2017年06月13日
英国雇用指標発表前後のGBPJPY反応分析(2017年6月14日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月14日17:30に英国雇用指標「平均所得・失業保険申請件数・失業率」が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年5月分の集計結果、平均所得と失業率(ILO方式)が2017年4月分の集計結果です。
同時発表される大きな指標はありませんが、当夜はFOMC政策金利発表があります。いつもと違う動きになる可能性も高いため、取引は短く行うつもりでいた方が良いでしょう。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
指標定型分析の結果は次の通りです。
以上の調査・分析結果に依って以下のシナリオで取引に臨みます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表している、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。また、終身雇用という制度がない、という雇用環境も我々と異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
以前はかなり大きな反応をする指標でしたが、最近はなぜかあまり反応しません。とはいえ、直後1分足跳幅が20pips程度、直後11分足跳幅は40pipsも反応するので、日欧の雇用指標に比べると大きく反応します。指標発表を跨いでポジションを持たずに、指標発表への反応方向を見てからポジションを取っても、同じ方向に反応が伸び続ける傾向があります。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、少なくとも直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準が日本のバブル末期(1990年頃)の状態です。
以下の調査分析範囲は、前回発表までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
同月物価指標が既に発表されています。
結果は、コアCPI前年比が+2.6%、CPI前月比が+2.9%でした。それぞれ、2012年11月以来・2013年6月以来の大幅な伸びとなっていました。
この結果は、BOE総裁が先に「今年いっぱい上昇し続けて、2018年以降に若干低下」と示した予想に合致しています。「じゃあ何とかしろよ」という声が英国から聞こえたような気がします。
問題は2点あります。
まず、この結果は直近の雇用指標の平均所得の伸びを上回るインフレですから、消費低迷による景気悪化が懸念されます。
そして、直近の景気指標や実態指標が悪化に転じる兆しを示しています。利上げは景気悪化を決定づける可能性があります(利下げはインフレを更に加速しかねない)。
その結果、市場予想を上回る発表結果だったにも関わらず、物価指標発表時の反応は直後1分足が陰線となりました。
インフレ率が市場予想を上回ったことは、陽線での反応があってもおかしくありません。がしかし、上記の懸念を踏まえると、既にインフレが進み過ぎているので、売に繋がったという解釈が最も納得できるストーリーです。
もしそうだとすると、今回の雇用統計で平均所得が市場予想(+2.4%)を上回っても、インフレ率(+2.9%)を下回ると、陰線で反応する可能性が高くなります。
よって、今回の反応は指標発表前から陰線となる可能性が高い、と考えています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が78%です。直後1分足が陽線(陰線)なら直後11分足も陽線(陰線)と見なしても良いでしょう。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致時に両者の跳値同士で反応が伸びたことは62%、終値同士で反応が伸びたことは67%となっています。反応伸長率が低くはないものの、あまり信頼できる数字ではありません。こういうときの追撃ポジションは短期利確です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
3回に2回の割合で、直前10-1分足は陽線、直前1分足は陰線、直後1分足は陰線となっています。ポジション取得根拠とする70%にはいずれも達していません。
反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除くと、ある期間のローソク足の方向が、それ以降のローソク足の方向を示唆している兆候は見出せません。
ただ、規定の70%には達していないものの、3回に2回の割合で、直前10-1分足と直前1分足とが逆方向、直前1分足と直後1分足が順方向になっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標発表前の動きについて、です。
市場予想に対して素直に反応しがちな直前10-1分足の方向と、事前差異異(市場予想ー前回結果)のプラス・マイナスの関係を挙げると、失業保険申請件数の差異との一致率は33%しかありません。つまり、予想より申請件数が多くても陰線で反応することが3回に1回しかありません。同様に、平均所得(含ボーナス)の差異との一致率は62%、失業率(ILO方式)の差異との一致率は50%です。
