2017年09月14日
米国物価指標「CPI(消費者物価指数)」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年9月14日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年9月14日21:30に米国物価指標「CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
消費者物価指数(CPI)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・生産者物価指数(PPI)・消費者物価指数(CPI)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。分布は、12-23pipsに42%が集中しており、24pips以上反応したことも42%です。大きく反応する指標です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
見るべきポイントを絞り込むため、各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを下式に示します。
2015年1月以降前回までの直後1分足の反応方向は、
判別式=ー1✕A+2✕B+4✕C+3✕D
の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と89%一致します。
但しここで、AはCPI前月比の差異、BはCPI前年比の差異、CはコアCPI前月比の差異、DはコアCPI前年比の差異、です。差異とは、事後差異(発表結果ー市場予想)を指しています。
初期反応への寄与は、コアCPI>CPIとなることがわかります。
以上のことから、コアCPIの推移に注目します。
コアCPI前月比のグラフ推移を見ると、市場予想は「やる気あるのか」という一定値が続いています。直近5回は、続けてこの一定値を下回っています。
意外なことに、このグラフ推移は市場予想後追い型のようです。確認しておきます。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは6回しかあります。入れ替わり率は20%となっており、市場予想が発表結果の推移を後追いしていると見なしたときの期待的中率は80%です。
現在、コアCPI前月比は市場予想を下回りがちのため、今回の発表結果が市場予想を下回る期待的中率が80%ということになります。
コアCPI前年比のグラフ推移を見ると、市場予想後追い型の可能性があります。確かめておきましょう。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは9回あります。入れ替わり率は30%となっており、市場予想が発表結果の推移を後追いしていると見なしたときの期待的中率は70%です。
現在、コアCPIは下降基調のため、今回の発表結果が市場予想を下回る期待的中率は70%ということです。
もし、プロの市場予想がずっと一定のルールに基づくか、実際の変化よりも控え目に予想しがちと言った癖があるのだとしたら、この偏りには意味があるかも知れません。
次に、関連指標であるPPIとの相関有無について調べておきました。以下は、前月分析記事
からの引用です。この調査は、4半期に一度ぐらいずつ改訂していけばいいでしょう。
さて、相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。
この実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果を比較します。コアPPI前年比とコアCPI前年比のように、対応する個別項目毎では行わずに、判別式を用いて総合的に行います。これを、「PPI実態差異の総合的な結果」という具合に記すのは面倒なので、以下、単に「PPI実態指標結果」と記すことにします。
結果を下図に示します。
以前から指摘しているように、少なくとも最近は2015年以降は、物価は上流と下流で同時進行で変化しがちです。
8月分CPI実態差異結果は、8月分PPI実態差異結果と同じに符号となる期待的中率が71%です。そして、8月分PPI実態差異結果はプラスでした。
よって、CPI実態差異結果も期待的中率71%でプラスになると予想されます。そして、後述する指標一致性分析に依れば、実態差異がプラスのとき、直後1分足が陽線となる期待的中率は69%です。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。この4回の直後1分足跳幅は21pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去3回(10%)あります。この3回の直後1分足跳幅の平均は18pipsで、これは過去全平均22pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は23pipsです。追撃判断の目安をパッと得るため、計算しやすい30pips以上だった事例について調べておきました。そうした事例は過去6回(頻度19%)あります。この6回について、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは5回(83%)です。この5回の直後11分足跳幅の平均は56pipsです。
つまり、直後1分足跳幅が30pips以上となったときは、そのまま反応を大きく伸ばしていく可能性があります。
直後11分足は、過去平均跳幅が30pips、過去平均値幅が22pipsで、その差が8pipsあります。直後11分足跳幅が40pips以上に達したことは7回(頻度23%)あります。このとき、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均7pipsしかありません。
つまり、直後11分足が大きく伸びたときには、比率で言って戻りが小さくなっています。これは戻りが小さいというよりも、反応を伸ばし続ける可能性が高い、ということです。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ90%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が97%と、異常な偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が86%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、その86%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが72%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは14%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが41%もあります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年9月16日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はコアCPI前月比・CPI前月比・CPI前年比が前回を上回り、特にCPIは予想をも上回りました。反応は2015年以降で2番目となる50pipsの跳ねでした。
