2017年06月13日
米国実態指標「小売売上高」・物価指標「CPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月14日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月14日21:30に米国実態指標「小売売上高」・物価指標「CPI」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の家かは次の通りです。
以上の結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高やCPIは重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
反応との関係は、除自動車前月比>前月比、です。
CPI(消費者物価指数)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・PPI(生産者物価指数)・CPI(消費者物価指数)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
物価が下流に波及(輸入物価指数→PPI→CPI)という話において、アテになるのは同月のPPIとCPIが同じ方向に変化する確率が高い、という点です。2015年1月分(同2月発表)から2017年2月分までで、PPIの上昇/下降がCPIのそれと一致したことは74%です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に小売売上高の過去の市場予想と発表結果を示します。
直近の傾向を見る限り、小売売上高とCPIの同時発表が多くなっています。そして、反応方向に関心を持つ限り、小売売上高に関心を持っていれば十分です。
下表は、小売売上高とCPIが同時発表された直近5回の反応と、各指標Iの市場予想との差(Δ小売売上高・ΔコアCPI・ΔCPI)を示しています。
黒字は発表結果が市場予想を上回った程度、赤字は下回った程度を示してます。
市場予想を上回った(下回った)ときに素直に陽線(陰線)で反応したならば背景が水色、逆に陰線(陽線)で素直でない反応となったときは背景が桃色となっています。
本表からわかるように、小売売上高とCPIの市場予想との差は良く一致しています。僅かな差ではありますが、より小売売上高の方が反応方向と一致しています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が82%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは100%、終値同士で反応が伸びたことは74%となっています。
つまり本指標は、反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。反応が伸び続ける気配があれば、直後11分足終値までポジションを持って利益を伸ばしても良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。
そして、各ローソク足同士は、反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の関係を除けば、あるローソク足の方向が別のローソク足の方向を示唆している兆候がありません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
そして各差異は、前月比の差異と除自動車の差異を加えて求めています。
事前差異と実態差異は各ローソク足の方向と関係がなさそうです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各84%・76%となっています。本指標は、発表結果の多寡(市場予想に対して)に応じて素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月14日22:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
小売売上高前月比が市場予想を下回り、小売売上高(除自動車)は市場予想を上回りました。CPII・コアCPIは市場予想を下回っています。
反応は、直後1分足跳幅が45pipsで調査期間において最も大きく、直後11分足跳幅は68pipsで調査期間において2番目に大きな反応となりました。
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
直前1分足が陰線と見込んだ点について、その通りとなりました。
直前10-1分足が陽線なら直後1分足は買ポジション取得し、直前10-1分足が陰線ならポジション取得を見合わせた点は賢明でした。
追撃は容易で、一方向への反応が伸び続けました。
PPIの事前差異が下振れしたときはCPIも下振れする確率が高いという点は、確率通りでした。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月14日21:30に米国実態指標「小売売上高」・物価指標「CPI」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
- 今回も小売売上高とCPIが同時発表されます。そして、直近の傾向を見る限り、反応方向は小売売上高に関心を持っていれば十分です。
- 小売売上高の反応は、指標発表前にヒゲが目立っています。がしかし、そのヒゲの方向・程度や直前10-1分足の方向は、指標発表後の反応方向や程度と関係ありません。
指標発表前の動きに連られて慌ててポジションを取らないように気を付けましょう。 - 一方、指標発表後は、小売売上高の発表結果が市場予想を上回ったら陽線、下回ったら陰線という素直な反応をします。そして、過去の確率から言えば、指標発表後の反応は一方向に伸びがちです。
次に指標定型分析の家かは次の通りです。
- 反応性分析の結果は次の通りです。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が82%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは100%、終値同士で反応が伸びたことは74%となっています。
