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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
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DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2018年08月20日

2018年8月20日〜8月24日の主要経済指標の過去反応要点

2018年8月20日〜8月24日の主要経済指標の過去反応パターンを挙げておきます。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。

8月20日(月)
注目指標無し

8月21日(火)
  • 10:30 豪州(RBA)金融政策会合議事要旨公表

8月22日(水)
  • 23:00 7月集計分米国中古住宅販売件数
    本指標が新築住宅販売件数集計から1・2か月遅行している、という話は有名なものの、そんな現象は起きていません。そんなことより、2017年6月以降ほとんど反応しなくなっています。おそらく、好景気による慢性的な中古住宅の供給不足によって、多少の需要増減があっても市場が本指標の多少の変化に意味を見出せなくなりつつあるため、と推察されます。

8月23日(木)
  • 03:00 FOMC議事要旨公表

  • 16:30 8月集計分独国PMI速報値
    指標発表直後の反応方向への影響力は、製造業PMIが最も強いようです。
    指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsと、平均的な反応程度です。但し、過去全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。

  • 23:00 7月集計分米国新築住宅販売件数
    本指標が中古住宅販売件数に1・2か月先行するという話や、家具などの耐久財消費に繋がるという話は、FX取引上の意味がありません。後者については、新築住宅契約から家具購入に至る時差が大きすぎて、その影響を見分けることなどできません。
    指標結果の市場予想に対する良し悪しは、指標発表直後の反応方向と相関があるものの、その差は反応程度と相関がありません。過去の直後1分足跳幅は約90%が10pips未満に留まっています。しかも、指標発表から1分後と11分後を比較すると、反応を一方向に伸ばし続けていたことは31%しかありません。

8月24日(金)
  • 21:30 7月集計分米国耐久財受注
    前月比よりもコア前月比に注目すべき、という指標解説が散見されます。けれども、2015年以降に限れば、指標発表直後の反応方向への影響力は、僅かに前月比の方が大きくなっています。
    前月比が△3%以下と+3%以上だった翌月に、そして、コア前月比が△0.5%以下と+0.9%以上だった翌月に、反動が起きています。けれども、本指標の市場予想はこの反動を見こしているため、残念ながらその反動がポジション方向の論拠になりません。論拠とすべきではありません。

  • 23:00 FRB議長講演

以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




2018年08月19日

独国景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析

独国景気指標「PMI速報値」の指標発表前後の反応分析には、
@ 総合PMI速報値
(以下「総合PMI」と略記)
A 製造業PMI速報値
(以下「製造業PMI」と略記)
B サービス業PMI速報値
(以下「サービス業PMI」と略記)
を用います。

本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
その分析対象期間は、2015年1月集計分〜2018年7月集計分(同月発表分)の43回分を用いました。特徴を見いだす調査数としては十分でしょう。




T.指標分析

以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。

【1.1 指標概要】

PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気先行指標として信頼できる、と言われています。そして、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、サービス業よりも先行性がある、と言われています。

では何で、企業購買部門に直接調査すると、企業セールス部門に直接調査するより正確なのかがわかりません。ちょっと調べてみたものの、その理由を記した資料は見つかりませんでした。
そして、製造業の購買担当部門の先行き見通しが、サービス業の購買担当部門のそれを先行しているかは、製造業PMIとサービス業PMIが同時発表される本指標の推移を見ればはっきりします。そんな関係はありゃしないのです。

なお、本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。
本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。とは言え、30分毎に3回の発表だと、お勤めの方は隙を見てちょちょっと取引という訳にもいきません。いずれ、30分毎の関連取引を続けて行うための準備や研究にも着手したい、と思います。

【1.2 差異推移】

過去の改定値と市場予想と発表結果の推移を以下に示します。

まずは総合PMIの推移からです。

1808独国PMI速報210.png

凸凹が目立つことと、改定値()がズレることが多いことを覚えておきましょう。
これを製造業PMIと見比べてみます。

1808独国PMI速報220.png

凸凹が少なりなってトレンドがはっきりし、改定値()とズレたことが少ないことに気づきます。また、わかりやすい市場予想後追い型となっています。
そして、サービス業PMIを見てみましょう。

