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2018年08月02日
米雇用統計の反応分析用最新更新データ
米雇用統計の分析記事はこちらになります。
過去の反応程度は、次の通りです。
以前からの反応程度の推移は次の通りです。
事後差異判別式の解(横軸)に対する直後1分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。
直後11分足値幅(横軸)に対する直後11分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。
回数を見てみましょう。
指標一致性分析と反応一致性分析の結果を下図に示します。
そして最後に、反応性分析の結果を示します。
過去の反応程度は、次の通りです。
以前からの反応程度の推移は次の通りです。
事後差異判別式の解(横軸)に対する直後1分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。
直後11分足値幅(横軸)に対する直後11分足値幅(縦軸)の分布は下図の通りです。
回数を見てみましょう。
指標一致性分析と反応一致性分析の結果を下図に示します。
そして最後に、反応性分析の結果を示します。
以上
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2018年07月29日
2018年7月30日〜8月3日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
前7月16日〜7月20日週の主要通貨ペアの動きを下図に纏めます。この図の始値は先週終値を採用しています。
日足と見間違うぐらい動かない週でした。
ーーー$€¥£A$ーーー
JPYが買われた理由は、31日の日銀金融政策決定会合でETFの購入配分見直しを検討すると日経新聞が報じたため、です。米欧の貿易交渉がひとまず合意されたことによって、日本(と日本との貿易額が大きい中国)との交渉が残っていることが意識されたことも、JPY買の一因かも知れません。日銀は先週2度の指し値オペを行い、金利上昇を抑え込む姿勢を見せたものの、USD買材料への反応が小さかった週だったので、USDJPYはJPY高側に動きました。
USDは、買材料に小さく、売材料に大きく反応しました。
欧州との貿易合意はEUR買に繋がり、それが結果的にUSD売に繋がりました。また、フェイスブックやツイッターの株価が大きく下げたことが報道されました。今週も米企業決算が続くため、米株価が日経株価に影響してUSDJPYの動きに影響を与える状況が続きそうです。
米GDPは市場予想通り+4.1%と高い伸びを示したものの、事前に米大統領ほかがこの結果を話していたため、たいしたUSD買は起きませんでした。米大統領はUSD高を歓迎していないので、やり口がさすがでした。
EURは、25日の米欧貿易合意で買われ、26日のECB金融政策発表で売られました。
貿易問題での米欧合意が25日に行われ、EURは買われました。合意内容は、@ 自動車を除く工業製品に対する貿易障壁の撤廃に向けて取り組むこと、A EUは米国産大豆と原油の輸入増を目指すこと、です。
ECBの金融政策の現状維持は市場予想通りで、政策発表後のECB総裁会見では「(貿易摩擦などのリスクは)現時点で金融政策の道筋変更を正当化しない」との見解を示されました。金融政策の道筋とは、@ 債券買入プログラムの年内終了、A 政策金利は2019年秋に変更、を指しています。@は時期の変更に関わる話が材料となり、Aは時期の変更(2019年10月との見込み)と程度見込みの修正(+0.1%との見込み)の修正が今後も材料となります。
GBPは、24日に今後のEU離脱交渉を首相自ら主導する旨、報道されました。そして、25日には関税同盟に関する英国提案をEUが拒否した旨、報道されました。
8月中旬にもEUとの交渉が行われるそうですが、自然に考えれば、今後は合意なし離脱に備えた話題が増えるでしょう。EU側では既に19日、欧州委員会が期限内の離脱交渉合意に至らなかった場合のサプライチェーンの混乱に備えるように域内企業に注意喚起を行っています。
AUDは、米中貿易摩擦が収まるまで大きく買えません。
USDJPY以外は、貿易摩擦は経済好調なUSD高に、その緩和はUSD安に繋がることが、ここ最近の動きです。米豪金利が逆転したことも影響しています。
【2. 今週予習】
今週は、8月2日にFOMCとMPCが行われます。
FOMCは、米大統領が(USD高に繋がる)利上げを歓迎しない旨を発言以来、最初のFOMCになります。これまでの淡々と利上げを続ける方針が影響を受ければ、USD売に繋がります。
MPCは利上げ予想が多数を占めているものの、政権混乱時に政策変更するのかという疑問を呈した解説記事も一読に値します。市場予想が利上げでも、ちょっと安心できません。
ーーー$€¥£A$ーーー
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月30日(月)
注目指標無し
7月31日(火)
15:30 日銀総裁会見
18:00 7月集計分欧州HICP速報値、4-6月期集計分欧州GDP速報値
21:30 6月集計分米国PCE
