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2022年10月20日

戦闘員のいない悪の組織

「平成・令和生まれに捧げる特撮学」追加データ)

 悪の組織の下っぱの構成員たちを「戦闘員」と言う呼称で呼ぶようになったのは、「仮面ライダー」(1971年〜)以降の習わしじゃないかと思われる。
 では、「仮面ライダー」以前には、悪の組織には下っぱ組織員がいなかったのかと言うと、そう言う訳でもなくて、元々は、彼らは「〇〇(悪の組織名)団員」とか、忍者ならば「下忍」という風に呼ばれていた。
 それが、「仮面ライダー」で、なぜ、急に「戦闘員」になったのかと言うと、「仮面ライダー」が多分にアクション要素の強い作品だったからだとも推察される。
 本来、悪の組織の〇〇団員たちは、雑兵であり、戦闘以外にも、作戦遂行や基地警備などの雑役もこなす存在だった。ところが、「仮面ライダー」では、格闘アクションが見せ場となった為、ショッカーの下級団員たちも、親分の怪人が出陣する前の(ライダー相手の)前座の対戦相手、という役回りが強くなったのだ。この「下っぱ団員たちが最初にヒーローと戦う」というスタイルは、その後のヒーローものの定番となり、それゆえに、「仮面ライダー」以降のヒーローものでも、下っぱの団員は「戦闘員」と呼ぶのが定着していったのである。
 それが、特撮ヒーローも増産されていくうちに、いつしか、この「戦闘員」という存在も邪魔になり始めたようだ。ストーリー性やリアルさを重視するほど、「戦闘員って、いらなくない?」って話になっていったみたいなのである。
 その傾向が最初に現れたのは、恐らく、「宇宙刑事」シリーズ(1982年〜)だったのではないかと思う。この「宇宙刑事」シリーズ自体が、実は、新しい変身ヒーロー像を作ろうとした、野心的な作品だったのだ。
 これまでの変身ヒーローの戦い方が肉弾戦メインだったのに対して、宇宙刑事は、あくまで未来志向であり、科学性を前面に押し出して、銃撃戦とか、大型メカによる戦いなどがふんだんに盛り込まれていた。各話クライマックスの怪人との決戦シーンだって、亜空間に移動して、そこで戦っちゃうのである。これでは、怪人との決戦前の前座の戦闘員バトルだって、あまり必要なくなってしまったのだった。
 そのせいか、「宇宙刑事」シリーズの敵組織(マクー、マドー、フーマ)にも下級戦闘員は存在したのだが、いまいち印象が薄い。「宇宙刑事ギャバン」(1982年)なんて、メイン怪人以外に、ダブルマンなんて準怪人キャラまで出てきたので、戦闘員のクラッシャーは、ますます目立たなかったのだ。
 このように、一方で「宇宙刑事」シリーズが放送されていた頃に、実は、別の時間帯で、ついに、戦闘員が全く居ない悪の組織が登場する事になる。それが、「星雲仮面マシンマン」(1984年)のテンタクルなのだ。
 テンタクルは、下っぱ戦闘員が居ないだけではなく、怪人(アンドロイド兵士)たちも全員がほぼ同じ形をした、驚異の手抜き組織だった。だが、それもそのはずだ。テンタクルとは、世界征服とかを目論む悪の組織などではなく、単に、ボスの天才科学者プロフェッサーK(演じるは、故・天本英世さん)のわがままを叶える事だけが目的の超私的な悪者一味だったのである。
 そんな訳で、テンタクルは「戦闘員がいない悪の組織」をはじめて形にしてみせたのだった。もっとも、話の流れ上、何度か、下っぱの子分集団みたいなものが出てくる事もあった。彼らについては、あくまで「戦闘員」ではなく、ただの黒服の警備員たち(テンタクルに雇われた人間?)みたいな感じで、処理されていたのだった。
 なお、「マシンマン」では、テンタクルのあと、オクトパスと言う、新たな悪の組織も登場するのだが、こちらも、基本的には、専属の戦闘員が居ない組織であった。ただし、オクトパスは「世界中の犯罪者の結託チーム」と言う設定だったので、回によっては、やはり、戦闘員がわりにギャング集団が出てくるような事もあった。
 さて、「宇宙刑事」シリーズがひとまず三部作で完結すると、次は「巨獣特捜ジャスピオン」(1985年)と言う作品が始まる事となった。この作品の悪の組織の戦闘員が、又しても、画期的なアイディアを採用している。