1808独国PMI速報230.png

総合PMIの凸凹や改定値(黒)とのズレは、製造業PMIでなくサービス業PMIのせいだったことがわかります。

ーーー$€¥£A$ーーー

総合PMIと製造業PMIとサービス業PMIを、もっと見比べやすく同じグラフ上にプロットしたのが下図です。

1808独国PMI速報240.png

製造業PMI()の推移はサービス業PMIの推移()を先行示唆などしていません。そして、総合PMI()は製造業PMIとサービス業PMIの中間値でも、それらの一定比率値でもないことがわかります。




U.反応分析

分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。

【2.1 反応概要】

複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。

まず、事前差異は、3✕製造業PMIの事前差異ー2✕サービス業PMIの事前差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は63%で、あまりアテになりません。

次に、事後差異は、2✕総合PMIの事後差異+3✕製造業PMIの事後差異+1✕サービス業PMIの事後差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は76%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しには素直に反応します。

そして、実態差異は、2✕製造業PMIの実態差異+1✕サービス業PMIの実態差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は73%です。発表結果の前回改定値に対する良し悪しに素直に反応しています。

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下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。

1808独国PMI速報250.png

事後差異がプラスなら陽線で反応しがちですが、事後差異がマイナスなら陰線で反応するかどうかわかりません。そして、事後差異の大きさと陽線や陰線の大きさに相関はないようです。何がどうあれ反応が小さいことがわかります。

次に、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布を下図に示します。

1808独国PMI速報260.png

回帰線(赤線)の傾きはほぼ1で、平均的には反応が伸びません。赤線の上下のドット分布を見ると、直後1分足が陽線であれ陰線であれ、直後1分足終値よりも直後11分足終値が反応を伸ばすか否かはわかりません。

【2.2 反応程度】

過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。

1808独国PMI速報110.png

指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で10pipsです。反応程度としては平均的な指標です。
分布は、平均値10pips以下しか跳ねなかったことが63%となっています。

次に、2015年以降の毎年の事後差異と実態差異の平均値の推移(上図)と、直後1分足と直後11分足の跳幅平均・値幅平均の推移(下図)を示します。

1808独国PMI速報120.png

1808独国PMI速報130.png

事後差異と実態差異の平均値は、2017年以降大きくなっています。その結果(かどうかわかりませんが)、最近の反応は大きくなっているように見えます。

さて、先に個別の事後差異と直後1分足の分布を調べた限りでは、事後差異の程度と直後1分足の方向と値幅は、あまり関係がなさそうでした。がしかし、1年分12回の発表時の事後差異や実態差異の平均値を取り、直後1分足や直後11分足の跳幅や値幅を見比べてみると、全体的に事後差異や実態差異の大きさと反応の大きさには弱い相関があるように見えます。

【2.3 反応方向】

指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。

1808独国PMI速報310.png

事前差異は過去マイナス率が65%と、やや偏りがあります。そして、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が63%です。

事後差異と直後1分足の方向一致率は76%で、反応は素直です。また、事前差異がマイナスだったときには、直後1分足が陰線だったことが34%(陽線だったことが66%)あります。

次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。

1808独国PMI速報320.png

直前1分足の陰線率が73%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は66%しかありません。その他には、直前1分足と直後1分足の方向一致率は37%(不一致率63%)となっています。

そして、反応性分析では、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。

1808独国PMI速報330.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り66%です。そして、その66%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表直後は、反応が伸びると信じるしかありません。ただ、全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは56%(=0.66✕0.85)です。これでは、指標発表直後に安易に追撃ポジションを取ることはできません。




V.取引方針

以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。

【3.1 直前10-1分足】

下図に直前10-1分足を示します。

1808独国PMI速報410.png

直前10-1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は6pipsです。これは、直後1分足の反応程度とほぼ同じです。この期間に安易にポジションをオーダーして負けると、取り返せないということです。

