2017年02月27日
豪州経済指標「四半期GDP」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年3月1日09:30発表結果検証済)
2017年3月1日09:30に豪州経済指標「四半期GDP」が発表されます。今回発表は2016年10-12月期分の集計結果です。
本指標要点は下表に整理しておきました。
指標発表の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳足は、平均38pipsとなっています。過去15回の発表でこの平均値を超えたことが53%となっています。がしかし、過去平均の1.5倍(57pips)を超えたことはありません。直後1分足跳幅が最大だったときは57pips(前回2016年7-9月期)です。
つまり、安定して反応が大きな指標であり、それだけにポジションを持つには注意が必要です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
以下はマクロ視点での豪州経済への私見です。一読したらきっぱり忘れてもらって結構です。
豪州経済の特徴は、意外なことにGDPの約70%をサービス業が担っています。農業及び工業セクターはGDPの10%程度しかありません。但し、輸出額の50%以上はこのセクターで稼いでいます。豪州は資源輸出で稼ぐイメージが強いため、この数字を見て意外に思う方も多いようです。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
こうしたイメージとは異なり、経済実態は小売売上高や消費支出が長期的に拡大傾向と見なされています。
裏付けとしては、豪州が毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに約40%の人口増加が見込まれていること(何と40%の人口増です)、を挙げることができます。これだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
また、豪州は公的債務残高が非常に低いという特徴があります。
でもまぁ、マクロ視点はこのブログで取り上げているような個々の取引に役立たないのですが。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2013年1-3月期分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前回結果に対し前期比が1.2ポイントの改善・前年比が0.1ポイントの改善、となっています。絶対値としては、前期比が0.7%・前年比が1.9%です。
参考にすべき見解として、直近のRBA金融政策理事会の議事録で、「鉱業投資の減少による成長鈍化は間もなく解消されるという楽観的見通しを示し、経済成長率は年末までに3%に加速すると予想。昨年第3四半期のマイナス成長は一時的な要因によるもの」としています。
ここでいう年末とは2017年を指しており、今回の発表についてではありません。RBAの見解通りに昨年第3四半期が特別なことだったのかがポイントと言えるでしょう。
小売売上高や貿易収支は10・11・12月の発表結果をならして見ると、確かに前期比+となります。がしかし、過去の水準と比較して眺める限りでは、大幅改善とは言えないように見受けられます。前期比は、前回結果を上回っても市場予想を下回るのではないでしょうか。一方、同じデータを見る限りでは、前年比は過去の水準に対し市場予想がかなり控え目です。こちらは市場予想を上回るのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は93%です。そして、方向一致時に直後1分足終値がついてから反応が伸びた事例は64%となっています。これなら、注意すれば反応方向を確かめてから追いかけてポジションを持っても良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が100%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後11分足の方向一致率が93%となっています。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年3月1日22:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標に関しては次のように捉えていました。
指標結果の分析を完全に間違っていました。結果は市場予想に対し前月比が0.3ポイント・前年比が0.4ポイント上回りました。
メインシナリオについては、次のように考えていました。
直後1分足と直後11分足の方向は一致したものの、反応は伸びませんでした。
補足シナリオについては、次のように考えていました。
結果は、直前1分足が陰線となったものの、反応は一方向へと伸びませんでした。
今回は、完全に指標分析を読み誤っていました。
日経新聞に依れば、今回の結果は商品価格回復で資源輸出が伸びたため、との解釈です。また、モリソン財務相が記者会見で、資源投資に依存した経済構造からの転換が進んできたこと、その結果、経済成長の基盤が資源だけでなく幅広い業種に拡大している、と指摘したそうです。
小売売上高と貿易収支を用いて分析したにも関わらず、こうした結果になったということは、次回以降、事前分析方法を見直す必要があります。
シナリオ1では、結果が陰線となり、売ポジションを取ったにも関わらず、損切となりました。これは、事前想定よりも今回のpipsが小さかったからで、シナリオに問題はありません。
