2017年04月06日
英国実態指標「鉱工業生産」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年4月7日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月7日17:30に英国実態指標「鉱工業生産」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
同時に英国国際収支「貿易収支」も発表されます。過去の経験から言えば無視しても差し支えありませんが、EUとの関係から今後は影響が大きくなるかも知れません。とりあえず今回はまだ、「鉱工業生産」のみの分析でシナリオを用意しています。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
発表結果に対し最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均値は23pipsとなっています。平均値である23pipsを超えたことが44%です。反応が大きいほとんどの指標は、たまに極めて大きく反応して平均値を引き上げていることが殆どです。そのため、本指標のように半数近くが平均値を超える指標は珍しいと言えます。
なお、調査期間において最も反応が大きかったときは50pipsでした。
以上のことから、本指標は安定して大きく反応する、と言えるでしょう。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
市場予想は、前月比+0.2%(前回△0.4%)・前年比+3.7%(前回+3.2%)となっています。過去の傾向を見ると、前年比よりも前月比で大きく反応しがちです。
前月比ですから、グラフは上下に大きく動きます。11月が大きくプラスだっただけに、前々月12月・前月1月と続けて大きく落ち込んだように見えます。がしかし、実際は前月より12月が+1.1%改善しており、1月は△0.4%落ち込んだだけです。
他の指標で見てみましょう。
製造業PMIは、11月が前の2か月より低下し、12月は大きく増加、1月が12月から横這いで、2月は低下、3月が更に低下しています。大きくプラスになった月が、景況感は12月で、鉱工業生産が11月です。
変ですね。ふつう、景気指標の方が実態指標よりも先行する、と言われているのに。変であっても、直近の特徴に従うべき、と考えます。つまり、2月の鉱工業生産は3月の製造業PMIとの相関が強い、と。
3月製造業PMIは、2月よりも低下しています。
もし、これで正しければ、次の仮説が成り立ちます。
PMIが景況感と言いながらも、企業の購買担当役員から在庫・受注・納品等が前月より「良い」「同じ」「悪い」の回答形式で集めたデータに基づきます。「感」と言っても、消費者の景況感とは違って、数字に基づく回答です。2月の業績は3月月初に纏まり、PMIのアンケートは3月中旬に行われます。3月下旬は、マークイット社のアナリストがアンケートを集計したり、他の指標を分析して、4月上旬のPMI発表に間に合わせているのでしょう。
3月製造業PMIの結果は54.2で、市場予想55.0を下回りました。2月も55.6から54.5に下方修正されたものの、発表結果はそれをも下回りました。
今回発表結果は4カ月ぶりの低い水準で、その理由はインフレ圧力の高まりとともに、消費者向け製品への需要が低迷しているため、という解説記事がありました。
よって、今回は市場予想を下回る、と予想します。重ねて、前月1月の鉱工業生産前月比が下がったのは、前月に比べてたった0.4ポイントだけです。関連指標を見る限り、2月はもっと悪くなっても不思議じゃありません。
但し、上記は前月比についての話です。前年比がどうなるかはわかりません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
いずれも陽線・陰線への極端な偏りは無いようです。そして、ヒゲが目立ったり目立たなかったりもしていません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が72%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが72%です。これなら発表後に反応方向を見てから追撃できますね。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は、直前10-1分足との方向一致率が28%(不一致率が72%)となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が29%となっています。そして、直前1分足は、事前差異との方向一致率が75%です。先述の通り、反応一致性分析でも、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が28%(不一致率が72%)となっており、矛盾はありません。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足が陰線、直前1分足が陽線、ということになります。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年4月8日11:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
ロイターに依れば「このデータがEU離脱を準備によって経済成長が鈍化している可能性を示す内容」である旨、解説しています。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
結果は前月比・前年比ともに前回結果・市場予想よりも悪化で、反応は陰線でした。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線でした。直後11分足は、直後1分足終値よりも一時的に反応を伸ばしたものの、反応を縮小して終わりました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月7日17:30に英国実態指標「鉱工業生産」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
同時に英国国際収支「貿易収支」も発表されます。過去の経験から言えば無視しても差し支えありませんが、EUとの関係から今後は影響が大きくなるかも知れません。とりあえず今回はまだ、「鉱工業生産」のみの分析でシナリオを用意しています。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
発表結果に対し最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均値は23pipsとなっています。平均値である23pipsを超えたことが44%です。反応が大きいほとんどの指標は、たまに極めて大きく反応して平均値を引き上げていることが殆どです。そのため、本指標のように半数近くが平均値を超える指標は珍しいと言えます。
なお、調査期間において最も反応が大きかったときは50pipsでした。
以上のことから、本指標は安定して大きく反応する、と言えるでしょう。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 注意点は、安定して大きく反応しがちな指標だということです。
- 指標については、前年比はわかりませんが、前月比が市場予想よりも悪化する、と予想しています。