なお、2015年以降で最も大きく跳ねたのは2017年6月分で、このときは小売売上高と同時発表され、そちらに引きずられた感があります。
今回は同時発表ではないものの、20:00にBOE金融政策が発表され、近々の利上げが議事要旨で示された影響が大きいかったように思われます。
グラフ推移を見ると、今回結果によってCPI前年比は前月に続き上昇しました。前月比は3か月連続で上昇しています。2017年2月をピークに下降転換の兆しがあったものの、これで再上昇に転換したように見えます。
一方、コアCPIはまだ下降継続中であり、どちらかと言えば下降継続を予想させるグラフ形状です。
ポイントはやはり最近のUSD安EUR高と思われ、だとすれば、来月発表も物価は上昇する可能性が高いことになります。
取引結果は次の通りでした。
稼いだのはシナリオ外取引の逆張りでした。
最下部の表に記載した通り、シナリオ取引での成績は+11.55pips、取引時間は2分33秒でした。
シナリオ外の逆張りは、直後1分足跳値が111円を僅かに超えたため、一旦、戻しがあると考えてのことでした。
事前調査・分析内容を以下に検証します。
外れていた点に注目し、来月以降の見直しが必要か否かを検証しています。
事前分析では、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることについて触れていました。これはその通りになったものの、直後1分足跳幅が30pips以上のときは別だと記していました。今回の直後1分足跳幅が50pipsですから、本来ならば順張り追撃をすべきです。
ここの説明は難しいところです。言い訳が難しいのではありません。
結論を言えば、分析を外したことになります。が、この後で再び反応を伸ばしているのです。この動きは、前述の通り、レジスタンス111円に達したため、一旦、戻しが起こして時間を失ったことが原因と言えます。大きくは、今回も過去の傾向と同じ反応をしている訳です。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
指標単位では9戦9勝、シナリオ単位では23勝5敗(勝率82%)となっています。悪くありません。
1指標当たりの取引時間は8分20秒、損益pipsは+10.51です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年9月14日21:30に米国物価指標「CPI(消費者物価指数)」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 反応程度は大きく(直後1分足跳幅平均23pips)、コアCPIの事後差異(発表結果ー市場予想)に素直に反応します。
追撃は、指標発表後すぐに開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いでしょう。
但し、直後1分足跳幅が30pips以上なら別です。この場合、直後11分足は直後1分足よりも反応を伸ばす可能性が高くなっています。 - コアCPIは前月比・前年比ともに市場予想後追い型です。前月発表時の市場予想と発表結果の大小関係が、当月もそのままとなる期待的中率が80%に達しています。
一方、同月集計分のPPIとは実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率が71%に達しています。
今回、これらふたつの分析結果は矛盾しています。市場予想後追い型とすれば、直後1分足は陰線となる可能性が高く、前日のPPI結果を参考にすれば、直後1分足は陽線となる可能性が高いことになります。
こういうときは、発表時刻を跨いで取引しないに限ります。 - 本指標も、直前10-1分足や直前1分足の大きさや方向は、直後1分足の反応方向と関係ありません。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
- 追撃は発表後に早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺います。
但し、直後1分足跳幅が30pipsを超えていたら、その後も追撃を徹底します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
消費者物価指数(CPI)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・生産者物価指数(PPI)・消費者物価指数(CPI)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で23pipsです。分布は、12-23pipsに42%が集中しており、24pips以上反応したことも42%です。大きく反応する指標です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
見るべきポイントを絞り込むため、各項目が反応方向にどの程度影響しているのかを下式に示します。
2015年1月以降前回までの直後1分足の反応方向は、
判別式=ー1✕A+2✕B+4✕C+3✕D
の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と89%一致します。
但しここで、AはCPI前月比の差異、BはCPI前年比の差異、CはコアCPI前月比の差異、DはコアCPI前年比の差異、です。差異とは、事後差異(発表結果ー市場予想)を指しています。
初期反応への寄与は、コアCPI>CPIとなることがわかります。
ーーー$€¥ーーー
以上のことから、コアCPIの推移に注目します。
コアCPI前月比のグラフ推移を見ると、市場予想は「やる気あるのか」という一定値が続いています。直近5回は、続けてこの一定値を下回っています。
意外なことに、このグラフ推移は市場予想後追い型のようです。確認しておきます。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは6回しかあります。入れ替わり率は20%となっており、市場予想が発表結果の推移を後追いしていると見なしたときの期待的中率は80%です。
現在、コアCPI前月比は市場予想を下回りがちのため、今回の発表結果が市場予想を下回る期待的中率が80%ということになります。
コアCPI前年比のグラフ推移を見ると、市場予想後追い型の可能性があります。確かめておきましょう。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは9回あります。入れ替わり率は30%となっており、市場予想が発表結果の推移を後追いしていると見なしたときの期待的中率は70%です。
現在、コアCPIは下降基調のため、今回の発表結果が市場予想を下回る期待的中率は70%ということです。
もし、プロの市場予想がずっと一定のルールに基づくか、実際の変化よりも控え目に予想しがちと言った癖があるのだとしたら、この偏りには意味があるかも知れません。
ーーー$€¥ーーー
次に、関連指標であるPPIとの相関有無について調べておきました。以下は、前月分析記事
からの引用です。この調査は、4半期に一度ぐらいずつ改訂していけばいいでしょう。
さて、相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。