直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が63%です。ポジションをオーダーするかは、ちょっと迷う数字ですね。63%ではあまりお薦めできません。

【3.2 直前1分足】

次に直前1分足です。2017年9月以降、それ以前の陰線が多かった状況から陽線が多くなっています。また、以前に陰線が多かった時期は、逆ヒゲ(陽線側へのヒゲ)を残すことが多かったことがわかります。

1808独国PMI速報420.png

直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
直前1分足の過去陰線率は73%あるものの、先述の通り、2017年9月以降はこの数字を信じることができません。
よって、この期間の取引は薦められません。

【3.3 直後1分足】

そして、直後1分足を下図に示します。

1808独国PMI速報430.png

直後1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は7pipsです。
直後1分足の過去陽線率は66%、事前差異との方向一致率は34%(不一致率66%)、そしてまた直前1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。どれも決め手に欠く数字です。
事前差異がマイナスのとき直前1分足が陰線なら、指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで利確/損切です。

【3.4 直後11分足】

直後11分足を下図に示します。

1808独国PMI速報440.png

直後11分足の過去平均跳幅は17pips、同値幅は11pipsです。

直後1分足と直後11分足の方向一致時に、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたことは85%あります。けれども、直後1分足と直後11分足が方向一致したことは66%と、やや低い数字になっています。
そのため、ポジションをオーダーするハードルを上げて、直後1分足が指標発表後の実態差異と同じ方向のとき、直後1分足の方向を確認してから追撃を始めることにします。そして、利確/損切の目安は、直後1分足値幅の過去平均値と直後11分足跳幅の差である10pipsの半分、5pips程度にすれば勝率が稼げそうです。




W.分析結論

本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 本指標では、製造業PMIとサービス業PMIとが同時発表されます。それら指標推移を見る限り、製造業の景気がサービス業の景気を先行示唆している事実は見受けられません。

  • 指標発表直後の反応方向への影響力は、製造業PMIが最も強いようです。
    指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsと、平均的な反応程度です。但し、全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。

  • 取引の機会は2・3度です。
    直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が63%です。期待的中率が63%なので、この期間の取引はあまり薦められません。
    また、直後1分足の過去陽線率は66%、事前差異との方向一致率は34%(不一致率66%)、そしてまた直前1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。事前差異がマイナスのとき直前1分足が陰線(になりそう)なら、指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで利確/損切です。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致時に、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたことは85%です。しかし、直後1分足と直後11分足が方向一致したことは66%しかありません。よって、直後1分足が指標発表後の実態差異と同じ方向のとき、直後1分足の方向を確認してから追撃を始めると良いでしょう。


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全て事前投稿の分析記録と事後投稿での結果検証を残した2017年の本指標取引成績を下表に纏めておきます。

1710独国PMI速報530.png

2017年は本指標で5回取引を行い、指標単位で4勝1敗(勝率80%)、シナリオ単位で8勝2敗(勝率80%)でした。これだけ勝率が高いにも関わらず、年間で21pipsしか獲れていません。
以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




2018年08月13日

2018年8月13日〜8月17日の主要経済指標の過去反応要点

2018年8月13日〜8月17日の主要経済指標の過去反応パターンを挙げておきます。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。

8月13日(月)
注目指標無し

8月14日(火)
  • 15:00 4-6月期独国GDP速報値・7月集計分独国CPI改定値
    CPIは改定値のため、事前の注目はGDPに偏ると思われます。
    GDPは、発表結果が市場予想とズレたときの直後1分足の反応方向への影響が(前期比>前年比)の関係となります。その影響力は前期比が前年比の1.5倍です。但し、指標結果の良し悪しと直後1分足の反応は、方向一致率が65%とあまり高くありません。反応は小さいものの、いくつかの傾向に従えば取引しやすい指標です。

  • 17:30 6月・7月集計分英国雇用統計
    市場予想と発表結果の関係は、平均所得と申請件数が市場予想後追い型、失業率が市場予想先行型。英国雇用状況に詳しくなくても結果を予想しやすい点で、おもしろい指標だと言えます。指標発表直後の反応方向への影響力は、平均所得の事後差異>失業率の事後差異>申請件数の事後差異、です。指標発表前から他の平均的な指標の発表直後並みに反応するので、注意が必要です。