「ジャスピオン」の敵組織は、宇宙人の混成部隊(マッドギャラン軍団)なのだが、さまざまな宇宙人の寄せ集めという設定であり、戦闘員に当たる下級隊員たちも、皆、出身星が違うらしくて、別々の姿をしているのだ。つまり、従来の戦闘員とは違って、全員が統一した容姿・コスチュームではなかったのである。本当に、色んな星の宇宙人で構成されていると言うリアルさを、きちんと表現していたのだった。ただし、その為、せっかくの独自の外観を持っていた宇宙人隊員たちが、ザコとして、あっさりと次々に倒されていくと言う、実に勿体無いようなシーンも多々、見受けられたのであった。
 同じ時間帯の後続番組である「超人機メタルダー」(1987年)では、第1話が始まった時点で、敵組織(ネロス帝国)のほとんどの怪人がすでに揃っていると言う、さらに斬新な演出が採用されていた。こうやって、怪人たちが最初っから一杯いたら、彼らが戦闘員や雑兵役も担える訳であり、下っぱ戦闘員は要らなくなると言う寸法なのだ。
 と、そのように思われたが、やはり、そこまで徹底するには無理があったらしく、やがて、「メタルダー」でも、戦闘員に当たる「軽闘士」と言うキャラが、ボツボツと台頭するようになったのだった。
「メタルダー」の次に始まった「世界忍者戦ジライヤ」(1988年)では、敵も味方も(世界中から集まった)忍者であり、メインの悪の組織である妖魔一族も、唯一の敵という扱いではなかった。妖魔一族の戦闘員に相当する「カラス天狗」は、常に3人1組の布陣を敷いていて、毎回3人しか登場しないと言う、これまた特殊なスタイルの戦闘員であった。
 このように、戦闘員の在り方について、いろいろと試行錯誤した作品が続いている中、「仮面ライダー」のシリーズでも、ついに、戦闘員の居ない悪の組織が誕生する事になる。それが、「仮面ライダーBLACK」(1987年)の暗黒結社ゴルゴムだ。
 ゴルゴムは、そもそもが、これから地球を征服しようとする悪の組織などではなくて、すでに人間社会を影から牛耳っていた秘密結社だったので、下級戦闘員なんて存在も要らなかった訳である。ゴルゴム怪人にしても、元より戦闘用の兵士などではなくて、人間を怪人へと進化させる事自体がゴルゴムの指針だったのだ。
 とは言え、ゴルゴムにしても、やはり、全く戦闘員キャラを出さないようにするのは限界があったようで、結局は、数回ほど、普通の人間らしき雑兵や、さらには、人型ロボット(24話・25話)、ゴルゴム親衛隊(49話)なんてものまで無理くり登場させて、時々、お茶を濁していたようなのだった。
 そのあと、「仮面ライダーBLACK」の続編「仮面ライダーBLACK RX」(1988年)に出てきた敵組織・クライシス帝国では、再び戦闘員が配置される事となったのだが、前作の流れの影響もあったのか、従来の戦闘員のような活躍はあまり見せはしなかった。
 それから、さらに時が経つ事となる。「超光戦士シャンゼリオン」(1996年)や「仮面天使ロゼッタ」(1998年)など、特定の戦闘員が出てこないように見える作品がいくつか散見されたあと、平成の新ライダー「仮面ライダークウガ」(2000年)が始まると、そこでは、とうとう、戦闘員と言う存在そのものがいっさい排除される事となったのだった。
 だが、それも当然だ。クウガの敵は、悪の巨大組織ではないのである。古代人の殺人鬼集団グロンギ族なのだ。ここに来て、ようやく、戦闘員が居ない敵組織と言うのが、基本設定レベルで確立されたみたいなのであった。
 そんな訳で、「仮面ライダークウガ」では、完璧なまでに、グロンギの戦闘員なんてものは出てこない。そもそもが、「仮面ライダークウガ」が、のちの平成仮面ライダーシリーズの基礎となるシリアス路線のドラマだったのであり、そんな作風には、リアリズムに欠けた「戦闘員」なんてキャラは似合わないのだ。
 その後の平成仮面ライダーシリーズは、この伝統をずっと受け継いでいる。だから、平成仮面ライダーシリーズのほとんどの作品では、敵が大掛かりな悪の組織であっても、戦闘員っぽいキャラは、あまり登場しなくなったのだった。少なくとも、今日の仮面ライダーシリーズに関して言えば、戦闘員のいない悪の組織の方がすっかり主流となっている訳である。
posted by anu at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組
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