2017年04月27日
英国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年4月28日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月28日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。どの国についてもそうですが、政策金利改定に次いで大きな反応が起きるのがGDP発表です。
英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。最も反応が大きいのが速報値ですから、ポジションを持つつもりの方はご注意ください。
但し、最近の傾向は少し異なるようです。以下のデータを用いた調査・分析結果をご覧ください。
GDP速報値は、英国国家統計局が 1月・4月・7月・10月の下旬に前四半期分を発表しています。
以下の調査分析範囲は、2013年4-6月期分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前年比が+2.2%(前期確報値+1.9%、差異+0.3%)、前期比が+0.4%(前期確報値+0.7%、差異△0.3%)、となっています。
さて、IMFが4月18日に2017年の世界経済見通しを発表しており、英国は1月の1.5%から2.0%に引き上げています。引上げ理由は、EU離脱による悪影響が顕在化するのに(1月発表時に想定していたよりも)時間がかかるため、です。今回の前年比市場予想は、このIMF想定を超えています。
4月11日に、BRC(英小売協会)は、1-3月期の小売売上高が前年比+0.1%増だったことを発表しています。また4月13日に、BCC(英商工会議所)は、製造業の1-3月期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びとなったことを発表しています。サービス部門でも回復がみられ、売上高の伸びは昨年6月以降で最大となっていたそうです。
つまり、前年比が前期確報値を上回りそうなことは、消費(小売)と貿易から裏付けられている訳です。がしかし、GDPの最大要因である1-3月消費(小売)が僅かに+0.1%というのに、市場予想の+2.2%(前確報値+1.9%)はやや高すぎます。
よって、この期間の前年比+0.3%という市場予想は高すぎます。
次に、英シンクタンクNISERは、4月13日に、1-3月期成長率が0.5%との見通しを示しています。NISERは、前四半期の+0.7%よりも今四半期の見通しを引き下げた理由として、1・2月の小売売上高が悪かった点を挙げています。それならば、3月の小売売上高指数はその1・2月よりも悪かったのだから、NISERが示した+0.5%は更に下方修正して理解しないといけません。
例えば、小売売上高指数をみれば、12月を1として、1-3月の各単月の前月比を積算すると、△0.7%となります。この△0.7%は、GDPの40%を占める消費と直結していると仮定すると、△0.28%となります。がしかし、この期間は鉱工業生産指数や製造業生産指数も低下しています。
よって、前期比が前確報値に対し△0.3%という数字は甘く、もっと低下する可能性が高いと考えられます。
今回は、前年比・前期比ともに市場予想を下回る、と予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
指標発表前にも動きが荒いので注意が必要です。
直前10-1分足には上下にヒゲが目立ちます。ヒゲや値幅が10pips以上だったことが、過去15回のうち8回もあります。直前1分足も、他の指標と違って10pips以上にヒゲや値幅が達したことが7回もあります。
過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が93%です。そして、方向一致時に直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも大きかったことが69%です。指標発表直後に高値掴みさえ気を付ければ、追撃ポジションが取れますね。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が79%、直後1分足の陽線率が71%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異と各ローソク足との間に強い相関(期待的中率70%以上)は見られません。
直前1分足の事後差異との方向一致率が29%(不一致率71%)で、事後差異は直後1分足との方向一致率が75%です。つまり、直前1分足が陰線ならば、発表結果が市場予想を上回って直後1分足が陽線で反応しがちだったし、直前1分足が陽線ならば、発表結果が市場予想を下回って直後1分足が陰線で反応しがちだった、ということです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年4月28日20:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
分析通り、前年比・前期比ともに市場予想を下回りました。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
直後1分足は、前年比・前期比ともに市場予想を下回ったにも関わらず、最初、陽線で反応しました。そういうときには損切も仕方ありません。その後、陰線に転じて、更にそれから最終的に陽線へと転じました。市場予想を下回ったものの悪い数字ではないときのパターンでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月28日17:30に英国経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
(1) 指標発表前にも動きが荒いので注意が必要です。直前10-1分足には上下にヒゲが目立ちます。ヒゲや値幅が10pips以上だったことが、過去15回のうち8回もあります。直前1分足も、他の指標と違って10pips以上にヒゲや値幅が達したことが7回もあります。
(2) そして、事前差異(市場予想ー前確報値結果)と各ローソク足との間に強い相関(期待的中率70%以上)は見られません。本指標の市場予想は過去データを見る限り、反応方向を考察する上ではアテになりません。
(3) 下記シナリオ(2)項の直後1分足は陰線と予想しています。がしかし、過去の指標一致性分析の結果は、陽線の可能性を示唆しています。すなわち、直前1分足の事後差異との方向一致率が29%(不一致率71%)で、事後差異は直後1分足との方向一致率が75%です。そして、反応一致性分析では、直前1分足の陰線率が高く、直後1分足の陽線率が高くなっています。今回の直後1分足での取引は、過去の定量分析結果よりも、現状の定性分析結果を優先しているので、ここで異論がある読者は、直後1分足を陽線と見立てた方が良いでしょう。 - 指標については次の通りです。
今回の市場予想は、前年比が+2.2%(前期確報値+1.9%、差異+0.3%)、前期比が+0.4%(前期確報値+0.7%、差異△0.3%)、となっています。