23:00 7月集計分米国CB消費者信頼感指数
8月1日(水)
17:30 7月集計分英国製造業PMI
21:15 7月集計分米国ADP雇用統計
23:00 7月集計分米国ISM製造業景況指数
8月2日(木)
03:00 米国金融政策(FOMC)
20:00 英国金融政策(MPC)
8月3日(金)
10:30 6月集計分豪州小売売上高
17:30 7月集計分英国サービス業PMI
21:30 7月集計分米国雇用統計
23:00 7月集計分米国ISM非製造業景況指数
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
注記以上
欧州物価指標「消費者物価指数(HICP)速報値」発表前後のEURJPY反応分析(改訂版)
欧州物価指標「消費者物価指数(HICP)速報値(以下、本指標と略記)」の指標発表前後の反応分析には、
@ HICP前年比速報値(以下「HICP」と略記)
A コアHICP前年比速報値(以下「コアHICP」と略記)
を用います。
HICPは、毎月、速報値と改定値が発表されます。速報値では前年比のみが発表されます。
この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年6月発表分)の42回分です。この間の指標結果と反応方向から、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことが本稿テーマです。
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは、景気指標の推移の分析よりも、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思って構いません。
本指標の意義は、ECB金融政策に影響を与えることだと言われています。ECB(欧州中央銀行)は、実質的なインフレ目標(HICP前年比2%弱)を設定しているからです。よって、FX各社のHPでは、本指標の重要度・注目度を高く位置づけています。
それにも関わらず、本指標結果による反応は短時間で小さく、発表結果が市場予想より良くても悪くても56%しか素直に反応していません。
反応が限られている理由は、本指標発表前に欧州各国の物価指標が発表されることが一因です。特に、独仏伊といった主要国分は、発表毎にEURレートへの織り込まれてしまっているので、本指標発表結果はその追認の意味しかないのでしょう。
事実、後掲する指標結果推移を示すグラフをご覧頂ければ、速報値であるにも関わらず、発表結果の市場予想との差異が小さいことがわかります。
また、本分析で扱っているのは速報値で、HICPは後日改定値も発表されます。けれども、改定値の市場予想の精度はもっと高く、取引上の魅力がなく絶望的に反応しません。そもそも改定値は速報値と一致しがちなのです。
つまり、速報値ですら市場予想の精度が高く、そして改定値はもっと市場予想の精度が高く、その結果、指標結果への反応が短時間で小さい、というのがHICPです。
HICPとコアHICPの過去推移を下図に示します。速報値ではいずれも前年比しか発表されません。
赤●は改定値です。速報値と改定値とが一致している箇所の赤●は見えないようになっています。ご覧の通り、改定値は速報値と一致しなかったことの方が少ないことがわかります。
これでは、改定値発表時に反応が小さくなるのも当然です。
また、市場予想の精度が高いことも特徴です。それなら、発表結果が市場予想からズレた回数を踏まえて、HICP<コアHICP、と考えていれば良いのでしょうか。日頃はその通りです。
けれども、前述の通り、ECBの実質的インフレ目標は、コアHICPでなくHICPです。ECBの金融政策変更が噂される時期になると、HICP>コアHICP、が市場の関心順となります。
分析には、事前差異(=市場予想ー前期改定結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前期改定結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
下の左右2図をご覧ください。左がHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)で、右がコアHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)です。
どっちのグラフを参考にしてどっちにポジションをオーダーすれば良いかがわかりますか。わかりゃしません。どっちにせよ運任せの取引になってしまいそうです。というのも、無理に傾向を読み取れば、全体的に右上がりな傾向を示しているものの、ばらつきが大き過ぎるのです。
本指標はあまり素直な反応をするとは言えません。素直な反応をしない指標は、このブログのように経済や金融に素人が行う分析に向いていません。EURはとても玄人向きの通貨なのです。だから嫌いです。
次に、下図をご覧ください。下図は、直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を表しています。
黒線は対角線で、赤線が回帰線です。両者ほぼ平行なことはさておき、ドット分布はどちらの線からも大きくばらついています。