  • 18:00 4-6月期欧州GDP改定値・8月集計分独国ZEW景況感調査
    ともに、あまり影響力が大きい指標ではないため、わかりません。
    GDP改定値は速報値から改定されることがあまりないことを踏まえると、指標発表前はZEW予想中心、指標発表後にGDPが改定されたらそちら中心(改定されなければZEW中心)と捉えておけば良いでしょう。

  • 21:30 7月集計分米国輸入物価指数
    米国輸入物価指数は、今回のように単独で発表されることが年に4・5回しかありません。過去に、小売売上高指数・Phil連銀製造業景気指数・住宅着工件数・週次失業保険新鮮件数のいずれかと同時発表されたときは、それら指標結果に反応しました。本指標は結果がどうあれチャートに影響しない指標だと言えます。


8月15日(水)
  • 17:30 7月集計分英国物価統計
    大きく反応しがちなので注意が必要です。
    指標発表後の反応方向は、CPI前月比>CPI前年比、の順に、市場予想との差異の大きさと方向の影響を受けます。RPIやPPIは、CPIが市場予想通りだったときしか反応方向に影響しません。指標発表前から大きく反応しがちで、指標発表直後は以前から安定して反応が大きい指標です。指標発表直後に16pips以下しか跳ねなかったことは7%しかありません。また、全体の半分近く48%が31pips以上跳ねています。

  • 21:30 7月集計分米国小売売上高
    本指標は「反動」が起きる指標です。がしかし、取引方針はそのことを別の面から捉えておく必要があります。前月比が+1以上か△0.5以下だった翌月は、市場予想ほどの反動が起きなかったことが80%あります。そして、コア前月比が+0.7以上か△0.7以下だった翌月は、市場予想を超えて反動が起きたことが80%あります。これらのことが矛盾している月の発表では、コア前月比>前月比、の順に反応方向が影響を受けることを参考にすれば良いでしょう。
    直後1分足跳幅の過去平均は22pipsと、一見、大きく反応する指標です。また、過去にCPIと同時発表されたことも多く、資料に依っては過去の反応程度が大きめなっているものが散見されます。けれども、平均値を超えて反応したことは、ざっくり3回に1回しかありません。大きく反応することがある指標で、それほどでもなければ利確の機会を逸しかねません。そこに注意が必要です。

  • 22:15 7月集計分米国設備稼働率・鉱工業生産・製造業生産
    WTI原油先物価格と設備稼働率の上下動は、単月毎に見る限り相関がありません。
    鉱工業生産は前月が+0.7%以上だったか△0.7%以下だったとき、製造業生産は前月が+0.6%以上だったか△0.4%以下だったとき、前月の反動を起こして市場予想をオーバーシュート/アンダーシュートしがちです。
    直前1分足と直後1分足の方向一致率が33%しかない点を拠りどころに、指標発表発表直後の跳ねで3pips程度狙うしかありません。指標発表前後に大きく動いているときは、本指標とは無関係の原因です。


8月16日(木)
  • 10:30 7月集計分豪州雇用統計
    失業率と労働参加率は市場予想後追い型です。
    そして新規雇用者数は、市場予想を発表結果が上回ったときの方が、回数も差異も大きくなりがちです。つまり、市場予想と発表結果の差異の程度に応じて素直に反応すると仮定すれば、ロングで勝負し続ければ利益を残せることになります(仮定は検証されていません)。
    注意すべき点は、指標発表直後に10pips以上の逆ヒゲを形成することがときどきあります(騙しが発生します)。また、反応方向は、事後差異がプラスだったときこそ陽線での反応を期待できるものの、マイナスだった場合は大きくマイナスとならない限り、どちらに反応するかわかりません。
    指標発表時刻を跨いだ取引が難しい指標です。

