2017年06月11日
米国物価指標「生産者物価指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月13日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月13日21:30に米国物価指標「生産者物価指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の結果を示します。
以上の調査・分析結果に基づくシナリオは次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
反応は、コアPPIがPPIよりも、前月比が前年比よりも重視されがちです。
さて、物価は上流から下流へと波及し、PPI(生産者物価指数)が変化すればCPI(消費者物価指数)に影響する、と考えられています。そのCPIはFRBの利上げ判断に影響するため、本指標が注目される訳です。
実際、PPI前月比とCPI前月比の増減は、かなり相関が強いことが確認できます。
2015年1月分(2月発表)から2017年2月分(3月発表)までのデータで、PPI前月比がプラスだったかマイナスだったかを、CPI前月比のそれと比較してみました。結果、同月データ同士だと方向一致率が74%、PPIを1か月後のCPIと比べると73%、2か月後だと71%、3か月後だと70%です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは68%、終値同士で反応が伸びたことは55%となっています。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙っても、3回に2回は利確できます。但し、終値は2回に1回しか伸びていないので、短期取引が基本です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が91%に達しています。
反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率以外、ある期間のローソク足が次の期間のローソク足の方向を予見できていません。取引参加者が指標発表前後に正しい読みに基づき売買している兆候はありません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、指標発表前後のローソク足の方向を予見できていません。
そして事後差異・実態差異は、発表直後1分足との方向一致率が各85%・71%となっています。発表結果が前回結果や市場予想を上回ったか下回ったかに、直後1分足が素直に反応しています。
がしかし、事後差異・実態差異ともに直前10-1分足・直前1分足・直後11分足とは、アテに出来る方向一致率に達していません。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月14日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はPPI前月比を除いて市場予想を上回りました。
反応は陽線です。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、当日のボラの低さから取引を止めました。分析に反して陽線となったので、幸いでした。まぁ負けても2-3pipsですが。
発表後には1度だけ追撃を行いました。粘っていればあと4pips程度稼げたようです。がしかし、確率的には反応が伸びることを安心して待てないので、これはこれで構いません。こういうやり方を繰り返して勝率を稼げていれば、そのうち大きく伸びるときに大きく利確できるでしょう。
「無理をしない」という事前の方針に忠実な取引が行えました。
直前1分足・直後1分足・直後11分足と、陽線が伸びています。
直前1分足が陽線となったことは分析を外しています。がしかし、これは確率上の問題ですから、仕方ありません。
事前差異はマイナスでしたが、事後差異はプラスとなりました。全体的に市場予想を上回る指標結果だったということです。
その結果、直後1分足は陽線となり、直後11分足は直後1分足よりも跳値・終値ともに反応を伸ばしました。
これで、翌日発表されるCPIはコアCPI・CPIともに市場予想を上回る確率が70%を超えました。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月13日21:30に米国物価指標「生産者物価指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 本指標には、堅実に稼ぐことが難しい特徴が多々あります。無理に取引しない方が無難です。
- 例えば、指標発表前の直前10-1分足・直前1分足には逆ヒゲ(ローソク足実体部と逆側へのヒゲ)が多くなっています。ヒゲを残したことが多いという事実は、見ているチャートの動きが信じられない、ということです。
また、反応一致性分析や指標一致性分析の結果からは、指標発表直後1分足を除けば、市場予想や発表結果がどうであれ、各ローソク足の方向とあまり関係ありません。次にどちらに動くかが読み取れないのです。
そして、反応は小さく一時的です。 - ただ、指標発表後の初期反応だけは素直で、初期反応方向を確認次第、追撃ポジションを取ってもよいでしょう。但し、短時間で利確すべきです。
というのも、直後11分足終値が直後1分足終値を超えたことは55%未満しかありません。過去の傾向から言えば、深追いを避けるべき指標です。
次に指標定型分析の結果を示します。
- 反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率が81%となっています。がしかし、方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは68%、終値同士で反応が伸びたことは55%です。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙って短期勝負なら、3回に2回は利確できます。けれども、直後11分足終値までポジションを持っても2回に1回しか利確できません。
これらの過去確率は、方向一致時に反応が伸びたか否かについて求めているので、直後1分足と直後11分足の方向が一致しなかったときのことも踏まえると、直後11分足終値が直後1分足終値を同方向で超えることは2回に1回未満(50%未満)になってしまいます。