こんな特徴の指標で判別式に凝ってもあまり意味がありません。
事前差異・事後差異・実態差異のいずれの判別式も
としておきましょう。
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅は過去平均で9pipsです。
過去の反応分布を見ると、全体の半数52%が6〜14pips跳ねています。5pips以下しか反応しなかったことは24%、15pips以上跳ねたことは24%です。過去、直後1分足が最も大きく跳ねたのは、2017年4月集計分発表時の21pipsです。
反応が小さい指標です。
次に、2015年以降の反応推移を下図に示します。2018年発表分はまだ7回しか反映されていません。
毎年、少しずつ反応が小さくなってきていることがわかります。結果はわかっても、原因がわかりません。
毎年の事後差異判別式の解の大きさと比較しておきましょう。
事後差異判別式は、1✕HICPの(発表結果ー市場予想)+1✕コアHICPの(発表結果ー市場予想)、です。この式の解は、プラスになることもマイナスになることもあります。プラスとマイナスが相殺されるのを避けるため、全て絶対値(マイナスのときは、マイナスでなくその値をプラスと見立てた値)の平均値を求めます。
結果を下表に示します。
この間の反応が小さくなったことは、市場予想の精度が上がった訳ではありません。
2017年以降、HICPがECBの政策目標である2%弱に達しているから、というのは理由になりません。それでは、2016年以前の説明がつきません。
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率がそれぞれ26%・35%しかありません。指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値を超えていれば陰線、超えていなければ陽線で反応しがちです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は55%しかありません。方向一致した回数を見るなら、本指標はあまり素直に反応するとは言えません。2.1項に示した回帰式がアテにあらないことが確認できた訳です。
1.2項に示したHICP・コアHICPの推移が上昇中ということもあって、過去の実態差異は70%がプラスになっています。また、直前1分足の陰線率は70%と偏りが目立ちます。それにも関わらず、直前1分足は実態差異と70%の方向一致率となっています。
さてここで、市場予想が前回改定値より悪化していれば、指標発表前後10分間が陽線になりがちで、改善していれば陰線になりがちなことに意味があるのでしょうか。
EURに関してはあるかも知れません。
というのも、玄人通貨のEURでは「噂(予想)で買って、事実(発表)で売る」という動きが顕著な気がします(「気がする」です)。定量的な論拠を示さず、定性的な話で申し訳ないのですが、大きなイベントや指標を前にEURの折込は早くから始まりがちです。指標発表10分前には、玄人の売買は既に終わっているのでしょう。だから、指標発表前後10分はそれまでの動きと反対に動くことが多いのかも知れません。
ならば、この分析結果を活かした取引が有効な場面も考察できます。
市場予想が前回改定値より悪化/改善しており、指標発表1・2時間前から陰線側/陽線側に伸びているなら、直前10-1分足や直後11分足が陽線/陰線です。
伸長性分析は、反応性分析を用います。反応性分析は、指標発表から1分経過しても、同じ方向に反応を伸ばし続けたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は6pipsです。この期間の反応程度は、指標発表直後1分間とほぼ同じです。
過去の陽線率は50%、事前差異との方向一致率は26%(不一致率74%)です。1✕HICPの事前差異+1✕コアHICPの事前差異、という判別式の解の符号と逆方向にポジションをオーダーし、利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておけば良いでしょう。
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
過去の陰線率は70%あるものの、この数値は2015年にこの期間に陽線だったことが1度もないため高めの数字となっています。2016年3月以降に限れば、陰線率は59%に下がります。
その上、反応が小さいのだから、この期間の取引は避けた方が良いでしょう。
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足の過去平均跳幅は9pips、同値幅は7pipsです。過去の陽線率は65%、事前差異との方向一致率は44%、事後差異との方向一致率は55%です。
直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。
