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2022年06月12日

ボク少女の元祖

 自分のことを「ボク」と呼ぶ女性のことを、俗に、ボク少女、ボク娘、ボクっ子、ボク女などと呼ぶそうです。

 私も、小学生の頃、手塚治虫センセイのマンガ「三つ目がとおる」和登さんが、自分のことを「ボク」と呼んでいるのを初めて見た時は、「和登さんって、女の子かと思ったけど、ほんとは男子生徒だったのだろうか」と、しばらく悩んでしまったものでした。

 このボク少女の第一号が登場する作品につきましては、wikipedia などでは、横溝正史センセイの小説「蜘蛛と百合」(1936年)とかが挙げられているのですが、私も色々と古い小説を読み漁っているうちに、新発見をしてしまいました。

 なんと、江戸川乱歩センセイの小説「黒蜥蜴」の中でも、悪のヒロインの黒蜥蜴は「僕」と言う自称を頻繁に用いていたのであります。全ての自称が「僕」に統一されていた訳ではありませんが、それでも、彼女もボク女であった事には違いありません。

 「黒蜥蜴」の発表年は1934年ですので、「蜘蛛と百合」よリも僅かに早く、横溝センセイと乱歩センセイが親しい作家仲間であった事を念頭に置きますと、「黒蜥蜴」に刺激を受けて、「蜘蛛と百合」のボク女という設定が生み出されたって事も考えられるかもしれません。

 なお、トーゼンなのですが、私の小説「無敵探偵活劇 アケチ大戦争」においても、黒トカゲは「ボク」を使う女性キャラにと設定しているのであります。


posted by anu at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ・本
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