2017年02月28日
英国景気指標「製造業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年3月1日発表結果検証済)
2017年3月1日18:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年1月分の集計結果です。
本指標要点は下表に整理しておきました。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。FX会社などの経済指標ランク分では、他国と同程度の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。がしかし、米国や欧州指標発表時のUSDJPY・EURJPYの反応と比べると、英国指標発表時のGBPJPYの反応は1ランク上の大きさになるようです。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去25回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。反応が大きな指標だと言えるでしょう。ちなみに、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
次に、今回本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
これまでの推移を見てみると、2016年7月分の48.2を底に、前回2016年11月分データは56.1ですから、半年足らずの間に7.9も上昇しています。
2016年6月がブリグジットとなった国民投票でしたから、翌7月の底はわかります。その後の上昇は、EU諸国で英国製品に関税がかかる前に仕入れが増えたのでしょうか。だとすれば、昨年末ごろからハードブリグジットが報道されているので、改善基調がまだ暫く続くのかも知れません。このあたりの機微は現地報道を調べてみなないとわかりません。
2月中旬には、メイ首相が正式にEU離脱にあたっての英政府方針を発表しました。けれどもGBPJPYもGBPUSDもあまり大きな動きはなかったようです。首相の演説は、改善基調が続くという上記の見方に影響するイベントではなかったようです。
次に、今回の市場予想は、前回結果より0.1ポイントの悪化となっています。
なお、PMIでは今週発表が予定されている建設業PMIも対前月0.2ポイント悪化、サービス業PMIも対前月0.5ポイント悪化と予想されています。そして、先週発表されたGFK消費者信頼感調査では対前月1ポイント悪化となっています。英国の2月景況感は全体に悪化と見込まれているようです。
また、実態指標は、まだ12月分までしか発表されていないものの、製造業生産指数が12月には前月比2.1%と、2013年以降で2番目に高い水準となっていました。製造業生産指数は11月・12月と2か月続けて前月比1%と超えたことは、2013年以降ありません(未発表の1月分以降は落ち込む可能性が高い)。
そして、2月上旬にはMPC参加者から「利上げ可能性」についての発言があり、中旬にはメイ首相のハードブリグジットの方針に関する議会説明がありました。
市場予想が前回結果よりも0.1ポイント悪化というのは甘く、もっと悪化するのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%となっています。がしかし、後者終値が前者終値を超えて伸びたことは58%(2回に1回)です。指標発表結果を見てから追いかけてポジションを持つなら、ポジションは早めに解消した方が良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前10-1分足の陽線率が70%、直前1分足の陰線率が72%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が各92%・75%となっています。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年3月1日23:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標に関しては次のように捉えていました。
結果は、前回結果・市場予想を1.2ポイント下回りました。
次に、メインシナリオは以下のように用意していました。
発表結果が市場予想を下回り、陰線で反応しました。
また、直後1分足と直後11分足の方向は一致しました。がしかし、方向こそ一致したものの、直後11分足終値は直後1分足終値から戻す動きとなりました。追いかけてポジションを持っていたなら、早々に解消すべきだったはずです。
補足シナリオは以下のように用意していました。
直前10-1分足・直前1分足ともに陽線となりました。
シナリオ4のポジション取得を止めたのは、指標発表前までが強い上昇トレンドが続いていたため、です。結果的に読みが当たり、損失を被らずに済みました。
全般的には、強い上昇トレンド中の指標発表となりましたが、4本足チャートを見ればわかるように、市場が本ブログと同様に市場予想を疑っていた節があります。大きく市場予想を下回ると捉えられていたからこそ、不自然に指標発表直前だけ陰線となった、と考えられます。
さて、本ブログを始めてからの本指標発表前後に取引は、幸い、非常に成績良いようです。以下に示します。
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
本指標要点は下表に整理しておきました。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。FX会社などの経済指標ランク分では、他国と同程度の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。がしかし、米国や欧州指標発表時のUSDJPY・EURJPYの反応と比べると、英国指標発表時のGBPJPYの反応は1ランク上の大きさになるようです。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去25回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。反応が大きな指標だと言えるでしょう。ちなみに、調査対象期間中に最も大きく反応したときは110pipsにも達しています。