但し、その4回のうち3回の直後1分足は、逆ヒゲがあります。うち2回は10pipsの逆ヒゲです。だから、直前10-1分足が15pips跳ねても、慌てて追撃すべきではありません。この指標への反応で10pipsも逆行したら損切りせざるを得ません。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は、前述の通り68%です。その68%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは70%です。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
最後に、下図は直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後11分足の過去平均跳幅は18pips、同値幅は11pipsです。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。直後1分足に対する直後11分足分布図から、追撃を行うのは直後1分足が陰線だったときだけにした方が良いでしょう。このときの利確/損切の目安は5pipsぐらいで良いでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
2017年の本指標での取引成績を下表に纏めておきます。
2018年は本指標でまだ取引していません。何かやる気があまり起きなくて。
2017年は、本指標で2回の取引を行い、指標単位で2勝、シナリオ単位で6勝1敗(勝率86%)でした。1回の発表毎の平均取引時間は6分6秒で、損益は年間で+14pipsでした。
反応が小さい指標なので、悪い成績ではありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
@ HICP前年比速報値(以下「HICP」と略記)
A コアHICP前年比速報値(以下「コアHICP」と略記)
を用います。
HICPは、毎月、速報値と改定値が発表されます。速報値では前年比のみが発表されます。
この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年6月発表分)の42回分です。この間の指標結果と反応方向から、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことが本稿テーマです。
T. 指標説明
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは、景気指標の推移の分析よりも、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
【1.1 指標概要】
EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思って構いません。
本指標の意義は、ECB金融政策に影響を与えることだと言われています。ECB(欧州中央銀行)は、実質的なインフレ目標(HICP前年比2%弱)を設定しているからです。よって、FX各社のHPでは、本指標の重要度・注目度を高く位置づけています。
それにも関わらず、本指標結果による反応は短時間で小さく、発表結果が市場予想より良くても悪くても56%しか素直に反応していません。
反応が限られている理由は、本指標発表前に欧州各国の物価指標が発表されることが一因です。特に、独仏伊といった主要国分は、発表毎にEURレートへの織り込まれてしまっているので、本指標発表結果はその追認の意味しかないのでしょう。
事実、後掲する指標結果推移を示すグラフをご覧頂ければ、速報値であるにも関わらず、発表結果の市場予想との差異が小さいことがわかります。
また、本分析で扱っているのは速報値で、HICPは後日改定値も発表されます。けれども、改定値の市場予想の精度はもっと高く、取引上の魅力がなく絶望的に反応しません。そもそも改定値は速報値と一致しがちなのです。
つまり、速報値ですら市場予想の精度が高く、そして改定値はもっと市場予想の精度が高く、その結果、指標結果への反応が短時間で小さい、というのがHICPです。
【1.2 指標推移】
HICPとコアHICPの過去推移を下図に示します。速報値ではいずれも前年比しか発表されません。
赤●は改定値です。速報値と改定値とが一致している箇所の赤●は見えないようになっています。ご覧の通り、改定値は速報値と一致しなかったことの方が少ないことがわかります。
これでは、改定値発表時に反応が小さくなるのも当然です。
また、市場予想の精度が高いことも特徴です。それなら、発表結果が市場予想からズレた回数を踏まえて、HICP<コアHICP、と考えていれば良いのでしょうか。日頃はその通りです。
けれども、前述の通り、ECBの実質的インフレ目標は、コアHICPでなくHICPです。ECBの金融政策変更が噂される時期になると、HICP>コアHICP、が市場の関心順となります。
U.反応分析
分析には、事前差異(=市場予想ー前期改定結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前期改定結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【2.1 反応概要】
下の左右2図をご覧ください。左がHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)で、右がコアHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)です。
