2017年03月02日
英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年3月3日18:30発表結果検証済)
2017年3月3日18:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去25回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。反応が大きな指標だと言えるでしょう。ちなみに、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性で劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
全般的には2016年7月を底とした改善基調が続いていました。今回の市場予想は前回結果よりも0.5ポイント低下となっています。市場予想通りだと、前月に続いて低下が続くことになります。
関連指標を参照してみましょう。
同じ2月分の景気指標は、製造業PMIが前月結果・市場予想を下回り、GFK消費者信頼感調査が市場予想通りだったものの1月よりも1ポイント低下しています。
実態指標はまだ2月分が発表されていません。但し、前月1月のBRc小売売上高調査は大幅悪化(前月より1.6ポイント低下し2016年8月以来のマイナス)となっています。
物価指標もまだ2月分が発表されていませんが、CPIとRPIの前月比が1ポイントずつ悪化してマイナスに転じています。
英政府・中銀関係の動きとしては、2月上旬にBOEがどちらかと言えば経済見通しに強気の声明・発言を続けていた一方、EU離脱交渉で首相一任権限を認める法案が議会審議されていました。
これらの状況を踏まえると、市場予想を更に下回るのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
ぱっと見で、直前1分足は陰線が目立ちます。
また、直後1分足と直後11分足を見比べると、直近では2016年8月以降、反応方向が一致しています。そして、
特徴的偏りがあります。直前10-1分足と直後1分足の方向を見比べると、指標発表前の10-1分足が指標発表後の反応方向を示唆しているように見受けられます。一致率数値については、後記「反応一致性分析」「指標一致性分析」をご覧ください。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%、方向一致時の両者値幅を比べて後者反応が伸びたことは70%となっています。この数字なら、指標発表後に反応方向を見てから追いかけても、まぁ安心です。
仮に、直後1分足終値でポジションを取得し、直後11分足跳幅を狙って解消するとき、期待できるpipsは過去平均から言って19pipsです。
悪くない。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が77%となっています。但し、過去の平均値で見ると、直前1分足は跳幅が8pips・値幅が4pipsとなっています。一般にGBPJPYのスプレッドが大きいことを踏まえると、終値までポジションを持たずに、跳幅を狙ってさっさと利確した方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が74%・76%と高い指標です。発表結果が市場予想を下回れば素直に陰線で反応する公算が高い訳です。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年3月3日22:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標については次のように捉えていました。
分析通りでした。
在庫・売上・受注が他の関連指標で良くないと予想され、先行き不安をあおる報道が多ければ、PMIが悪化して当然です。
メインシナリオは次の通りです。
結果は、直後1分足・直後11分足ともに陰線で反応し、反応は伸びていきました。
但し、その伸びは小さく、対象時間外の19時頃には陽線側へと反転しました。週末のポジション整理と、当夜にFRB幹部講演が利上げの話題を出すと見込んで、動きに迷いが現れています。それが、いつもよりも反応が伸びなかった理由と考えられます。
補助シナリオは次の通りです。
結果は陽線となりました。
つまるところ、分析・シナリオの正否は成績で判断するしかありません。
個々の指標で成績が悪いことが分析・シナリオ構築方法が間違っているとは言えません。役に立たないだけです。がしかし、成績が良ければ分析・シナリオに問題なし、ということはできるでしょう。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去25回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。反応が大きな指標だと言えるでしょう。ちなみに、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 2016年7月以降は改善基調だったももの、今回の市場予想は前回結果よりも0.5ポイント低下となっています。市場予想通りだと、前月に続いて低下が続くことになります。
関連指標を調べてみると、景気指標・実態指標・物価指標のいずれも低下に転じつつあるようです。英政府・中銀関係の動きとしては、2月上旬にBOEがどちらかと言えば経済見通しに強気の声明・発言を続けていた一方、EU離脱交渉で首相一任権限を認める法案が議会審議されていました。
これらの状況を踏まえると、市場予想を更に下回るのではないでしょうか。
なお、指標一致性分析結果に依れば、本指標は発表結果が前回結果・市場予想を下回ると、素直に陰線で反応しがちです。 - メインシナリオは次の通りです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%、方向一致時の両者値幅を比べて後者反応が伸びたことは70%となっています。この数字なら、指標発表後に反応方向を見てから追いかけても、まぁ安心です。
仮に、直後1分足終値でポジションを取得し、直後11分足跳幅を狙って解消するとき、期待できるpipsは過去平均から言って19pipsです。 - 補助シナリオは次の通りです。
