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posted by fanblog

2023年11月05日

「マラコット深淵」

マラコット.jpg
 最近、温故知新と言うか、昔の怪奇小説やSF小説ばかりを読んでいます。

 こないだ読んだのが、コナン・ドイル「マラコット海淵」(1929年・別の邦題「マラコット深海」)。

 この本は、実は、小学生の時も読んだ事があり、シャーロック・ホームズや「ロストワールド」の印象しかなかったドイルが、こんなSFも書いていた事にひどく感心した記憶があります。

 まあ、SFのアイディアとしては、ウェルズの短編「深海潜航」(1896年)の方が、発表した年も奇想天外さも上のような感じもするのですが、代わりに、「マラコット海淵」では、「沈没大陸の古代文明人が、海底でいまだに生き続けている」と言う着想が採用されています。もしかすると、同種のネタとしては、「マラコット海淵」こそが元祖だったのではないのでしょうか。

 だとすれば、「マラコット海淵」が無ければ、「海のトリトン」も「海底人8823」も生まれていなかった事になります!

 それどころか、外国のB級怪獣映画としてチト有名な「アトランティス7つの海底都市」(1978年)なんて、細かい物語の作りまで「マラコット海淵」に似ていて、精神内を映像にして投影する装置まで出てきます。

 もっとビックリしたのが、東宝の特撮映画「海底軍艦」(1963年)でして、「海底軍艦」の敵キャラ・ムウ帝国の描写は、かなりの部分が「マラコット海淵」と一致しています。海底国の守護者の名前がマンダと言う点も同じなのであります。

 そもそも、映画の「海底軍艦」は、押川春浪氏の原作小説(1900年「海島冐險奇譚 海底軍艦」)のストーリー面はほぼ無視した内容でしたし、むしろ、「海底軍艦 対 マラコット海淵」と呼んだ方が良い作品だったのかも知れません。

posted by anu at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本
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