2017年05月02日
英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年5月2日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月2日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は54.0で、前回結果54.2を下回っています。
先週発表された1-3月期GDP速報値の結果を見る限り、市場予想の低下は小さすぎるように思えます。がしかし、GDPの内訳を見てみると、鉱工業生産分野は前期比+0.3%で、10-12月期の+0.4%からそれほど悪化していません。実際、2月20日-3月13日にBCCが行った調査では、製造業の第1四半期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びとなっていました。
つまり、今回の市場予想が前回結果より0.2ポイント悪化となっている理由は実態でなく、「この先、良くなりそうか・悪くなりそうか」の部分でしかありません。良い訳がない。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
「
直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことが16回(母数27回)、20pips以上だったことが7回、もあります。そして直前1分足跳幅も10pips以上に達したことが7回あります。発表前から、かなり動くことが多いのでご注意ください。
ちなみに、発表前に大きく動いたから発表後も大きく動くという関係は見出せていません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が85%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが58%です。追撃ポジションを取るなら慎重にタイミングを見計らいましょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は陰線率が74%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後11分足は、事前差異との方向一致率が28%です。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ100%・88%です。発表結果が市場予想より大きいか小さいかで素直に反応します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年5月3日18:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は57.3(市場予想54.0、前月結果54.2)で、3年ぶりの高水準でした。
内訳は、新規受注指数が2014年1月以来の高水準で、輸出受注指数も7カ月ぶりの高水準となっており、GBP安が原因との解説記事がありました。
直前10-1分足は陽線となっており、市場では予めこの結果を正しく予見していた可能性があります(直前1分足は、もともと多くの指標で陰線に振れることが多いため参考になりません)。
指標発表結果を受けて、直後1分足は素直に陽線で反応したものの、直後11分足は反応を伸ばしていません。発表から3-4分後に戻り、5-6分後に再び伸長、9-10分後にまた戻しとバタバタ動き、指標発表後11-12分後には発表時点の値まであと10pipsというところまで戻しました。
取引結果は次の通りでした。
指標を跨いだ取引で損切となったため、挽回のためシナリオ外取引を行いました。結果的には、このシナリオ外取引のポジションを長く持てばほぼ損切分を挽回できたようですが、そのためには18:00過ぎまでポジションを持たないといけなかったことがわかっています。それではポジション保有時間が長すぎます。
残念ながら、この取引は指標分析を外したため、負けは仕方ありません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
結果は57.3で、3年ぶりの高水準でしたので、完全に分析を間違っていたことになります。
分析を間違った原因は、先週発表された1-3月期GDP速報値で、鉱工業生産分野は前期比+0.3%で、10-12月期の+0.4%からそれほど悪化していなかった点を重視しなかったため、です。また、BCCによる製造業の第1四半期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びという調査結果も軽視してしまいました。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が74%です。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陰線です。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が85%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが58%です。追撃ポジションを取るなら慎重にタイミングを見計らいましょう。
結果が負けとなったのは分析を間違ったからで、シナリオに問題があった訳ではありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月2日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 本指標での取引における注意点が3点あります。
(1) まず、英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいことです。
(2) そして、直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことが16回(母数27回)、20pips以上だったことが7回、もあります。そして直前1分足跳幅も10pips以上に達したことが7回あります。発表前から、かなり動くことが多いのでご注意ください。ちなみに、発表前に大きく動いたから発表後も大きく動くという関係は見出せていません。
(3) 最後に、指標一致性分析の結果、事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ100%・88%です。発表結果が市場予想より大きいか小さいかで素直に反応します。 - 指標については次の通りです。
市場予想は54.0で、前回結果54.2よりも僅かしか悪化していません。これまで判明している実態数値からは、この説明が付きません。PMIの景況感部分の悪化がそれ以上と見込み、市場予想を下回ると考えます。
参考となるのが、前日5月1日に発表された米国製造業PMIです。米国でも実態がそれほど悪化した訳でもないのに、景況感悪化が先行しています。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が74%です。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陰線です。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が85%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが58%です。追撃ポジションを取るなら慎重にタイミングを見計らいましょう。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は54.0で、前回結果54.2を下回っています。
先週発表された1-3月期GDP速報値の結果を見る限り、市場予想の低下は小さすぎるように思えます。がしかし、GDPの内訳を見てみると、鉱工業生産分野は前期比+0.3%で、10-12月期の+0.4%からそれほど悪化していません。実際、2月20日-3月13日にBCCが行った調査では、製造業の第1四半期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びとなっていました。
つまり、今回の市場予想が前回結果より0.2ポイント悪化となっている理由は実態でなく、「この先、良くなりそうか・悪くなりそうか」の部分でしかありません。良い訳がない。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
「
直前10-1分足跳幅が10pips以上だったことが16回(母数27回)、20pips以上だったことが7回、もあります。そして直前1分足跳幅も10pips以上に達したことが7回あります。発表前から、かなり動くことが多いのでご注意ください。
ちなみに、発表前に大きく動いたから発表後も大きく動くという関係は見出せていません。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が85%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが58%です。追撃ポジションを取るなら慎重にタイミングを見計らいましょう。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は陰線率が74%です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後11分足は、事前差異との方向一致率が28%です。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ100%・88%です。発表結果が市場予想より大きいか小さいかで素直に反応します。
【6. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年5月2日17:30発表
以下は2017年5月3日18:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は57.3(市場予想54.0、前月結果54.2)で、3年ぶりの高水準でした。
内訳は、新規受注指数が2014年1月以来の高水準で、輸出受注指数も7カ月ぶりの高水準となっており、GBP安が原因との解説記事がありました。
直前10-1分足は陽線となっており、市場では予めこの結果を正しく予見していた可能性があります(直前1分足は、もともと多くの指標で陰線に振れることが多いため参考になりません)。
指標発表結果を受けて、直後1分足は素直に陽線で反応したものの、直後11分足は反応を伸ばしていません。発表から3-4分後に戻り、5-6分後に再び伸長、9-10分後にまた戻しとバタバタ動き、指標発表後11-12分後には発表時点の値まであと10pipsというところまで戻しました。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標を跨いだ取引で損切となったため、挽回のためシナリオ外取引を行いました。結果的には、このシナリオ外取引のポジションを長く持てばほぼ損切分を挽回できたようですが、そのためには18:00過ぎまでポジションを持たないといけなかったことがわかっています。それではポジション保有時間が長すぎます。
残念ながら、この取引は指標分析を外したため、負けは仕方ありません。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 市場予想は54.0で、前回結果54.2よりも僅かしか悪化していません。これまで判明している実態数値からは、この説明が付きません。PMIの景況感部分の悪化がそれ以上と見込み、市場予想を下回ると考えます。
参考となるのが、前日5月1日に発表された米国製造業PMIです。米国でも実態がそれほど悪化した訳でもないのに、景況感悪化が先行しています。
結果は57.3で、3年ぶりの高水準でしたので、完全に分析を間違っていたことになります。
分析を間違った原因は、先週発表された1-3月期GDP速報値で、鉱工業生産分野は前期比+0.3%で、10-12月期の+0.4%からそれほど悪化していなかった点を重視しなかったため、です。また、BCCによる製造業の第1四半期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びという調査結果も軽視してしまいました。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陰線です。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が85%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが58%です。追撃ポジションを取るなら慎重にタイミングを見計らいましょう。
結果が負けとなったのは分析を間違ったからで、シナリオに問題があった訳ではありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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