にインフレ率がピークを迎える、というBOEの見通しは、このタイミングに依るものでしょう。
よって今回、もし利上げ派委員が1名増えることはあっても、多数決で現状維持が結論と予想されます。利上げ派が増えなければ陰線、利上げ派が増えれば一旦はGBP高となり米国時間に戻す転換と思われます。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も発表結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で38pipsです。分布を見ると、38pips以下だったことが50%、38pipsを超えたことが50%です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
金融政策発表時には指標一致性分析を行いません。やっても構いませんが、そんなものをアテにして決め打ちすることなんて、危なくてできません。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率は85%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
次に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%です。57%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるにせよ伸びないにせよ、この数字なら追撃は短期利確の繰り返しで行う方が安心です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年9月15日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想通り現状維持でした。がしかし、反応は予想外の大きな陽線となりました。
この反応は、同時公開された議事要旨に基づくもののようです。
すなわち、「今後もインフレ圧力が強まり続ければ、今後数か月以内に利上げも含めた緩和政策の見直しをすべき、と過半数の委員が判断」したという点への反応です(※ ざっくり要約です。正確な訳は報道解説をご参照ください)。
なお、発表時始値は145.82で、往路は翌15日02:00のに148.34が高値となっています。何と252pipsの大陽線でした。復路は同15日07:00まででで146.64(高値から△170pips)でした。なお、備忘のため、この復路は北朝鮮のミサイル発射によるリスク回避によって安値を形成しました。
取引結果は次の通りでした。
勝ったときは検証など適当でいいのですが、負けても不思議ではない取引でした。
追撃を早期開始して、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺うつもりでした。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃するつもりでした。
結果は、最初の10秒ぐらいだけ陰線側に跳ねました。激しい動きのなか、良いポジション(ショート)が取れたと思ったのも束の間、利確のタイミングを逃して僅かですが損切でした。この間、僅か9秒です。あいたたた。
次に陽線側に転じたのを見て、慌てて陽線側に追撃開始です。この時点ではまだ、動きが激し過ぎて何が起きているのかは把握できていません。こんなに早く動かれては、理由なんてどうでもいいから、とにかく付いていくしかありません。ショートを損切してから数秒考えたのが惜しまれますが、まぁこれは仕方ないでしょう。ともあれ、この7秒の取引で負けを取り返せました。
今回はたまたまでしょうけど、動きが激しい中で一瞬止まった瞬間にポジションが取れて幸いでした。こういうときは、ポジションを取り損なうことが多いのです。
改めて思うのは、反応が大きな指標では、今回のように逆ヒゲが形成されることが多々あります。
以下は、主観的な話で、データを取った訳ではありません。
逆ヒゲは指標発表直後に形成されることが多く、数秒ぐらいで初期の跳ねと逆方向に反応が変わります(順張りの方向が反転します)。経験的にこうしたときに、30秒かけて反転することは少なく、数秒〜10数秒か1分を過ぎた頃に反転することが多い気がします。
また、数秒から10数秒で反転が起きるときには、直後1分足に順張りで反応を大きく伸ばすことが多いような気がします(1分後ぐらいで反転するときは、そうは言いきれない気がします)。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
事前調査・分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオにも問題ありません。
直前1分足は陰線と見込んでいたものの。結果は陽線で損切でした。がしかし、これは確率的な問題なので、気にしても仕方ありません。
確率で勝負しているときは、同じやり方を毎月繰り返してトータルで勝てば良いのです。確率を信じたり信じなかったり、というのが一番よくありません。結局それは、自分の勘に沿うように、確率を信じたり信じなかったりしているので、長い目で見れば的中率が50%になってしまいます。それではミスをした分だけ勝率が50%から割り引かれるので勝てません(運と勘のいい人しか勝てません)。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
過去戦績は6勝1敗(勝率86%)、シナリオ単位では13勝6敗(勝率68%)です。
シナリオ勝率が低い割に指標取引で勝っているのは、おそらく追撃戦の戦績が良いからでしょう。その割に平均取引時間は6分1秒と特に時間がかかっている訳ではないようです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年9月14日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 今回の市場予想は現状維持となっています。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションはお勧めできません。大きく反応する指標では、地道に練習すれば、追撃だけで稼げます。