  • 17:30 7月集計分英国小売売上高指数
    大きく反応しがちな指標で、指標発表前からかなり動きます。
    小売売上高にせよコア小売売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さい、という特徴があります。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすくなります。
    市場予想が前回結果よりも改善もしくは同値なのに、直前10-1分足が陰線ならば、発表結果は市場予想を上回る可能性が高く、逆に、市場予想が前回結果よりも悪化もしくは同値なのに、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果は市場予想を下回る可能性が高くなっています。

  • 21:30 8月集計分米国Phil連銀製造業景気指数
    本指標に先立って発表されることが多いNY連銀指数の結果が前月より改善/悪化していても、そんなことは本指標での取引の参考にはなりません。本指標自体が市場予想後追い型のため、そのことをアテにした方が良いでしょう。指標推移が上昇基調/下降基調のときは、発表結果が市場予想を上回り/下回りがちです。指標推移が上昇基調とも下降基調とも言えない停滞気味のときは、前々回結果に比べて前回結果が上昇/下降しているとき、今回の市場予想が前回結果を上回っている/下回っているなら、今回の発表結果は市場予想を下回り/上回りがちです。この期待的中率は78%です。


8月17日(金)
  • 23:00 8月集計分米国UM消費者信頼感指数速報値
    本指標の特徴は、市場予想後追い型であることと、なぜか前月集計分のISM非製造業景況指数との方向不一致となることが異常に多いことです。また、本指標自体のチャートへの影響は小さく、週足が200pipsを超えていたら、指標発表後に週足を削るように動き始めることも多いようです。

以上

ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(改訂版)

英国実態指標「小売売上高指数」の指標発表前後の反応分析には、
@ 小売売上高の前月比と前年比
A コア小売売上高の前月比と前年比
を用います。
以下、「小売売上高」の前月比や前年比を単に「前月比」「前年比」、「コア小売売上高」の前月比や前年比を「コア前月比」「コア前年比」と略記します。

本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のGBPJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
なお、この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年7月発表分)の42回分です。




T.指標分析

以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。

【1.1 指標概要】

本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。英国国家統計局が翌月中旬に前月集計分を発表しています。反応への影響は、コア指数>総合指数、前月比>前年比、となる傾向があります。

英国実態指標は、他の主要国のそれより反応が大きいという特徴があります。
本指標は、指標発表前から過去平均で20pips以上跳ねたことも多く、指標発表後は50pipsを超えて反応を伸ばすこともよくあります。
不用意にポジションを取るべきではありません。

小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響しがちだ、と言われています。また以前は、1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動しがち、と言われていました。
けれども、そんなことは経済情勢そのものに関心がある人か小売業者に向けての情報で、FX参加者にはあまり関係ありません。

【1.2 差異推移】

売上高とコア売上高の推移を下図に示します。
まずは、売上高前月比と前年比です。

1807英国小売210.png

次に、コア売上高前月比と前年比です。

1807英国小売220.png

ふたつのグラフは、前月比・前年比の上下動がほぼ同期しています。

そして、売上高にせよコア売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さいことに注目しましょう。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすいのです。




U.反応分析

分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。

【2.1 反応概要】

複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。

事前差異判別式は、1✕前月比の事前差異+1✕前年比の事前差異+3✕コア前月比の事前差異+1✕コア前年比の事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が71%です。

事後差異判別式は、2✕前月比の事後差異+1✕前年比の事後差異+3✕コア前月比の事後差異+1✕コア前年比の事後差異、です。この判別式の解の符号と直後1分足とは、方向一致率が80%です。

実態差異判別式は、2✕前年比の実態差異+1✕コア前月比の実態差異+3✕コア前年比の実態差異、です。この判別式の解の符号と直後11分足とは、方向一致率が76%です。

各差異とも対応するローソク足との方向一致率が高くなっています。これなら他の指標や物価との対比分析や、天候や季節要因を考える必要はありません。素直に大勢に従うことが、特に利確に繋がりやすい指標だと言えます。

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下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。

1807英国小売140.png

縦方向(反応程度)のばらつきこそ大きいものの、全体的には右上がりのドット分布(素直な反応)となっています。
次に、その反応が伸びるか否かです。下図は、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布です。