次に、今回本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 今回の市場予想は、前回結果より0.1ポイントの悪化となっています。がしかし、同じく景況感で発表済・発表予定の結果・予想を見る限り、また実態指標である製造業生産指数の発表済12月分から1・2月を推測する限り、そして2月月初から中旬にかけての要人発言を見る限り、今回の市場予想が前回結果よりも0.1ポイント悪化というのは甘いのではないでしょうか。
- 指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が各92%・75%となっています。過去データを見る限り、発表結果に対し素直に反応しています。
そして、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%となっています。がしかし、後者終値が前者終値を超えて伸びたことは58%(2回に1回)です。指標発表結果を見てから追いかけてポジションを持つなら、ポジションは早めに解消した方が良さそうです。 - 反応一致性分析の結果、直前10-1分足の陽線率が70%、直前1分足の陰線率が72%となっています。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
T.調査
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
これまでの推移を見てみると、2016年7月分の48.2を底に、前回2016年11月分データは56.1ですから、半年足らずの間に7.9も上昇しています。
2016年6月がブリグジットとなった国民投票でしたから、翌7月の底はわかります。その後の上昇は、EU諸国で英国製品に関税がかかる前に仕入れが増えたのでしょうか。だとすれば、昨年末ごろからハードブリグジットが報道されているので、改善基調がまだ暫く続くのかも知れません。このあたりの機微は現地報道を調べてみなないとわかりません。
2月中旬には、メイ首相が正式にEU離脱にあたっての英政府方針を発表しました。けれどもGBPJPYもGBPUSDもあまり大きな動きはなかったようです。首相の演説は、改善基調が続くという上記の見方に影響するイベントではなかったようです。
次に、今回の市場予想は、前回結果より0.1ポイントの悪化となっています。
なお、PMIでは今週発表が予定されている建設業PMIも対前月0.2ポイント悪化、サービス業PMIも対前月0.5ポイント悪化と予想されています。そして、先週発表されたGFK消費者信頼感調査では対前月1ポイント悪化となっています。英国の2月景況感は全体に悪化と見込まれているようです。
また、実態指標は、まだ12月分までしか発表されていないものの、製造業生産指数が12月には前月比2.1%と、2013年以降で2番目に高い水準となっていました。製造業生産指数は11月・12月と2か月続けて前月比1%と超えたことは、2013年以降ありません(未発表の1月分以降は落ち込む可能性が高い)。
そして、2月上旬にはMPC参加者から「利上げ可能性」についての発言があり、中旬にはメイ首相のハードブリグジットの方針に関する議会説明がありました。
市場予想が前回結果よりも0.1ポイント悪化というのは甘く、もっと悪化するのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%となっています。がしかし、後者終値が前者終値を超えて伸びたことは58%(2回に1回)です。指標発表結果を見てから追いかけてポジションを持つなら、ポジションは早めに解消した方が良さそうです。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前10-1分足の陽線率が70%、直前1分足の陰線率が72%となっています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が各92%・75%となっています。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年3月1日22:30発表
以下は2017年3月1日23:30頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標に関しては次のように捉えていました。
- 今回の市場予想は、前回結果より0.1ポイントの悪化となっています。がしかし、同じく景況感で発表済・発表予定の結果・予想を見る限り、また実態指標である製造業生産指数の発表済12月分から1・2月を推測する限り、そして2月月初から中旬にかけての要人発言を見る限り、今回の市場予想が前回結果よりも0.1ポイント悪化というのは甘いのではないでしょうか。
結果は、前回結果・市場予想を1.2ポイント下回りました。
次に、メインシナリオは以下のように用意していました。
- 指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率が各92%・75%となっています。過去データを見る限り、発表結果に対し素直に反応しています。
そして、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%となっています。がしかし、後者終値が前者終値を超えて伸びたことは58%(2回に1回)です。指標発表結果を見てから追いかけてポジションを持つなら、ポジションは早めに解消した方が良さそうです。
発表結果が市場予想を下回り、陰線で反応しました。
また、直後1分足と直後11分足の方向は一致しました。がしかし、方向こそ一致したものの、直後11分足終値は直後1分足終値から戻す動きとなりました。追いかけてポジションを持っていたなら、早々に解消すべきだったはずです。
補足シナリオは以下のように用意していました。
- 反応一致性分析の結果、直前10-1分足の陽線率が70%、直前1分足の陰線率が72%となっています。
直前10-1分足・直前1分足ともに陽線となりました。
【9. シナリオ検証】
シナリオ4のポジション取得を止めたのは、指標発表前までが強い上昇トレンドが続いていたため、です。結果的に読みが当たり、損失を被らずに済みました。
全般的には、強い上昇トレンド中の指標発表となりましたが、4本足チャートを見ればわかるように、市場が本ブログと同様に市場予想を疑っていた節があります。大きく市場予想を下回ると捉えられていたからこそ、不自然に指標発表直前だけ陰線となった、と考えられます。
さて、本ブログを始めてからの本指標発表前後に取引は、幸い、非常に成績良いようです。以下に示します。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5995795
この記事へのトラックバック