新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2018年07月01日
2018年7月2日〜7月6日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
週明けUSDJPYは109.91円で始まりました。前週末終値が109.98円だったので、ほぼ窓のないスタートでした。週足終値は110.63円で、週足値幅は72pips(先々週は63pips)でした。週足高値は110.94円、安値は109.37円、全幅は157pips(先々週は101pips)でした。
あまり動かない週が続いています。
ーーー$€¥ーーー
どこの政府もどこの中銀も、投機的な売買による自国通貨の急激な為替変動を嫌っていました。その解決方法が、いつ何を言いだすかがわからない米国大統領というのは、かつて誰も想定していなかったと思います。
その伏線は、移民流入への欧米社会の不安・不満があり、新興国製造業の追い上げへの焦りがあり、特に中国の影響力増大への将来の危機感がありました。
移民流入の部分を除けば、日本にも同じ焦り・危機感があるように感じます。
ーーー$€¥ーーー
ともあれ、先週の米国では、大手バイクメーカーが欧州の報復関税に対応して輸出用バイクの生産拠点を海外に移すと発表したことが大きく報道されました。続いて、カナダも米国への報復関税を発表しました。
今週の焦点は、7月6日に迫った対中制裁関税が実施されるか否かです。それに比べれば、雇用統計結果なんて大した問題ではないのかも知れません。
【2. 今週予習】
7月4日は米国独立記念日のため、その前日の米国株式市場は半日で閉まります。祝日明けは5日で、5日は対中制裁関税実施日の前日です。7月3日中に米中間で何らかの合意がなければ、リスク回避のため米株が売られる可能性があります。
3日中に米中が歩み寄るかどうかが来週最大の関心事だという気がします。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月2日(月)
08:50 4-6月期日銀短観
17:30 6月集計分英国製造業PMI
23:00 6月集計分米国ISM製造業景況指数
7月3日(火)
13:30 豪州金融政策
7月4日(水)
米国祝日(独立記念日)
10:30 5月集計分豪州小売売上高
17:30 6月集計分英国サービス業PMI
7月5日(木)
21:15 6月集計分米国ADP雇用統計
23:00 6月集計分米国ISM非製造業景況指数
7月6日(金)
米国の対中制裁関税発動日
03:00 米国6/12-13FOMC議事録
21:30 6月集計分米国雇用統計
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上
2018年06月24日
2018年6月25日〜6月29日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
週明けUSDJPYは110.67円で始まりました。前週末終値が110.61円だったので、ほぼ窓のないスタートでした。週足終値は109.98円で、週足値幅は63pips(先々週は113pips)でした。週足高値は110.76円、安値は109.65円、全幅は101pips(先々週は156pips)でした。
米中・米欧貿易摩擦やOPEC原油増産が話題に挙がったものの、週足でのUSDJPYの動きは小さなものでした。
ーーー$€¥ーーー
6月19日(月)08:32、米大統領は「中国に関して一段の措置を取る必要がある」という見解を示しました。その直後からUSDJPYは急落を始めました。
手元のチャートで確認すると、08:30〜09:30の1時間足の全幅(高値ー安値)は
USDJPY=△50pips
EURJPY=△49pips
GBPJPY=△55pips
AUDJPY=△63pips
EURUSD=+19pips
GBPUSD=+16pips
AUDUSD=△29pips
でした。
以降も同様の突発的な騒ぎが11月(米中間選挙)まで散発すると想像されます。
同種・同様の騒ぎではだんだん反応が小さくなりがちなので、次に同じようなことが起きたら25〜50pips付近にチャート上の反転のきっかけがないかを探すことにしましょう。事態発生から1時間ぐらい経って、そこでの反転で5pipsぐらい狙えないかを忘れないようにしておきます。
その後はわかりません。過去のパターンでは、すぐに中国側も対抗処置を取り、もう一段下げているので、欲張りは禁物です。
ーーー$€¥ーーー
OPEC総会は原油増産を決めたにも関わらず、原油価格は上昇したようです。こうした原油価格の動きは、OPEC総会での合意内容が緩やかな増産に留まったからだそうです。原油の話で良かった。こんな反応をされては、我々みたいなアマチュアには訳がわからずイチコロです。