次に、指標発表後の動きについて、です。
発表結果に対し最も素直に反応しがちな直後1分足の方向と、事後差異(発表結果ー市場予想)のプラス・マイナスの関係を挙げると、失業保険申請件数の差異との一致率は48%しかありません。つまり、予想より申請件数が多くても陰線で反応することが2回に1回を下回っています。同様に、平均所得(含ボーナス)の差異との一致率は87%、失業率(ILO方式)の差異との一致率は64%です。
つまり、本指標での取引では、最も変化が大きい失業保険申請件数を見ていてはいけないのです。
そこで、各指標の重み付けを、失業保険申請件数の差異は―1倍、平均所得の差異は30倍、失業率の差異はー30倍にして、それら各差異を加えると、最も反応方向との一致率が高くなるようです。
それが下表の数値です。
事前差異と直前10-1分足との方向一致率は63%です。ポジションを取る規準には達していません。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各89%・81%です。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各64%・63%です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月14日20:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
平均所得は市場予想を下回り、失業率は同値、失業保険申請件数は市場予想を下回りました。
反応は陽線です。
取引結果は次の通りでした。
指標発表前には陰線となる動きが強く、指標発表直前から陽線側に振れました。
直前10-1分足は、この動きにうまく乗ることができました。
直前1分足は、4本足チャートで陽線ですが、最後に長い上ヒゲを残して陽線の値幅を削りました。この動きにうまく乗ることが出来ました。
直後1分足は、発表後20秒ぐらいが陰線側に振れ、その後、陽線側に転じました。利確をするのが遅れなければ、あと5pips程度は稼げました。まぁそういうことは言っても仕方ありません。
追撃は初期反応が陰線側に振れたので、売りポジションを取りました。がしかし、陽線側に転じたことから損切となりました。
その後は、発表時点よりも陽線側が順張りですから、買ポジションでの追撃を試みました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標発表前の強い陰線側への動きは分析通りでした。
次に、今回は発表直後こそ平均所得が市場予想を下回ったことに反応したものの、約20秒後ぐらいからは失業保険申請件数が市場予想を下回ったことに反応しました。
分析を外しました。
直後1分足と直後11分足は同方向に反応し、跳値は反応を伸ばし、終値は値幅を削ることになりました。大きく一方向への反応が伸びていかなかった点は分析通りです。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月14日17:30に英国雇用指標「平均所得・失業保険申請件数・失業率」が発表されます。今回発表は、失業保険申請件数が2017年5月分の集計結果、平均所得と失業率(ILO方式)が2017年4月分の集計結果です。
同時発表される大きな指標はありませんが、当夜はFOMC政策金利発表があります。いつもと違う動きになる可能性も高いため、取引は短く行うつもりでいた方が良いでしょう。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 指標発表前の直前10-1分足・直前1分足には、長いヒゲが目立ちます。本指標では、発表前に10pipsや20pips動くこともあります。
がしかし、直前10-1分足や直前1分足が大きな跳幅・値幅になったからと言って、発表後の反応方向との強い関係性は見出せません。チャートの激しい動きに連られて慌ててポジションを取るのはケガの元です。 - 最近は発表直後の反応がやや小さくなっていますが、過去の平均値では発表後に20-40数pips動いています。危ないので、指標発表後の反応方向を見てから追撃しても良いでしょう。その場合、タイミングを計って短時間の取引を薦めます。本ブログ読者の方は既にご存知の通り、発表1分後、3-4分後に、高値・安値をつけたり、反応方向への戻しが起きることが多いという印象があります。
- 市場予想との差異が大きくなりがちな失業保険申請件数は反応との相関がほぼありません。平均所得の差異>失業率の差異>失業保険申請件数の差異、の順に反応には寄与します。失業率は市場予想通りのことも多いので、平均所得発表結果の市場予想との大小が過去80%以上、反応方向と一致しているのです。
多くのFX会社の指標カレンダーには平均所得の市場予想が載っていません。だから、平均所得の動向・予想について論じているプロの解説記事を事前に一読しておくことをお勧めします(私はアマチュアなので)。
指標定型分析の結果は次の通りです。