よって、反応方向を確認次第すぐに追撃ポジションを取り、直後1分足終値の平均値12pipsを超えたら利確、その後の追撃は諦めた方が無難です。 - 反応一致性分析の結果、直前1分足は陰線率が91%に達しています。また、反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率以外、ある期間のローソク足が次の期間のローソク足の方向を予見できていません。
取引参加者の指標発表前後の動きは、事前に発表結果を正しく読めて売買している兆候が見受けられません。 - 指標一致性分析の結果、市場予想は指標発表前後のローソク足の方向を予見できていないものの、発表結果と前回結果・市場予想の差異は発表直後1分足との方向一致率が各85%・71%となっています。
つまり、発表結果には素直に反応するものの、それ以外に市場予想や発表結果が反応方向を示唆している兆候はありません。
以上の調査・分析結果に基づくシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
がしかし、過去の跳幅平均が4pipsしかなく、値幅平均も2pipsしかありません。この期間の逆ヒゲが多いことも踏まえると、陽線側に跳ねたら数秒間だけ4pips程度の利確のチャンスがあると見ておくべきでしょう。
陰線方向が順張りとなるようなトレンドが指標発表前に発生していない限り、たぶん取引しません。 - 指標発表後は、反応方向を確認でき次第すぐに追撃ポジションを取ります。但し、直後1分足の跳値平均は17pips、終値平均は12pipsしかありません。指標発表直前のレートを頭に入れておき、そこから10pips以上離れていたら追撃は諦めた方が良さそうです。
- 無理しない、ということが大切です。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
PPI(生産者物価指数)は約10,000品目の販売価格(出荷時点価格)を調査・算出した物価指標です。1982年の平均物価を100として算出されています。PPIから、価格変動が大きい食糧・エネルギーを除いた指標がコアPPIです。
内訳には「品目別」「産業別」「製造段階別(原材料・中間財・完成財)」があり、「品目別」「産業別」を見て、結果(「コア指数」「総合指数」)の解釈を行います。
反応は、コアPPIがPPIよりも、前月比が前年比よりも重視されがちです。
さて、物価は上流から下流へと波及し、PPI(生産者物価指数)が変化すればCPI(消費者物価指数)に影響する、と考えられています。そのCPIはFRBの利上げ判断に影響するため、本指標が注目される訳です。
実際、PPI前月比とCPI前月比の増減は、かなり相関が強いことが確認できます。
2015年1月分(2月発表)から2017年2月分(3月発表)までのデータで、PPI前月比がプラスだったかマイナスだったかを、CPI前月比のそれと比較してみました。結果、同月データ同士だと方向一致率が74%、PPIを1か月後のCPIと比べると73%、2か月後だと71%、3か月後だと70%です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは68%、終値同士で反応が伸びたことは55%となっています。
つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙っても、3回に2回は利確できます。但し、終値は2回に1回しか伸びていないので、短期取引が基本です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が91%に達しています。
反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の方向一致率以外、ある期間のローソク足が次の期間のローソク足の方向を予見できていません。取引参加者が指標発表前後に正しい読みに基づき売買している兆候はありません。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、指標発表前後のローソク足の方向を予見できていません。
そして事後差異・実態差異は、発表直後1分足との方向一致率が各85%・71%となっています。発表結果が前回結果や市場予想を上回ったか下回ったかに、直後1分足が素直に反応しています。
がしかし、事後差異・実態差異ともに直前10-1分足・直前1分足・直後11分足とは、アテに出来る方向一致率に達していません。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月13日21:30発表
以下は2017年6月14日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果はPPI前月比を除いて市場予想を上回りました。
反応は陽線です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は、当日のボラの低さから取引を止めました。分析に反して陽線となったので、幸いでした。まぁ負けても2-3pipsですが。
発表後には1度だけ追撃を行いました。粘っていればあと4pips程度稼げたようです。がしかし、確率的には反応が伸びることを安心して待てないので、これはこれで構いません。こういうやり方を繰り返して勝率を稼げていれば、そのうち大きく伸びるときに大きく利確できるでしょう。
「無理をしない」という事前の方針に忠実な取引が行えました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
直前1分足・直後1分足・直後11分足と、陽線が伸びています。
直前1分足が陽線となったことは分析を外しています。がしかし、これは確率上の問題ですから、仕方ありません。
事前差異はマイナスでしたが、事後差異はプラスとなりました。全体的に市場予想を上回る指標結果だったということです。
その結果、直後1分足は陽線となり、直後11分足は直後1分足よりも跳値・終値ともに反応を伸ばしました。
これで、翌日発表されるCPIはコアCPI・CPIともに市場予想を上回る確率が70%を超えました。
(6-2. シナリオ検証)
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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