また、OPEC原油の増産理由のひとつに、原油価格を下げることで採掘コストが高い米国シェールガス増産を抑え込む狙いがあった、という解説記事も散見されました。
以前にシェールガス採算ラインは、1バレルあたり50ドル付近と読んだ記憶があります。現在の原油価格70ドル弱付近は、かつての採算ラインと言われていました。採掘技術の向上や過去の採掘設備の償却が進んだ分だけ、シェールガス生産が急増し始める原油価格が下がったのです。
ならば、今後も中長期的に原油価格は、OPEC産油国・非OPEC産油国・米国シェールガス業者の思惑が交錯して50〜70ドル付近で安定させようという動きが続くのではないでしょうか。
原油価格があまり材料視されない状況は、本ブログにとっては良いことです。
ーーー$€¥ーーー
欧州財務相会合では、ギリシャへの過去の融資の返済猶予期間と返済期限を10年延長し、8月以降に新たに融資を行うことが決まりました。
ギリシャの債務はGDPの180%に達していますが、その程度ではまだ日本に及びません。我々が先輩ズラしても仕方ありませんが、市場では来年にギリシャがGDPの約7%相当額の返済期限を迎えることが問題視されていたようです。そこで先手を打って、債務の返済猶予と新たな融資を行い、問題を先送りして直近の市場混乱を避けた訳です。
だってそれどころじゃありません。22日に米大統領は欧州製自動車に20%の関税を課す旨をツィートしたそうです。
【2. 今週予習】
当面は米中・米欧の貿易摩擦問題での動きが続くと予想する解説が多いようです。当面っていつまでか、というと、7月6日の対中関税発動期日と11月の米中間選挙が挙げられています。
7月6日が迫るにつれて、双方の歩み寄りが期待されるでしょう。けれども、合意前は一層過激な発言もあるかもしれません。イベント(期日)を控えて、初心者やアマチュアが「こつこつどかん」になりやすいパターンです。
この件の当事者は、強気交渉が信条の当事者ばかりなので、特に気を付けましょう。
ーーー$€¥ーーー
何かあまりポジションが持てない週になりそうです。
そのときの気分次第でいつもトレンドフォローばかりしていると、つい「安く買って高く売る」という一番大事な原則を忘れがちです。また、どんなポジションであれ、期日と利確幅(損切幅)が無制限というのは問題があります。
予め、いつまでにいくらでポジション解消、を見込んでおくことは大事です。そして、ポジション保有期間が長くなるほど、資金に対する投資額の比率は小さくしておきましょう。
例えば、本ブログでは、経済指標発表前後の10分間だけ資金の10%を投資する事例を挙げています。
もし10分を超えて、指標発表から1時間も取引を続けるなら、それを5%以下にしましょう(多くの初心者向け解説書に記されている通り、資金の1/20以下)。もし日足単位で取引するなら3%以下、もし複数の日足で取引するなら1%以下、と考えると、なかなか一攫千金という訳にはいきません。そういうのは、もっと上手に取引できるようになってから狙いましょう。
でも不思議なことに、上手な人は一攫千金なんて狙わないようです。上手になるまでは練習期間です。
ヒマそうなので余計なことを書きましたが、損を小さく資金を増やす練習期間を過ごすことを一緒に目指しましょう。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。下記ご覧の通り、今週は指標なんて関係ない週です。
なお、太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
6月25日(月)
17:00 6月集計分Ifo企業景況感指数
23:00 5月集計分米国新築住宅販売件数
6月26日(火)
23:00 6月集計分米国CB消費者信頼感指数
6月27日(水)
21:30 5月集計分米国耐久財受注
6月28日(木)
06:00 NZ中銀(RBNZ)金融政策
21:30 1-3月期米国GDP確定値
6月29日(金)
17:30 1-3月期英国GDP確定値
18:00 6月集計分欧州HICP速報値
21:30 5月集計分米国PCEコアデフレータ・PCE
ーーー$€¥ーーー
週後半に大きな指標発表が続きます。でも先述の通り、7月6日の対中関税発動期日が迫っており、指標発表結果の影響程度が小さく、持続時間が短くなる可能性があります。
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上
2018年06月17日
2018年6月18日〜6月22日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
週明けUSDJPYは109.33円で始まりました。前週末終値が109.48円だったので、下窓0.15円を開けてのスタートでした。