シナリオ2では、反応方向を見てからポジションを持って追いかけた結果、幸い利確となりました。結果的には、短時間のポジション保有で救われました。もし直後11分足終値がつく頃までポジションを持っていたら、利確できていたか否かは怪しいものです。
今回は、前夜からの上昇トレンドに沿った反応方向だったものの、指標発表時までに陽線が続きすぎていました。本指標発表後に中国PMIの発表が予定されていたことを踏まえると、ポジションを長く持つことが難しい場面でした。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
本指標要点は下表に整理しておきました。
指標発表の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳足は、平均38pipsとなっています。過去15回の発表でこの平均値を超えたことが53%となっています。がしかし、過去平均の1.5倍(57pips)を超えたことはありません。直後1分足跳幅が最大だったときは57pips(前回2016年7-9月期)です。
つまり、安定して反応が大きな指標であり、それだけにポジションを持つには注意が必要です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 今回の市場予想は、前回結果に対し前期比が1.2ポイントの改善・前年比が0.1ポイントの改善、となっています。絶対値としては、前期比が0.7%・前年比が1.9%です。
小売売上高や貿易収支の10・11・12月の発表結果をならして見ると、確かに前期比+となります。がしかし、過去の水準と比較して眺める限りでは、大幅改善とは言えないように見受けられます。前期比は、前回結果を上回っても市場予想を下回るのではないでしょうか。一方、同じデータを見る限りでは、前年比は過去の水準に対し市場予想がかなり控え目です。こちらは市場予想を上回るのではないでしょうか。 - もし上記の通り、前期比が市場予想を下回り、前年比が市場予想を上回った場合、反応方向がどちらになるのかの予想は難しくなります。そして、指標一致性分析の結果、事後差異と直後11分足の方向一致率が93%となっています。ここでの事後差異は(2✕発表結果ー市場予想ー前回結果)を前期比・前年比ごとに求め、それらを加えた値です。もし今回の発表結果が予想通りになった場合、前期比・前年比それぞれの事後差異に今後は重み付けができるようになります。
取引には関係ないことで恐縮ながら、最新の重み付けができるような機会は少ないため、それはそれで関心があります。 - 今回のメインシナリオは次の通りです。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は93%です。そして、方向一致時に直後1分足終値がついてから反応が伸びた事例は64%となっています。これなら、注意すれば反応方向を確かめてから追いかけてポジションを持っても良さそうです。 - 反応一致性分析の結果、直前1分足の陰線率が100%となっています。
- 過去データを見る限り、発表後の反応は大きく一方向に向かいがちです。それだけに発表時刻を跨いでポジションを持つ場合、慎重に反応方向の予想を行ってください。
今回は発表直後の反応方向の予想ができず、申し訳ありません。前期比と前年比で市場予想との大小関係が反対と予想することに加え、28日に予定されている米大統領の議会演説がAUDやJPYのトレンドに与える影響が全くわかりません。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
T.調査
【1. 指標概要】
以下はマクロ視点での豪州経済への私見です。一読したらきっぱり忘れてもらって結構です。
豪州経済の特徴は、意外なことにGDPの約70%をサービス業が担っています。農業及び工業セクターはGDPの10%程度しかありません。但し、輸出額の50%以上はこのセクターで稼いでいます。豪州は資源輸出で稼ぐイメージが強いため、この数字を見て意外に思う方も多いようです。
数年前までは、高い成長率の原因として外資流入と中国向け資源輸出が強調されていました。一方、ここ数年は豪州自身よりも中国経済の成長率鈍化の影響で、先行き悪化が強調され過ぎていたように思えます。
こうしたイメージとは異なり、経済実態は小売売上高や消費支出が長期的に拡大傾向と見なされています。
裏付けとしては、豪州が毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに約40%の人口増加が見込まれていること(何と40%の人口増です)、を挙げることができます。これだけ人口が増えるのなら、それが内需を強く牽引するでしょう。
また、豪州は公的債務残高が非常に低いという特徴があります。
でもまぁ、マクロ視点はこのブログで取り上げているような個々の取引に役立たないのですが。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2013年1-3月期分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前回結果に対し前期比が1.2ポイントの改善・前年比が0.1ポイントの改善、となっています。絶対値としては、前期比が0.7%・前年比が1.9%です。
参考にすべき見解として、直近のRBA金融政策理事会の議事録で、「鉱業投資の減少による成長鈍化は間もなく解消されるという楽観的見通しを示し、経済成長率は年末までに3%に加速すると予想。昨年第3四半期のマイナス成長は一時的な要因によるもの」としています。