この実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果を比較します。コアPPI前年比とコアCPI前年比のように、対応する個別項目毎では行わずに、判別式を用いて総合的に行います。これを、「PPI実態差異の総合的な結果」という具合に記すのは面倒なので、以下、単に「PPI実態指標結果」と記すことにします。
結果を下図に示します。
以前から指摘しているように、少なくとも最近は2015年以降は、物価は上流と下流で同時進行で変化しがちです。
8月分CPI実態差異結果は、8月分PPI実態差異結果と同じに符号となる期待的中率が71%です。そして、8月分PPI実態差異結果はプラスでした。
よって、CPI実態差異結果も期待的中率71%でプラスになると予想されます。そして、後述する指標一致性分析に依れば、実態差異がプラスのとき、直後1分足が陽線となる期待的中率は69%です。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。この4回の直後1分足跳幅は21pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均23pipsとほぼ同じです。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は6pipsです。跳幅がその1.5倍の9pips以上だったことは過去3回(10%)あります。この3回の直後1分足跳幅の平均は18pipsで、これは過去全平均22pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅は23pipsです。追撃判断の目安をパッと得るため、計算しやすい30pips以上だった事例について調べておきました。そうした事例は過去6回(頻度19%)あります。この6回について、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは5回(83%)です。この5回の直後11分足跳幅の平均は56pipsです。
つまり、直後1分足跳幅が30pips以上となったときは、そのまま反応を大きく伸ばしていく可能性があります。
直後11分足は、過去平均跳幅が30pips、過去平均値幅が22pipsで、その差が8pipsあります。直後11分足跳幅が40pips以上に達したことは7回(頻度23%)あります。このとき、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均7pipsしかありません。
つまり、直後11分足が大きく伸びたときには、比率で言って戻りが小さくなっています。これは戻りが小さいというよりも、反応を伸ばし続ける可能性が高い、ということです。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ90%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が97%と、異常な偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が86%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は86%です。そして、その86%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが72%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは45%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは14%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが41%もあります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
- 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確/損切です。
- 追撃は発表後に早期開始し、発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺います。
但し、直後1分足跳幅が30pipsを超えていたら、その後も追撃を徹底します。
以上
2017年9月14日21:30発表
以下は2017年9月16日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はコアCPI前月比・CPI前月比・CPI前年比が前回を上回り、特にCPIは予想をも上回りました。反応は2015年以降で2番目となる50pipsの跳ねでした。
なお、2015年以降で最も大きく跳ねたのは2017年6月分で、このときは小売売上高と同時発表され、そちらに引きずられた感があります。
今回は同時発表ではないものの、20:00にBOE金融政策が発表され、近々の利上げが議事要旨で示された影響が大きいかったように思われます。
グラフ推移を見ると、今回結果によってCPI前年比は前月に続き上昇しました。前月比は3か月連続で上昇しています。2017年2月をピークに下降転換の兆しがあったものの、これで再上昇に転換したように見えます。
一方、コアCPIはまだ下降継続中であり、どちらかと言えば下降継続を予想させるグラフ形状です。
ポイントはやはり最近のUSD安EUR高と思われ、だとすれば、来月発表も物価は上昇する可能性が高いことになります。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
稼いだのはシナリオ外取引の逆張りでした。
最下部の表に記載した通り、シナリオ取引での成績は+11.55pips、取引時間は2分33秒でした。
シナリオ外の逆張りは、直後1分足跳値が111円を僅かに超えたため、一旦、戻しがあると考えてのことでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容を以下に検証します。
外れていた点に注目し、来月以降の見直しが必要か否かを検証しています。
事前分析では、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることについて触れていました。これはその通りになったものの、直後1分足跳幅が30pips以上のときは別だと記していました。今回の直後1分足跳幅が50pipsですから、本来ならば順張り追撃をすべきです。
ここの説明は難しいところです。言い訳が難しいのではありません。
結論を言えば、分析を外したことになります。が、この後で再び反応を伸ばしているのです。この動きは、前述の通り、レジスタンス111円に達したため、一旦、戻しが起こして時間を失ったことが原因と言えます。大きくは、今回も過去の傾向と同じ反応をしている訳です。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
指標単位では9戦9勝、シナリオ単位では23勝5敗(勝率82%)となっています。悪くありません。
1指標当たりの取引時間は8分20秒、損益pipsは+10.51です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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