そして今回は、前年比・前期比ともに市場予想を下回ると予想しています。根拠は、GDPで最も大きな比率を占める1-3月の個人消費(小売売上高で代用算出)が、市場予想を裏付けるほどには良くないためです。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%です。
(2) 直後1分足は、上記の指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が93%です。そして、方向一致時に直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも大きかったことが69%です。指標発表直後に高値(安値)掴みさえ気を付ければ、追撃ポジションが取れますね。
T.調査
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
【1. 指標概要】
GDPは国内経済活動を総合的に表すので、その国の経済状況が良くなっているのか悪くなっているのかが一目瞭然です。どの国についてもそうですが、政策金利改定に次いで大きな反応が起きるのがGDP発表です。
英国四半期GDPは「速報値」「改定値」「確報値」と3回発表されます。最も反応が大きいのが速報値ですから、ポジションを持つつもりの方はご注意ください。
但し、最近の傾向は少し異なるようです。以下のデータを用いた調査・分析結果をご覧ください。
GDP速報値は、英国国家統計局が 1月・4月・7月・10月の下旬に前四半期分を発表しています。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2013年4-6月期分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前年比が+2.2%(前期確報値+1.9%、差異+0.3%)、前期比が+0.4%(前期確報値+0.7%、差異△0.3%)、となっています。
さて、IMFが4月18日に2017年の世界経済見通しを発表しており、英国は1月の1.5%から2.0%に引き上げています。引上げ理由は、EU離脱による悪影響が顕在化するのに(1月発表時に想定していたよりも)時間がかかるため、です。今回の前年比市場予想は、このIMF想定を超えています。
4月11日に、BRC(英小売協会)は、1-3月期の小売売上高が前年比+0.1%増だったことを発表しています。また4月13日に、BCC(英商工会議所)は、製造業の1-3月期の輸出が約2年ぶりの大幅な伸びとなったことを発表しています。サービス部門でも回復がみられ、売上高の伸びは昨年6月以降で最大となっていたそうです。
つまり、前年比が前期確報値を上回りそうなことは、消費(小売)と貿易から裏付けられている訳です。がしかし、GDPの最大要因である1-3月消費(小売)が僅かに+0.1%というのに、市場予想の+2.2%(前確報値+1.9%)はやや高すぎます。
よって、この期間の前年比+0.3%という市場予想は高すぎます。
次に、英シンクタンクNISERは、4月13日に、1-3月期成長率が0.5%との見通しを示しています。NISERは、前四半期の+0.7%よりも今四半期の見通しを引き下げた理由として、1・2月の小売売上高が悪かった点を挙げています。それならば、3月の小売売上高指数はその1・2月よりも悪かったのだから、NISERが示した+0.5%は更に下方修正して理解しないといけません。
例えば、小売売上高指数をみれば、12月を1として、1-3月の各単月の前月比を積算すると、△0.7%となります。この△0.7%は、GDPの40%を占める消費と直結していると仮定すると、△0.28%となります。がしかし、この期間は鉱工業生産指数や製造業生産指数も低下しています。
よって、前期比が前確報値に対し△0.3%という数字は甘く、もっと低下する可能性が高いと考えられます。
今回は、前年比・前期比ともに市場予想を下回る、と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
指標発表前にも動きが荒いので注意が必要です。
直前10-1分足には上下にヒゲが目立ちます。ヒゲや値幅が10pips以上だったことが、過去15回のうち8回もあります。直前1分足も、他の指標と違って10pips以上にヒゲや値幅が達したことが7回もあります。
U. 分析
過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が93%です。そして、方向一致時に直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも大きかったことが69%です。指標発表直後に高値掴みさえ気を付ければ、追撃ポジションが取れますね。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が79%、直後1分足の陽線率が71%です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異と各ローソク足との間に強い相関(期待的中率70%以上)は見られません。
直前1分足の事後差異との方向一致率が29%(不一致率71%)で、事後差異は直後1分足との方向一致率が75%です。つまり、直前1分足が陰線ならば、発表結果が市場予想を上回って直後1分足が陽線で反応しがちだったし、直前1分足が陽線ならば、発表結果が市場予想を下回って直後1分足が陰線で反応しがちだった、ということです。
【6. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年4月28日17:30発表
以下は2017年4月28日20:00頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回の市場予想は、前年比が+2.2%(前期確報値+1.9%、差異+0.3%)、前期比が+0.4%(前期確報値+0.7%、差異△0.3%)、となっています。
そして今回は、前年比・前期比ともに市場予想を下回ると予想しています。根拠は、GDPで最も大きな比率を占める1-3月の個人消費(小売売上高で代用算出)が、市場予想を裏付けるほどには良くないためです。
分析通り、前年比・前期比ともに市場予想を下回りました。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%です。
(2) 直後1分足は、上記の指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が93%です。そして、方向一致時に直後11分足値幅が直後1分足値幅よりも大きかったことが69%です。指標発表直後に高値(安値)掴みさえ気を付ければ、追撃ポジションが取れますね。
直後1分足は、前年比・前期比ともに市場予想を下回ったにも関わらず、最初、陽線で反応しました。そういうときには損切も仕方ありません。その後、陰線に転じて、更にそれから最終的に陽線へと転じました。市場予想を下回ったものの悪い数字ではないときのパターンでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
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ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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