週足終値は110.61円で、週足値幅は113pipsでした。週足高値は110.90円、安値は始値の109.33円、全幅は157pipsと、イベントの多かった週の割に小さな動きでした。
ーーー$€¥ーーー
先々週8-9日に行われたG7サミットの結果は、米大統領が発表された合意文書への承認を撤回したそうです。けれども、今回のサミットがぐずぐずだった(先進国が結束して諸問題に取り組むという姿が見えなかった)ことで、11日午前にUSDJPYが動いたという記事はなく、先週への影響はありませんでした。
6月12日には米朝首脳会談が開かれました。北朝鮮絡みの地政学的リスク後退でJPYが売られたものの、この日のUSDJPYは110円台で0.3〜0.4円程度の上下動をしていました。昼間の高値は110.49円で、この高値を上抜けたのは翌13日の東京時間に入ってからでした。
結果から言えば、この会談の結果は既に折込み済だったようです。
次に6月14日3時のFOMCで市場予想通り政策金利引上げが行われました。利上げ発表によって110.85円までUSDが買われたものの、その後は翌欧州時間までにUSDJPYは109.92円まで下げました。
2018年の利上げはあと2回(2018年は4回の利上げ)との見方が示されており、利上げペースが加速しています。ところが、実勢金利の上昇は短期債で起きており長期債では起きていません(イールドカーブのフラット化)。長期債の金利上昇が起きないと、大口プレーヤーは米債購入に動かないそうです。
6月14日21時のECB理事会で「年内のQE終了」で「来年利上げ」でした。ところが、ECB総裁が会見で利上げ時期の後ズレ発言をしたため、利上げ時期を来年中頃と見なしていた市場はEUR売で反応しました。
EURが売られた結果、USDが上昇し、EURUSDは14日だけで208pipsの下落しました。EURJPYの下落も190pipsでした。
【2. 今週予習】
米中貿易摩擦の問題が注目されています。7月には米国の中国製品への関税が引き上げられ、中国側も米国製品への報復関税を言明しています。
北朝鮮問題での地政学的リスクが弱まったと思ったら、次のリスクが持ち上がり、JPY安には繋がりません。
対NAFTA・EU・日本の貿易交渉にせよ、秋の米中間選挙が終わるまで米政権が宥和的姿勢に変わらない可能性も高まっています。それもこれも米大統領の支持者に株価への直接的な関係がない人が多いからでしょう。
ーーー$€¥ーーー
日本では、骨太の方針で財政再建が先延ばしされ、現状の問題と将来の問題について現状の優先度が高まったと言えるでしょう。
確か「それは骨太じゃない」という問題意識から命名されたはずの中長期方針だったはずなのに、最近はどんどん日和ってしまっています。
一時、英国がTPP加盟検討との報道がありましたが、逆にもし日本が欧州にあったら、とてもEUに入れる財務状況ではありません。
とすれば、いろいろ大変だけれども日本が米中の間にあるのは良かったのかも知れません。
米長期債は、中国の台頭と現在が景気のピーク付近という見方で金利上昇の余地が限られています。よって、イールドカーブの非フラット化は、短期金利低下によって始まる可能性の方が高いようです。
でも、FRBは2019年も3回の利上げが予定しています。2020年までJPY安の余地がなく、かと言ってJPY高は明確なリスクにおいて起きるなら、USDJPYのレンジの上下限と周期を研究した方が良さそうな気がしてきました。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。下記ご覧の通り、今週は指標なんて関係ない週です。
なお、太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
6月18日(月)
中国祝日
注目指標なし
6月19日(火)
注目指標なし
6月20日(水)
23:00 5月集計分米国中古住宅販売件数
6月21日(木)
20:00 BOE(英中銀)金融政策
21:30 6月集計分米国Phil連銀製造業景気指数
6月22日(金)
注目指標なし
ーーー$€¥ーーー
先週の米欧日の中銀金融政策に続き、今週は英中銀(BOE)が金融政策を発表します。市場予想は現状維持です。
英国では、来年3月のEU離脱方法への意見対立が与党内で強まっているようです。
英首相は「下手な合意をするぐらいなら決裂した方がマシ」と主張しています。交渉当事者が強気姿勢を見せつけるのは、どこの国でもよくあることです。最近は特にそういうリーダーが多いようです。
一方、穏健派は要するにEU離脱交渉の期限延長を首相に求めています。政権が担うべき対外交渉の承認権限を下院に与えるという法案の狙いは、そこにあります。