1807英国小売150.png

回帰線(赤線)の傾きは1.06で、あまり反応を伸ばしてはいません。特に、直後1分足終値が△20pips〜+20pipsだったときは要注意です。反応を伸ばすどころか反転したことも目立ちます。

【2.2 反応程度】

過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。

1807英国小売110.png

直後1分足跳幅の過去平均値は30pipsに達しています。15pips以下しか跳ねなかったことは19%しかなく、30pipsを超えて反応したことは45%です。
かなり大きく反応しがちです。

2016年6月集計分では、直前10-1分足跳幅が54pips、同値幅が43pipsでした。また、2017年8月集計分では、直後1分足跳幅が94pips、直後11分足値幅が76pipsでした。驚きの反応です。
もしこんなときに逆方向にポジションを取っていたら、迷っている暇なんてありません。すぐに損切しないと、大変なことになってしまいます。
覚えておきましょう。

次に、2015年以降の反応平均値の推移を下図に示します。

1807英国小売120.png

比較のため、米国雇用統計を例に挙げると、2017年の同直後1分足跳幅平均は39pips、直後11分足値幅は28pipsでした。2017年の本指標は、同年米国雇用統計とほぼ同じだけ反応していたのです。

反応が大きい指標だけに、直後1分足・直後11分足ともに跳幅と値幅の落差が10pips以上あります。
と言っても、逆張りは薦められません。狙いは、直後1分足値幅(終値)を見て、直後11分足跳幅(高値か安値)を取る順張りです。
過去全平均を見る限りでは、その落差だけで23pipsもあります。ここを狙う方が、他の指標で発表直後の20pipsの跳ねを狙うより、順張りだけにずっと安全なはずです。

【2.3 反応方向】

指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。

1807英国小売310.png

市場予想が前回結果より良ければ直前10-1分足は陽線、悪ければ陰線になりがちです(期待的中率71%)。また、市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しています(期待的中率80%)。

次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。

1807英国小売320.png

直前1分足は過去陰線率が74%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が73%と高い点を除けば、前述の直前10-1分足と直後11分足の方向一致率が68%と高くなっています。

そして、反応性分析では、指標発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。

1807英国小売330.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。驚くべきことに、その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。




V.取引方針

以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。

【3.1 直前10-1分足】

まず、直前10-1分足を下図に示します。

1807英国小売410.png

直前10-1分足は、過去平均跳幅が19pips、同値幅が12pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応以上に動きます。
事前差異との方向一致率は71%あるので、市場予想が前回結果より良ければロング、悪ければショートをオーダーします。

さて、直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去16回(頻度38%)もあります。
注意すべきことは、この16回の直前10-1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、8回(50%)だったことです。つまり、直前10-1分足が20pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません

【3.2 直前1分足】

次に直前1分足です。

1807英国小売420.png

直前1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は4pipsです。
過去陰線率は74%、直前10-1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。但し、上図を見る限り、陽線側へのヒゲも目立ちます。だから、直前10-1分足が陽線だったとき、直前1分前後に数pips陽線側に動いたらショートをオーダーし、その数pips+1・2pipsの利確を狙うと良いでしょう。

直前1分足跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度24%)あります。
注意すべきことは、この10回の直後1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、4回(40%)だったことです。つまり、直前1分足が10pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません

【3.3 直後1分足】

指標発表直後1分足を下図に示します。

1807英国小売430.png

直後1分足の過去平均跳幅は30pips、同値幅は19pipsです。その差11pipsは大きく、利確幅を10pisにするのか20pipsにするのか、それとも指標発表直後に跳ねたらすぐに利確するのか、予め決めておいた方が良いでしょう。