- 反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率が78%です。直後1分足が陽線(陰線)なら直後11分足も陽線(陰線)と見なしても良いでしょう。
また、直後1分足と直後11分足との方向一致時に両者の跳値同士で反応が伸びたことは62%、終値同士で反応が伸びたことは67%となっています。反応伸長率が低くはないものの、あまり信頼できる数字ではありません。こういうときの追撃ポジションは短期利確です。 - 反応一致性分析の結果は次の通りです。
まず、3回に2回の割合で、直前10-1分足は陽線、直前1分足は陰線、直後1分足は陰線となっています。ポジション取得根拠とする70%にはいずれも達していません。
また、反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除くと、ある期間のローソク足の方向が、それ以降のローソク足の方向を強く示唆(70%以上)している兆候は見出せません。
ただ、70%には達していないものの、3回に2回の割合で、直前10-1分足と直前1分足とが逆方向、直前1分足と直後1分足が同方向への反応、となっています。 - 指標一致性分析の結果は次の通りです。
事前差異と直前10-1分足との方向一致率は63%です。ポジションを取る規準には達していません。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各89%・81%です。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各64%・63%です。
発表結果と市場予想との差異に反応方向との相関があるものの、指標発表前の市場予想や指標発表後の前回結果は反応方向との関係が薄いようです。 - 指標定性分析の結果、今回は指標発表前から陰線となり、よほど平均所得が市場予想を上回らない限り、初期反応も陰線と見込んでいます。
論拠は6月13日に発表された物価指標で、コアCPI・CPIが市場予想を上回ったのに陰線で反応したことです。既に英国のインフレ率は消費低迷が懸念される水準に達している、と解釈されたからではないでしょうか。
以上の調査・分析結果に依って以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は、指標定性分析の結論に依り、陰線と見込みます。
- 直後1分足も、同理由に依り陰線と見込みます。
- 初期反応を確認後、追撃ポジションを取り、短期利確を繰り返します。
但し、直後11分足跳幅・値幅が直後1分足跳幅・値幅を超えて、同じ方向に反応を伸ばしたことは各62%・67%とあまり高い確率ではありません。平均所得や失業率が、ともに市場予想よりも改善していない限り、再度・再々度の追撃は止めておいた方が良いでしょう。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表している、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。また、終身雇用という制度がない、という雇用環境も我々と異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
以前はかなり大きな反応をする指標でしたが、最近はなぜかあまり反応しません。とはいえ、直後1分足跳幅が20pips程度、直後11分足跳幅は40pipsも反応するので、日欧の雇用指標に比べると大きく反応します。指標発表を跨いでポジションを持たずに、指標発表への反応方向を見てからポジションを取っても、同じ方向に反応が伸び続ける傾向があります。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、少なくとも直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準が日本のバブル末期(1990年頃)の状態です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、前回発表までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
同月物価指標が既に発表されています。
結果は、コアCPI前年比が+2.6%、CPI前月比が+2.9%でした。それぞれ、2012年11月以来・2013年6月以来の大幅な伸びとなっていました。
この結果は、BOE総裁が先に「今年いっぱい上昇し続けて、2018年以降に若干低下」と示した予想に合致しています。「じゃあ何とかしろよ」という声が英国から聞こえたような気がします。
問題は2点あります。
まず、この結果は直近の雇用指標の平均所得の伸びを上回るインフレですから、消費低迷による景気悪化が懸念されます。
そして、直近の景気指標や実態指標が悪化に転じる兆しを示しています。利上げは景気悪化を決定づける可能性があります(利下げはインフレを更に加速しかねない)。
その結果、市場予想を上回る発表結果だったにも関わらず、物価指標発表時の反応は直後1分足が陰線となりました。
インフレ率が市場予想を上回ったことは、陽線での反応があってもおかしくありません。がしかし、上記の懸念を踏まえると、既にインフレが進み過ぎているので、売に繋がったという解釈が最も納得できるストーリーです。