どっちのグラフを参考にしてどっちにポジションをオーダーすれば良いかがわかりますか。わかりゃしません。どっちにせよ運任せの取引になってしまいそうです。というのも、無理に傾向を読み取れば、全体的に右上がりな傾向を示しているものの、ばらつきが大き過ぎるのです。
本指標はあまり素直な反応をするとは言えません。素直な反応をしない指標は、このブログのように経済や金融に素人が行う分析に向いていません。EURはとても玄人向きの通貨なのです。だから嫌いです。
ーーー$€¥£A$ーーー
次に、下図をご覧ください。下図は、直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を表しています。
黒線は対角線で、赤線が回帰線です。両者ほぼ平行なことはさておき、ドット分布はどちらの線からも大きくばらついています。
こんな特徴の指標で判別式に凝ってもあまり意味がありません。
事前差異・事後差異・実態差異のいずれの判別式も
- 1✕HICPの差異+1✕コアHICPの差異
としておきましょう。
【2.2 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅は過去平均で9pipsです。
過去の反応分布を見ると、全体の半数52%が6〜14pips跳ねています。5pips以下しか反応しなかったことは24%、15pips以上跳ねたことは24%です。過去、直後1分足が最も大きく跳ねたのは、2017年4月集計分発表時の21pipsです。
反応が小さい指標です。
次に、2015年以降の反応推移を下図に示します。2018年発表分はまだ7回しか反映されていません。
毎年、少しずつ反応が小さくなってきていることがわかります。結果はわかっても、原因がわかりません。
毎年の事後差異判別式の解の大きさと比較しておきましょう。
事後差異判別式は、1✕HICPの(発表結果ー市場予想)+1✕コアHICPの(発表結果ー市場予想)、です。この式の解は、プラスになることもマイナスになることもあります。プラスとマイナスが相殺されるのを避けるため、全て絶対値(マイナスのときは、マイナスでなくその値をプラスと見立てた値)の平均値を求めます。
結果を下表に示します。
この間の反応が小さくなったことは、市場予想の精度が上がった訳ではありません。
2017年以降、HICPがECBの政策目標である2%弱に達しているから、というのは理由になりません。それでは、2016年以前の説明がつきません。
【2.3 予兆分析】
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率がそれぞれ26%・35%しかありません。指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値を超えていれば陰線、超えていなければ陽線で反応しがちです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は55%しかありません。方向一致した回数を見るなら、本指標はあまり素直に反応するとは言えません。2.1項に示した回帰式がアテにあらないことが確認できた訳です。
1.2項に示したHICP・コアHICPの推移が上昇中ということもあって、過去の実態差異は70%がプラスになっています。また、直前1分足の陰線率は70%と偏りが目立ちます。それにも関わらず、直前1分足は実態差異と70%の方向一致率となっています。
ーーー$€¥£A$ーーー
さてここで、市場予想が前回改定値より悪化していれば、指標発表前後10分間が陽線になりがちで、改善していれば陰線になりがちなことに意味があるのでしょうか。
EURに関してはあるかも知れません。
というのも、玄人通貨のEURでは「噂(予想)で買って、事実(発表)で売る」という動きが顕著な気がします(「気がする」です)。定量的な論拠を示さず、定性的な話で申し訳ないのですが、大きなイベントや指標を前にEURの折込は早くから始まりがちです。指標発表10分前には、玄人の売買は既に終わっているのでしょう。だから、指標発表前後10分はそれまでの動きと反対に動くことが多いのかも知れません。
ならば、この分析結果を活かした取引が有効な場面も考察できます。
市場予想が前回改定値より悪化/改善しており、指標発表1・2時間前から陰線側/陽線側に伸びているなら、直前10-1分足や直後11分足が陽線/陰線です。
【2.4 伸長性分析】
伸長性分析は、反応性分析を用います。反応性分析は、指標発表から1分経過しても、同じ方向に反応を伸ばし続けたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は6pipsです。この期間の反応程度は、指標発表直後1分間とほぼ同じです。
過去の陽線率は50%、事前差異との方向一致率は26%(不一致率74%)です。1✕HICPの事前差異+1✕コアHICPの事前差異、という判別式の解の符号と逆方向にポジションをオーダーし、利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておけば良いでしょう。
【3.2 直前1分足】