つまり本指標は、反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。反応が伸び続ける気配があれば、直後11分足終値までポジションを持って利益を伸ばしても良さそうです。 - 反応一致性分析の結果は次の通りです。
直前1分足は陰線率が92%となっています。
そして、各ローソク足同士は、反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の関係を除けば、あるローソク足の方向が別のローソク足の方向を示唆している兆候がありません。 - 指標一致性分析の結果は次の通りです。
事前差異と実態差異は各ローソク足の方向と関係がなさそうです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各84%・76%となっています。本指標は、発表結果の多寡(市場予想に対して)に応じて素直に反応しています。 - 前日発表されたPPI・コアPPIは市場予想を上回り、陽線で反応しました。
過去2017年2月分までの30回弱の傾向を見ると、同月発表のPPI・コアPPIの事後差異がプラスだったとき、CPI・CPIコアの事後差異がプラスとなった確率は74%です。
以上の結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、過去平均跳幅は5pips、値幅は3pipsしかないので、当日実際の値動きが小さいようなら取引は中止します。 - 直後1分足は、直前10-1分足との方向一致率が68%となっています。
もし、直前10-1分足が事前差異と同じ陽線になったら指標発表直前に買ポジションを取り、直前10-1分足が陰線なら取引を中止します。 - 指標発表後は、反応方向を確認次第、順張りで追撃を行います。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高やCPIは重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
反応との関係は、除自動車前月比>前月比、です。
CPI(消費者物価指数)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・PPI(生産者物価指数)・CPI(消費者物価指数)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
物価が下流に波及(輸入物価指数→PPI→CPI)という話において、アテになるのは同月のPPIとCPIが同じ方向に変化する確率が高い、という点です。2015年1月分(同2月発表)から2017年2月分までで、PPIの上昇/下降がCPIのそれと一致したことは74%です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に小売売上高の過去の市場予想と発表結果を示します。
直近の傾向を見る限り、小売売上高とCPIの同時発表が多くなっています。そして、反応方向に関心を持つ限り、小売売上高に関心を持っていれば十分です。
下表は、小売売上高とCPIが同時発表された直近5回の反応と、各指標Iの市場予想との差(Δ小売売上高・ΔコアCPI・ΔCPI)を示しています。
黒字は発表結果が市場予想を上回った程度、赤字は下回った程度を示してます。
市場予想を上回った(下回った)ときに素直に陽線(陰線)で反応したならば背景が水色、逆に陰線(陽線)で素直でない反応となったときは背景が桃色となっています。
本表からわかるように、小売売上高とCPIの市場予想との差は良く一致しています。僅かな差ではありますが、より小売売上高の方が反応方向と一致しています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が82%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは100%、終値同士で反応が伸びたことは74%となっています。
つまり本指標は、反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。反応が伸び続ける気配があれば、直後11分足終値までポジションを持って利益を伸ばしても良さそうです。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。
そして、各ローソク足同士は、反応性分析で触れた直後1分足と直後11分足の関係を除けば、あるローソク足の方向が別のローソク足の方向を示唆している兆候がありません。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
そして各差異は、前月比の差異と除自動車の差異を加えて求めています。
事前差異と実態差異は各ローソク足の方向と関係がなさそうです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各84%・76%となっています。本指標は、発表結果の多寡(市場予想に対して)に応じて素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月14日21:30発表
以下は2017年6月14日22:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
小売売上高前月比が市場予想を下回り、小売売上高(除自動車)は市場予想を上回りました。CPII・コアCPIは市場予想を下回っています。
反応は、直後1分足跳幅が45pipsで調査期間において最も大きく、直後11分足跳幅は68pipsで調査期間において2番目に大きな反応となりました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
問題ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
直前1分足が陰線と見込んだ点について、その通りとなりました。
直前10-1分足が陽線なら直後1分足は買ポジション取得し、直前10-1分足が陰線ならポジション取得を見合わせた点は賢明でした。
追撃は容易で、一方向への反応が伸び続けました。
PPIの事前差異が下振れしたときはCPIも下振れする確率が高いという点は、確率通りでした。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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