おかしな話ですが、反応が小さい指標と大きい指標の両極端は、凝った分析をしても仕方ありません。前者はトレンドに、後者はプロ参加者に、我々アマチュアは強い者に巻かれちゃいましょう。 - 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっています。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
前回MPCがそうでしたが、そんなことは誰にもわかりません。プロが解釈に迷うようなときには、我々アマチュアはほっとけば良いのです。もし、金融政策発表で大きく動く理由があるときは、その動きは続きます。 - 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良いでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
- 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺いましょう。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃しましょう。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。
MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。
ーーー$€¥ーーー
取引を単なる丁半博奕としてでなく楽しむため、ここまでの流れを辿っておきましょう。
もともと、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。がしかし、2016年6月のEU離脱決定に伴い、状況は大きく変化しました。
直近の金融政策変更は、2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました。
6月MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。
ただ、このときは直後1分足跳幅が118pipsの陽線となりました。市場は、近々の利上げを見込んだのです。
6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、EU離脱交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っていたのです。
そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
7月下旬頃には、もう利上げは無理だろう、という解説記事も増えていました。
かかる状況において、8月MPC(2017年8月3日)もまた「市場予想通り現状維持」でした。事前に1名の委員が利上げ賛成に回る、という観測記事があったため、発表直前までGBPは値を崩さず、そして、利上げ賛成に回ると言われていた委員は、結局、利上げに投票しませんでした。
このときの反応は、直後1分足跳幅が75pipsの陰線でした。そして、時間経過とともに、先述の利上げは無理だろうという見通しを、市場は「当面利上げなし」と判断しました。結果、翌朝までにGBPJPYは200pips以上の下落をしたのです。
ーーー$€¥ーーー
6月及び8月のMPC後は、以上のような経緯もあって大きく反応しました。
今回現状は、9月12日に発表された物価指標が再上昇に転じ(CPI前年比が+2.9%)、RPI前年比はついに4%を上回りました。13日の雇用統計での平均所得は+2.1%でした。予想された結果だったものの、とても賃金上昇は物価上昇に追いつきません。
GBP安に伴う物価上昇に何らかの手を打つべきだ、という声は再び高まりそうです。尤も、BOEは伝統的にそんなの気にする中銀ではありません。がしかし、利上げ賛成の委員が増えるかも知れない、という見方ならできます。
何より、9月24日にはEU側で今年最後の大きな選挙である独総選挙が行われます。独選挙が終われば、EU離脱交渉に何らかの進展も期待できます。少なくとも、交渉相手方のEU側が有権者を気にしなくても済みます。
選挙さえ終われば、EU側の交渉上の戦略目標は「EU離脱国は痛い目を見る」ことさえ明白になれば良いはずです。例えば、金融取引上のちょっと不便な域外国としての制約を設ければ済む話です。EUが英国から欲しいものなど、それ以外にないでしょう。他のペナルティを課す必要なんてないはずです。
そして、次週は米FOMCが開かれ、FRBのBS縮小(過去に買い入れた債券の市場放出)が決定される可能性があります。中長期的にUSD高をもたらす米FRBの引締政策は、数週間の極端なGBP高やGBP安を引き起こす可能性があります。10月頃にインフレ率がピークを迎える、というBOEの見通しは、このタイミングに依るものでしょう。
よって今回、もし利上げ派委員が1名増えることはあっても、多数決で現状維持が結論と予想されます。利上げ派が増えなければ陰線、利上げ派が増えれば一旦はGBP高となり米国時間に戻す転換と思われます。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も発表結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で38pipsです。分布を見ると、38pips以下だったことが50%、38pipsを超えたことが50%です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