反応一致性分析の結果、直前1分足の陰線率が77%となっています。但し、過去の平均値で見ると、直前1分足は跳幅が8pips・値幅が4pipsとなっています。一般にGBPJPYのスプレッドは1pips程度と大きいことを踏まえると、終値までポジションを持たずに、跳幅を狙ってさっさと利確した方が良いでしょう。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
T.調査
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性で劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
全般的には2016年7月を底とした改善基調が続いていました。今回の市場予想は前回結果よりも0.5ポイント低下となっています。市場予想通りだと、前月に続いて低下が続くことになります。
関連指標を参照してみましょう。
同じ2月分の景気指標は、製造業PMIが前月結果・市場予想を下回り、GFK消費者信頼感調査が市場予想通りだったものの1月よりも1ポイント低下しています。
実態指標はまだ2月分が発表されていません。但し、前月1月のBRc小売売上高調査は大幅悪化(前月より1.6ポイント低下し2016年8月以来のマイナス)となっています。
物価指標もまだ2月分が発表されていませんが、CPIとRPIの前月比が1ポイントずつ悪化してマイナスに転じています。
英政府・中銀関係の動きとしては、2月上旬にBOEがどちらかと言えば経済見通しに強気の声明・発言を続けていた一方、EU離脱交渉で首相一任権限を認める法案が議会審議されていました。
これらの状況を踏まえると、市場予想を更に下回るのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
ぱっと見で、直前1分足は陰線が目立ちます。
また、直後1分足と直後11分足を見比べると、直近では2016年8月以降、反応方向が一致しています。そして、
特徴的偏りがあります。直前10-1分足と直後1分足の方向を見比べると、指標発表前の10-1分足が指標発表後の反応方向を示唆しているように見受けられます。一致率数値については、後記「反応一致性分析」「指標一致性分析」をご覧ください。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%、方向一致時の両者値幅を比べて後者反応が伸びたことは70%となっています。この数字なら、指標発表後に反応方向を見てから追いかけても、まぁ安心です。
仮に、直後1分足終値でポジションを取得し、直後11分足跳幅を狙って解消するとき、期待できるpipsは過去平均から言って19pipsです。
悪くない。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が77%となっています。但し、過去の平均値で見ると、直前1分足は跳幅が8pips・値幅が4pipsとなっています。一般にGBPJPYのスプレッドが大きいことを踏まえると、終値までポジションを持たずに、跳幅を狙ってさっさと利確した方が良いでしょう。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が74%・76%と高い指標です。発表結果が市場予想を下回れば素直に陰線で反応する公算が高い訳です。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年3月3日18:30発表
以下は2017年3月3日22:00頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標については次のように捉えていました。
- 2016年7月以降は改善基調だったももの、今回の市場予想は前回結果よりも0.5ポイント低下となっています。市場予想通りだと、前月に続いて低下が続くことになります。
関連指標を調べてみると、景気指標・実態指標・物価指標のいずれも低下に転じつつあるようです。英政府・中銀関係の動きとしては、2月上旬にBOEがどちらかと言えば経済見通しに強気の声明・発言を続けていた一方、EU離脱交渉で首相一任権限を認める法案が議会審議されていました。
これらの状況を踏まえると、市場予想を更に下回るのではないでしょうか。
なお、指標一致性分析結果に依れば、本指標は発表結果が前回結果・市場予想を下回ると、素直に陰線で反応しがちです。
分析通りでした。
在庫・売上・受注が他の関連指標で良くないと予想され、先行き不安をあおる報道が多ければ、PMIが悪化して当然です。
メインシナリオは次の通りです。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率が87%、方向一致時の両者値幅を比べて後者反応が伸びたことは70%となっています。この数字なら、指標発表後に反応方向を見てから追いかけても、まぁ安心です。
仮に、直後1分足終値でポジションを取得し、直後11分足跳幅を狙って解消するとき、期待できるpipsは過去平均から言って19pipsです。
結果は、直後1分足・直後11分足ともに陰線で反応し、反応は伸びていきました。
但し、その伸びは小さく、対象時間外の19時頃には陽線側へと反転しました。週末のポジション整理と、当夜にFRB幹部講演が利上げの話題を出すと見込んで、動きに迷いが現れています。それが、いつもよりも反応が伸びなかった理由と考えられます。
補助シナリオは次の通りです。
- 反応一致性分析の結果、直前1分足の陰線率が77%となっています。但し、過去の平均値で見ると、直前1分足は跳幅が8pips・値幅が4pipsとなっています。一般にGBPJPYのスプレッドは1pips程度と大きいことを踏まえると、終値までポジションを持たずに、跳幅を狙ってさっさと利確した方が良いでしょう。
結果は陽線となりました。
【9. シナリオ検証】
つまるところ、分析・シナリオの正否は成績で判断するしかありません。
個々の指標で成績が悪いことが分析・シナリオ構築方法が間違っているとは言えません。役に立たないだけです。がしかし、成績が良ければ分析・シナリオに問題なし、ということはできるでしょう。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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