2022年12月06日
「ガムガムパンチ」
「ガムガムパンチ」と言うのは、手塚治虫先生が執筆した児童向けマンガの一つです。膨らますと何にでも変身するチューイングガムを巡る騒動や冒険を描いた物語で、どこか、藤子不二雄マンガにも似ていました。
このマンガが、私の姉が持っていた「小学◯年生」(小学館)に掲載されておりまして、それを私もお下がりで読みましたので、けっこう鮮明に覚えていたのです。
で、講談社の「手塚治虫漫画全集」にて、このタイトルを見つけた時には、私も、すごく懐かしくて、思わず、手にとって読んでしまったのでした。
ところがです。全1巻を読破してみますと、なぜか、記憶にあったエピソードが見当たりません。つまりは、全集などと称しておきながら、この「手塚治虫漫画全集」の「ガムガムパンチ」(1984年)は、全エピソードが収納されていない不完全版に過ぎなかった訳です。
これでは、どうも納得がいかないのであります。
そこで、私は、インターネットで「ガムガムパンチ」を検索したのですが、やっぱり、私の記憶にあったエピソードは存在していたらしくて、そのエピソードの1ページが、ネット上にもアップされていたのでありました。すなわち、「手塚治虫漫画全集」以外にも、「ガムガムパンチ」が掲載された本が存在している事になるのです。それもカラー版のものが。
どうしても、この幻のエピソードを読みたくなった私は、ぴっかぴかコミックス版の「ガムガムパンチ」(2007年)と言うのを探し当てまして、これを速攻で取り寄せました。で、確かに、このぴっかぴかコミックス版は全編カラーだったのですが、やはり、肝心の未読エピソードは収録されていなかったのでした。
私は、もうちょっと丁寧に、ネットで調べてみました。すると、「ガムガムパンチ」マニアはけっこう多かったらしくて、このマンガに関する色々な記述を発見したのでした。
それによると、1979年に文民社から発行された「手塚治虫作品集」内の「児童まんが1」こそが、「ガムガムパンチ」の決定版だったらしい事が分かりました。さらに、この「児童まんが1」の内容を再録した「手塚治虫選集」(ほるぷ出版)の「ガムガムパンチ」全2巻(1982年)と言うのもある事を知りましたので、私は、値段も手頃だったこちらを購入してみたのです。
すると、今度こそ、大当たりだったのでした。例の幻のエピソードも、きちんと2色カラーのものが収録されています。それどころか、「手塚治虫漫画全集」やぴっかぴかコミックスには載っていなかったエピソードもごっそり読む事ができたのでした。
と言う訳で、この「ガムガムパンチ」に関して、あらためて説明いたしますと、この作品には、いくつものバリエーションのコミックスが存在しているのであります。
不完全な「手塚治虫漫画全集」バージョンはお勧めできませんが、以降に発行された本は、秋田文庫(2002年)にせよ、講談社の「手塚治虫文庫全集」(2010年)にせよ、「手塚治虫漫画全集」をベースにしているみたいです。
前述したように、「手塚治虫漫画全集」以前に編纂された「児童まんが1」こそがベストなのですが、この本は、現在、希少本として、古本でも高価となってますので、なんでしたら、私のように、ほるぷ出版の「手塚治虫選集」を探して買うと言う手もあるでしょう。また、1984年に発行された翠楊社の「手塚治虫作品集」にも、「ガムガムパンチ」の完全版が収録されていたらしいです。
これら以外にも、「ガムガムパンチ」は、子供向けの着色(カラー)コミックスが、多数、存在していました。私が手に入れたぴっかぴかコミックスも、その一つです。しかも、これらの着色コミックスは、同一のものの再販ではないらしくて、どれも収録内容が微妙に異なっているようなのであります。つまり、完全版の「児童まんが1」でも1色刷りだったエピソードを、これらの着色コミックスでは4色カラーでも読めると言う事なのであります。
全く、「ガムガムパンチ」って、思っていたよりも奥が深いようなのです。
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