金融政策発表時には指標一致性分析を行いません。やっても構いませんが、そんなものをアテにして決め打ちすることなんて、危なくてできません。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足の陰線率は85%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が77%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
次に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は77%です。そして、その77%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは57%です。57%という数字は、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら早めに利確した方が良いということです。伸びるにせよ伸びないにせよ、この数字なら追撃は短期利確の繰り返しで行う方が安心です。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
- 追撃は早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺いましょう。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃しましょう。
以上
2017年9月14日20:00発表
以下は2017年9月15日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想通り現状維持でした。がしかし、反応は予想外の大きな陽線となりました。
この反応は、同時公開された議事要旨に基づくもののようです。
すなわち、「今後もインフレ圧力が強まり続ければ、今後数か月以内に利上げも含めた緩和政策の見直しをすべき、と過半数の委員が判断」したという点への反応です(※ ざっくり要約です。正確な訳は報道解説をご参照ください)。
なお、発表時始値は145.82で、往路は翌15日02:00のに148.34が高値となっています。何と252pipsの大陽線でした。復路は同15日07:00まででで146.64(高値から△170pips)でした。なお、備忘のため、この復路は北朝鮮のミサイル発射によるリスク回避によって安値を形成しました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
勝ったときは検証など適当でいいのですが、負けても不思議ではない取引でした。
追撃を早期開始して、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺うつもりでした。更に追撃できそうなら、短期取引の繰り返しで追撃するつもりでした。
結果は、最初の10秒ぐらいだけ陰線側に跳ねました。激しい動きのなか、良いポジション(ショート)が取れたと思ったのも束の間、利確のタイミングを逃して僅かですが損切でした。この間、僅か9秒です。あいたたた。
次に陽線側に転じたのを見て、慌てて陽線側に追撃開始です。この時点ではまだ、動きが激し過ぎて何が起きているのかは把握できていません。こんなに早く動かれては、理由なんてどうでもいいから、とにかく付いていくしかありません。ショートを損切してから数秒考えたのが惜しまれますが、まぁこれは仕方ないでしょう。ともあれ、この7秒の取引で負けを取り返せました。
今回はたまたまでしょうけど、動きが激しい中で一瞬止まった瞬間にポジションが取れて幸いでした。こういうときは、ポジションを取り損なうことが多いのです。
改めて思うのは、反応が大きな指標では、今回のように逆ヒゲが形成されることが多々あります。
以下は、主観的な話で、データを取った訳ではありません。
逆ヒゲは指標発表直後に形成されることが多く、数秒ぐらいで初期の跳ねと逆方向に反応が変わります(順張りの方向が反転します)。経験的にこうしたときに、30秒かけて反転することは少なく、数秒〜10数秒か1分を過ぎた頃に反転することが多い気がします。
また、数秒から10数秒で反転が起きるときには、直後1分足に順張りで反応を大きく伸ばすことが多いような気がします(1分後ぐらいで反転するときは、そうは言いきれない気がします)。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容には問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオにも問題ありません。
直前1分足は陰線と見込んでいたものの。結果は陽線で損切でした。がしかし、これは確率的な問題なので、気にしても仕方ありません。
確率で勝負しているときは、同じやり方を毎月繰り返してトータルで勝てば良いのです。確率を信じたり信じなかったり、というのが一番よくありません。結局それは、自分の勘に沿うように、確率を信じたり信じなかったりしているので、長い目で見れば的中率が50%になってしまいます。それではミスをした分だけ勝率が50%から割り引かれるので勝てません(運と勘のいい人しか勝てません)。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
過去戦績は6勝1敗(勝率86%)、シナリオ単位では13勝6敗(勝率68%)です。
シナリオ勝率が低い割に指標取引で勝っているのは、おそらく追撃戦の戦績が良いからでしょう。その割に平均取引時間は6分1秒と特に時間がかかっている訳ではないようです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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