こんな政権基盤を揺るがすような騒々しい状況下で、BOEが政策変更できるはずありません。
ならば、前回までに示されていた「今後3年ぐらいで2・3度の利上げ」という方針において、最初の利上げ時期がどのぐらい遅いかが市場の関心事ということになります。そして、どのぐらい遅いかが示されないと、遅くなるのも当然、と捉えられても仕方ありませんよね。
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上
2018年06月12日
米国金融政策(市場予想通り利上げ時)発表前後のUSDJPY反応分析(2018年改訂版)
どの国の中銀であれ、金融政策発表前後の反応は、「市場予想通り利上げ」の場合とその他の場合とで、反応が全く異なります。
この分析の調査範囲は、2015年以降に「市場予想通り利上げ」が行われた6回の事例を取り上げています。事例数が少ないため、一貫した傾向があるように見えても、それが今後も通用する傾向か否かはわからない、というのが正直なところです。
米国が政策金利を変更すると、影響は世界に及びます。
日欧のように自国金利が安くても経済基盤に信頼のおける国では、生保や年金機構に代表される長期投資プレーヤーが一定の米国債購入に動くはずです。だってそうでしょう。もし運用期間中の平均年利が2.5%ならば、30年後の受け取り額は2.1倍(税引前)です。
けれども、途上国のように将来を見据えて社会インフラを整備中の国は困ります。
国内資金が乏しいからこそ、高金利で海外資金を集めていたのです。それなのに、米国債のように信用度が高い債券が高金利になって安全に運用できるなら、誰もリスクの大きな途上国の債券を買いません。それどころか、既に投資してくれいた人たちさえも、資金を引きあげてしまいます。
その穴を埋めるためには、更に高金利にせざるを得なくなります。けれども、例えば高い金利で鉄道を敷設すれば、その返済のために運賃や運営費が高くならざるを得ません。それに、自国が高金利なら国内で資金を実業に投資する企業が育ちません。鉄道だけでなく、道路でも通信でも学校でも病院でも同じことです。
そんな国の通貨価値は下がって当然で、それが事態をなお一層悪化させることでしょう。
FRB(FOMC)がインフレを予防しつつ雇用の最大化を図るのは法的責務として当然のことにせよ、それは現政権の相対的アメリカファーストの政策目標とも合致している訳です。
なんてこったい、と言ってる国は世界中に多くあることでしょう。
最近の米国政策金利の推移を下図に示します。
この間、6回の利上げが行われています。
2015年12月、
2016年12月、
2017年3月、
2017年6月、
2017年12月、
2018年3月、
です。そして、2018年は3回か4回の利上げが行われると、市場は予想しています。
毎回0.25%の利上げなら、2018年末には2.25%〜2.5%に達していることになります。2019年以降も利上げ継続をFRB幹部がアナウンスしている以上、最終的に3〜4%まで利上げが継続される、と見込まれています。
またこの間、利上げは全て市場予想通りに行われました。FRBは米国の利上げが世界経済に与える影響を知っており、予め市場が金融政策変更の影響を折り込めるように配慮します。確か、2017年3月の利上げでは、市場の見立てが利上げと見送りとに二分されていました。すると、わざわざFRB議長が市場に利上げを折込んでおくような発言をしたぐらいです。
米国金融政策は、市場との対話を十分に行い不意打ちによる混乱を嫌う、という特徴があります。
今回6月のFOMCでは利上げが予想されています。前回(5月3日)FOMC議事要旨は次の通りです。
わかりにくい点も多いものの、「雇用と物価の状況はFF金利の一段の緩やかな引上が正当化される」という部分がポイントです。
市場では今回の利上げを見こしており、今回発表を直前に控えた現時点では、焦点が今年の利上げがあと1回か2回かに絞られつつあります。
まずは大きく捉えましょう。
下図は、FOMC政策金利発表の前日から4週後までの窓無し始値基準ローソク足です。基準はFOMC政策金利発表翌週の始値で、左から2つ目のローソク足です。
既に米金利が高いためか、以前とは違って翌週からは陽線で反応することが多いようです。
次に視点をもっと拡大してみましょう。基準はFOMC政策金利発表時の始値で、左から3つ目のローソク足です。
反応は徐々に小さくなっているように見えます。
更に視点をもっと拡大してみます。いつもの直前10-1分足〜直後11分足の図です。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
この分析の調査範囲は、2015年以降に「市場予想通り利上げ」が行われた6回の事例を取り上げています。事例数が少ないため、一貫した傾向があるように見えても、それが今後も通用する傾向か否かはわからない、というのが正直なところです。