論拠は、製造業PMIが3か月連続で悪化し続けていることと、鉱工業生産前月比の前回結果(1月分△0.4%)が数字が良かった直近(11月分が前月比+2.1%、12月分が前月比+1.0%)に対して、まだ悪化程度が小さすぎるから、です。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前10-1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が29%となっています。陰線です。
(2) 直前1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が75%です。陽線です。 但し、反応一致性分析では、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が28%(不一致率が72%)となっています。直前10-1分足が陽線の場合、取引を見合わせます。
(3) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(4) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が72%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが72%です。これなら発表後に反応方向を見てから追撃できますね。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
市場予想は、前月比+0.2%(前回△0.4%)・前年比+3.7%(前回+3.2%)となっています。過去の傾向を見ると、前年比よりも前月比で大きく反応しがちです。
前月比ですから、グラフは上下に大きく動きます。11月が大きくプラスだっただけに、前々月12月・前月1月と続けて大きく落ち込んだように見えます。がしかし、実際は前月より12月が+1.1%改善しており、1月は△0.4%落ち込んだだけです。
他の指標で見てみましょう。
製造業PMIは、11月が前の2か月より低下し、12月は大きく増加、1月が12月から横這いで、2月は低下、3月が更に低下しています。大きくプラスになった月が、景況感は12月で、鉱工業生産が11月です。
変ですね。ふつう、景気指標の方が実態指標よりも先行する、と言われているのに。変であっても、直近の特徴に従うべき、と考えます。つまり、2月の鉱工業生産は3月の製造業PMIとの相関が強い、と。
3月製造業PMIは、2月よりも低下しています。
もし、これで正しければ、次の仮説が成り立ちます。
PMIが景況感と言いながらも、企業の購買担当役員から在庫・受注・納品等が前月より「良い」「同じ」「悪い」の回答形式で集めたデータに基づきます。「感」と言っても、消費者の景況感とは違って、数字に基づく回答です。2月の業績は3月月初に纏まり、PMIのアンケートは3月中旬に行われます。3月下旬は、マークイット社のアナリストがアンケートを集計したり、他の指標を分析して、4月上旬のPMI発表に間に合わせているのでしょう。
3月製造業PMIの結果は54.2で、市場予想55.0を下回りました。2月も55.6から54.5に下方修正されたものの、発表結果はそれをも下回りました。
今回発表結果は4カ月ぶりの低い水準で、その理由はインフレ圧力の高まりとともに、消費者向け製品への需要が低迷しているため、という解説記事がありました。
よって、今回は市場予想を下回る、と予想します。重ねて、前月1月の鉱工業生産前月比が下がったのは、前月に比べてたった0.4ポイントだけです。関連指標を見る限り、2月はもっと悪くなっても不思議じゃありません。
但し、上記は前月比についての話です。前年比がどうなるかはわかりません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
いずれも陽線・陰線への極端な偏りは無いようです。そして、ヒゲが目立ったり目立たなかったりもしていません。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が72%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが72%です。これなら発表後に反応方向を見てから追撃できますね。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は、直前10-1分足との方向一致率が28%(不一致率が72%)となっています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が29%となっています。そして、直前1分足は、事前差異との方向一致率が75%です。先述の通り、反応一致性分析でも、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が28%(不一致率が72%)となっており、矛盾はありません。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足が陰線、直前1分足が陽線、ということになります。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年4月7日17:30発表
以下は2017年4月8日11:30頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
ロイターに依れば「このデータがEU離脱を準備によって経済成長が鈍化している可能性を示す内容」である旨、解説しています。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 指標については、前年比はわかりませんが、前月比が市場予想よりも悪化する、と予想しています。
論拠は、製造業PMIが3か月連続で悪化し続けていることと、鉱工業生産前月比の前回結果(1月分△0.4%)が数字が良かった直近(11月分が前月比+2.1%、12月分が前月比+1.0%)に対して、まだ悪化程度が小さすぎるから、です。
結果は前月比・前年比ともに前回結果・市場予想よりも悪化で、反応は陰線でした。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前10-1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が29%となっています。陰線です。
(2) 直前1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が75%です。陽線です。 但し、反応一致性分析では、直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が28%(不一致率が72%)となっています。直前10-1分足が陽線の場合、取引を見合わせます。
(3) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(4) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が72%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが72%です。これなら発表後に反応方向を見てから追撃できますね。
直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線でした。直後11分足は、直後1分足終値よりも一時的に反応を伸ばしたものの、反応を縮小して終わりました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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