ここでいう年末とは2017年を指しており、今回の発表についてではありません。RBAの見解通りに昨年第3四半期が特別なことだったのかがポイントと言えるでしょう。
小売売上高や貿易収支は10・11・12月の発表結果をならして見ると、確かに前期比+となります。がしかし、過去の水準と比較して眺める限りでは、大幅改善とは言えないように見受けられます。前期比は、前回結果を上回っても市場予想を下回るのではないでしょうか。一方、同じデータを見る限りでは、前年比は過去の水準に対し市場予想がかなり控え目です。こちらは市場予想を上回るのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は93%です。そして、方向一致時に直後1分足終値がついてから反応が伸びた事例は64%となっています。これなら、注意すれば反応方向を確かめてから追いかけてポジションを持っても良さそうです。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が100%となっています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後11分足の方向一致率が93%となっています。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
2017年3月1日09:30発表
以下は2017年3月1日22:00頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、指標に関しては次のように捉えていました。
- 今回の市場予想は、前回結果に対し前期比が1.2ポイントの改善・前年比が0.1ポイントの改善、となっています。絶対値としては、前期比が0.7%・前年比が1.9%です。
小売売上高や貿易収支の10・11・12月の発表結果をならして見ると、確かに前期比+となります。がしかし、過去の水準と比較して眺める限りでは、大幅改善とは言えないように見受けられます。前期比は、前回結果を上回っても市場予想を下回るのではないでしょうか。一方、同じデータを見る限りでは、前年比は過去の水準に対し市場予想がかなり控え目です。こちらは市場予想を上回るのではないでしょうか。 - もし上記の通り、前期比が市場予想を下回り、前年比が市場予想を上回った場合、反応方向がどちらになるのかの予想は難しくなります。そして、指標一致性分析の結果、事後差異と直後11分足の方向一致率が93%となっています。ここでの事後差異は(2✕発表結果ー市場予想ー前回結果)を前期比・前年比ごとに求め、それらを加えた値です。もし今回の発表結果が予想通りになった場合、前期比・前年比それぞれの事後差異に今後は重み付けができるようになります。
取引には関係ないことで恐縮ながら、最新の重み付けができるような機会は少ないため、それはそれで関心があります。
指標結果の分析を完全に間違っていました。結果は市場予想に対し前月比が0.3ポイント・前年比が0.4ポイント上回りました。
メインシナリオについては、次のように考えていました。
- 今回のメインシナリオは次の通りです。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は93%です。そして、方向一致時に直後1分足終値がついてから反応が伸びた事例は64%となっています。これなら、注意すれば反応方向を確かめてから追いかけてポジションを持っても良さそうです。
直後1分足と直後11分足の方向は一致したものの、反応は伸びませんでした。
補足シナリオについては、次のように考えていました。
- 反応一致性分析の結果、直前1分足の陰線率が100%となっています。
- 過去データを見る限り、発表後の反応は大きく一方向に向かいがちです。それだけに発表時刻を跨いでポジションを持つ場合、慎重に反応方向の予想を行ってください。
今回は発表直後の反応方向の予想ができず、申し訳ありません。前期比と前年比で市場予想との大小関係が反対と予想することに加え、28日に予定されている米大統領の議会演説がAUDやJPYのトレンドに与える影響が全くわかりません。
結果は、直前1分足が陰線となったものの、反応は一方向へと伸びませんでした。
今回は、完全に指標分析を読み誤っていました。
日経新聞に依れば、今回の結果は商品価格回復で資源輸出が伸びたため、との解釈です。また、モリソン財務相が記者会見で、資源投資に依存した経済構造からの転換が進んできたこと、その結果、経済成長の基盤が資源だけでなく幅広い業種に拡大している、と指摘したそうです。
小売売上高と貿易収支を用いて分析したにも関わらず、こうした結果になったということは、次回以降、事前分析方法を見直す必要があります。
【9. シナリオ検証】
シナリオ1では、結果が陰線となり、売ポジションを取ったにも関わらず、損切となりました。これは、事前想定よりも今回のpipsが小さかったからで、シナリオに問題はありません。
シナリオ2では、反応方向を見てからポジションを持って追いかけた結果、幸い利確となりました。結果的には、短時間のポジション保有で救われました。もし直後11分足終値がつく頃までポジションを持っていたら、利確できていたか否かは怪しいものです。
今回は、前夜からの上昇トレンドに沿った反応方向だったものの、指標発表時までに陽線が続きすぎていました。本指標発表後に中国PMIの発表が予定されていたことを踏まえると、ポジションを長く持つことが難しい場面でした。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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