指標発表時刻を跨ぐポジションをオーダーするか否かは、次のように判断します。ちょっと複雑です。
まず、直前10-1分足と実態差異の方向一致率は81%です。だから、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果>前回結果、となる期待的中率は81%です。それにも関わらず、もし事前差異(=市場予想ー前回結果)がマイナスなら、前回結果>市場予想、という関係が成り立ち、発表結果>前回結果>市場予想の順となります。つまり、発表結果が市場予想を上回る可能性が高い訳です。もし逆に、事前差異がプラスだと、発表結果と市場予想の大小関係はわかりません。
よって、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。

念のため、直前10-1分足が陰線だったときで、ロジックを確認しておきましょう。
直前10-1分足が陰線なら前回結果>発表結果となる可能性が高い訳です。それにも関わらず、もし事前差異がプラスなら、市場予想>前回結果という関係が成立しています。このとき、市場予想>前回結果>発表結果、の順になります。つまり、このとき発表結果が市場予想を下回る可能性が高い訳です。
よって前述の通り、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。

こうした条件を満たすとき、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。

次に指標発表後の追撃についてです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。

高値掴み/安値掴みを避けるためには、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときに追撃ポジションを得たいものです。けれども、大きく反応する本指標発表直後は、そんな機会を待っていたら追撃の機会を失いかねません。
対策は、ポジションの大きさをいつもの半分にして、指標発表直後の反応方向を確認次第と、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときを狙ってと、2段構えでポジションを取っても良いでしょう。そして、こんな期間にポジションを取るなら、数pipsの含損なんて気にしないことです。

指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。

【3.4 直後11分足】

直後11分足を下図に示します。

1807英国小売440.png

過去平均跳幅は40pips、同値幅は25pipsです。

ここからは、データに基づかない話です。
本指標発表から1分後と11分後を比べると、先述の通り反応を伸ばしていません。けれども、本指標が大きく動き、且つ、指標結果の影響持続時間が30分以上続くことも多かった覚えがあります。
この記憶に基づく取引を行うなら、事後差異と実態差異の方向が一致しているとき(発表結果の前回結果と市場予想との大小関係が一致しているとき)、且つ、直後1分足もその方向が一致しているとき、指標発表から1分を過ぎても追撃ポジションをオーダーしても良さそうです。




V.分析結論

本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。

  • 売上高にせよコア売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さい、という特徴があります。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすくなります。

  • 指標発表前から大きく動きます。
    直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が71%あります。
    直前1分足は、過去陰線率が74%、直前10-1分足との方向一致率が37%(不一致率63%)です。そして、陽線側への逆ヒゲ発生頻度が高くなっています。
    注意すべき点は、直前10-1分足では38%、直前1分足では24%の頻度で、それぞれ20pips以上・10pips以上の跳ねが生じています。この大きな跳ねが起きても、直前10-1分足や直前1分足の方向は、直後1分足の方向と関係ありません。

  • 指標発表後はかなり大きく動きます。
    市場予想が前回結果よりも改善もしくは同値なのに、直前10-1分足が陰線ならば、発表結果は市場予想を上回る可能性が高く、逆に、市場予想が前回結果よりも悪化もしくは同値なのに、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果は市場予想を下回る可能性が高くなっています。こうした条件を満たすとき、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。
    そして、指標発表後の追撃は早期開始、早期利確です。

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下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1711英国小売530.png

2017年は、本指標で8回の取引を行い、指標単位で4勝4敗(勝率50%)、シナリオ単位で17勝9敗(勝率65%)でした。1回の指標発表前後で平均8分50秒のポジションを保有し、年間損益は+88pipsでした。
発表時刻を跨いだポジションでの損切が多かったものの、その後の追撃で取り返して損益をプラス化できたようです。

この結果は、指標発表直後の反応方向を当てるのは難しくても、基本(分析結果)に忠実にやっていれば、年間プラスに持ち込むことができることを示しています。おそらく、記録を見る限りでは、4勝4敗でなくても3勝5敗(年換算で5勝7敗)でもぎりぎりプラス化できたでしょう。

そのうち、年間12回の取引で7勝できることもあるでしょう。いずれそういう運の良い年が来るのを待ちましょう。運の良さをコントロールできなくても、運の悪いときに負けを小さく抑え込むことならできそうです。
以上


ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上




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