もしそうだとすると、今回の雇用統計で平均所得が市場予想(+2.4%)を上回っても、インフレ率(+2.9%)を下回ると、陰線で反応する可能性が高くなります。
よって、今回の反応は指標発表前から陰線となる可能性が高い、と考えています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が78%です。直後1分足が陽線(陰線)なら直後11分足も陽線(陰線)と見なしても良いでしょう。
次に、直後1分足と直後11分足との方向一致時に両者の跳値同士で反応が伸びたことは62%、終値同士で反応が伸びたことは67%となっています。反応伸長率が低くはないものの、あまり信頼できる数字ではありません。こういうときの追撃ポジションは短期利確です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
3回に2回の割合で、直前10-1分足は陽線、直前1分足は陰線、直後1分足は陰線となっています。ポジション取得根拠とする70%にはいずれも達していません。
反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除くと、ある期間のローソク足の方向が、それ以降のローソク足の方向を示唆している兆候は見出せません。
ただ、規定の70%には達していないものの、3回に2回の割合で、直前10-1分足と直前1分足とが逆方向、直前1分足と直後1分足が順方向になっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標発表前の動きについて、です。
市場予想に対して素直に反応しがちな直前10-1分足の方向と、事前差異異(市場予想ー前回結果)のプラス・マイナスの関係を挙げると、失業保険申請件数の差異との一致率は33%しかありません。つまり、予想より申請件数が多くても陰線で反応することが3回に1回しかありません。同様に、平均所得(含ボーナス)の差異との一致率は62%、失業率(ILO方式)の差異との一致率は50%です。
次に、指標発表後の動きについて、です。
発表結果に対し最も素直に反応しがちな直後1分足の方向と、事後差異(発表結果ー市場予想)のプラス・マイナスの関係を挙げると、失業保険申請件数の差異との一致率は48%しかありません。つまり、予想より申請件数が多くても陰線で反応することが2回に1回を下回っています。同様に、平均所得(含ボーナス)の差異との一致率は87%、失業率(ILO方式)の差異との一致率は64%です。
つまり、本指標での取引では、最も変化が大きい失業保険申請件数を見ていてはいけないのです。
そこで、各指標の重み付けを、失業保険申請件数の差異は―1倍、平均所得の差異は30倍、失業率の差異はー30倍にして、それら各差異を加えると、最も反応方向との一致率が高くなるようです。
それが下表の数値です。
事前差異と直前10-1分足との方向一致率は63%です。ポジションを取る規準には達していません。
事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各89%・81%です。
実態差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各64%・63%です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月14日17:30発表
以下は2017年6月14日20:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
平均所得は市場予想を下回り、失業率は同値、失業保険申請件数は市場予想を下回りました。
反応は陽線です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表前には陰線となる動きが強く、指標発表直前から陽線側に振れました。
直前10-1分足は、この動きにうまく乗ることができました。
直前1分足は、4本足チャートで陽線ですが、最後に長い上ヒゲを残して陽線の値幅を削りました。この動きにうまく乗ることが出来ました。
直後1分足は、発表後20秒ぐらいが陰線側に振れ、その後、陽線側に転じました。利確をするのが遅れなければ、あと5pips程度は稼げました。まぁそういうことは言っても仕方ありません。
追撃は初期反応が陰線側に振れたので、売りポジションを取りました。がしかし、陽線側に転じたことから損切となりました。
その後は、発表時点よりも陽線側が順張りですから、買ポジションでの追撃を試みました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標発表前の強い陰線側への動きは分析通りでした。
次に、今回は発表直後こそ平均所得が市場予想を下回ったことに反応したものの、約20秒後ぐらいからは失業保険申請件数が市場予想を下回ったことに反応しました。
分析を外しました。
直後1分足と直後11分足は同方向に反応し、跳値は反応を伸ばし、終値は値幅を削ることになりました。大きく一方向への反応が伸びていかなかった点は分析通りです。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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