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
過去の陰線率は70%あるものの、この数値は2015年にこの期間に陽線だったことが1度もないため高めの数字となっています。2016年3月以降に限れば、陰線率は59%に下がります。
その上、反応が小さいのだから、この期間の取引は避けた方が良いでしょう。
【3.3 直後1分足】
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足の過去平均跳幅は9pips、同値幅は7pipsです。過去の陽線率は65%、事前差異との方向一致率は44%、事後差異との方向一致率は55%です。
直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。
但し、その4回のうち3回の直後1分足は、逆ヒゲがあります。うち2回は10pipsの逆ヒゲです。だから、直前10-1分足が15pips跳ねても、慌てて追撃すべきではありません。この指標への反応で10pipsも逆行したら損切りせざるを得ません。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は、前述の通り68%です。その68%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは70%です。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
【3.4 直後11分足】
最後に、下図は直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後11分足の過去平均跳幅は18pips、同値幅は11pipsです。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。直後1分足に対する直後11分足分布図から、追撃を行うのは直後1分足が陰線だったときだけにした方が良いでしょう。このときの利確/損切の目安は5pipsぐらいで良いでしょう。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
- 本指標は、ECB金融政策に影響を与えるため、多くの指標解説で重要度や注目度が高いと位置づけられています。けれども、市場予想の精度が高く、反応が短時間で小さく、発表結果の市場予想に対する良し悪しに55%しか素直に反応していません。
取引には向かない指標です。 - 指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値より改善していれば陰線、悪化していれば陽線で反応しがちです。逆ではありません。
この間に、直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。けれども、慌てて追いかけてはいけません。その4回のうち3回の直後1分足は10pips以上の逆ヒゲがあります。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅は、過去数年に亘って安定して10pips程度です。指標発表直後の反応方向は、上記の通りあまり素直ではありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。初期反応方向に追撃するなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
ーーー$€¥£A$ーーー
2017年の本指標での取引成績を下表に纏めておきます。
2018年は本指標でまだ取引していません。何かやる気があまり起きなくて。
2017年は、本指標で2回の取引を行い、指標単位で2勝、シナリオ単位で6勝1敗(勝率86%)でした。1回の発表毎の平均取引時間は6分6秒で、損益は年間で+14pipsでした。
反応が小さい指標なので、悪い成績ではありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年07月26日
米四半期GDPの反応分析用最新更新データ
判別式
事前差異は、1✕GDP事前差異+2✕コアPCE事前差異、という判別式(プラスが陽線、マイナスが陰線)を用います。
事後差異は、2✕GDP事後差異+1✕デフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式を用います。
実態差異は、ー2✕GDP実態差異ー1✕デフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、という判別式を用います。
反応概要
反応程度
予兆分析
伸長性分析
事前差異は、1✕GDP事前差異+2✕コアPCE事前差異、という判別式(プラスが陽線、マイナスが陰線)を用います。
事後差異は、2✕GDP事後差異+1✕デフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式を用います。
実態差異は、ー2✕GDP実態差異ー1✕デフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、という判別式を用います。
反応概要
反応程度
予兆分析
伸長性分析