ーーー$€¥ーーー
米国が政策金利を変更すると、影響は世界に及びます。
日欧のように自国金利が安くても経済基盤に信頼のおける国では、生保や年金機構に代表される長期投資プレーヤーが一定の米国債購入に動くはずです。だってそうでしょう。もし運用期間中の平均年利が2.5%ならば、30年後の受け取り額は2.1倍(税引前)です。
けれども、途上国のように将来を見据えて社会インフラを整備中の国は困ります。
国内資金が乏しいからこそ、高金利で海外資金を集めていたのです。それなのに、米国債のように信用度が高い債券が高金利になって安全に運用できるなら、誰もリスクの大きな途上国の債券を買いません。それどころか、既に投資してくれいた人たちさえも、資金を引きあげてしまいます。
その穴を埋めるためには、更に高金利にせざるを得なくなります。けれども、例えば高い金利で鉄道を敷設すれば、その返済のために運賃や運営費が高くならざるを得ません。それに、自国が高金利なら国内で資金を実業に投資する企業が育ちません。鉄道だけでなく、道路でも通信でも学校でも病院でも同じことです。
そんな国の通貨価値は下がって当然で、それが事態をなお一層悪化させることでしょう。
FRB(FOMC)がインフレを予防しつつ雇用の最大化を図るのは法的責務として当然のことにせよ、それは現政権の相対的アメリカファーストの政策目標とも合致している訳です。
なんてこったい、と言ってる国は世界中に多くあることでしょう。
ーーー$€¥ーーー
最近の米国政策金利の推移を下図に示します。
この間、6回の利上げが行われています。
2015年12月、
2016年12月、
2017年3月、
2017年6月、
2017年12月、
2018年3月、
です。そして、2018年は3回か4回の利上げが行われると、市場は予想しています。
毎回0.25%の利上げなら、2018年末には2.25%〜2.5%に達していることになります。2019年以降も利上げ継続をFRB幹部がアナウンスしている以上、最終的に3〜4%まで利上げが継続される、と見込まれています。
またこの間、利上げは全て市場予想通りに行われました。FRBは米国の利上げが世界経済に与える影響を知っており、予め市場が金融政策変更の影響を折り込めるように配慮します。確か、2017年3月の利上げでは、市場の見立てが利上げと見送りとに二分されていました。すると、わざわざFRB議長が市場に利上げを折込んでおくような発言をしたぐらいです。
米国金融政策は、市場との対話を十分に行い不意打ちによる混乱を嫌う、という特徴があります。
ーーー$€¥ーーー
今回6月のFOMCでは利上げが予想されています。前回(5月3日)FOMC議事要旨は次の通りです。
- 現状について、@ 雇用の伸びが堅調、失業率は低いまま、A 家計支出の伸びは昨年10-12月期に比べて緩やかになったものの、 企業の設備投資は引き続き堅調に伸長、B インフレ率・コアインフレ率はともに+2%に近づき、将来のインフレ率を示唆する指標が急変する兆しはない、との認識が示されました。
- 今後について、@ 金融政策の運営姿勢の更なる緩やかな調整によって、経済活動が中期的に緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況は力強さを維持、A インフレ率は中期的に目標の+2%近辺で推移すると予想、B 経済見通しが上下にブレる可能性は概ね均衡、と見込まれていました。
- 金融政策について、@ 雇用と物価の状況はFF金利の一段の緩やかな引上が正当化されるとの方針を示し、Aその 一方、当面のFF金利が長期的に到達すると見込まれる水準を下回って推移する可能性を指摘、B 但し、雇用と物価の状況次第で、FF金利の誘導目標を変更することを申し添えています。
わかりにくい点も多いものの、「雇用と物価の状況はFF金利の一段の緩やかな引上が正当化される」という部分がポイントです。
市場では今回の利上げを見こしており、今回発表を直前に控えた現時点では、焦点が今年の利上げがあと1回か2回かに絞られつつあります。
ーーー$€¥ーーー
まずは大きく捉えましょう。
下図は、FOMC政策金利発表の前日から4週後までの窓無し始値基準ローソク足です。基準はFOMC政策金利発表翌週の始値で、左から2つ目のローソク足です。
既に米金利が高いためか、以前とは違って翌週からは陽線で反応することが多いようです。
次に視点をもっと拡大してみましょう。基準はFOMC政策金利発表時の始値で、左から3つ目のローソク足です。
反応は徐々に小さくなっているように見えます。
更に視点をもっと拡大してみます。いつもの直前10-1分足〜直後11分足の図です。
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上